"お力添え"の意味/使い方。言い換え類語&例文付き|ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2019.11.22
自分へ力を貸してもらう時に使える敬語、お力添え。自分に対して使えないなど、使うためにも覚えるべきルールがあります。今回は、お力添えの意味や使い方、例文、言い換えできる類語まで徹底解説。よく比べられる「ご尽力」との違いも説明しているため、ぜひチェックしておきましょう!

「お力添え」の意味とは?

一助の類語 お力添えの意味とは

さまざまなビジネスシーンで使うことが多い「お力添え」。

そもそも「力添え」には手助け、他人に力を貸す、援助といったサポートの意味があります。

また、頭に「お」がつき「お力添え」になると、相手からの手助けを謙譲語で表現できるようになるので、目上の方に使う場合は頭に「お」をつましょう。

「お」がつくことでへりくだった意味になり、丁寧に物事ををお願いできます。「力添え」自体は目下、目上の方に使えますが、基本的には目上の方に使う表現が一般的

目下の場合だと「力を貸してほしい」「手伝ってほしい」という表現がおすすめです。ここから、「お力添え」の使い方を勉強していきましょう。


ビジネスシーンでの「お力添え」の正しい使い方

お力添えの使い方

「お力添え」という言葉が使われるシーンで、最も多いのが1人ではできない、他の誰かの協力が必要…といったビジネスシーン。

よくあるのがメールの文末や電話で「お力添えをお願いいたします」「お力添えのおかげで成功いたしました」など、相手の手助けがほしい、手助けによって助かったというお礼をいうときに使用します。

ダイレクトに「助けていただけませんか?」というよりかは断然「お力添え」と使う方がスマートですし、好印象になりますよね。

タイミング的にも自分が困った…!と窮地に追いやられたときに使用することが多いようです。


「お力添え」は、自分の行為には使えない。

お力添えは自分に対して使えない

間違いやすいポイントですが、「お力添え」は基本的には相手に対して使える言葉です。相手を敬い「相手の力を貸してほしい」「対応に感謝の気持ちを伝えたい…」と思った場合に使用します

そのため自分の行為に対して使用することはNGで、自分の行為や知識を誰かの役に立たせたい!という場合は「私でよければサポートします」といった表現を行いましょう。

「お力添え」の使い分けができていると、ビジネスシーンでも目上の人からもきちんとしている印象をもたれますよ。


「お力添えできず」は、自分の行動には使えない!

お力添えの間違った使い方とは

「お力添えできず」という表現は、相手に対して「自分の力が発揮できなかった、申し訳なかった…。」という場合に使用したいという印象ですが、そもそもこの表現は間違いです。

間違いの理由は、「お力添え」を自分ではなく相手に対して使用していること。案外知らずにビジネスシーンで上司に対して使ってしまう方も多いようです。

では、相手に対して申し訳なに気持ちを表現する場合は、どんな言葉がよいのでしょうか?続いて例文にて詳しくご紹介しましょう。


「お力添えできず」の正しい表現とは?

「お力添えできず」は自分には使えません。では、相手に「力を貸せず」と伝えたい場合は、どんな敬語を使えば良いのか。代表的なフレーズは、

  • 「お役立てず申し訳ございません」
  • 「お力になれず申し訳ございません」
  • 「ご要望に添えず申し訳ございません」
  • 「ご期待に添えず申し訳ございません」

以上の4つ。どれも目上の人に使える敬語表現ですので、覚えておいて損ありませんよ。

「お力添えできず」という敬語を使わずにこれだけ同じような「力になれず…」という表現ができます。

例文を覚えてメールや上司とのやりとりでぜひ使ってみてくださいね。


「お力添え」を使った例文って?

【お礼での使い方】「お力添え」の例文

お力添えをお礼で使う場合
  • 御社には本当に素晴しいお力添えをいただき、感謝の気持ちでいっぱいでございます。
  • プロジェクトが無事に終了したのも、〇〇様のお力添えのおかげです。誠にありがとうございます。
  • △△様のお力添えにより、イベントが開催されます。この場をお借りして改めてお礼を申し上げます。
  • ○○ができたのも皆様方の温かいお力添えがあったからと感謝しております
  • いつも素晴しいお力添えをいただき、感謝の気持ちでいっぱいでございます。

例文のように「お力添え」は目上の人の力に対して、「感謝の気持ちを表したい…」というときに使用されます

例えば、「〇〇さんのおかげです」「無事に終了しました、ありがとうございました」という表現より「〇〇さんのお力添えのおかげでイベントが無事に終了しました」という表現の方がより丁寧さが伝わってきますよね。

言われた側も「ここまで感謝してくれているのか「丁寧だな」と感じると、また力を貸してくれる可能性も高いです。

【「例文」で使われている敬語】
「ありがとうございます」の意味とは?言い換えできる類語まで解説!


【依頼での使い方】「お力添え」の例文

お力添えを依頼で使う場合
  • お忙しいところ大変申し訳ないですが、お力添えいただきますよう、お願い申し上げます。
  • 重ねてのお願いで大変恐縮ですが、〇〇様のお力添えのほどよろしくお願いいたします。
  • 〇〇プロジェクトを遂行するにあたって、△△様の力が必要です。どうか△△様のお力添えをいただけないでしょうか?
  • 皆さまのお力添えをお願いしたく、ご挨拶に参りました。
  • 御社の更なるお力添えを賜りたく、ご連絡をさせていただきました。

目上の人に、何か依頼をしたいときも「お力添え」を使用できます

その際も相手のことを思いやって使うので「相手の力」がベースとなっています。そのため、相手の力を貸して欲しい、助けてほしい、というときに使うのが一般的。

例えばビジネスシーンでのワンシーン。上司にふられた仕事が手一杯で人手がどうしてもほしい場合「お力添えいただけないでしょうか。」と丁寧な敬語を使用することで目上の方の印象も代わりますよ

【「例文」で使われている敬語】
「お願い申し上げます」は2度連続NG!正しい使い方を例文付きで解説します

「よろしくお願いいたします」の正しい使い方|言い換えできる敬語まで解説!


「お力添え」と「ご尽力」の違いとは?

一助の類語 ご尽力の意味とは

「ご尽力(ごじんりょく)」は「あなたのために全力を尽くす」「骨を折る」といった意味が込められており、「ご尽力」というと、自分のできることを精一杯やる、ということになります。

「お力添え」の場合は、あくまで力を添えるという意味なので、手助けであることがベースです。

一方、ご尽力の場合は、相手に対して努力をするという意味も含まれているので、「手助け」「援助」が共通していますが、「お力添え」より負担の大きい力の貸し方であるといえるでしょう。


「ご尽力」の正しい使い方

  • これもひとえに、〇〇会社の皆様のご尽力のおかげです。誠に感謝申し上げます。
  • △△イベントの開催に当たりまして、会場設備や運営など多岐にわたりご尽力いただきまして、深く感謝いたします。
  • 〇〇様にご尽力いただいたにも関わらず、残念な結果となり、ご期待に添えず申し訳ございません。
  • 御社の長年にわたるご尽力が実を結ばれましたこと、おめでとうございます。
  • 日頃より街のためにご尽力いただき、ありがとうございます。おかげさまで活気が戻って参りました。。

例文にあるように「ご尽力」の使い方は、基本的に目上の人・上司への感謝の気持ちを表すときに使用します。

「力を尽くしてくれてありがとうございます」といったシーンが一般的です。

例えば、プロジェクトの準備をしていて、「上司が一生懸命対応してくれた…。」といったシーンで使えるでしょう。

この際、「ひとえに」などの堅い印象に仕上げると、より改まった文章になりますよ。

注意点は相手がどこまで対応してくれたかによって「お力添え」になりうることもあります。あくまで相手がかなりの労力を費やしてくれた場合に使用してくださいね。

【参考記事】「ご尽力」の使い方をより詳しく解説します


「お力添え」と言い換えできる類語一覧

お力添えの類語① ご協力

一助の類語 「ご協力」の意味や使い方とは?

「ご協力」は相手やまわりに対して協力をお願いしたい場面で使用します

ビジネスシーンや他社にメールを送る際に「ご協力のほど…」という内容を送る方も多いと思います。

ご協力は「お力添え」と同じように、相手に依頼をするときに使用できる敬語です。

ただし「ご協力」はあくまで強制ではなく「できたらお願いしますね」というスタンスが特徴です。

そのため、キツく聞こえることはなく、柔らかい雰囲気を作り出すことが可能。「お力添え」と言いにくいときは、類語である「ご協力」を使ってみるといいかもしれません。例文を参考にしてみてくださいね!

「ご協力」の使い方

  • 皆様のご期待にお応えできるよう、精一杯努力いたしますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
  • 〇日△日に下記の時間にてサーバーのメンテナンスを行います。皆さまにはご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力のほど何卒よろしくお願いいたします。
  • 整列にご協力いただきありがとうございます。

【参考記事】「ご協力」の使い方を例文付きで解説


お力添えの類語② ご助力

一助の類語 ご助力の意味とは

続いての類語は「ご助力(ごじょりょく)」です。ご助力は「お力添え」と同じように、相手の手助けや力を添えることの意味をもっている敬語です。

ご助力の場合は、自分自身が相手を助ける際に使用します

自分力を貸す場合は「助力します」という表現ですが、もし目上の方へ依頼をしたい場合は「ご」をつけて「ご助力」とします。

また「ご助力いただき〜」とお礼をいうシーンやメールでも使えるので、「お力添え」の類語として使いやすいと思います。

「ご助力」の使い方

  • もしよければご助力させていただきますよ。
  • 現在〇〇というプロジェクトが遂行しています。ぜひ△△様のご助力いただけないでしょうか?
  • このプロジェクトを実現するために、ご助力くださった全ての方に感謝申し上げます。

【参考記事】「ご助力」の意味から使い方まで詳しく解説


お力添えの類語③ ご支援

一助の類語 「ご支援」の意味とは?

続いての類義は「ご支援」です。

「ご支援」は相手からの支援(金銭的・応援・協力を含む)を敬った敬語で、基本的には支え助けることがベースとなっており、「お力添え」と意味は一緒。

使い方はお礼や謝罪でも利用できますが、一般的は依頼を行うシーンで多く使用します。また、ご支援自体はビジネスシーンで目上、目下関係なく使用できますよ。

ただし、「ご支援」ときくと金銭目的かもしれないというイメージもつきやすいので、メールなどで送り場合とくに注意しましょう。

ご支援を使う際は、「微力ながら」など謙遜の言葉を使うと、より綺麗でスマートな敬語文になりますよ。

「ご支援」の使い方

  • 今後ともご理解ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます
  • いつも皆さまの多大な「ご支援」をいただきありがとうございます
  • いつもお世話になっております。微力ながらご支援させていただきました。よろしくお願いいたします。

【参考記事】「ご支援」の意味から使い方まで解説


お力添えの類語④ おかげさまで

ご支援の類語②おかげさまでの意味とは

「おかげさまで」は他人から受けた助けや親切に対してお礼の気持ちを表す敬語です。

人から何かをしてもらった際の「ありがとう」という意味でもあるので、「お力添え」と同じように、お礼の気持ちを使いたいときに使用できますよ。

ただし、「おかげさまで」の場合は、お礼を表す敬語なので第三者に依頼をしたり、謝罪をするときの使用はできないです。いい意味で使用すると覚えておきましょう。

「おかげさまで」の使い方

  • おかげさまでチームを売り上げナンバー1に率いることができました。
  • おかげさまで販売開始1時間で完売いたしました!ありがとうございます
  • お世話になっております、おかげさまで〇〇社との商談は無事に終わりました。

お力添えの類語⑤ ご援助

ご協力の類語⑥ご援助の意味とは

続いては「ご援助」の使い方をご紹介します。「ご援助」は困難な状況である人を助けるという意味があります

「ご」がつくことで相手を敬う気持ちなり、一般的には「ご支援」とほぼ同じような使い方ができるでしょう。

何か相手から援助をしていただいたお礼や、援助をお願いしたいというときに使用するため、「お力添え」と同じく依頼する場合に使うことがおすすめです

しかし「ご支援」と同様に「ご援助」は金銭目的なイメージもあるため、ビジネスシーンでいきなり使うことは避けた方がよさそうです。

「ご援助」の使い方

  • 発展途上国へ物資のご援助をいただき、誠にありがとうございます。
  • 〇〇様のご援助があったからこそ、我が社は大きく成長できました。深くお礼を申し上げます。
  • イベントを行うためには、御社のお力が必要です。ご援助していただけないでしょうか?

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