"お忙しいところ恐縮ですが"の使い方。言い換え類語も!ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2024.05.08
クッション言葉の1つ、お忙しいところ恐縮ですが。幅広いビジネスシーンで使える敬語なため、正しい使い方をマスターしたいはず。今回は、お忙しいところ恐縮ですがの意味から正しい使い方、目上の人に使える丁寧な例文、言い換え可能な類語まで詳しく解説します。

「お忙しいところ恐縮ですが」の意味とは?

お忙しいところの使い方①お忙しいところ恐縮ですが

「お忙しいところ恐縮ですが」とは、忙しいのに申し訳ないですがといった意味を持つ敬語表現です

「ところ」はもともと「所」、つまり場所を表す言葉でしたが、形式名詞として使われるようになり「時間」「状況」を表します。

「お忙しいところ」は、「お忙しい中」「ご多忙のところ」などと言い換えられ、「忙しい時間に」「忙しい状態で」といった意味をもつ表現です。忙しいのに申し訳ないという「お詫び」の気持ちも入っています。

「恐縮ですが」は「恐れ入りますが」とも言い換えられ、煩わせてしまうことに対するお詫びを表す敬語表現です

この2つのフレーズが繋がって「お忙しいところ恐縮ですが」というビジネスシーンでよく使われる決まり言葉になりました。

ビジネスで何かを頼むようなときに、相手の状態をねぎらう意味で付け加えます。特に社内メールで上司や先輩、また外部へのメールでも使用できる表現です。


ビジネスシーンの「お忙しいところ恐縮ですが」の正しい使い方

差し出がましいはクッション言葉として使う

ビジネスシーンでは、はっきりお断りができなかったり、直接何かを頼みにくかったりといった場面が多々あります

そのようなシーンで便利なのが「クッション言葉」です。クッション言葉とは、相手にお願いしたり、異論を唱えたりするときに本題の前に添えられるフレーズのことです

言いにくい用件をワンクッション置くことで、相手の気持ちをほぐし本題を述べやすくなります。

「お忙しいところ恐縮ですが」もクッション言葉の1つで、上司等の目上に社内メールを送るときだけではなくビジネスシーンで頻繁に使われるフレーズです。「忙しくて申し訳ありませんが」という意味を添えることで、相手の気持ちをねぎらいます。

したがって、「お忙しいところ恐縮ですが」のあとには、頼みごとなどが続くのが一般的です


「お忙しいところ恐縮ですが、」の丁寧な例文一覧

お忙しいところ恐縮ですがの意味や使い方
  • お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
  • お忙しいところ恐縮ですが、お送りした資料をご査収ください。
  • お忙しいところ恐縮ですが、ご返信をよろしくお願いします。いつもありがとうございます。
  • 先日は大変お手数をおかけしました。お忙しいところ恐縮ですが、もう一点確認していただきたいことがございます。
  • お忙しいところ恐縮ですが、今週中にご返信していただけますと幸いです。
  • お忙しいところ恐縮ですが、お取り計らいのほど、どうぞよろしくお願いいたします。
  • お忙しいところ恐縮ですがお忙しいところ恐縮ですが、ご検討をしていただきたく存じます。

「お忙しいところ恐縮ですが」というのは「忙しくて申し訳ないけども~」という意味ですが、相手が忙しいかどうか関係なく使えます

「お忙しいところ恐縮ですが」と始まることによって、柔らかく、相手を優しくねぎらうような雰囲気になり、好感度が高まりますよ。

いきなり頼みごとを書くと(言うと)「忙しいのに」という気持ちが生じてしまうものですが、例文のようにクッション言葉を置くと相手も気持ちが柔らかくなり、「忙しくなんてないよ」と応対してくれる可能性も。

気持ちよくコミュニケーションを取る手段として、いつも使えるようにしておきましょう。

【「例文」で使われている敬語】
「よろしくお願いいたします」の正しい使い方を例文付きで簡単に解説します

「ご査収ください」の意味とは?例文から言い換えできる類語まで解説

「お取り計らい」の意味から正しい使い方まで分かりやすく解説!


「恐縮ですが、」と「恐れ入りますが、」の違いとは?

「恐縮ですが、」と「恐れ入りますが、」の違いとは?

「恐縮」を辞書で調べると、「恐れ入ること」と出ています。つまり「恐縮ですが、」と「恐れ入りますが、」はほぼ同義語と捉えていいということです

「恐縮ですが、」も「恐れ入りますが、」も、丁寧な敬語表現で目上の人と話すときにも、社内で上司宛のメールや取引相手へのメールなどの書き言葉でも使えます。

ただし、漢語である「恐縮ですが、」よりも和語である「恐れ入りますが、」の方が柔らかい言い回しです。そのため会話では「恐れ入りますが、」の方が使いやすいかもしれません。

また、どちらの言い回しも「恐縮です」「恐れ入ります」と「ありがとうございます」の代用として使えます。

【参考の敬語一覧】
「恐縮ですが」の使い方を例文付きで分かりやすく解説!

「恐れ入りますが」の使い方|言い換えできる類語から例文まで徹底ガイド


「お忙しいところ恐縮ですが」と言い換えできる類語一覧

お忙しいところ恐縮ですがの類語① ご多忙のところ恐縮ですが

お忙しいところ恐縮ですがの類語①ご多忙のところ恐縮ですがの意味とは

「お忙しいところ」は「ご多忙のところ」と言い換えて表現することも可能です。ご多忙とは、大変忙しい意味する言葉

そのため、「大変忙しいところ申し訳ないですが」と同様の意味で活用できます。上司など目上の人にも使える敬語ですが、特に硬い文章で送るビジネスメールには「ご多忙のところ恐縮ですが」を用いるが一般的です

どちらを使っても構いませんが、文章の雰囲気に合わせてどの言葉を使うかをきちんと見極めるようにしましょう。

「ご多忙のところ恐縮ですが」の例文

  • ご多忙のところ恐縮ですが、◯月◯日までにご返信くださるようにお願い申し上げます。
  • ご多忙のところ恐縮ですが、来場いただけますと幸いです。
  • ご多忙のところ恐縮ですが、見積書に1度目を通していただけますようお願い申し上げます。

お忙しいところ恐縮ですがの類語② ご多用中恐れ入りますが

お忙しいところ恐縮ですがの類語②ご多用中恐れ入りますがの意味とは

「ご多用中恐れ入りますが」も「お忙しいところ恐縮ですが」の類語でお詫びの気持ちを添える敬語です

「多忙」と「多用」はよく似ており、使い方は基本的に同じです。忙しいが多い、と用事が多いということでどちらも時間が少ししかない状態を表しています。

ただし「忙」という文字は「心を亡くす」という作りになっており、人によっては不快に感じる場合もあるようです。

特に結婚式やお葬式などの冠婚葬祭の場面では「多忙」は使わず、「ご多用中恐れ入りますが」を用いるようにしましょう

「ご多用中恐れ入りますが」の例文

  • ご多用中恐れ入りますが、式にご参加していただけますと光栄です。
  • ご多用中恐れ入りますが、確認書を9月末日までにご提出いただけますと幸いです。
  • ご多用中恐れ入りますが、今日中のご返信をお待ちしています。

お忙しいところ恐縮ですがの類語③ 差し支えなければ

お忙しいところ恐縮ですがの類語③差し支えなければの意味

「差し支えなければ」は「お忙しいところ恐縮ですが」の類語表現です。厳密に言えば「差し支えなければ」は敬語ではありません。

しかし、相手の立場を労いながらお詫びの気持ちを添えているクッション言葉で丁寧な言い方です。「差し支え」の意味は、支障・妨げ・不都合などで、「差し支えなければ」は「都合が悪くなければ」という意味になります。

ビジネスメールなどで言いにくいことを切り出す場合に、社内メールで上司に送る場合も社外の取引先にも使えます。

「差し支えなければ」の例文

  • 差し支えなければ、今週中にご返信いただけますと幸いです。急にこのような無理を申すことをお詫びいたします。
  • 差し支えなければ、明日の午後に貴社に立ち寄らせていただければと存じます。
  • 差し支えなければ、こちらにお名前とご住所をお書きくださいませ。

【参考記事】「差し支えなければ」の意味から正しい使い方までをまとめました


お忙しいところ恐縮ですがの類語④ お忙しいところご迷惑をおかけしますが

お忙しいところ恐縮ですがの類語④お忙しいところご迷惑をおかけしますがの意味とは

「お忙しいところご迷惑をおかけしますが」も「お忙しいところ恐縮ですが」と使い方が同じ類語表現です。

「お忙しいところご迷惑をおかけしますが」の方が、お詫びの気持ちをより表しているといえます。「迷惑」という言葉は、日常的にもよく使う表現で、目上や上司にも使用できます。

「迷惑」の意味は「不利益を与えられること」「煩わしさを感じること」です。そのため目上の人に煩わしさを感じさせたかもしれない場合は「ご迷惑」を使えます。

「お忙しいところご迷惑をおかけしますが」は、誠意が感じられる好感度の高い敬語表現なため、シーンに応じて積極的に活用してみてください。

「お忙しいところご迷惑をおかけしますが、」の例文

  • お忙しいところご迷惑をおかけしますが、どうかご了承いただけますようにお願い申し上げます。
  • お忙しいところご迷惑をおかけしますが、何卒寛大なお気持ちでお受け取りいただけますようお願い申し上げます。
  • お忙しいところご迷惑をおかけしますが、できるだけ今週中に返信していただけますと幸いです。

お忙しいところ恐縮ですがの類語⑤ お手数ですが

お忙しいところ恐縮ですがの類語⑤お手数ですがの意味とは

「お手数ですが」も「お忙しいところ恐縮ですが」の類語表現で上司へのメールなどにも使える敬語表現です。

「手数」は普通は「てすう」と読みますが和語で「てかず」という場合もあります。手数の意味は国語辞典によると「手間のかかること」。

「お手数ですが」は手間をかけて申し訳ないというお詫びの気持ちを添えたクッション言葉です。「お手数ですが」は、時間があるなしに関わらずこのように面倒なことをお願いして申し訳ないという気持ちが強く入ります

社内の上司へのメールやビジネスメールなどにも使える表現です。

「お手数ですが」の例文

  • お手数ですが、添付した書類をご査収の上、ご返信いただけますと幸いです。
  • お手数ですが、◯月◯日までにご回答をお願い申し上げます。
  • お手数ですが、貴社のプロジェクトに関する資料を送ってくださるようお願いいたします。

【参考記事】「お手数ですが」は目上の人に使える?言い換えできる類語もご紹介!


「お忙しいところ恐縮ですが」の英語表現例文

ご連絡差し上げるの英語表現
  • I understand you are terribly busy, but it is greatly appreciated if (あなたが大変お忙しいのは知っていますが、〜してくださったら大変感謝します。)
  • Would you be so kind as to ...?(親切に…してくださいますか)
  • I appreciate your time in advance(時間を作ってくれることを感謝します)
  • Sorry to bother you but(邪魔をして申し訳ありませんが)
  • Please excuse me for interrupting but (邪魔をすることを許して欲しいのですが)
  • Sorry to bother you for a minute but(あなたを短時間煩わせますが)

英語ではあまり格式張らない方がいい場合もありますから、例文のようにSorry to のように主語を外して、なおかつ相手の貴重な時間を使わせてしまったお詫びを表現しましょう。

英語の動詞interruptやbotherを使うと「煩わしいことをさせている」という気持ちが通じます。

英語で直訳的にThough you may be busy, please do it.などは、違和感があり失礼ですから使わないようにしましょう。


「お忙しいところ恐縮ですが」はクッション言葉として上手に活用しましょう!

「お忙しいところ恐縮ですが」の使い方と類似表現、英語で表現する場合の言い方を紹介しました。

クッション言葉を用いることで、自身の要望や意見も相手へスムーズに述べやすくなります。ぜひ例文などを参考にして、少しずつ使い方をマスターしてくださいね!

【参考記事】「仰る」の使い方ガイド。例文から類語まで分かりやすく解説します

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