"了解"の使い方。上司/先輩に使える正しい表現とは?|ビジネス敬語ガイド
そもそも、「了解」の意味とは?
ビジネスシーンにおいて、「了解」という言葉をよく耳にすることもあるでしょう。「了解」とは、相手の言うことを受け入れたりもしくは許したりする意味を持った言葉になります。
この言葉で使用されている「了」と「解」には、どちらも「よくわかる」さらには「悟る」を意味する漢字が使用されています。物事に対する内容もしくは事情をはっきり理解するだけでなく、言葉の意味がわかるときにも用いられますよ。
基本的には、何か言われて受け入れたときに「了解しました」と言うことが多いです。ちなみに似たような「わかる」を意味する言葉として、「了承」「承諾」などの言葉が挙げられます。
「了解」は、「わかりました」の敬語なのか?
普段から「了解」という言葉を使用している人の中には、「わかりました」の敬語だと考えている人もいるかもしれません。
確かに「了解」という言葉には、相手の言ったことを受け入れたり理解するときによく使われる言葉ですが、「わかりました」に対する敬語にはあたりません。
若いビジネスパーソンもしくは大学生の場合、上司など目上の人などから何か言われて受け入れたとき、思わず「了解しました」などと言うこともあるでしょう。
しかし、目上の人に使う敬語として「了解しました」と言うのは誤り。普段から使っている人は少し注意しておきましょう。
【参考記事】「わかりました」と伝えられる敬語表現をまとめました▽
「了解しました」の正しい使い方って?
「了解しました」という敬語を上司などの目上の人に向けて使っていいのか、使い方に迷ってしまう場面もあるかもしれません。
基本的には、「了解しました」は同僚もしくは目下の人に向けて使う言葉です。「了解しました」には、敬語表現が含まれていないため、目上の人に使うのは不適切になります。
「了解しました」を使う際は、気をつけるよう意識しましょう。
「了解しました」を使った例文
- A:これをやっていただいてもよろしいでしょうか。お忙しい中、申し訳ございません。
- B:了解しました。でき次第、また報告します。
- A:(上司に対して)明日の会議は13時から始まります。お手数おかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
- B:了解しました。では会議の準備は12時30分から始めましょう。連絡ありがとう。
- A:(先輩に対して)すみません、今月中にこの資料を作成していただいてもよろしいでしょうか。お手数おかけして、大変申し訳ございません。
- B:了解しました。でき次第、また報告します。
例文の通り、基本的には上司などの目上の人ではなく、部下や同期などから何か頼まれたときや連絡をもらったときに使うのがベスト。
例文のように「しました」とつけることで、柔らかい表現にはできますが、目上の人に使うのはイマイチな言葉になります。
もちろん、上司だけでなく、取引先相手などビジネスパートナーへの使用もなるべく控えましょう。
基本的には、例文のように何か頼まれごとをされたときや報告してもらったときなどに使用できます。
【参考記事】「了解しました」の使い方をより詳しく解説します▽
「了解です」の正しい使い方って?
「了解しました」と同じく、「了解です」についても上司や先輩など目上の人に使うことはおすすめしません。
上司などから、「明日までにこの資料を作ってもらってもいいですか?」などと頼まれたときでも、「了解です」と言うのは失礼にあたります。
「了解」という言葉は少しくだけた表現なので、使い方によってはぶっきらぼうかつ敬意がないと捉えられる可能性も。
上司やビジネス相手などには、なるべく「了解」という言葉を使用しないようにしましょう。この言葉も、基本的には部下や後輩に対して使うことが多いです。
「了解です」を使った例文
- A:明日は、朝8時に〇〇集合です。少し遠い場所になるので、くれぐれもお気をつけてお越しください。
- B:了解です。ご連絡ありがとうございます。もし遅れそうなときは、連絡します。
- A:(先輩に対して)すみません、今月中にこの資料を作成していただいてもよろしいでしょうか。お手数おかけして、大変申し訳ございません。
- B:了解です。完成次第、また連絡するね。
- A:お忙しいところ申し訳ありませんが、〇〇の件、もう一度確認していただいてもよろしいでしょうか?
- B:了解です。確認次第、また連絡いたします。
例文のように、基本的には「了解しました」と同じような使い方をすることが多いです。
後輩から資料作成などを頼まれたとき、もしくは何かしらの連絡を受けたときには、例文のように「了解です」と言うことで理解したことを示せます。
ですが、上司やビジネス相手などの目上の人に対しては、何か頼まれごとをされたとき、「了解です」といった敬語を不快に感じる人も。上記の「了解しました」とあわせて、これらの敬語は基本的に立場が下の人に対して使うことをおすすめします。
「了解いたしました」の正しい使い方って?
「了解しました」「了解です」でもなく、「了解いたしました」と目上の人に日々使用している人もいるのではないでしょうか。
この「了解いたしました」に関しても、目上の人やビジネス相手には使わない方が無難な敬語です。
確かに「了解いたしました」は、文法上の観点で言えば目上の人に使用しても問題ありません。
「了解しました」「了解です」よりさらに丁寧さが感じられることでしょう。ですが現代においては、「了解いたしました」も失礼な敬語だと考える人もいるので、使い方には注意しておく必要があります。
「了解いたしました」を使った例文
- A:明日は13時に〇〇集合でお願いいたします。お手数おかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
- B:了解いたしました。では、そのスケジュールで予定を組んでおきます。
- A:すみませんが、今月中に資料作成をお願いしてもよろしいでしょうか。お手数おかけします。
- B:了解いたしました。では完成次第、また報告しますね。
- A:来週の会議は、金曜日の15時から〇〇で行われます。場所は大阪支社の〇〇会議室になるので、くれぐれもお気をつけてお越しください。
- B:了解いたしました。ご報告ありがとうございます。
例文を見てわかる通り、使われるシチュエーションについては「了解しました」「了解です」と同じようなタイミングで使用します。
後輩もしくは部下から何か頼まれたときや報告を受けたときに、ぜひ例文のように使用してみてくださいね。
一見上司など目上の人相手にも使えそうですが、基本的には使わないことをおすすめします。上司だけでなくクライアント先に対しても、受け取る人によっては失礼にあたる場合もあるので、使用しない方が無難です。
基本的に目上の人もしくはビジネスパートナーとの間では、「了解」という言葉は控えておきましょう。
【「例文」で使われている敬語】
・「お手数おかけします」の意味とは?正しい使い方から言い換えできる類語まで解説
「了解しました」と「承知しました」の違いとは?
「了解しました」と同じように使われている言い換え言葉として挙げられるのが「承知しました」。「承知」という言葉には、「事情などを知ること、そして承諾すること」という意味があり、「了解」と同じような使い方が可能です。
ビジネスにおいては、「了解しました」よりも「承知しました」といった使い方が好まれるケースが多く、メールでもよく使用されています。
ビジネスマナーに関する本でも、「承知しました」を言い換える方が推奨されているほど。上司などの目上の人や取引先相手にも使える、非常に便利な敬語です。
「承知しました」を使った例文
- A:明日は〇〇に集合して一緒に伺いたいと考えているのですが、いかがでしょうか。
- B:承知しました。では、14時に〇〇に来ていただければと思います。明日は、どうぞよろしくお願いいたします。
- A:大変申し訳ありませんが、納期を変更していただくことが可能でしょうか。
- B:承知しました。では、来週の水曜日までに納品していただければと思います。
- A:打ち合わせの件ですが、〇〇時に変更いただくことは可能でしょうか。
- B:承知しました。では、〇〇時にお伺いさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【「例文」で使われている敬語】
・「承知しました」の正しい使い方|例文から言い換えできる類語まで解説
「了解しました」と「かしこまりました」の違いとは?
「承知しました」だけでなく、「かしこまりました」をよく使用している人も多いかもしれません。
「かしこまりました」は、ビジネス相手や上司など、目上の人相手にも使用できる言い換え可能な敬語です。
「かしこまる」という言葉には、「目上の人の言葉を承る」「依頼を承諾する」といった意味を持っており、自分を下げる謙譲語に分類されます。
相手の話を理解したとき、「かしこまりました」は「承知しました」よりさらに丁寧な敬語として言い換えられますよ。話し言葉としてはもちろん、メールなどでも使用可能です。
「かしこまりました」を使った例文
- A:(部下へ)〇〇会社へ連絡してもらってもいいですか?今日出張で、おそらく連絡できないと思います。
- B:かしこまりました。本日中には連絡するようにいたします。
- A:〇〇の件、御社にお願いしたいと考えております。お手数おかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。
- B:かしこまりました。ご依頼いただきまして、ありがとうございます。
- A:(先輩)明日は15時から打ち合わせだから、それまでに〇〇に行ってもらってもいいかな?
- B:かしこまりました。15時までには会社に戻ってきます。明日はよろしくお願いいたします。
【「例文」で使われている敬語】
・「かしこまりました」の正しい使い方|言い換えできる類語まで解説します
・「ご依頼」を使った例文一覧。敬語の使い方から類語まで解説!
「了解」と伝わる言い換え類語一覧
了解の類語① 了承
「了解」の類語としてまず挙げられるのが、「了承」。了承という類語には、「相手の申し出などを理解するもしくは納得して承知する」という意味があります。
ビジネスシーンにおいても、何か承諾したときに用いられることが多い類語。共通部分としては、どちらも上司など目上の人に使えないということ。
「了承しました」などという敬語は、「それで大丈夫です」という意味になり、目下もしくは同期の間などに使うのが適切です。
目上の人に使用する場合は、「承知しました」「かしこまりました」といった敬語がおすすめ。例文も参考にして、ぜひ使用してみてくださいね。
「了承」の使い方
- 〇〇の企画について、了承しました。企画書をまとめて、今月中に提出してください。
- 起案書の内容について、了承させていただきます。
- 打ち合わせ時間の変更の件、了承しました。当日は、よろしくお願いします。
【「例文」で使われている敬語】
・「了承」の意味とは?正しい使い方から言い換えできる類語まで解説
・「了承しました」の正しい使い方|目上に使える例文まで解説します
了解の類語② 理解
「了承」以外の類語として挙げられるのが「理解」。「理解」には、「物事の道理もしくは理屈などが正確にわかるということ」そして「事情を受け入れること」といった意味を持っています。
「ご理解ください」という言葉は、ビジネスマンとして普段働いているとよく耳にするかもしれません。基本的には「わかってください」もしくは「察してください」といった意味を持つ類語。あまり丁寧さを感じない人も多いので、取引先相手などには使用しないことをおすすめします。
ビジネスシーンで使用したい場合は、「ご理解くださいますようお願いいたします」などがおすすめ。イメージしづらい人は、下記の例文を参考にしてみましょう。
「理解」の使い方
- ご理解いただきますよう、何卒よろしくお願いいたします。
- お手数おかけして大変申し訳ありませんが、ご理解いただければ幸いです。
- ご理解いただき、誠にありがとうございます。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
了解の類語③ 承諾
「承諾」も、類語として挙げられます。承諾には「相手の意見や要求を承知して受け入れること」という意味を持っており、ただ認めるだけでなく、承知した人がそのことについて責任を持つことも含まれています。
ビジネスにおいてもよく使われる類語で、「ご承諾いただきますよう」もしくは「ご承諾賜りますよう」などと使われます。
ビジネスにおいて使用したいときは、「いただく」「賜る」などセットで覚えておくと使いやすいですよ。例文は非常によく使われるので、これから社会人になる大学生も必見です。
「承諾」の使い方
- 先日はありがとうございました。ご承諾いただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
- ご承諾賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
- 仕様書の変更のほど、どうかご承諾いただきますようお願い申し上げます。
【「例文」で使われている敬語】
・「賜る」の意味から使い方まで分かりやすく解説します
了解の類語④ 承認
ビジネスにおいては、「承認」という類語をよく耳にすることも多いでしょう。「承認」には、「ある事柄が正当もしくは事実だと認めること」を意味しています。上記でご紹介した「承諾」と比較して、より客観性が求められるので使い方には注意しておきましょう。
ビジネスにおいては、「ご承認いただければ幸いです」などのように、「幸いです」と組み合わせると、メールや文書でも角の立たない印象に。相手に何か認めてほしいことがあるときに、ぜひこの類語を使用してみてくださいね。
「承認」の使い方
- 先日はありがとうございました。契約書の件、どうかご承認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
- 先日の打ち合わせの件、ご承認いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
- ご承認いただきたく存じます。
【「例文」で使われている敬語】
・「存じます」の正しい使い方とは?上司・先輩に使える例文も徹底解説
了解の類語⑤ 承る
「承る」についても、了解の類語として挙げられます。承るには「謹んで受け入れる」「拝聴する」といった意味を持っています。
相手の動作に少しへりくだる表現にすることで、相手を立てるようなニュアンスも持っているため、上司や先輩など目上の人からの言葉に対しての返事として使われます。
読み方は「うけたまわる」。謝って間違った読み方をしないよう、注意しておきましょう。
「承る」の使い方
- 大変申し訳ありませんが、規定に反するため今回は承ることはできません。
- あいにく〇〇はただいま出張中でございます。よろしければ、ご用件をお伺いいたします。
- 見積書の件、確かに承りました。ありがとうございます。
【「例文」で使われている敬語】
・「承る」を使った丁寧な例文とは?上司など目上への使い方を解説
「了解」を使った言葉一覧
「了解を得る」とは?
「了解」を使った言葉として、「了解を得る」と耳にしたこともあるのではないでしょうか。
「了解を得る」という言葉には、「意図や趣向を理解することで、相手に同意を示してもらうこと」といった意味を持っています。企業においては、「了解を得る」のかわりに「決済を得る」といった使い方をする会社も存在しています。基本的には、上司など目上の人から目下の人に使用することが多いです。
類語でもある「了承を得る」についても、目下の人になるべく使うことをおすすめします。
【参考記事】「了承を得る」の意味とは?使い方を分かりやすく解説▽
「了承を得る」の例文
- 先日の見積書の件、先方から了解を得たので発注いたします。
- 〇〇部長からは了解を得ていますが、一度確認いただくことは可能でしょうか。
【参考記事】「先方」の使い方を分かりやすく簡単に解説▽
「了解済み」とは?
「了解を得る」以外に、「了解済み」という言葉を使用する人も多いはず。「了解済み」には、相手の趣向や説明に対して、しっかりと理解したことを意味しています。メールの内容や上司からの指示について理解したときに、よく耳にするでしょう。
基本的にはカジュアルな言葉なので、上司などの目上の人には使えませんが、かなりフランクな職場内などであれば使用している人も多い表現になります。ですが基本的には、ビジネスマナーとしては使用しない方が無難な言葉です。
「了承済み」の例文
- 先ほどの打ち合わせの件、了解済みです。
- 明日の会議場所が〇〇から〇〇へ変更になった件、すでに了解済みです。
「了解」の英語表現
- I understand it.(了解です。)
- I got it.(了解しました。)
- I agree to that.(了解しました。)
- All right.(了解です。)
- I get the point.(要点は理解しました。)
- Certainly.(了解しました。)
どの例文も非常にシンプルで、「了解」を示すことが可能。基本的には、"I"からはじめて、"get"や”understand"を使用して了解した旨を伝えましょう。
また、"I get the point."のようにちょっと工夫した言い方にすることで、「細かい点までは理解しているとは言い難いが、重要なことはわかった」というようなことも伝えられますよ。
ビジネス相手と英語で話すときやメールなどで、ぜひ参考にしてみてくださいね。例文を参考にして、言い換えてみるのもいいでしょう。
「了解の使い方/了解の伝え方」をこの機会にマスターして。
基本的に「了解」という言葉は、上司など目上の人への使用はおすすめできません。上司に「了解した」ことを伝えたいときは、「承知しました」「かしこまりました」といった敬語を伝えましょう使いましょう。
このように「わかる」ことに関する敬語や類語もさまざまあります。この記事の例文などで使い方を理解することで、正しいかつ丁寧な敬語を使用していきましょう。
【参考記事】「ご了承ください」は、目上には使えない?正しい使い方を解説します▽
【参考記事】「不躾」って意味&使い方。分かりやすく丁寧に説明します▽
【参考記事】「よろしくお願いいたします」の言い換えで使える類語とは▽
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