"賜る"の意味/使い方。例文&類語"承る"との違いとは|ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2018.09.20
「もらう」「与える」の意味を持つ謙譲語、賜る(たまわ・る)。類語"いただく""承る"との違いについて知らない人も多いはず。今回は、賜るの意味から正しい使い方、目上の人に使える例文、言い換えできる類語まで徹底解説。丁寧かつ失礼のないビジネスメールを送りましょう。

「賜る」の意味とは?

賜るの意味とは

「賜る」とは、「もらう」「与える」の謙譲語表現で、いただくよりも丁寧な敬語になります。日常会話だけではなく、ビジネスシーンや結婚披露宴のスピーチなどかしこまったシチュエーションでもしようされています。

「賜る」は、敬語の中でも謙譲語に属し、上司や目上の人にも使用できます

使い方はさまざまで、「目上の人が何かを与えてくれた際のお礼」としてや「自分が目上の人に言葉を頂戴したい、指導してほしいことを伝える表現」などが挙げられます。

─「賜る」の読み方とは?─

「贈る」は、「たまわ・る」と読みます。「たま・わる」と間違えやすいので、送り仮名の付け方に注意しましょう。謙譲語として使用されることが多い表現ですが、尊敬語としても使用でき、どちらの場合でも読み方は同じです。


「賜る」の正しい使い方とは?

賜るの正しい使い方

「賜る」という言葉は、対面やメール、文書などビジネスシーンで良く使われている敬語です

「賜る」には、「もらう」「与える」といった意味が込められているので、「言葉を賜りたいと存じます」「記念品を賜りました」という風な使い方ができます。「賜る」や「賜ります」という言葉は、とても丁寧な表現方法です。

しかし、その一方で堅苦しい印象もあるため、親しい間柄の上司や同僚に使うと、かえって嫌みのようにとらえられてしまったり、失礼にあたる場合もあるので注意が必要です。使い方だけではなく、使い過ぎも過剰な敬語使用とみられる可能性があります。


「賜る」を使った敬語一覧

「賜る」がビジネス文書に使われる時は、以下4つのフレーズになって使用されるケースが一般的になります。

  • 賜る。
  • 賜りました。
  • 賜りたく、
  • 賜りまして、

どのフレーズも賜るの使い方を知る上で大切な例文になるため、必ず覚えておきましょう


賜るの使い方①「賜る。」を使った例文

賜る。を使った例文・使い方
  • ご愛顧を賜る。
  • ご指導とお力添えを賜る。
  • 先生のご意見を賜る。
  • 陛下が受章者にお言葉を賜る。

「賜る」は、もらうの謙譲語で、厚意や物に対して使用します。例文にあるように、上司や先生など目上の人からの意見や指導をもらうことに対して使用できる丁寧な表現方法です。

その他にも、「ひいきすること」や「目をかけて引き立てること」を意味する「ご愛顧」を使って、「ご愛顧を賜る」という使い方ができます。この例文は、ビジネスシーンでも顧客や取引先など目上の人に対して、よく使用される言葉ですので正しい使い方を覚えておきましょう。

【「例文」で使われている敬語】
「お力添え」の正しい使い方|類語"ご尽力"との違いとは?


賜るの使い方②「賜りました。」を使った例文

賜ります。を使った例文・使い方
  • 定年祝いとして社長より記念品を賜りました。
  • ありがたい話を賜りました。
  • 〇〇様よりご紹介賜りました。
  • 感謝状を賜りました。

ビジネスで使用することが多い「賜りました。」という敬語は、「賜る」と同様に謙譲語になります

謙譲語は、自分を下にして相手に敬意を示す表現方法なので、自分の動作に対してのみ使用できます

他人に対して使用すると、相手を下にみなすことになり、失礼になってしまうため、目上の人に対して使う場合は注意が必要です。

使い方は、「ご紹介」や「感謝状」、「お言葉」「お話」などと組み合わせて、丁寧なフレーズを作ります。例文を参考にして、使い方を練習してみましょう。


賜るの使い方③「賜りたく、」を使った例文

賜りたく、を使った例文・使い方
  • 何とぞご協力を賜りたく、折り入ってお願い申しあげます。
  • 今後ともいっそうのこ高配を賜りたく、重ねてお願い申し上げます。
  • 〇〇の件について、ぜひ貴殿よりご意見賜りたく存じます。
  • 今後も、ご指導ご鞭撻を賜りたく願っております。

ビジネス文書やメールなどで目にする「賜りたく、」という敬語は、相手に何かをお願いしたいときに使用します

「ご高配」や「ご協力」、「ご意見」、「ご指導」などと組み合わせて使われることが多いようです。

「賜りたく、」を使うことで、自然に他の文章とつなげることができます。目上の人や上司に対して丁寧にお願いや頼みごとをしたいときには「賜りたく、」を使い、「願い申し上げます」や「存じます」「願っております」と組み合わせましょう。

【「例文」で使われている敬語】
「ご高配」の意味とは?正しい使い方を例文付きで解説します

「お願い申し上げます」の使い方|目上の人に使える丁寧な例文をまとめました

「存じます」の使い方を例文付きで分かりやすく徹底解説!


賜るの使い方④「賜りまして、」を使った例文

ご高覧を使った丁寧なイレブン
  • ご光臨を賜りまして、誠にありがとうございます。
  • 先日は誠に結構なお品をご恵贈賜りまして、心より感謝申し上げます
  • 本日はご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
  • 早々にご丁寧な賀状を賜りまして、誠にありがとうございます。

ビジネスシーンで良く目にする「賜りまして、」は、相手が何かをしてくれたときにお礼の言葉として使用されます

「ご光臨たまわりまして、誠にありがとうございました。」や「ご出席を賜りまして、誠にありがとうございました。」という例文は、上司や目上の人が結婚式や祝典などに出席してくれた際、お礼の言葉として使うことができます

目上の人から何かを与えてもらった、品物を受け取った際の感謝の言葉としては、「ご恵贈」を使います。


▷次のページ:「賜る」と「承る」の違いとは?

よく一緒に読まれる記事

関連する記事