"ご査収の程"の意味/使い方。目上への丁寧な例文付き|ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2019.03.11
「確認して受け取ってくださいますよう〜」を意味する敬語、ご査収の程。履歴書や見積書の確認などビジネスシーンで多く使われる言葉になります。今回は、ご査収のほどの使い方から目上にも使える丁寧な例文、言い換え表現、類語まで徹底解説。正しい使い方をマスターしましょう!

「ご査収の程」の意味とは?

ご査収くださいを丁寧に表したご容赦くださいませ

「ご査収のほど」とは、「よく調べて受け取っていただけますよう、〜」という意味を持つ敬語表現です

元々は「察」を使っていましたが、「査」の字を代用するようになりました。そのため、確認する、調べる、見る、考えるなどの意味を持ち、考査、調査、検査などに使われます。「査収」は調べて受け取るという意味です。

「ご査収の程(ほど)」に使われている「程」には、「ある広がりをもった空間。あいだ。」という意味を持ちます。

「査収」だけですときつめな表現になるので、「程」をつけて「ご査収の程」という婉曲な言い回しにしています

査収に丁寧さをプラスする接頭語「ご」と「程」をつけることで、「ご査収の程」はビジネスでも使える丁寧な敬語になります。


「ご査収の程」の正しい使い方・タイミングとは?

ご査収の程の使い方やタイミング

「ご査収の程」はどのようなときに使うのでしょうか

「査収」の類語として「確認」という言葉もあります。確認するという場合、受け取るものがなくても使えますが、査収は受け取るという意味が含まれます

そのため、メールなどで資料や見積書など文書を添付した場合や郵便物やファックスで見積書や履歴書などを送るときに一緒に送る送付状などで使われます。送付状というのは、送るものの枚数など漏れがないようにという目的もあり、ビジネスでは最低限の礼儀になっています。

「ご査収の程」は何かを送るときに使われるのが一般的です。受け取るものがない場合は「査収」を使えませんから注意しましょう。もちろん、「ご査収の程」は敬語として目上の人や上司にも使えます


「ご査収の程」の後に続く定番の例文とは?

ご確認くださいの言い換えできる類語
  • ご査収の程、お願いいたします
  • ご査収の程、よろしくお願いいたします
  • ご査収の程、何卒よろしくお願い申し上げます

「ご査収の程」という言葉は日常的な会話では使いません。履歴書や見積書などを送付したときに送付書等ビジネスに関するシーンで使われる言葉です。

送付した書類を確認することを促すために、「ご査収の程」の後には基本的にお願いする言葉が続くことが一般的です。

例文にあるように、「お願いいたします」やさらに丁寧な敬語で「お願い申し上げます」などが使われます

もっと丁寧にしたい場合は、例文同様、「よろしく」や「何卒よろしく」をつけましょう。ただし、社内で上司にメールを送付する場合は、ここまで丁寧にする必要はありません

【参考記事】「ご査収の程よろしくお願いいたします」を使った例文一覧


「宜しくお願い致します。」は使わない。

平成22年に内閣訓令「公用文における漢字使用等について」という文書が発行されました

内閣訓令によると公用文における漢字使用は「常用漢字表」によるものとなています。「宜」は,「常用漢字表」に記載されていますが,「ギ」という読み方だけで「よろしく」という訓読みも意味も持っていません

そのため、公用文では「宜しく」は使えません。また、「致します」は補助動詞で、補助動詞はひらがな表記を勧めています。たとえメールであれ、ビジネスで使われる文書は公用文の規定に従った方がよいでしょう。

【参考記事】「よろしくお願いいたします」の使い方を例文付きで解説します


「ご査収の程」を使った目上に使える例文一覧

ご確認くださいと言い換えできる類語
  • ご査収の程、よろしくお願いします。
  • ご査収の程、よろしくお願いいたします。
  • ご査収の程、よろしくお願い申し上げます。
  • ご査収の程、何卒よろしくお願いいたします。
  • ご査収の程、どうぞよろしくお願いいたします。
  • お忙しいところ恐縮ですが、ご査収の程よろしくお願いいたします。
  • お忙しいところ恐れ入りますが、ご査収の程何卒よろしくお願いいたします。

意味としてはどの例文も同じく、確認することを促します。上から下にかけて、丁寧さが強くなった言い方なため、下の例文であればあるほど、目上の人に使っても波風立ちにくい敬語になります

目上というだけではなく、社外で取引相手などの場合、相手の忙しさなどに気遣いを見せる「お忙しいところ恐れ入りますが」などをプラスすると大変丁寧です

「恐縮ですが」と「恐れ入りますが」は、同じ意味で申し訳なく思う気持ちを表すときに使います。ビジネスでメールをするときに覚えておきたい言葉です。

【「例文」で使われている敬語】
「恐れ入りますが」の意味とは?"恐縮ですが"との違いまで徹底解説

「恐縮ですが」の意味とは?正しい使い方から例文まで解説

「お忙しいところ恐縮ですが」の使い方|例文から言い換えできる類語までをご紹介!


「ご査収の程」と言い換えできる!"ご査収"を使った敬語とは?

ご足労いただきましてを使った例文・使い方

「ご査収のほど」は、ご査収をお願いする際に使われる1つの表現でしかありません。

より丁寧な言い回し、カジュアルなお願いする場合は、「ご査収」を使った例文を上手に使うと良いでしょう。

  • ご査収くださいますよう
  • ご査収いただきますよう
  • ご査収くださいませ
  • ご査収願います

ここから、各例文の使い方・例文について詳しく確認していきましょう


ご査収の程の言い換え表現① ご査収くださいますよう、

ご査収の程よろしくお願いいたしますの類語 ご査収くださいますよう

「ご査収くださいますよう」は、主にお願いする時に使われる敬語表現になります

「ください」は「くれる」の尊敬語ですが、「ご査収ください。」だけでは意味は通じても、敬語として丁寧さに欠けます。これは、「ください」は、確認することを命令しているニュアンスがあるから

そのため、「ご査収の程」と同様に、「ご査収くださいますよう」にお願いする動詞を続けることで目上の方や上司にも使える表現になります

「ご査収くださいますよう、」の使い方

  • 履歴書を送付いたしましたので、ご査収くださいますよう、お願いいたします。
  • 詳しくは添付書類に記載しておりますので、ご査収くださいますよう、何卒よろしくお願いいたします。
  • お忙しいとは思いますが、ご査収くださいますよう、どうぞよろしくお願いします。

【「例文」で使われている敬語】
「ご査収ください。」は目上には使えない?丁寧な言い換え表現を徹底解説


ご査収の程の言い換え表現② ご査収いただけますよう、

ご査収の程よろしくお願いいたしますの類語 ご査収いただけますよう

「ご査収いただけますよう」の「いただく」は「もらう」の謙譲語で、確認してもらうことを表す敬語です

「ご査収の程」と「ご査収いただきますよう」は類語ですが、「いただく」ということでよりへりくだった感じが出ています。

「ご査収の程」も「ご査収いただきますよう」、どちらもビジネスで使える丁寧な言い方です。メールや送付状にどちらを使っても敬語として問題はありません。例文を読んで、どのように使われるかをチェックしましょう。

「ご査収いただけますよう」の使い方

  • 履歴書を同封いたしましたので、ご査収いただけますよう、お願い申し上げます。
  • 見積書を添付しておりますので、ご査収いただけますよう、よろしくお願いいたします。
  • お忙しいところ大変恐れ入りますが、ご査収いただけますよう、よろしくお願いいたします。

ご査収の程の言い換え表現③ ご査収くださいませ

ご査収の程よろしくお願いいたしますの類語 ご査収くださいませ

「確認する」ことをお願いするときに「ご査収くださいませ。」と書くと「ご査収の程、よろしくお願いいたします。」に比べると短く、少しくだけた感じになります。

しかし、「ご査収くださいませ。」は、社内での上司へのメール等に使えます。「ご査収ください。」との違いは前述したように、正式な言い方は「くださいませ」なので、「ください」と切ってしまうより丁寧な言い方になるということです。

ただし、ビジネスのメールでは、「ご査収の程」を使ったほうが無難でしょう

「ご査収くださいませ」の使い方

  • 見積書が送られてきました。転送いたしますので、ご査収くださいませ。
  • 提案がいくつがあります。添付書類にまとめておりますので、ご査収くださいませ。
  • 展示会の様子を撮影し、送付します。ご査収くださいませ。

【「例文」で使われている敬語】
「ご査収くださいませ」の使い方から類語まで分かりやすく解説します


ご査収の程の言い換え表現④ ご査収願います

ご査収の程よろしくお願いいたしますの類語ご査収願います

「ご査収願います。」は「ご査収の程、よろしくおねがいいたします。」に比べるといささかラフな感じを受けます。

敬語ではあるため、社内で上司に確認することを伝えるメールに使用しても問題はありません。ただし、年上の言葉等にうるさい上司には使わないほうがいいでしょう

ビジネスメールや履歴書を送ったときの送付状などには使わないようにし、「ご査収の程、よろしくお願いいたします。」と丁寧に書くように心がけた方が、心象を良くします。

「ご査収願います」の使い方

  • 先日お申し込みになった条件でお見積書を作りました。添付いたしますのでご査収願います。
  • お申し込みありがとうございました。領主書を同封いたしますのでご査収願います。
  • 資料を添付いたしましたのでえご査収願います。

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