"お納めください"の意味/使い方。返し方&類語も解説|ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2018.08.29
受け取ってくださいと伝えられる敬語、お納めください。お金や見積書など大切な物の受け渡しで使うため、正しい使い方を覚えておきましょう。今回は、お納めくださいの意味から、ご査収くださいとの違い、言い換えできる類語まで解説。例文もご紹介しますので、ぜひご覧ください。

「お納めください」の意味とは?

ご査収くださいの類語のお納めください

ビジネスシーンでよく使用される「お納めください」。

「どうぞ受け取ってしまってください」という意味で、何か贈る際に多くの人に活用されています。

「納める」という漢字には、「決められた場所にしまう」「片付ける」「受取手に決められたものを渡す」などといった意味を持っています。

そこに「お〜ください」と付け加えることで、尊敬語を示す敬語としての使い方が可能。

送られた方は、「頂戴いたします」「いただきます」などと言ってから受け取ることが多いです

くれぐれも、「頂戴してください」などと言わないよう注意してくださいね。ちなみに家賃や税金など、お金を支払うときにも「納める」は使われますよ。


「お納めください」は、目上の人に使えるのか?

お納めくださいは目上の人へ使えるのか

ビジネスシーンでよく耳にする「お納めください」ですが、上司など目上の人に使えるのか使い方に関して不安を感じる人もいるでしょう。

基本的には尊敬語なので、上司などの目上の人や取引先には使用可能です。一方、立場が下の人や部下に対しては使用しないので注意が必要。

上司など目上の人に贈るときは、「よろしければお納めください」と言うことで、より丁寧さを出すことも可能に。ぜひ何かものを贈るときは、このような言葉と一緒に渡してみてくださいね。


「お納めください」を使った敬語文とは?

ご確認くださいの上手な返信方法とは
  • こちらで記念の品を用意しましたので、どうかお納めくださいませ。
  • 図書券を同封いたしましたので、お納めくださいますようお願い申し上げます。
  • こちらの品物を、どうかお納めいただければ幸いです。
  • ほんの心ばかりですが、お納めくださいませ。
  • ささやかながらお祝いの品を託送いたしましたので、お納めください。
  • 約束の品を持参いたしましたのでお納めください。今後とも、変わらぬご愛顧をよろしくどうぞよろしくお願い申し上げます。

「こちらで記念の品を用意しましたので、どうかお納めくださいませ。」
「図書券を同封いたしましたので、お納めくださいますようお願い申し上げます。」

といった例文にあるように、上司などへ何か渡すときに添える言葉として使われることが多いです。

その時に、「今後とも、変わらぬご愛顧をよろしくどうぞよろしくお願い申し上げます。」といった文例などビジネス相手との関係性の継続について述べるのもいいでしょう。

お寺などでお金を出してお守りを買うときなどは「〇〇円お納めください」と言われます。

しかし、非常にフランクな言い方になるため、結婚式でご祝儀などお金を渡すときは「お納めください」は不適切なので言わないよう注意してください


「お納めください」への返事の仕方とは?

お納めくださいへの返事の仕方
  • A:ほんの心ばかりですが、お納めくださいませ。
  • B:確かに受け取りました。お心遣いありがとうございます。
  • A:図書券を同封いたしましたので、お納めくださいますようお願い申し上げます。
  • B:頂戴いたします。送付していただき感謝いたします。
  • A:約束の品を持参いたしましたのでお納めください。今後とも、変わらぬご愛顧をよろしくどうぞよろしくお願い申し上げます。
  • B:いただきます。こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

基本的には、「お納めください」と言われたときの返事としては、「頂戴いたします」「お心遣いありがとうございます」「いただきます」といった文例がおすすめ

返事として物足りないときは、

「確かに受け取りました」
「送付していただきありがとうございます」
「今後ともよろしくお願いいたします」

といった文例を付け加えることで、より丁寧さが出せますよ。

これらのお礼は、感謝の意味だけでなく品物やお金を受け取ったことの報告も兼ねているので、できるだけ早めに伝えましょう。

【「例文」で使われている敬語】
「お心遣い」の意味&使い方。目上の人にも使える例文まで解説します

「お心遣いありがとうございます」の意味とは?言い換えできる類語まで解説!


「お納めください」と「ご査収ください」の違いとは?

お納めくださいとご査収くださいの違いとは

普段よく「お納めください」という敬語を使用している場合、時折「ご査収ください」とどちらがいいのか迷ってしまうこともあるかもしれません。

「査収」には、「よく調べてから受け取ってください」といった意味を持っています。この2つの敬語の異なる点は、中身を確認する必要があるかどうか

「ご査収ください」と言った場合、受け取るだけでなく中身をしっかり確認してほしい旨が含まれています。

ビジネスシーンにおいては、見積書や請求書といた書類を送る際に「ご査収ください」が使われることが多いです。

【「査収」の参考記事一覧】
「ご査収」の意味&使い方。目上の人に失礼のない丁寧な例文まで解説

「ご査収ください」の意味とは?正しい使い方から言い換えできる類語まで解説

「ご査収くださいませ」は、目上にも使える?正しい使い方を例文付きで解説します


「お納めください」と言い換えできる"ご査収ください"の使い方とは?

  • 書類の方を添付いたしておりますので、どうぞご査収くださいませ。
  • 先日ご依頼いただいた書類を添付しておりますので、ご査収ください。
  • 先日の会議における議事録を添付しておりますので、ご査収くださいませ。

「書類の方を添付〜、ご査収くださいませ。」
「先日の会議における〜、ご査収くださいませ。」

といった文例など、基本的には見積書や会議資料、さらには議事録など確認が必要な書類を送付するときに「ご査収ください」という敬語が使われます

ぜひ「お納めください」と使い方を区別して、ビジネスシーンにおいて使い分けてみてくださいね。

【「例文」で使われている敬語】
「ご依頼」の意味/使い方。丁寧な例文から類語まで詳しく解説します


「お納めください」の類語一覧

お納めくださいの類語一覧

「お納めください」は、主に検収書などビジネス文書の中でも非常に大切な物の受け渡しで使われます。

ちょっとしたプレゼントなどに使うのには適さないといえるでしょう。そんな時は、類語の中から適した敬語を選択するのがベスト。

ここから、「お納めください」の代表的な類語を3つご紹介します。

  • ご笑納ください
  • ご受納ください
  • お受け取りください

各類語の使い方・例文を確認して正しい敬語を見につけましょう。


お納めくださいの類語① ご笑納ください

ご査収くださいの類語のご笑納ください

「お納めください」の類語としてまず挙げられるのが、「ご笑納ください」。

「ご笑納」は、「つまらない贈りものですが、どうか笑って納めてやってください」といった意味がある言葉で、相手に対してへりくだるようなときに使われることが多いです。

基本的には、上司などの目上の人もしくはビジネス相手に何か贈るときに添える敬語で、冗談を言い合えるような人に対して謙遜する言葉として使うのがおすすめ。

ちなみにあまり仲が良くない目上の人に対しては、不適切になることもあるので注意してくださいね。

「ご笑納ください」の使い方

  • つまらないものですが、ご笑納くださいませ。
  • ささやかながら、お中元を贈らせていただきました。どうかご笑納くださいませ。
  • 今年も大変お世話になりました。お歳暮の品を贈らせていただきましたので、ご笑納ください。

【「例文」で使われている敬語】「ご笑納」の意味/使い方|目上の人に使える例文から類語まで解説!


お納めくださいの類語② ご受納ください

お納めくださいの類語のご受納くださいの意味

「ご笑納ください」以外の類語として紹介したいのが「ご受納ください」。「受納」とは、「手紙やお金を受け取る」といった意味を持つ言葉になります

基本的には「お納めください」とほとんど同義語で、何かものを渡すときに添えることが多くなります。

ですが、あまり一般的に使われている言葉ではないので、「お納めください」の方が相手に伝わりやすいことも。

ビジネスなどでより相手に対してへりくだって言いたいときは、「つまらないものですが」などと付け加えてみるのもいいでしょう。ぜひ下記の例文を参考にしてみてください。

「ご受納ください」の使い方

  • ほんの心ばかりですが、どうかご受納くださいませ。
  • ささやかながらお祝いの品を受託いたしましたので、つまらないものですがご受納ください。
  • 約束の品を持参いたしましたのでご受納ください。今後ともよろしくお願い申し上げます。

お納めくださいの類語③ お受け取りください

ご査収くださいの類語のお受け取りください

こちらも「お納めください」の類語としてよく使われる類語です。

「お納めください」をよりわかりやすく言い換えた敬語ですが、ビジネスシーンで使用するのはあまり一般的ではありません。

「ご笑納ください」「ご査収ください」といった類語の方が、より丁寧さが感じられるでしょう

ビジネスメールなどにおいては、より堅苦しい敬語が求められることも。そうしたときは「お納めください」や「ご笑納ください」を使用することをおすすめします。

「お受け取りください」の使い方

  • こちらつまらないものですが、どうかお受け取りくださいませ。
  • 図書券を同封いたしましたので、お受け取りくださるようお願いいたします。
  • こちらで記念の品を用意いたしましたので、どうぞお受け取りください。

「お納めください」の英語表現

賜るの英語表現
  • Here you are.(お納めください。)
  • This is 〇〇. I hope you like it.(こちらは〇〇です。お納めください。)
  • Please kindly refer to the attachment.(お納めください。)
  • Please accept it.(どうかお納めください。)
  • Please accept our small gift.(つまらないものですがお納めください。)
  • Please accept this as a small token of my gratitude.(これはほんの志ですがお納めください。)

「お納めください」に関する英語表現も非常にさまざまですが、ポイントになるのは"please"を使用しているところ。より丁寧さが感じられ、言われた方も嬉しく感じるはず。

そのほかにも、"Please accept our small gift"といった英語表現を使用すれば、相手にへりくだることができます。

ぜひ上記の例文を参考にして、積極的に使用してみてくださいね。


「お納めください」を正しく使えるビジネスパーソンに。

「お納めください」の使い方から返事に関する例文、さらには「ご笑納ください」「ご受納ください」などの類語や例文から英語表現についてご紹介しました。「お納めください」は、今のビジネス社会ではよく使われる敬語。ぜひ使い方や文例を参考にして、何かものを贈るときは「お納めください」を正しく使いこなしていきましょう。また「お納めください」と言われたときは、返事も忘れないように心がけましょう。

【参考記事】「気兼ねなく」を正しく使えば、ビジネス関係がより円滑に

【参考記事】「ひとえに」は、感謝だけではなく、謝罪にも使える?

【参考記事】目上の人に使える「わかりました」の敬語とは?

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