"ご了承ください"の意味/使い方。目上に使える類語も【ビジネス敬語ガイド】
「理解してください」と敬語で伝えたい。「ご了承ください」は正しい敬語なの?
分かってください、理解してくださいという場面で使われる敬語表現、「ご了承ください」。よく使われる敬語の1つですが、実際に使っていて「この敬語って本当に合っているの?」と疑問に思う人も多いですよね。
そこで今回は、「ご了承ください」が本当に正しい敬語なのかどうかという基礎知識から、目上の人へ伝える言い換え表現、類語まで詳しく解説していきます。社会人として恥ずかしいめに合わないよう、完璧な敬語を身につけていきましょう。
「ご了承ください」の意味とは?
ビジネスなどさまざまな場面において使われる「ご了承ください」。「ご了承ください」は「納得・理解して受け入れてほしい」ことを意味しており、相手に対してこちら側の状況を汲み取ってほしい状況で使われます。
ご了承くださいは、「了承」と「〜してくれ」の尊敬表現である「ご〜くださる」で構成された立派な敬語表現です。
基本的には、これから始めるような段階で相手に理解してもらう意味を持っており、相手側に選択肢があるというわけではありません。類語として「ご容赦」がありますが、この言葉は謝罪などこちら側に不手際があったときに使われるので、混同しないよう注意してくださいね。
そもそも、「了承」の意味とは?
ご了承くださいの意味の前に、「了承」の意味に疑問を持っている人もいるでしょう。
「了承」とは、「相手側の申し出などを納得して承知すること」を意味しています。「了」は「よくわかる」、「承」は「承る(うけたまわる)」ことを指しており、「認める」もしくは「受け入れる」という意味。相手に理解を求めたいときに、「了承」という言葉が使われます。
似た類語に「了解」がありますが、了解は「理解する」ことが重要視されているため、了承と若干異なります。
【参考記事】了承の類語「了解」の使い方を分かりやすく解説▽
「ご了承ください」は、上司や目上の人には使えない?
実はこの「ご了承ください」という言葉、上司などの目上の人に使うのは、良くないというのはご存知でしょうか。もっとも大きな理由として挙げられるのが、「ください」というニュアンスが用いられているため。
「ください」が入っていることで上から目線で相手に強制させる力が働くため、上司や目上の人の中には失礼だと思う人も少なくありません。もちろん、上司だけでなく、取引先に使う場合にも注意が必要な言葉です。
「ご了承ください」は契約書、さらには張り紙など、「これから起こることに対して了承してほしい!」という場面が多く、対面や現在進行では基本的には使わないことが多いのが特徴です。
目上の人に「ご了承ください」と伝えたい時に使える敬語とは?
「ご了承ください」は、敬語としては正しい表現ですが、相手を不快させるという面でみると目上の人には不適切な敬語になります。敬語を使う上では、文法上の可否よりも相手に与える印象の方が大切です。そこでここからは、「ご了承ください」と目上の人にも伝えられるよう、好印象を得られる言い換え表現をご紹介します。
- ご了承いただく
- お含みおきください
- ご了承願います
- ご了承くださいますよう、
- ご了承の程、
どの表現も目上の人に使って問題のない敬語表現ですので、ぜひこの機会に例文まで確認してみてください。
ご了承くださいの丁寧な言い換え1. 「ご了承いただく」
「ご了承ください」は目上の人に使えませんが、同じようなニュアンスを上司などに理解して受け入れてもらいたいときは、「ご了承いただく」といった敬語を使用しましょう。
ここで使われている「ご〜いただく」は謙譲語で、自分をへりくだるときに使う敬語になります。同時に相手への敬意も表しているので、「ご了承いただく」は上司などの目上の人に使用しても失礼にはあたりません。
「ご了承いただく」の例文
- ご了承いただきました。
- ご了承いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
- ご了承いただき、ありがとうございました。
取引先へのメールに使いたいときは、「ご了承いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。」を状況にあわせて活用してみてください。目上の人に使う際は、「ご了承いただき、ありがとうございました。」と伝えるのもいいでしょう。
また、取引先が了承したときは、「ご了承いただきました。」と上司に伝えても問題ありません。
【参考記事】「ご了承いただき」を使った例文とは▽
ご了承くださいの丁寧な言い換え2. 「お含みおきください」
「ご了承いただく」と同じように使える類語として挙げられるのが、「お含みおきください」。「お含みおきください」に使われている「含む」という言葉には、「相手の事情を理解して、それを心にとめる」といった意味合いが含まれています。
この言葉も相手を敬った言い方になっているので、上司などの目上の人に使用しても問題はありません。
「お含みおきください」の例文
- 本日より3日間、出張で不在となりますのでお含みおきください。
- 会議につきまして、下記日程に変更となりましたのでお含みおきください。
- ご注文いただいて2週間以内にお支払いいただけない場合、ご注文はキャンセルとなりますことをあらかじめお含みおきください。
取引先に使いたいときは、「本日より3日間、出張で不在となりますのでお含みおきください。」などと活用可能です。
一方、目上の人に対しては、「会議につきまして、下記日程に変更となりましたのでお含みおきください。」などと使用できます。
お客様へキャンセルしたことを了解して欲しい時に「ご注文いただいて2週間以内にお支払いいただけない場合、〜あらかじめお含みおきください。」と伝えたりすることも。お含みおきくださいは幅広いシチュエーションで使える敬語表現なため、ぜひ覚えておいてください。
【「例文」で使われている敬語】
・「お含みおきください」の正しい使い方|取引先など目上に使える例文とは?
ご了承くださいの丁寧な言い換え3. 「ご了承願います」
「ご了承願います」も、上司などの目上の人に使える類語です。ですがこの言葉、文章として使用するのは問題ありませんが、現代においてはあまり使われない敬語でもあります。
そのため、「ご了承願います」を使用するときは、「ご了承のほど、よろしくお願いいたします。」などに形を変えて、目上の人に使用しても不自然ではないようにするのがおすすめ。
「ご了承願います。」の例文
- お客様にはご不便をお掛けしておりますが、何卒ご了承願います。
- 弊社は、責任を負いかねますので、予めご了承願います。
- 商品の到着が遅くなる可能性がありますことを、予めご了承願います。
「ご了承ください」と比べると丁寧な言い回しになりますが、どこか上から目線な印象を受ける人も少なくないでしょう。
「ご了承願います」は、最初に解説した「ご了承いただきますよう、」やこれから紹介する「ご了承くださいますよう、」と合わせて使うことでより丁寧な敬語となります。
特に初対面の人に使う場合は、過度でも丁寧な言い回しでお願いする方が賢明ですよ。
ご了承くださいの丁寧な言い換え4. 「ご了承くださいますよう、」
単純に「ご了承ください」のみだと、目上の人に対して失礼な印象を与えることもありますが、「ください」の部分を「くださいますようお願いいたします」などと柔らかい表現にすれば、上司など目上の人に伝えてもマイナスな印象は持たれません。
「くださいますよう」は、「くれる」を尊敬語「くださる」にしており、そこへ丁寧語である「ます」を加えた敬語になっています。
「ご了承くださいますよう、」の例文
- ご了承くださいますよう、お願いいたします。
- ご了承くださいますよう、お願い申し上げます。
- 何卒ご了承くださいますよう、お願いいたします。
上記でご紹介した文章は、取引先もしくは上司などの目上の人、どちらでも基本的に使用可能な類語です。直接会ったときだけでなく、ビジネスメールの際に使用するのもいいでしょう。相手側に理解して状況を受けとめてほしいときは、ぜひ活用してみてくださいね。
【「例文」で使われている敬語】
・「ご了承くださいます」の意味/使い方。目上の人にも使える丁寧な例文まで解説
ご了承くださいの丁寧な言い換え5. 「ご了承のほど、〜」
最後に目上の人に使える類語として紹介したいのが、「ご了承のほど、〜」という表現。ここで使われる「〜の程(ほど)、」という表現は、敬語的な意味は持たず、文章全体を柔らかくする役割を担っています。
語尾に使う言葉は、「お願いいたします。」などの依頼する敬語が多く、ビジネスシーンでもよく使われる表現ですよ。
「ご了承のほど、」の例文
- ご了承のほど、よろしくお願いいたします
- ご了承のほど、よろしくお願い申し上げます
- ご了承のほど、何卒よろしくお願い申し上げます
上3つの例文は、全て取引先や目上の人関係なく使える敬語表現になります。ほとんど同じような文章ですが、「よろしくお願いいたします」を「よろしくお願い申し上げます」、さらには「何卒」をつけるなどちょっとした工夫をしてみるのもおすすめ。意味は大して変わらないので、お好みで活用してみましょう。
「ご了承ください」と同じ。目上の人に使えない類語とは?
「ご了承ください」が目上の人に使えない敬語だと解説しましたが、実は他にも目上の人には失礼に当たってしまう敬語が存在します。その代表格が、
- ご理解ください
- ご承知おきください
の2つ。どちらも自然と使いがちな敬語表現ですので、なぜ目上の人に使うのは厳しいのか、ここで確認しておいてください。
「ご理解ください」はなぜ使えないの?
「ご了承ください」との類語表現として、「ご理解ください」が挙げられます。ご了承くださいと同じく敬語表現として問題のない表現ですが、この言葉も、命令口調に聞こえることがあるため、対面で使うのが避けた方が良い敬語です。
また、「ご理解ください」は、「ご了承ください」よりも分かるという意味合いが強くなるため、一層きつく聞こえてしまいます。
敬語表現にも多い「ください」ですが、対面で聞くとどうしても上から目線の命令口調に聞こえてしまいます。「ご理解ください。」も看板もしくは張り紙に使用する場合であれば、問題なく活用できますよ。
「ご理解ください」をより丁寧に表現すると...。
- ご理解くださいますよう、よろしくお願いいたします。
「ください」の部分を「くださいますよう」と丁寧な表現に。さらに「よろしくお願いいたします」と付け加えることで、目上の人に対しても問題なく使用できますよ。
「ご了承くださいますようお願いいたします」と似た場面で使える類語なので、ぜひ覚えておいてください。
「ご承知おきください」はなぜ使えないの?
一見丁寧そうにみえる「ご承知おきください」。「知っておいてください。」の敬語表現になりますが、「ご了承ください」と同じく、受け取り側からすると「知っておいてね!」という上から目線に見えてしまうことも。
敬語の基本は、文法的な正しさよりも相手の受け取り方にあります。相手が命令口調だと受け取ってしまうことは避け、出来るだけ角の立たない表現を相手に伝えましょう。
【参考記事】「ご承知おきください」の正しい使い方とは▽
「ご承知おきください」を言い換えできる「ご容赦ください」とは?
「ご承知おきください」の言い換えとして活用できるのが「ご容赦ください」。「ご容赦」には「受け入れる」という意味を持っている「容」と、「罪を許す」という意味を持っている「赦」が使われています。かしこまった表現なので、目上の人もしくはお客さまに対して角が立たないよう詫びたいときにおすすめ。
【参考記事】「ご容赦ください」の意味から使い方まで詳しく解説▽
「ご了承ください」と伝わる英語文一覧
- We kindly ask for your understanding.(ご理解のほど、お願いいたします)
- I hope you will understand this.(ご理解いただけると幸いです)
- Thank you for your understanding.(ご理解いただき、誠にありがとうございます)
- I appreciate your understanding.(ご了承いただき、ありがとうございます)
- Thank you for your patience.(お待ちくだり、ありがとうございます)
- Thank you in advance.(感謝いたします)
「ご了承ください」を英語で使うときに重要になるのが"understanding"という単語。直訳すると「理解」を意味しており、"understanding"に対して"thank you"や"I appreciate"を活用することで、相手に感謝を示せます。そのほかにも、"understanding"を"patience"(忍耐)に代用するもの"アリ”です。
「ご了承ください」をより丁寧に伝えられるビジネスパーソンに。
ここまで、「ご了承ください」の意味から「ご了承ください」を目上の人に使う類語、さらには「ご了承ください」以外の、目上の人に使えない言葉についてご紹介しました。このように、ビジネスでは直接会ったときはもちろん、メールなどでも相手にあらかじめ理解してほしい状況も多々あるはず。そんなときに間違った日本語を使って相手の機嫌を損ねないためにも、ぜひこの記事を参考にして正しい日本語を活用していきましょう。
【参考記事】ご了承くださいだけじゃない。「了承」を使ったその他の敬語表現はこちら▽
【参考記事】ご足労の正しい使い方とは▽
【参考記事】「ご了承」は目上の人に使える?正しい使い方を解説▽
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