"先方"の意味/使い方。類語&対義語"当方"との違い|ビジネス敬語ガイド
「先方」の意味とは?読み方まで解説
相手の方への敬意や自分自身の立場をへりくだって伝えることのできる言葉である「敬語」は、ビジネスシーンでも数多く使用します。
相手の方や相手先を指す場合の敬語に、「先方(せんぽう)」という言葉。ビジネスや目上の方と話すときに使いますが、「第三者を指す」言葉で取引先の会社や相手先企業に対して用います。
相手や相手先を示すときに使う言葉であり、お客様やクライアント様などが関係することがあるため、スムーズな使いこなしがポイントになる敬語の1つです。使い方が間違っていたり、慣れていなかったりすると、ギクシャクした雰囲気になりかねません。
先方の正しい使い方とは?
敬語であっても、社外の方を指す場合に使う言葉になる「先方」は、すべての場面や会話で使用できるものではありません。「先方」の場合は、社内やグループ内での会話やメールに使用する、つまり「身内同士でのコミュニケーション」に使うことが望ましい言葉です。
たとえば、社内での打ち合わせや上司への報告、取引先についての話をするときなどの連絡事項において、お客様やクライアント様を「先方」と呼びます。つまり、その場にはいない取引先や相手の方を指す言葉として、社内で用いる敬語のひとつと言えるでしょう。
相手に直接「先方」と使うのはおかしい。
「先方」は敬語として間違いはありませんが、第三者に当てはまる言葉になるため、直接お客様やクライアント様に使用するのはビジネスマナーに反します。そこで、敬語に含まれるとはいえ、お客様やクライアント様が「いない」、もしくは「見ない」ときに使うことが好ましい言葉です。
企業への連絡で直接取引先について表現したい場合は「御社」、担当者や個人の方に用いる場合は「●●様」と使うことがおすすめです。社内での会話や報告とは異なるため、敬語であって直接お客様やクライアント様など、社外の方に使うべきではありません。
【参考記事】「御社」と「貴社」の正しい使い分けを徹底解説▽
【先方の使い方】「先方様」って正しいの?
「●●様」と書いたり呼んだりすると、相手に敬意を払っているような気分になりがち。とくにビジネスシーンでは、敬称をつけて相手を呼ぶことはとても大切です。
しかし、「先方様」の場合には、「先方」のみでも敬意を払う言葉、つまり敬語で表現している言葉にさらに「様」を上乗せすることになります。
「先方」は、「○○会社の●●様」という代わりの使い方になり、短縮した敬語として目の前にはいない相手の方を呼ぶ方法となります。そのため、「先方」には「様」をつけて読んだり、記載したりする必要はありません。
先方様はNG。それじゃあ先様は?
「先方様」と使う必要はありませんが、「先様のご意向を...。」などと使用して、企業を含めた相手先を「先様(さきさま)」と呼ぶこともあります。
この「先様」は、明治時代から戦後までの近代語や現代語では、頻繁に使われていたようです。しかし、近年では「先方」や「●●様」に置き換えられてきました。
ビジネスシーンでの敬語の使い方や文法上間違いではありませんが、少し古めの呼び方といえるのかもしれません。
「先方」の使い方が分かる。ビジネスで使える例文一覧
- 体調不良につき、明日の打ち合わせの延期を伝えてください。先方へ連絡を入れてくださいますか。
- 先ほどの先方へのクレームへの対応、恐れ入りました。
- この件に関しましては、先方へお詫びいたします。
- 先方の△△について教えていただけますか。後任として、私〇〇が●●様を担当させていただくことになりましたので、先方へは後ほどご連絡いたします。
- 次回の会議開催日に関して、~のようにしていただきたいので、ご提案いたします。必要に応じて、先方へもご連絡いたします。
- ご確認のメールありがとうございます。先方よりご承諾いただきましたので、お礼をお伝えいたしました。
ビジネスシーンで使われることの多い「先方」は、第三者を示す言葉となるため、社内などの報告や連絡で用いることが最善です。
そのため、体調不良やクレーム、お詫びの対応など、緊急に対応したいメールや連絡を社内の担当者へ依頼するときに使用できます。これは、社外への連絡を同僚に伝えるときや、取引先との状況を上司に報告する際に用いることができる例文です。
また、挨拶やお礼を伝える際にも、上司への報告が必要なことが生じます。社内メールやコミュニケーションには欠かせない取引を示す「先方」という敬語の使い方をマスターしてみましょう。
先方の対義語「当方」との違いとは?
第三者を指すため、取引先の会社や相手を指す言葉は「先方」の対義語は「当方(とうほう)」という表現になります。
この「当方」は、「自分の側に属している」もしくは「自分の属する同グループ」などを指す場合に用いることが正しい使用方法になります。「当方としましては」「におきまして当方の意見は…」などと、使用することが一般的です。
「こちら側」などの自分の側でも、「自分自身のみ」であるひとりの場合には、「当方」は使わないほうがベターです。この場合には、「私」や自分を含む同グループの人を指す場合には「私ども」などを使いましょう。
そのため、相手先への会話で使い、自社や同グループ内では使用しません。また、自分の側であっても自社を指すときには、「当社」や「弊社」がふさわしい使い方になります。
【参考記事】"弊社"と"当社"の違いとは?使い方から意味まで解説▽
「先方」の類義語とは?
- 相手方
- 向こう
- 取引先
「先方」の類義語は、自分自身から見た相手方や相対するものを指して使う言葉になります。つまり、相手サイドや反対側を指し言葉になるため、基本的には「代名詞」となるでしょう。
とはいえ、会話やメールであっても、「相手方」や「向こう側」、「取引先」などと表現してしまうのは、失礼な対応にあたることもあります。
相手の名前が分かっているときには「●●様」や、複数もしくは明確になっていない場合には「ご担当者様」などとして用いるようにすることがエレガントな使い方ともいえます。
「先方」の英語表現一覧
- The other party will not bate a jot of his demands.(先方は一歩も要求を譲るつもりはありません)
- The other party pays the expenses.(先方が費用を負担します)
- We have a proposition from the other party.(先方から提案があります)
- I'll call them to that effect.(その趣旨を先方へ電話で伝えましょう)
- I will see that he gets the document. (書類が先方にわたることを見届けます)
- Could you include my address in CC when you email her?(先方にメールを送信するときは、CCに私のアドレスも含めてくれますか?)
英語で「先方」を表現すると、「the oth party」「them」「he]「her」などを使います。例文でも分かるように英語の場合でも、相手や相手先を指して使うため、社内つまり自社の人に対しては使用しません。
自社で、ましくは自社の人である上司や同僚に、報告や連絡をするときに用いることのできる英語です。英語例文を参考にしながら、英会話での敬語も活用してみましょう。
「先方」は、相手には使えない。失礼にならないよう使い方には注意しておいて。
会話やメールが注目されやすいビジネスシーンでは、間違いなく使いこなしたいのが敬語です。スムーズな敬語の使い方は、自分自身と相手先企業や担当者のコミュニケーション力アップにもなります。例文をチェックしながら、ぜひ「先方」の使い方をマスターして、エレガントな敬語の使えるビジネスパーソンとしてステップアップしてみましょう。
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