"予めご了承ください"の意味/使い方。丁寧な言い換え付き|ビジネス敬語ガイド
「予めご了承ください」の意味とは?
「予めご了承ください」とは、「前もって理解してください」を意味する敬語表現です。
これから始まることや、予定されている事態に対して、理解を求めたり同意してもらいたかったりするときに使用する敬語の1つになります。
最初に登場する「予め(あらかじめ)」は、前もって伝えておくときや将来のことを事前に通知するような場合に使います。すぐに発生することよりも、時間的な観点からするとかなり先のことを指すことが多いかもしれません。
また、「ご了承」は、理解してもらいたいときや納得してもらいたい内容を含め、「こちらの要求を受け入れてもらいたい」ときにビジネスで使う言い回しです。
さらに、普段使い慣れている補助動詞の「~ください」も敬語です。これは、丁寧な表現で敬意を示しながら、何かを依頼したりお願いしたりする場合に使います。
「予めご了承ください」の正しい使い方とは?
「予めご了承ください」を文章として記載したり会話に使ったりするタイミングは、「張り紙」や「案内状」、カードなどの「送付状」などに使用されます。
そのため、ビジネスでも使われる敬語であるとはいえ、不特定多数の人が対象となるため、全体通知やアナウンスに使われることが多いでしょう。
カードや資料が郵送されてくるとき、また、商品同送の案内状や取扱説明書など、メールや書類で文末などに記載されているのを見かけます。
これは、購入してくださった方に対する敬意の気持ちから、将来発生しかねない変更や状況の変化に対して、事前に何らかの変化や要求を受け入れていただきたいという意思を伝えるものです。
「予めご了承ください」は目上の人に使っても良い表現なの?
「納得してほしい」や「分かってくれ」、「了解してくれ」といった言葉を失礼にならないように丁寧にしたものが、「予めご了承ください」になるので敬語になるのは事実です。
しかし、立場が重要にもなるビジネスシーンでは、命令口調ととられかねない場合や依頼する意味になる言葉は、敬語であっても言い換えることが大切です。
そのため、顧客や特定のお客様への連絡に記載してしまうと、失礼なビジネス文章に取られがちな表現です。また、社内メールや伝達事項であっても、命令口調になるので上司に使うことも控えることがおすすめ。
目上の方や上司、外部のお客様への使用する言葉としては、「予めご了承ください」と命令するよりもお願いする言葉に表現を言い換えるほうが適した文章になるでしょう。
「予めご了承ください」と目上の人に伝えられる敬語表現とは?
「予めご了承ください」と目上の人に伝えるためには、どんな表現を使えば良いのか。
ここからは、「予めご了承ください」よりも丁寧な敬語表現を解説。
- 予めご了承くださいませ
- 予めご了承くださいますよう、
- 予めご了承いただく
以上3つの敬語は、「ご了承ください」よりも丁寧な表現になります。使い方・例文をチェックしていきましょう。
「予めご了承くださいませ」の使い方
「予めご了承ください」に「ませ」を追加して、「予めご了承くださいませ」という表現に言い換えると、いくらか軟らかくなった表現に感じます。
とはいえ、要求を受け入れて欲しいという言い回しの「ご了承」に、依頼したりお願いしたりする「ください」がつけられているので、依頼の表現よりも少し強い命令の表現であることは変わりありません。
敬語としては問題がないとしても、ビジネスシーンでは会話もメールもマナーが重視されます。そこで、上司や顧客など目上の方に使用するのは失礼になることがるので控えるようにしましょう。
「予めご了承くださいませ」の例文
- 皆様におかれましては、予めご了承くださいませ。詳細に関しましては、後日再度ご連絡いたします。
- このサイトに記載されている内容は、事前の予告なく変更- 中止させていただくことがありますので、予めご了承くださいませ。
- 書面にて通知させていただくことになりましたので、予めご了承くださいませ。
- 〇月△日より停止させていただく運びとなりました。ご不便をおかけいたしますが、予めご了承くださいませ。
- 掲載されている色やデザインとは異なる場合もございますが、予めご了承くださいませ。
不特定多数のお客様や特定の商品や問い合わせに対して、後で事態が変わることを想定したり変更されたりすることを考慮に入れて、「予めご了承くださいませ」という言葉をメールや文末に使用することがあります。
例文にも表現されているように、後日もしくは将来的に起こりかねない事態の変化に対して使用される表現です。
言い換えると、「〇〇のようなことになりますが、分かってね」や「〇〇が起きた場合には変更されますが、理解してくれよ」と言う意味になり、命令口調よりも丁寧にした言葉と言えるでしょう。
それでも、ビジネスシーンで使う際には、社内・社外いずれの場合でも、注意が必要な敬語の1つとなります。
「予めご了承くださいますよう、」の使い方
目上の人である顧客や上司にも、今後起こりかねないことを理解してもらいたいという場面は、必ず存在します。
そこで、「予めご了承ください」を失礼な言い方にならないように、「予めご了承いただきますよう(お願い申し上げます)」と言い換えてみましょう。
「予めご了承ください」よりも丁寧な言い回しになるため、目上の人にも使いやすい敬語表現だと言えます。
「予めご了承くださいますよう、」の例文
- お取引先の皆様におかれましては、上記内容について予めご了承くださいますようお願い申し上げます。
- 大変ご迷惑をおかけいたしますが、予めご了承くださいますようお願い申し上げます。
- ~が完了する予定でございます。予めご了承くださいますようお願いします。
- 〇〇は承ることができません。予めご了承くださいますようお願い申し上げます。
- ~させていただくことを予めご了承いただけますようお願いいたします。
こうした例文の場合では、顧客や上司を含め目上の方を対象とし、理解を求める文章に使われます。
この「予めご了承くださいますよう...」の後に続く結びの言葉を謙譲語の「お願い申し上げる」に、丁寧語の「ます」を加える表現にすることで、敬語表現としては非常に丁寧な表現となります。
命令口調の「予めご了承ください」が失礼になることがあっても、「予めご了承いただきますようお願い申し上げます」と言い換えるなら、社内・社外問わず目上の方でも使用することが可能です。
【「例文」で使われている敬語】
・「お願い申し上げます」を使った例文ガイド。類語から英語表現まで解説!
・「ご了承くださいますよう」の意味とは?正しい使い方から類語まで解説
・「承る」の正しい使い方|目上に使える例文から言い換えできる類語までまとめました
「予めご了承いただく」の使い方
「予めご了承いただけますようお願い申し上げます」は、了承の前に「ご」をつけ、「〜いただく」と表現することで「~くださる」よりも上品で丁寧な言い方に変えることができます。
上司や取引先など目上の人にも比較的使いやすい敬語表現になるため、ビジネスシーンでも使える言葉ですよ。
「予めご了承いただく」の例文
- 価格改定の事情をご理解、ご了承いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
- 天候によりスケジュールを調整する可能性もございます。予めご了承いただきたいと存じます。
- ご迷惑をおかけいたしますが、ご了承いただけますと幸いです。
- ~の期間中は、ご注文に関する連絡はお取次ぎができません。お客様にご不便が発生することもございますが、ご了承いただけますようお願いいたします。
- 当社の提案をご了承いただき誠にありがとうございました。
「ご了承いただく」という理解を求める意味で使用する丁寧な言葉は、ビジネスシーンで欠かせない表現です。
最近では、表示価格の訂正、休業や祝日の営業時間のスケジュール変更、業務内容の変更などの通知やお知らせに使用することが増えました。
「〇〇な状況で不便になることがありますが、どうか理解してほしいんです」というような謙遜な意味合いが含まれます。謙遜とは、「下にいる」という意味が含まれる言葉なので、この文章を読む人すべてを目上の方として想定した表現ともいえるでしょう。
さらに5番目の例文にもあるように、お客様や先方が納得してくださった場合には、「ご了承いただき」という表現をビジネス会話でのお礼や感謝を表すのに用います。
【「例文」で使われている敬語】
・「ご了承いただき」の意味とは?正しい使い方から例文まで解説
・「存じます」は目上の人には使えない?正しい使い方を例文付きで解説します
「予めご了承ください」と言い換えできる類語一覧
予めご了承くださいの類語① 予めご理解ください
「予めご了承ください」の類語には、「予めご理解ください」などがあります。
この「予めご理解ください」は、すでに進んでいる、もしくは始まっていることに対して、許してもらいたいときなどに「分かってくださいね」という意味で使用します。
そのため、類語であっても「予めご了承ください」は将来起きるかもしれないことを理解してもらうために使いますから、時間的な観点から見ると使用のタイミングは異なります。
「予めご理解ください」の使い方
- 先ほど資料を送付いたしました。内容をご確認のうえ、予めご理解くださいますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
- 本案件につきましては、まことに申し訳ありませんが、予めご理解くださいますようお願いいたします。
- ~させていただきますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
予めご了承くださいの類語② 予めご容赦ください
「許すこと」や「許容する」ことを指す場合に使う「ご容赦」は、相手の理解を求めるだけでなく、謝罪する意味合いも含みます。
ビジネスシーンでお詫びを伝えたり自分自身の側に不手際があったりしたときに、謝罪を含めた表現にする場合は、「ご容赦ください」を用います。それで、「予めご容赦ください」と使う場合には、失敗や過失に対して大目に見てくださいねという意味になるでしょう。
類語である「予めご了承ください」は、これから起きることを始める段階で理解してもらいたいときに使用しますよね。
そこで、起きてしまったことを謝罪するときに使う「予めご容赦ください」とでは、使うタイミングが違う敬語の1つです。
「予めご容赦ください」の使い方
- 弊社の現状をお汲み取りいただき、予めご容赦くださいますようよろしくお願い申し上げます。
- 本人には厳重に注意致しました。この件に関しましてご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。
- 本状と行違いになりましたときは、予めご容赦ください。
【「例文」で使われている敬語】
・「ご容赦ください」を使った丁寧な例文とは?使い方から類語まで徹底解説
予めご了承くださいの類語③ 予めお含みおきください
「予めお含みおきください」も「予めご了承ください」の類語に含まれます。この「お含みおきください」とは、伝えられたことを「心に留めておく」という意味です。
何らかの事情を理解して、伝えられていることを心に留めておいてくださいという意味になり、発生してしまった事情を理解してもらいたいという表現で使用されます。
「予めご了承ください」は、先の事や予定されている事態に対して、理解や同意を求めるときに使いますが、「予めお含みおきください」は念を押すような意味合いで使用されます。
お客様や相手の人に「心に留めておいてください」と伝えるようなメッセージになるでしょう。
「予めお含みおきください」の使い方
- 発送はメンテナンス完了後になりますので、予めお含みおきください。
- ~に関する返金は致しかねますので、予めお含みおきくださるようにお願いいたします。
- 不在となりますことをお含みおきください。
【参考記事】「お含みおきください」の正しい使い方を例文付きで解説します▽
「予めご了承ください」の英語表現
- Please be noted.(ご了承ください)
- We kindly ask for your understanding.(何とぞご理解ください)
- Thank you for your cooperation and understanding.(ご理解とご協力に感謝いたします。)
- I hope you will understand this. (ご理解くださるよう願います)
- I appreciate your understanding.(ご理解いただけますと幸いです)
- Thank you in advance for your understanding.(ご理解のほどよろしくお願いいたします)
- We would appreciate your understanding.(ご理解の程、お願い申し上げます)
「Please be noted.(ご了承ください)」は一般的に使われる英語例文の1つです。目上の方にも使用できるもっと丁寧な言い方で、敬語にも該当するこのフレーズはおすすめ。
「I appreciate your understanding.(ご理解いただけますと幸いです)」や「Thank you in advance for your understanding.(ご理解のほどよろしくお願いいたします)」も理解してもらえるであろうことを感謝と共に伝えているので、上品で綺麗な表現ともいえます。
目上の人に使う時は、正しい敬語を伝えよう!
ビジネスシーンでも敬語の使い方は大切です。
これから先に起きるかもしれないことを理解してもらいたいときに使うことのある「予めご了承ください」でも、命令系の表現から敬語の使い方をアレンジしていくなら、目上の方にも使用できます。
取り上げた例文は、英語例文を含め会話でもメールでも使用可能ですから、「予めご了承ください」のエクセレントな敬語の使い方をマスターしてみましょう。
【参考記事】「ご了承ください」についてより詳しく説明します▽
【参考記事】「分かりました」って敬語なの?正しい使い方を解説します▽
【参考記事】「ご了承」の正しい使い方を例文付きで徹底解説▽
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