"存じます"の意味/使い方。例文&言い換えできる類語|ビジネス敬語ガイド
「存じます」の意味とは?
「存じます」とは、「思います」「知る」という意味を持つ敬語です。「思う」の謙譲語にあたる「存じる」にますを付けて、自分の気持ちを表す動詞になっています。
話し言葉としてはもちろん、書き言葉としても使うことができます。気を付けなければならないのは、「存じます」は自分自身をへり下って表す謙譲表現だということ。
そのため、自分と立場が同じである同僚や自分よりも立場の低い部下には使うことができません。自分の上司や自分よりも目上の人に、自分の思いを伝えるときに使いましょう。
「存じます」は目上の人に使えるの?
「存じます」は謙譲語にあたるため、上司や目上の人に使用できます。
一方で、同僚や部下には使うことができません。主に自分の考えや思いを伝えたいときに用いて、「~だと思います」や「~だと考えます」をそのまま存じますに置き換えることが可能です。
また、「存じます」は自分の気持ちを伝えるときにしか使えない敬語です。部下や身内など第三者の気持ちや考えを代弁したいときには「~と申しております」と使うといいでしょう。
「存じます」と「存じ上げます」との違いとは?
「存じます」は「~と思います」や「~だと考えます」といった意味で使用しますが、「存じ上げます」は「~だと知ってる」「~だと認識しています」などといった自分の理解や知ってることを表すときに使う敬語です。
類語ではありますが使用するかで相手に伝わる意味が異なります。自分の知ってることや認識していることを強調したい場合には「存じ上げます」を使った方がいいでしょう。
また、「存じ上げます」も謙譲語にあたるため、上司や目上の人にビジネスシーンで使えられます。一方で、同僚や部下には使用することができないため、だれに対して使うのか注意しながら使うようにしましょう。
「存じます」を使った例文
「存じます」を使った定番のフレーズは以下の5つ。
- 幸いに存じます
- ありがたく存じます
- いただきたく存じます
- 存じますが、
- 光栄に存じます
どの敬語表現も目上の人に使う丁寧な言い回しになるため、必ず使い方をマスターしておきましょう。
存じますの使い方① 幸いに存じます
「幸いに存じます」とは、相手がしてくれたことや、してくれることに対して「そうしてもらうと助かる」「そうしてもらって嬉しく思う」という気持ちを表現する敬語です。
例えば、取引先の上司が自分に対して敬意を払ってくれたり粋な計らいをしてくれたときに「ご好意を示してくださり幸いに存じます」などと使用できます。目上の人や上司に対して、感謝の気持ちや喜びを伝えたいときには、積極的に使いましょう。
ただし、こちらも自分をへり下る謙譲語にあたるため、部下や同僚には使えません。
「幸いに存じます」の例文
- 遠方からわざわざご足労いただき、打ち合わせができましたことを幸いに存じます。
- 今後とも、変わらぬご愛顧を賜れれば幸いに存じます。
- お忙しいところ申し訳ございませんが、〇月〇日までに返信いただけると幸いに存じます。
- 心ばかりのお礼に当地の名産品をお送りしました。気に入っていただければ幸甚に存じます。
- 祝賀会を催すこととなりましたので、ご来臨くだされば幸いに存じます。
「幸いに存じます」の例文は、取引先の人や目上の人に感謝の気持ちや喜びの気持ちを伝えたいときに使います。
打ち合わせや会議の出席に対して、お礼を言いたいときに使うことが多いです。また、取引先や上司など目上の人に催促をしたいときに「〇〇までに提出してもらえると嬉しいです」という意味合いで、使うこともできます。
さらに、「幸いに存じます」は話し言葉だけでなく、メールや手紙などで気持ちを伝えたいときにも使えるため、テンプレートとして覚えておくと便利です。
【「例文」で使われている敬語】
・「幸いに存じます」の使い方|目上に使える丁寧な例文まで解説
・「申し訳ございません」は目上には使えない?言い換えできる類語も解説します
存じますの使い方② ありがたく存じます
「ありがたく存じます」とは、相手にしてもらったことに対して感謝の気持ちを伝えたいときに使います。
「幸いに存じます」の類語ですが、相手にしてもらったことへの感謝の気持ちを表すというところが異なります。「ありがたく思います」の謙譲語にあたるため自分をへり下り「私などのためにわざわざありがとうございます」という気持ちを込めることが可能です。ビジネスシーンで使用することや耳にすることが多い言葉ですよね。
また、謙譲表現なので同僚や部下には使用せず、目上の人や上司に対して感謝の気持ちを示したいときに使いましょう。
「ありがたく存じます」の例文
- 来月の食事会へのお誘い、ありがたく存じます。
- この度は遠方よりわざわざご足労いただき、ありがたく存じます。
- 平素よりご厚情をいただき、まことにありがたく存じます。
- 引き続き当社とお取引を希望と伺いました。まことにありがたく存じます。
- 書類提出の件ですが迅速に対応してくださり、ありがたく存じます。
相手がしてくれたことに対して感謝の気持ちを表したいときに「ありがたく存じます」を使います。
特に取引先の人や他の部署の上司など、社内の上司よりも少し自分との関係性が離れた目上の人に関係の気持ちを伝えたいときに使う例文が多いです。
また、「ありがたく存じます」はかしこまった表現となるため、話し言葉だけでなくメールや手紙などの書き言葉のテンプレートにも向いています。感謝の気持ちを丁寧に伝えたいときには、積極的に使ってみましょう。
【「例文」で使われている敬語】
・「ありがたく存じます」の正しい使い方|上司など目上にも使える例文付き
・「平素」の意味とは?正しい使い方を例文付きで分かりやすく解説!
・「ご厚情」の意味/使い方|上司など目上に使える例文までご紹介します
存じますの使い方③ いただきたく存じます
「いただきたく存じます」とは、「~して欲しいと思います」という意味のある敬語です。
「いただく」は「欲しい」の謙譲語で「存じます」は「思います」の謙譲語なので、このような意味となります。社内の上司や取引先などの目上の人に、自分の立場をへり下ってお願いをしたいときに使います。
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、ビジネスシーンでは活躍する敬語です。類語には「いただければ幸いです」や「~してくださいますようお願いします」などがあります。
「いただきたく存じます」の例文
- ご多忙のところ恐縮ですが、〇月〇日までに見積書を送付いただきたく存じます。
- 〇月〇日にお伺いいたします。ご都合が悪くなった場合には、〇月〇日までにご連絡いただきたく存じます。
- 先ほどファイルを添付しましたので、ご確認いただきたく存じます。
- 明日の会議の内容について、事前にご教示いただきたく存じます。
- せっかくのお誘いにもかかわらず申し訳ございませんが、今回は都合が悪く辞退させていただきたく存じます。
「いただきたく存じます」は、さまざまなビジネスシーンで使用できる敬語です。
社内の上司や目上の人に依頼をしたいときや、確認して欲しいことがあるときに使います。例文でも、メールや連絡を催促したいときや教えてもらいたいことがあるときに「いただきたく存じます」を活用。
また、取引先の人にも依頼をしたいときや断りを入れたいときのメールや手紙のテンプレートとしても使えます。丁寧な言い回しなので、相手に不快感を与えないで自分の気持ちを伝えられる敬語です。
【「例文」で使われている敬語】
・「恐縮ですが」の意味とは?正しい使い方から例文まで解説します
存じますの使い方④ 存じますが、
「存じますが」は「思いますが」の謙譲語にあたる敬語です。
文頭に「~だと存じますが」という一言を付け加えることでクッション言葉となり、お願いや依頼がしやすくなります。また、相手への謙虚や気持ちや配慮を示すことができるため、ビジネスシーンでも使う機会が多いです。
もちろん「存じます」も謙譲語にあたるため、上司や目上の人に使うことになります。同僚や部下に使いたい場合には「思いますが」を使うようにしましょう。
「存じますが、」の例文
- お忙しいとは存じますが、先日提出した資料に目を通していただいてもよろしいでしょうか。
- 差し出がましいとは存じますが、お礼の品を送らせていただきました。
- ご多忙とは存じますが、一度ご連絡いただけますと幸いです。
- お忙しいとは存じますが、昨日の資料の進捗状況はいかがでしょうか。
- ご多用とは存じますが、ご検討のほどよろしくお願いします。
「存じますが」の例文では「お忙しいとは存じますが」や「ご多用とは存じますが」など、「忙しいとは思いますが」という意味のあるクッション言葉として用いられているケースが目立ちます。
これは、ビジネスシーンで使われることの多い使い方だからです。「忙しいとは思いますが...」とへり下った表現をすることで、依頼や確認、お願いなどがしやすくなります。
また、「存じますが」は話し言葉でも書き言葉でも使用でき、メールなどのテンプレートとして使われることも多いです。
【「例文」で使われている敬語】
・「幸いです」は目上の人に使えるの?より丁寧な言い換え表現まで解説します
存じますの使い方⑤ 光栄に存じます
「光栄」とは「人に認められること」「名誉に思うこと」などの意味があります。
そのため「栄光に存じます」は「名誉に思います」や「(周りから認められて)嬉しく思います」と言いたいときに使える敬語です。
自分自身が嬉しく思う気持ちや名誉に思う気持ちを伝えたいときに使うことができ、第三者に起こったことには使えません。類語には「ありがたく存じます」がありますが、「栄光に存じます」の方が名誉や実績などに対して喜びの気持ちや感謝の気持ちを表している印象を与えます。
「光栄に存じます」の例文
- 本日は、○○社長にお目にかかれて栄光に存じます。
- このようなチームで仕事ができることを、栄光に存じます。
- 今回は、このような素晴らしい賞をいただき、光栄に存じます。
- ○○社長からお褒めにあずかり光栄に存じます。
- そのようにおっしゃっていただけて光栄に存じます。
「光栄に存じます」の例文では、嬉しく思う気持ちや名誉に思う気持ちを表す使い方が目立ちます。
特によく使われるのは、自分よりも目上の人や取引先の社長などに会ったときに、会えたことを嬉しく思う気持ちを表すシーンです。
他にも、ビジネスシーンで上司や目上の人から褒められたときや評価されたときなどに、感謝の気持ちや嬉しく思う気持ちを表現することができます。もちろん、自分自身が何かの賞などを受賞したときには、名誉に思う気持ちを表現することが可能です。
「存じます」の使いすぎには要注意!
社内の目上の人や取引先の人などに自分をへり下って表現できる「存じます」。
今までご紹介したさまざまな例文や類語のように、依頼をするシーンや自分の気持ちを伝えるシーンなどビジネスシーンで使うことが可能です。しかし、あまりに使いすぎると堅苦しい印象を与えてしまうことが。特に文末が堅苦しくなることで、距離感を与えてしまう可能性があります。
もちろん、「存じます」は謙譲語でありビジネスシーンで積極的に使いたい言葉ではありますが、類語を上手く使用しながら多様してしまわないようにバランスを取りながら使うようにしましょう。
「存じます」と言い換えできる類語
ここからは、「存じます」と言い換えできる類語をご紹介。
- 〜と思います
- 承知しております
- 〜ございます
- 幸いです
各類語の使い方、丁寧さまで詳しく解説します。
存じますの類語① 〜と思います
「~と思ます」を謙譲語に直した表現が、「~と存じます」。類語としてどちらも自分の思いや意思を相手に伝えるときに同じような使い方ができる敬語です。
「~と思います」なら、上司や目上の人、部下など立場を気にしないで使うことができます。そのため、比較的だれに対しても使える表現です。
一方で、「~と思います」ばかり使用していると丁寧な印象には少しかけてしまうため、ビジネスシーンで上司や目上の人を持ち上げたいときには「~と存じます」を使った方が無難です。
「〜と思います」の例文
- 今日の午後から開かれる会議には、課長も出席するべきだと思います。
- 今、製作している書類は、明日には提出することができると思います。
- 今日の会議に参加することができ、とても勉強になったと思います。
存じますの類語② 承知しております
「承知しております」には「知ってる」「分かっている」という意味があります。そのため、「存じ上げます」の類語として使うこともできます。
「存じます」との違いは、自分の思いや意見を伝えるというよりも、知ってることや分かっていることを伝えたいときに使うところです。
また、「承知しております」も「存じます」と同様に、部下や同僚に使うことはできません。あくまでも、上司や目上の人に対して意思表示をしたいときに使える敬語です。
「承知しております」の例文
- この資料を〇月〇日までに仕上げなければならないことは、重々承知しております。
- 無理なお願いであることは承知しておりますが、本日中に提出していただけないでしょうか。
- 私一人では力不足であることは、充分承知しております。
存じますの類語③ 〜ございます
「~ございます」は「~です」「~ます」などの丁寧語です。
「存じます」のように自分をへり下って表現する謙譲語の意味合いもなければ、自分の思いを伝えるという役割もありません。
「こちらが社長室です」を「こちらは社長室でございます」というように丁寧に言い換えることができます。事実を丁寧に述べたいときに使うことができ、目上の人や取引先の人、お客様などの第三者に対して使用するのが好ましいです。
「〜ございます」の例文
- こちらが本日会議で使用する資料でございます。
- お問い合わせいただいた商品は、まだ在庫がございますので本日中にご用意することが可能です。
- その件に関しましては、〇〇課長のおっしゃる通りでございます。
存じますの類語④ 幸いです
「幸いです」をより丁寧にした表現が「幸いに存じます」になります。
どちらも相手がしてくれたことや、してくれることに対して「助かる」「嬉しい」などの自分の気持ちをを示すところでは類語です。また、「幸いに存じます」も「幸いです」も部下や同僚には使用しませんが「幸いです」の方がフランクで柔らかい敬語に。
そのため、取引先の人や目上の人に使用したい場合には「幸いに存じます」を使用した方がいいでしょう。
「幸いです」の例文
- お忙しいところ恐縮ですが、一度資料に目を通していただければ幸いです。
- 心ばかりのお礼の品ですが、気に入っていただけますと幸いです。
- こちらの書類に印鑑を押して、〇月〇日までに提出していただけますと幸いです。
【「例文」で使われている敬語】
・「光栄です」でも目上に使って大丈夫?言い換えできる類語までご紹介します
「存じます」の英語表現
- I was aware of it(存じております)
- I think so(存じます- ~と思います)
- I appreciate the honour(身の光栄に存じます)
- I would appreciate(幸いに存じます)
- I am glad(嬉しく存じます)
- I was thinking(~だと考えます)
「存じます」に近い意味の英語は意外と多く、シーンや使う相手によってさまざまな英文があります。
例文でもっともよく使われるのが「I think so」です。自分の気持ちを述べるときや思いや考えを伝えたいときに使えます。メールや手紙などの書き言葉としても使える言葉なので、テンプレートとして持っておくと便利ですよ。
「存じます」の正しい使い方をマスターしましょう。
今回は、社内の上司や目上の人、取引先などビジネスシーンで使う機会が多い「存じます」とその類語の使い方や例文などをまとめてご紹介しました。
「存じます」は謙譲語なので、目上の人や上司に対して自分をへり下ってみせたいときに使います。
同じような意味を持つ言葉も多くあるので、使いたい相手やシーンに合わせて適切な言葉が使えるようになりましょう。
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