ローテーターカフのトレーニング集。肩を鍛える筋トレ&ストレッチとは?
野球などの投球種目では特に重要とされている筋肉、回旋筋腱板(かいせんきんけんばん)。
ローテーターカフとも呼ばれる筋肉ですが、一体どのような役割を担っており、どんなトレーニングを行うことで効率よく鍛えられるのか、知らない男性も多いですよね。
そこで今回は、回旋筋腱板の位置から役割といった基礎知識はもちろん、効率よく肥大させられる筋トレメニューまで徹底解説していきます。
回旋筋腱板(ローテーターカフ)とは?
回旋筋腱板とは、「三角筋」・「僧帽筋」と肩部分を構成している筋肉です。
回旋筋腱板は「大腿四頭筋」や「ハムストリング」と同じ筋肉群(筋肉の集まり)の1つで4つの筋肉をまとめた総称になります。ローテーターカフに含まれる4つの筋肉は以下。
各筋肉は同じ動作を行う時に働くこともあれば、それぞれが別の働きで動くこともあります。また、回旋筋腱板は、肩の深層部にあるため、肩のインナーマッスルと呼ばれます。
触診することは難しく、肥大しているかどうかも確認しにくい筋肉です。トレーニングをしても、すぐに目に見える効果になるとは限らないというのが真実でしょう。
回旋筋腱板(ローテーターカフ)の役割|どんな動きに影響する筋肉なの?
回旋筋腱板の位置でも解説しましたが、回旋筋腱板は各筋肉がそれぞれ別の動きを担っています。ここでは、4つの筋肉がどのような役割を担っているか解説していきます。
棘下筋の役割とは
棘下筋は、主に
- 肩関節の外旋:腕を外に広げる動き
- 肩関節の伸展:腕を体よりも後ろに下げる動き
をサポートします。
腕を外に広げた時に肩周りで痛みが生じるという場合は、棘下筋が炎症している可能性があるため、その場合は安静にして、長く続くようであれば病院で診察してもらいましょう。
棘上筋の役割とは
棘上筋は、主に
- 上腕の外転:腕を上に上げる動き
をサポートしています。上腕の外転には三角筋などの大きな筋肉も関わっているため、棘上筋がメインとして活躍することはありません。
上腕の外転は普段あまり行わない動作ですので、トレーニングする際は少しずつ負荷を高めていきましょう。
小円筋の役割とは
小円筋は、主に
- 肩関節の外旋:腕を外に広げる動き
- 肩関節の伸展:腕を体よりも後ろに下げる動き
をサポートしています。
この動きは、棘下筋とほとんど同じで、上2つの動作は小円筋と棘下筋が大きな役割を担っています。また、小円筋とよく比較される大円筋はローテーターカフには含まれておらず、肩関節の内旋を担当している筋肉です。
肩甲下筋の役割とは?
肩甲下筋は、主に
- 肩関節の内旋:腕を内に曲げる動き
- 肩関節の内転:腕を下に下げる動き
- 肩関節の伸展:腕を後ろに下げる動き
をサポートしています。
あまり知られていない筋肉ですが、肩甲下筋は全身の中でも上位に入るほど大きな部位です。肩関節の動きに対する貢献度は、三角筋に次ぐ第2位の筋肉と言ってもいいでしょう。
回旋筋腱板(ローテーターカフ)を鍛えるメリット|どんな筋トレ効果を得られるの?
回旋筋腱板の役割でもご紹介した通り、回旋筋腱板は4つの筋肉がそれぞれ重要な動作を担当しています。
鍛えることでそれぞれの役割をしっかりとこなせるようになり、より高重量なアイテムを無理なく動かせるようになったりと、様々なメリットが期待できるでしょう。
また、肩関節の動きで最も重要な三角筋は、内旋・外旋の動作にはほとんど影響を及ぼさないため、内旋・外旋動作を担当している棘下筋・小円筋・肩甲下筋は棘上筋と比べると目に見える効果が期待できるかもしれません。
ローテーターカフの効果的なトレーニングメニュー|肩周りを鍛えられる筋トレとは?
回旋筋腱板の基礎知識について勉強したところで、ここからは実際に回旋筋腱板を鍛えられる効果的なトレーニングメニューをご紹介します。自宅で取り組める筋トレ方法を中心に解説していきますので、気になったトレーニングは今日からでも取り組んでみてください。
ローテーターカフの筋トレメニュー1. インターナルローテーション
チューブを使った回旋筋腱板トレーニング、インターナルローテーション。プロ野球選手も日々の筋トレメニューにプラスしている種目で、シンプルながらもローテーターカフ全体を刺激できますよ。チューブを必要とする男性ですので、持っていない方はこの機会に購入してみて。
インターナルローテーションの正しいやり方
- チューブの片方を肘の高さで支えられる場所に結ぶ
- 片方をしっかりと持つ
- (2)の時、足は肩幅分開く
- チューブを持った腕の上腕部分は体に沿わせて、前腕は地面と平行に
- チューブを持った腕を外に広げていく
- (5)の時、前腕以外は動かさない
- 限界まで引っ張り、ゆっくりと元に戻す
- この動作を20回繰り返す
- インターバル(30秒)
- 残り2セット行う
- 終了
インターナルローテーションの目安は、20回 × 3セット。肩部分への刺激を感じながらゆっくりと取り組んでいきましょう。
セットの仕方
- 前腕以外は動かさない
- 呼吸を止めないで行う
- 全ての動作をゆっくりと
- チューブは少し固めを選びましょう
- 手首に力を入れすぎない
インターナルローテーションで効果を高めるコツは、前腕以外は動かさないで取り組むということ。肘を動かしてしまうと、回旋筋腱板に刺激が届きにくいため、しっかりと固定した状態で取り組みましょう。
【参考記事】インターナルローテーションのやり方を動画で解説▽
ローテーターカフの筋トレメニュー2. アウトワードローテーション
インターナルローテーションとは違い、ダンベルを使った回旋筋腱板トレーニングメニュー。ダンベルを持っていれば自宅で寝っ転がって行える種目なため、ぜひ挑戦してみください。
アウトワードローテーションの正しいやり方
- マットなどを敷いた上に、仰向けで寝っ転がる
- ダンベルを右手に持つ
- 右の上腕部分は体に沿わせ、前腕は体と垂直になるように横に倒す
- 前腕をゆっくりと上に上げる
- 肘の真上に来たら、ゆっくりと元に戻す
- この動作を20回繰り返す
- インターバル(1分間)
- 残り2セット行う
- 終了
アウトワードローテーションの目安は、20回 × 3セット。ダンベルは無理できない重量を選びましょう。
セットの仕方
- 前腕以外は動かさない
- 上げる時に空気を吐き、下ろす時に取り込む
- 全動作をゆっくりと行う
- ダンベルは軽めを選ぶ
- ダンベルを握りこみすぎない
アウトワードローテーションで効果を高めるポイントは、全動作ゆっくりと行うということ。たった、これだけを意識するだけで回旋筋腱板への刺激を届けられますよ。ダンベルの重量は2kg~3kgを選ぶのがベスト。
ローテーターカフの筋トレメニュー3. ショルダーサークル
アウトワードローテーションと同様にダンベルで行う回旋筋腱板トレーニング、ショルダーサークル。ダンベルをもった状態でぐるっと大きく回すことで、ローテーターカーフ全体を効率良く刺激できますよ。
ショルダーサークルの正しいやり方
- ダンベルをもって直立する
- 右手と左手の手のひらはお互いに向ける
- 肘を伸ばした状態で、両手をぐるっと時計回しに回す
- 頭の上を通り過ぎた時に、手のひらを返す
- 下ろす時はゆっくりと
- 同じペースで5周取り組む
- インターバル(30秒)
- 逆回しも同様に行う
- インターバル(30秒)
- 残り2セット行う
- 終了
ショルダーサークルの目安は、5周 × 3セット。同じペースを守りながら、ゆっくりと行っていきましょう。
セットの仕方
- 肘はまっすぐ伸ばして行う
- 肩は動かしすぎない
- 両手は前後に動かさない
- 呼吸を安定させて行う
- ダンベルは1kg未満を目安に選ぶ
ショルダーサークルを行う上で大切なポイントは、両手を前後にブラさないということ。そのためには、ダンベルの重量はしっかりとこだわる必要があります。無理に3kgダンベルなどを使わずに、1kg程度を選ぶようにしましょう。
ローテーターカフの筋トレメニュー4. タイプライタープッシュアップ
腕立て伏せ種目の中で、回旋筋腱板のトレーニングに最も適している、タイプライタープッシュアップ。やや負荷の高い筋トレメニューですので、慣れない方は膝をついた状態で取り組んでみて。
タイプライタープッシュアップの正しいやり方
- 手幅を肩幅2つ分ほどとる
- 足を伸ばして、腕立て伏せの形を作る
- 右腕に胸を寄せるように動かし、左腕が伸びるまで下げる
- その後、構えまで戻る
- 次に左腕に胸を寄せるように動かす
- この動作を左右10回ずつ行う
- インターバル(30秒)
- 残り2セット行う
- 終了
タイプライタープッシュアップの目安は、左右10回ずつ × 3セット。肩周りの筋肉が刺激されているか感じながら取り組んでいきましょう。
トレーニングのコツ
- 腕がしっかりと伸びきるまで上体を下げる
- 頭は下げすぎず、かかとから頭まで一直線をキープする
- 体全体を使って動く
- 呼吸を止めない
- 顔を前に向ける
タイプライタープッシュアップで効果を高める秘訣は、腕が伸びきるまで体を下げるということ。不十分な状態で止め、元に戻してしまうと筋肉を効率良く刺激できません。効果的な筋肥大を実現するためにも、限界まで体を寄せていきましょう。
【参考記事】タイプライタープッシュアップのコツをより詳しく解説▽
ローテーターカフの筋トレメニュー5. エクスターナルローテーション
インターナルローテーションと同じで寝っ転がって行う回旋筋腱板トレーニングメニュー。外に手を広げるインターナルローテーションとは違い、内側に曲げていく種目になります。インターナルローテーションと組み合わせて行う事で筋肉を効果的に刺激可能です。
エクスターナルローテーションの正しいやり方
- マットなどを敷き、横向きになって寝っ転がる
- 上側の手でダンベルを握る
- 状態は体に沿わせ、軽く内側に曲げる
- ダンベルを上に持ち上げていく
- 体と垂直になったら、ゆっくりと元に戻す
- この動作を10回繰り返す
- インターバル(1分間)
- 残り2セット行う
- 逆の手も同様に取り組む
- 終了
エクスターナルローテーションの目安は、左右10回ずつ × 3セット。ローテーターカフに刺激を届けるために、1セットずつ時間をかけて行ってください。
トレーニングのコツ
- 前腕以外は動かさない
- ダンベルは2kg~5kgを選ぶ
- 上げる時よりも、下ろす時はゆっくりと
- 体と90度になった位置よりも後ろに下げない
- 筋肉への刺激を感じながら取り組む
エクスターナルローテーションで大切なポイントは、内側に下ろしていく時は時間をかけるということ。内旋動作に関わる、肩甲下筋へしっかりと刺激を届けるために、ダンベルはゆっくりと下ろしていきましょう。
【参考記事】エクスターナルローテーションのやり方を動画で解説します▽
ローテーターカフの筋トレメニュー6.ダンベルサイドレイズ
三角筋を中心にローテーターカフも刺激できる回旋筋腱板トレーニング種目、ダンベルサイドレイズ。筋トレ初心者でも無理なく取り組める筋トレメニューなため、この機会にぜひ挑戦してみてください。ダンベルがなくとも、水を入れたペットボトルでも代用可能ですよ。
ダンベルサイドレイズの正しいやり方
- 両手にダンベルを持って肘を軽く曲げます
- 足は肩幅分ほど開き、上半身は少しだけ前傾姿勢をとる
- (2)の時、背中を丸めないよう意識しましょう
- 肘を軽く曲げたまま、ゆっくりと上に持ち上げる
- 肩と同じ高さまで持ち上げたら、少し停止する
- その後、重さに耐えながら元に戻す
- この動作を15回繰り返す
- インターバル(1分間)
- 残り2セット行う
- 逆の手も同様に行う
- 終了
ダンベルサイドレイズの目安は、左右15回ずつ × 3セット。肩周りへの刺激を感じながら取り組んでいきましょう。
トレーニングのコツ
- 手首は返さず肩から手先まで伸ばしましょう
- 呼吸を安定させ、ゆっくりと取り組む
- ダンベルは前後に動かさない
- 慣れてきたら停止時間を延ばす
- 背中を丸めて行わない
ダンベルサイドレイズで回旋筋腱板への刺激を高めるコツは、ダンベルを前後ではなく上下に動かすということ。特に筋トレ初心者は、疲労がたまっていくにつれてフォームが乱れやすくなってしまうため、注意しておきましょう。
回旋筋腱板(ローテーターカフ)の効果的なストレッチ方法とは?
回旋筋腱板(ローテーターカフ)のトレーニングメニューを解説していきましたが、どんな筋肉もストレッチでケアしなければ、効果的な肥大は見込めません。そこで今回は、肩ストレッチのメニューから
回旋筋腱板をほぐすのに最適な柔軟体操を2つ厳選してご紹介します。この機会にしっかりとストレッチ方法を確認しておきましょう。
回旋筋腱板ストレッチ1. 捻りストレッチ
肩関節の中でも、深層に多く存在するローテーターカフはゆっくりと捻る動作を加えた柔軟体操で効果的に刺激できます。捻りストレッチは、シンプルながらも自分では意識しにくい体操になるため、慣れるまでは鏡まで確認しながら行いましょう。
ストレッチのやり方
- 椅子に軽く座る or あぐらをかいて座る
- 右手を斜め45度に後ろに下げる
- 後ろに下げたまま、腕をひねる
- 痛みの出ない範囲で回転させる
- 左右に5回転ずつ行ったら、左手も同様に取り組む
- 終了
このストレッチの目安は、左右5回転ずつ。たったこれだけで肩周りの筋肉全体を効果的にほぐせますよ。
ストレッチのコツ
- 呼吸は止めずに安定させて行う
- 肩周りの筋肉が刺激されているのを感じながら取り組む
- 手の位置は上下させない
- ゆっくり筋肉をひねるイメージで取り組む
捻りストレッチで最も大切なポイントは、ゆっくりと筋肉を捻るイメージで行うこと。トレーニングではなく、筋肉をほぐすケアになるため、スピードは必要ありません。優しい刺激を筋肉へ届けていきましょう。
回旋筋腱板ストレッチ2. 全体ストレッチ
回旋筋腱板はもちろん、三角筋や僧帽筋など肩周りの筋肉を効果的に伸ばせるストレッチメニュー。上半身全体を動かす柔軟体操なため、PC作業などで固まった上半身をほぐすのにも最適です。筋肉全体に低刺激を与えていきましょう。
ストレッチのやり方
- 椅子に座る or あぐらをかいて座る
- (1)の時、足は肩幅分ほど広げましょう
- 右腕を伸ばした状態で左足の向こう側に腕を置く
- (3)の状態を10秒間キープ
- 右腕を体を挟んで逆側に大きく振る
- (5)の右腕を伸ばし、20秒間キープ
- ゆっくりと元に戻す
- この動作を左腕でも行う
- 終了
このストレッチの目安は、左右30秒ずつ。肩周りの筋肉が伸びているのを感じながら、キープしていきましょう。
ストレッチのコツ
- 呼吸は止めずに安定させる
- 胸と脇下の筋肉を意識しながら取り組む
- 動かしていない肩は動かさない
- 勢いをつけない
全体ストレッチで最も大切なコツは、動かしていない肩は同じ場所に維持すること。体全体を動かしてしまうと、回旋筋腱板を上手く刺激できません。効率よく筋肉をケアできるようにコツを押さえながら取り組んでいきましょう。
【参考記事】肩甲骨付近の筋肉を刺激できるストレッチとは▽
回旋筋腱板トレーニングのおすすめ筋トレグッズとは?
回旋筋腱板トレーニングの中には、アイテムを全く使わずに取り組めるメニューもありますが、筋トレグッズがあった方が一層効率よく筋肥大させられます。
そこで今回は、回旋筋腱板の筋トレを支える、おすすめ筋トレグッズをご紹介。気になった方は、この機会に購入を検討してみてください
おすすめ筋トレグッズ1. トレーニングチューブ
回旋筋腱板トレーニングで最も欠かせないアイテムといえば、トレーニングチューブ。負荷を徐々にかけられるチューブトレーニングは、深層にある回旋筋腱板へ効果的に刺激を届けられます。怪我のリスクも非常に少なく、メニューのバリエーションも豊富なため、持っておいて損のない筋トレグッズですよ。
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おすすめ筋トレグッズ2. ダンベル
ショルダーサークルなど、低負荷トレーニングに最適なアイテムが低重量ダンベル。5kgを超えるダンベルは、回旋筋腱板へ効かせるのが非常に難しくなるため、~5kgまでのダンベルを購入するのがおすすめです。価格も2つで3,000円と非常にリーズナブル。この機会にぜひ、使ってみてください!
Amazonで詳細を見る【参考記事】初心者でも手軽に使える、おすすめダンベルを厳選しました▽
ローテーターカフを鍛えてトレーニングの質を高める
回旋筋腱板(ローテーターカフ)の基礎知識と効果的なトレーニングメニューについてご紹介しました。あまり知られていない筋肉ですが、肩関節の動きには非常に貢献している部位になります。
上腕三頭筋や大胸筋を鍛える時に回旋筋腱板が鍛えられているかいないかでトレーニングの質は変化します。この機会にしっかりと鍛えて効率的な筋トレを行えるボディに仕上げていきましょう。
【参考記事】上腕三頭筋の効果的な鍛え方とは▽
【参考記事】上腕二頭筋を鍛えられるトレーニングとは▽
【参考記事】握力アップにつながる筋トレ方法を解説▽
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