"痛み入ります"の意味/使い方。例文&類義語も解説|ビジネス敬語ガイド
「痛み入ります」とはどういう意味なのか?
そもそも、「痛み入る」という言葉には2つの意味があります。
1つは「相手からの親切や好意に対して恐縮する」という意味。もう一つは「相手の図々しい様子にあきれる」といった意味です。
ただし、二つ目の意味で使用されるケースは現代においてほとんどありません。
「痛み入ります」とは、相手に感謝の気持ちを伝える敬語ですが、相手からの親切や好意に感謝しつつも、その親切が自分にはもったいないもので、申し訳ないという気持ちを表しています。
丁寧な言い回しなのでビジネスシーンで使用されることが多い言い回しとなっています。
「痛み入ります」の正しい使い方
「痛み入ります」は、一般的に、相手から何かしらの手助けを受けたり、便宜を図ってもらったりした際、お礼の気持ちを表現する際に使われる敬語です。
ただし、使い方によっては皮肉や嫌味にとらわれてしまうこともあることから、使い方には少し注意が必要です。
例えば「ご忠告痛み入ります」という表現は、時と場合によって、相手から「忠告されなくてもわかっている」と皮肉としてとらえられてしまう場合があります。
そのため、「痛み入ります」は相手に対して明らかに感謝しているという場面で使うと良いでしょう。
「痛み入ります」は、目上の人に使える表現なのか。
「痛み入ります」は、上司や取引先など、目上の人に対して使用できる敬語表現になります。心から感謝しているという気持ちを伝える際に「痛み入ります」の言葉を使うと良いでしょう。
また、ビジネスメールとして相手にお礼を述べる際に使用するのもおすすめ。
直接言葉を交わす際には少し硬すぎる表現に取られがちですが、メールの場合、少し硬すぎる文面でも、相手に低姿勢な様子を伝えるためにはふさわしい使い方だと言えます。
「痛み入ります」と「恐れ入ります」との違いとは?
「痛み入ります」の類語として「恐れ入ります」という言葉があります。「恐れ入ります」は、「痛み入ります」と同じように、相手の好意に対して感謝の気持ちを伝える際に使われる言葉です。
痛み入りますは、「心が痛むほど感謝しており、自分にはもったいないと感じて申し訳なく思う」。恐れ入りますは、「感謝の気持ちよりも、申し訳ないという気持ちが強く恐縮してしまう」といったニュアンスになり、クッション言葉としても使用されます。
この2つの言葉の違いを挙げるとすれば、感謝を表す度合いで、「痛み入ります」の方が強い表現となります。些細な違いではありますが、ニュアンスの違いがポイントになります。
「恐れ入りますが、」はクッション言葉として使われる
「恐れ入りますが」には、感謝の気持ちを表すだけでなく、自分のいたらない部分や相手に対する迷惑に申し訳なく思い、恐縮しているという気持ちを表現する際にも使われます。
何かしら相手に迷惑になることがあり、それを含めて相手に何かを依頼する場合、クッション言葉として使用できる言葉です。
例えば「恐れ入りますが、ご理解賜りますようお願い申し上げます」というように、何かしらの相手に迷惑なることがあった上で、相手に理解を求める場合などに使用されます。
【「クッション言葉」の参考記事】
・"都合が悪くなければ"を表す「差し支えなければ」の使い方って?
「痛み入ります」の例文。定番のフレーズって?
「痛み入ります」の使い方を知っても、どんな風に使われるか分からなければなかなか使えないはず。ここでは、「痛み入ります」の定番フレーズである、
- お心遣い痛み入ります
- ご厚情痛み入ります
- ご高配痛み入ります
- ご配慮痛み入ります
- ご心配痛み入ります
の6つを解説。各例文について、使われるタイミングや使える相手についてしっかりとチェックしておきましょう。
例文①「お心遣い痛み入ります」の使い方
「お心遣い」とは、相手が自分に対して気遣いをしてくださること、を丁寧に表現した言葉です。
「心をつかう」=真心や思いやりというニュアンスがあることから、「お心遣い痛み入ります」は、相手が自分に対して真心や思いやりを示してくれたことに対し、心が痛くなるほど感謝している時に使用すると良いでしょう。
丁寧な表現なので、目上の方や上司に対してふさわしい言葉です。
「お心遣い痛み入ります」の例文
- この度は突然の申し出に対し快くお引き受けいただき、誠にありがとうございます。皆様のお心遣い痛み入ります。
- この度はたいそうなお品をいただき、お心遣い痛み入ります。
- ◯◯様のお心遣いの数々、誠に痛み入ります。
【「例文」で使われている敬語】
・「お心遣い」の意味とは?目上に使える例文から類語まで解説します
例文②「ご厚情痛み入ります」の使い方
「厚情」には、厚い情けや心からの深い思いやりの気持ちという意味があります。
「ご厚情」には、目上の相手が深い思いやりや情けの気持ちを持っていること。つまり、相手に大事にしてもらったり、親切してもらったりしたことを表します。
「ご厚情痛み入ります」は、相手の思いやりや情けに感謝しつつ、自分にはもったいないと感じ恐縮したり、心を痛めたりすることを表します。
「ご厚情痛み入ります」の例文
- ◯◯様におかれましては、寛大なご理解をいただきました上に温かいお言葉まで頂戴し、誠にご厚情痛み入ります。
- このたびの貴社からのご厚情痛み入ります。ありがたく拝受いたします。
- ◯◯様のご厚情にあずかり痛み入ります。
【「例文」で使われている敬語】
・「ご厚情」の意味&使い方。感謝を伝えられる例文をマスターしよう!
・「拝受」は目上には使える?正しい使い方から言い換えできる類語まで徹底解説
例文③「ご高配痛み入ります」の使い方
「ご高配」とは、「心配り」を表す敬語表現です。
自分に対する相手の心配りについて感謝やお願いをする際に使うことができます。「ご高配痛み入ります」は、相手の心配りや親切に感謝し、恐縮するといった気持ちを表します。
主に文書内で使われることが多く、年賀状や取引先への手紙やビジネスメールなどで使われます。
口頭で話す場面でも使ってOKですが、現代では少し硬すぎるイメージを持たれてしまうでしょう。相手が若い世代であれば、使わないほうが無難かもしれません。
「ご高配痛み入ります」の例文
- 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。また、平素は格別のご高配痛み入ります。
- このたびは私の就任に際し、ご高配を賜り痛み入ります。
- 謹んでご報告申し上げるとともに、皆さまのご支援ご高配痛み入ります。
【「例文」で使われている敬語】
・「ご高配」の正しい使い方|上司に使える例文から類語を解説します
・「ご清栄」の正しい使い方|ビジネスメールで使え例文から類語まで解説!
・「平素」の意味とは?目上の人に使える丁寧な例文までご紹介!
例文④「ご配慮痛み入ります」の使い方
「配慮」とは、誰かが誰かのために気配りや心遣いを行うことです。
「ご」をつけることで敬語表現になるため、目上の人や、職場の上司など、自分よりも上の立場の方からの気配りや心遣いに対して感謝を表す際に使います。
「ご配慮痛み入ります」は、相手からの気配りや心遣いに感謝するとともに恐縮しているといった気持ちを表す言葉になります。
「ご配慮痛み入ります」の例文
- 会員の皆様におかれましては、ご配慮痛み入ります。お陰様で軌道に乗ることができました。感謝を申し上げます。
- 私たちの不手際により、ご迷惑ご心配をおかけしてしまい誠に申し訳ございませんでした。また、寛大なご配慮痛み入ります。
- 先日は多大なるご配慮とご協力を賜り痛み入ります。
【「例文」で使われている敬語】
・「ご配慮」を使った丁寧なメール例文集。正しい敬語の使い方を解説!
・「申し訳ございませんでした」の正しい使い方|言い換えできる類語まで解説します
例文⑤「ご心配痛み入ります」の使い方
「ご心配」とは、その言葉の通り心配を意味します。
「ご心配痛み入ります」に言い換えることで、「心配していただき、感謝するとともに恐縮します」といった意味を表す際に使います。
相手が心配してくれたことに対する感謝の言葉になるため、心配してくれたときや、心配ごとが解決してから使うと良いでしょう。また、「ご配慮」とニュアンスが似ているため、「ご心配」の代わりに「ご配慮」に言い換えることもできます。
「ご心配痛み入ります」の例文
- このたびの人院のおりは、お忙し中お見舞いにお越しくださった上、なにかとご心配痛み入ります。
- このたびは、娘の結婚についていろいろとご心配痛み入ります。
- 先日はプレゼントをありがとうございました。いつもご心配いただき、痛み入ります。
「痛み入ります」と言い換えできる類義語一覧
「痛み入ります」などの堅苦しい敬語は何度も使ってしまうのは、どこかくどい印象になりがち。そんな時は、言い換え表現を使って敬語文に幅を持たせましょう。
ここからは、「痛み入ります」と言い換えできる類語
- 恐縮です
- お心遣い感謝いたします
- ご〜いただき、ありがとうございます
- ありがたく存じます
4つについて解説。各類語の使い方から痛み入りますとの違いまでチェックしていきましょう。
痛み入りますの類義語①「恐縮です」の使い方
「恐縮です」は、相手から何かしらの厚意を受けた際に、感謝や迷惑をかけて申し訳ないという気持ちを表す際に使われる言葉です。
本来は「おそれて身がすくむこと」という意味があることから、相手に対して頭が上がらないという気持ちを示すことができます。
また、「恐れ入ります」と同様にクッション言葉として使用されることがあるため、ビジネスシーンでも役立つ言葉の一つです。
「痛み入ります」の類語表現ですが、「痛み入ります」は主に感謝の意に対して使う言葉である一方、「恐縮です」は感謝だけでなく謝罪の意も込められているといった違いがあります。
「恐縮です」の例文
- お忙しいところ、わざわざお時間を割いていただきまして恐縮です。心より感謝いたします。
- ご面倒をお掛けして誠に恐縮ではございますが、何卒ご理解- ご協力のほどお願い申し上げます。
痛み入りますの類義語②「お心遣い感謝いたします」の使い方
「感謝いたします」は、目上の人や敬意を払うべき相手に対し、お礼や感謝の気持ちを伝える際に使う言い回しです。
「お心遣い」は相手が気遣いをしてくださることを表現する言葉のため、「お心遣いに感謝いたします」は、相手の気遣いに感謝していることを表します。
一方、痛み入りますは、感謝とともに恐縮しているといったニュアンスも含まれるため、より丁寧な言い回しをしたい時には「お心遣い痛み入ります」に言い換えることができます。
「お心遣い感謝いたします」の例文
- この度はたいそうなお品をいただき、ありがとうございました。皆様のお心遣いに心より感謝いたします。
- 私どものために温かいお心遣いいただきありがとうございます。
痛み入りますの類義語③「ご〜いただき、ありがとうございます」の使い方
「ご~いただき」は「○○してもらう」の謙譲語にあたる敬語表現です。また、「ありがとうございます」はその言葉の通り感謝の意を伝える言葉です。
例えば、「ご親切にしていただき、ありがとうございます」といったように、「親切にしてもらい、ありがとう」といった解釈になります。
より丁寧な言い回しをしたい場合には丁寧語である「痛み入ります」を用いて、「ご親切痛み入ります」と言い換えることができます。
「ご〜いただき、ありがとうございます」の例文
- この度は突然の申し出にもかかわらずご快諾いただき、まことにありがとうございます、
- (入院の際にお見舞いの品を贈られ)お心遣いいただきありがとうございます。
痛み入りますの類義語④「ありがたく存じます」の使い方
「ありがたく存じます」は、相手の好意に対し、感謝を表す敬語表現です。
「ありがたい」は相手の好意がうれしい、感謝したいという意味があります。「存じます」は「思います」の謙譲語で、日常の会話では堅苦しい印象になるためあまり使用されませんが、手紙やメールで使用されることが多くなっています。
シンプルに感謝の気持ちを伝えたいときは「ありがたく、存じます」、さらに謙遜する気持ちを一緒に伝えたい場合は「痛み入ります」に言い換えるとよいでしょう。
「ありがたく存じます」の例文
- 皆様には、平素からいろいろとご厚情をいただき、誠にありがたく存じます
- (手紙やメールで)先日、A様から励ましの言葉をいただいたこと、大変ありがたく存じます。
【「例文」で使われている敬語】
・「ありがたく存じます」の意味とは?目上の人に使える例文まで解説
「痛み入ります」の英語表現
- I really appreciate the concerm(お気遣いに本当に感謝いたします)
- Your kindness really touches me(あなたのご親切痛み入ります)
- I am very sorry to have given you so much trouble(大変お手数をかけて痛み入ります)
- I am grateful to you for your kindness(ご親切を感謝しています)
- Thank you again for your good thoughts(お心遣い重ねて感謝します)
- Your kindness overwhelms me(ご親切に恐縮しております)
例文の中で覚えておくと便利な表現として「I really appreciate the concern(お気遣いに本当に感謝いたします)」が挙げられます。
「痛み入ります」の類語として、「concern」は配慮や心配、思いやりといった意味がある言葉です。
相手の気遣いに対してお礼の述べる時に使える英語として覚えておいて損はありません。
「痛み入ります」を使えば、感謝の気持ちがスムーズに伝えられる。
クッション言葉としても使用される「恐れ入ります」と同じようにかしこまった表現であるため、正しい使い方を覚えておくことでビジネスシーンで役立つ表現の一つです。
使い方によっては皮肉に受け取られてしまう可能性があるため、状況に応じて使い分けできるように勉強しておくと良いでしょう。
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