"お目にかかる"の意味/使い方。言い換え類語&例文集|ビジネス敬語ガイド
「お目にかかる」の意味とは?
「お目にかかる」とは、一般的に「目上の人に会う」ことを意味する謙譲語の敬語表現です。もともと「お目にかかる」は、「話し手の存在が」話題にしている人の目にとまること、意識的に見られることを意味します。
現在は話し手を主語とする使い方が多く、主語を文中で使うことはほぼありません。「お目にかかる(御目に掛かる)」は古来から使用されており、「かかる」は「御目に」と一緒に使われることで「目にとまる」「会う」意味となります。
現代では「目覚ましい功績を上げて注目される」意味の「目にとまる」としての使い方はまれです。
「お目にかかる」の漢字表記について
「かかる」は漢字で「掛かる」「懸かる」と表記されることがありますが、「お目にかかる」の場合は「御目に掛かる」です。
「かかる」は「御目に」と一緒に使われることで「目にとまる」「会う」意味となる唯一の用法です。「お目にかかる」のフレーズは慣用句に近く、このまま丸暗記するとよいでしょう。
また、手紙等で「御目に掛かる」と感じ表記にするとかなり硬く古くさい感じを受けます。
「お目にかかる」の正しい使い方とは?
「お目にかかる」は謙譲語のため、目上の人に対して使うのが通例です。
現代では漢字よりかな表記が好まれる通り、口語で使われることも多く、ビジネスメールや手紙でも使うことができます。取引先など目上の人に会いたいと要望・要請するときや、直接会えたときにお礼の言葉とともに使うことが多いです。
相手に会う前や会っているときに比べて、会った後で「お目にかかる」の語を使う機会は下がりますが、相手と会ったことを誰かに報告したり、会った思い出を回顧したり伝えるときに使えるでしょう。
「お目にかかる」は少しの時間でも「意識的に見られる」ことを意味するので、「ちょっと視界に入った」といった軽い意味では使いません。
「お目にかかる」は、相手の行動には使わない
「お目にかかる」は「会う」の謙譲語なので、目上の相手の行動を示す言葉として使いません。
「お目にかかる」は「~にお目にかかる」という使い方をよくしますが、取引先など敬意を表すべき相手に対して「(自分や自社の関係者、もしくは第三者)にお目にかかる」とすると、話し手(自分)側や他人を高めて相手を低める使い方となり不適切です。
目上の相手が自分を含め誰かに「会う」ことを伝えたい場合は、敬語の「お会いになる」「会われる」を使いましょう。
「お目にかかる」を使った丁寧な例文
- ○○様にお目にかかりたいのですが、お取次ぎをお願いいたします。
- このたび○○様にお目にかかることができて、大変光栄に存じます。
- 近々○○様にお目にかかりたいのですが、ご都合はいかがでしょうか。
- 来週お目にかかることを楽しみにしています。
- また機会がありましたら、○○様にお目にかかることを楽しみにしております。
- 初めてお目にかかるのを心待ちにしております。
「お目にかかる」を使うのは、取引先などの相手に「会いたい」と希望を述べたり要望する際や、相手に直接会ったときの挨拶としてお礼を述べるとき、誰かに目上の人に会ったことを報告する際などです。
「お目にかかる」はかなり改まった使い方で、ビジネスでもかしこまった場面で使われます。「お目にかかる」の謙譲語でなく、「会う」の敬語表現のほうが時や場面を問わず使いやすいです。
「お目にかかる」以外の「会う」の敬語表現とは
会うの敬語① お会いする
「お会いする」は「お目にかかる」の類語で、かしこまった表現の「お目にかかる」と違い、どんな場面でも使える一般的な謙譲語です。
「お会いする」は「お目にかかる」と同様、話し手の行動を示します。自分が目上の人に「会う」ことを「お会いする」という使い方をします。「お会いになる」と混同する人がいますが、「~になる」は尊敬語のため目上の人の行動を示す語です。
「~する」は一般的な表現で、「~になる」は敬語表現と覚えるようにしましょう。
会うの敬語② 会われる
「会われる」は、「会う」に尊敬の助詞「れる」がついた敬語で、目上の人が誰かと会ったことを表現するために使います。
ただし、助詞の「れる」だけでは敬語表現としては弱いと感じる人が多いためか、誰にでも敬語とはっきりわかりやすい「お~になる」という表現を使った「お会いになる」を好む人が多いようです。
使い方としては「部長は当プロジェクトの担当者と会われましたか」などと使います。ビジネスで使うなら、まずは「お会いになる」を覚えておくとよいでしょう。
会うの敬語③ お会いになる
「お会いになる」は「会う」の敬語表現で、目上の人が誰かに会うことを指します。謙譲語の「お目にかかる」や「お会いする」のいわば対極となる語といってよいでしょう。
ビジネスでは「会う」の謙譲語は「お会いする」、尊敬語は「お会いになる」と覚えておけば、たいていの現場で実務上は問題ないはずです。
「お会いする」と誤用する人もいるようですが、「会う」は敬語でなく一般語なので「お会いする」では敬語表現とはなりません。
「お目にかかる」と言い換えできる類語一覧
お目にかかるの類語① 顔を合わせる
「会う」という意味合いでは「お目にかかる」の類語といえますが、「顔を合わせる」は敬語ではなく一般表現のため、謙譲語の「お目にかかる」より、一般的な語の「会う」と言い換えができる語です。
「お目にかかる」のようなビジネス上重要度の高い人物と会う意味合いはなく、地位の上下を問わず、「人と人が向かい合って会う」ことを指します。
「顔を合わせる」は、カジュアルな場面からビジネス相手と会うことまで広く使えますが、目上の人に使うのはふさわしくないでしょう。
「顔を合わせる」の使い方
- 先週あった同窓会で、卒業以来久しぶりに大学時代の友人と顔を合わせました。
- それでは恥ずかしくて一緒に頑張ってきた同僚と顔を合わせることができません。
- 同僚の○○君とは会社で席が隣同士なので、毎日顔を合わせています。
お目にかかるの類語② お会いできる
「お会いできる」は、「会う」の謙譲語の「お会いする」に、可能を表す「できる」をつけた言葉です。謙譲語を主とする語のため、自分が「会う」行為のことを指します。
謙譲語の「お会いする」に「できる」をつけることで当たりを柔らかくし、目上の相手に自分が会えるかどうか都合を尋ねることも可能です。「お会いできる」は「お会いする」より丁寧な言い回しになりますが、「お目にかかる」よりは語義が狭まっているため完全な言い換えはできません。
「お目にかかる」は改まった語として場面が限定されますが、「お会いできる」は場面を問わず使えます。
「お会いできる」の使い方
- ご意向を直接お伺いできればと存じます。いつ頃お会いできそうでしょうか。
- スタッフ一同、お客様にお会いできることを楽しみにしております。
- 本日○○様とお会いできまして、大変うれしく思っております。
お目にかかるの類語③ 拝謁する
「拝謁する」は「身分の高い人にお目にかかる/面会する/会う」ことをいう謙譲語です。
「拝謁する」は「お目にかかる」よりさらに改まった語で、類語として言い換えも可能ですが、かなりの重要人物か地位の高い人物と会うときにしか使えません。その分、「会う」という意味では相手に対して最上級の敬意を表せる語といえます。
国家元首やVIPと接する仕事をしているのでなければ、ビジネスの場で普段使うことはないでしょう。なお、手紙や文書等で使うことももちろん可能です。
「拝謁する」の使い方
- 先日、○○社長はフランスの将軍に拝謁したそうです。
- 天皇- 皇后両陛下に宮中で拝謁する機会を持てる人は非常に限られます。
- サウジアラビアの王子に拝謁し、インタビューした記事を英字新聞で読みました。
お目にかかるの類語④ お目通りする
「目通り」とは「身分の高い人の前に出ること」「拝謁」を意味し、「お~する」をつけて「お目通りする」にして謙譲語として使います。「お目にかかる」と同様に、重要人物や地位が非常に高い人と会う時に使えますが、古めかしい言葉でビジネスではあまり使いません。
まれに手紙や文書で使われることがある程度です。高い敬意を持って接すべき相手との会う約束ができたとき、「お目通りがかなう」といったり「お目通りを許される」といったりします。
「お目通りする」の使い方
- なにとぞ○○様にお目通りしたくお願い申し上げます。
- 京極高次は秀吉のもとに出仕して、主君に目通りすることと相成りました。
- 翌朝、オズは玉座の間に案内されて、女王様にお目通りするように促されました。
お目にかかるの類語⑤ 拝顔する
「拝顔する」とは「会う」の意味の謙譲語で、類語の「お目にかかる」と言い換えも可能な語になります。漢語のため口語より手紙や文書などで使われることが多く、ビジネスではあまり使われない古めかしい言葉でもあります。
そのため、ビジネスで取引先など目上の人に会う場合は、「お会いする」など別の言葉にするのが一般的です。「拝顔する」は文字通り「顔を見る」という意味でもあり、身分の高い人だけではなく、身近な友人に会うときにも使われることがあります。
「拝顔する」の使い方
- 都合があるとのことで、陛下を拝顔することはかないませんでした。
- 以前から○○様のお名前やお噂を耳にしていましたが、拝顔するのは初めてになります。
- 差し支えなければ、拝顔の栄に浴させてはもらえないでしょうか。
お目にかかるの類語⑥ 伺う
「伺う」は「相手のいる場所に行く/訪問する」という意味の謙譲語です。ただ「会う」という意味ではなく、「相手のいるところに参じる」意味を含んでいます。
「伺う」は「目上の相手に会いに行く」ことですが、「お目にかかる」のように地位の高い重要人物に限らず、上司や取引先、顧客など幅広い相手に使えるのが特徴です。
「伺います」や「お伺いします」というかたちで使用されることが多いので、これらのかたちで丸暗記するとよいでしょう。
「伺う」の使い方
- それでは明日11時に、弊社の課長と私とで御社にお伺いします。
- お問い合わせの件、もしよろしければお伺いして説明させていただきます。
- ご迷惑をおかけし申し訳ありません。機器の故障については、担当者を伴って今すぐ伺います。
【参考記事】「伺う」の意味から使い方を例文付きで解説▽
「お目にかかる」と「お目にかける」との違い
「お目にかける」とは「見せる」の謙譲語で、「ご覧に入れる」の同義語です。目上の人に何かを見せる場合に使います。
「お目にかかる」との共通点は、「目に」という部分と、敬意を示す助詞の「お」があるところです。「お目にかける」には「会う」という意味は全くありません。
「○○様にぜひこの品をお目にかけたいと存じます」などと、目上の相手に見せたい物品等に言及して「お目にかけたい」と願望や要望のかたちで使うのが普通です。
「お目にかかる」と「お目にかかれる」との違い
「お目にかかる」は可能を表す助動詞の「れる」をつけて、「お目にかかれる」というかたちで使われることが多くあります。
そもそも「お目にかかる」は地位の高い重要人物に対して使う語です。そのような人には会うこと自体が難しい場合が多く、「お目にかかれる」という表現でめったに会えない人に会えたことを伝えます。
「お目にかかれる」はそんな人物に会ったときに、挨拶として嬉しいという気持ちやお礼を伝えるときに使うことが可能です。
「お目にかかる」の英語表現
- to have the pleasure of seeing ~(~にお目にかかる)
- I look forward to meeting you again soon.(近々またお目にかかるのを楽しみにしています。)
- I shall be very pleased to see you tomorrow.(明日お目にかかれるのを楽しみにしています。)
- I'm looking forward to seeing you then.(その際にお目にかかるのを楽しみにしております。)
- My wife will be glad to see you too.(家内もお目にかかることを楽しみにしております。)
- You will find sumo wrestlers swaggering around in Ryogoku.(両国では相撲取りがのし歩く姿にお目にかかるでしょう。)
「お目にかかる」は「会う」という意味ですが、日本語と英語ではだいぶ意味合いが異なります。
日本語は相手に「興味を持って見てもらう」意味があるのに対し、英語の「see」は直訳では「見る」でも「目(視界)に入る」意味にすぎません。
単に相手を「見かける」のも「see」なので、意識的にこちらから「会う」という文脈をつける必要があります。
「お目にかかる」を上手に使って丁寧なビジネス敬語に。
「お目にかかる」は、「会う」の謙譲語で、地位が高い重要人物に限り使います。
ただし、ビジネスの現場ではほとんど使う機会がないため、幅広い相手に使える「お会いする」の語を覚えておくほうが実用的です。
「めったに会う機会のない人物と会えた」という意味の「お目にかかれる」という表現もよく使われるので覚えておくとよいでしょう。
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