"ご了承いただき"の意味/使い方。目上の人に使える?|ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2022.01.15
「了承」して欲しい時、感謝する時に使える敬語、ご了承いただき。「ご〜いただく」を使った謙譲語ですが、どう使えば良いのか。今回は、ご了承いただき/いただきたく/いただけますでしょうか/いただければ/いただきますようの使い方・例文を解説。類語までチェックしましょう!

「ご了承いただき」の意味とは?

ご了承いただきの意味

「ご了承いただき」とは、「事情をくんでご納得・ご承知いただき」の意味をもつ敬語です。

「了承」と「ご~いただき」を組み合わた表現で、ビジネスでよく使われます。

「了承」とは、"よくわかる"という意味をもつ「了」と"相手の意向を受け入れる"という意味をもつ「承」から成り立つ熟語で、"事情をくんで納得すること、承知すること"の意味があります。

「了承」に、謙譲語表現である「ご~いただき」を付けることでへり下った言い回しに変わり、「了承する」の謙譲語になっています

ビジネスでは交渉などをして相手に折れてもらったときなどに、感謝の言葉を述べる場合などによく使われる言い回しです。


「ご了承いただき〜」は目上の人に使ってもOKなのか?

ご了承いただきは目上の人へ使えるのか

「ご了承いただき〜」は相手を立てる謙譲語表現なので、上司や目上の人に対しても使える言い回しです。

「ご了承いただき」は相手に了承をお願いしたいときや了承してもらったときなどに使う表現ですが、上司や目上の人に対して使う場合には失礼な言い回しになっていないかが気になります。

「ご了承いただき」の場合は、「もらう」の謙譲語である「いただく」が含まれているので、命令形の表現を使うことなく、相手に了承してもらえるようお願いできますよ。


「ご了承ください。」は、目上の人に使えない。

ご了承くださいは目上の人へ使えるのか

「ご了承いただき」とよく比較される類語の一つに「ご了承ください。」がありますが、目上の人に対しては使えない言い回しです。

「くれる」の尊敬語ですが命令形なので、目上の人や上司に対して使ってしまうと失礼に当たってしまうことがあります。

使い方としては、特定の人よりも不特定多数のお客様などの相手に対して使うことが多い言い回しです

例文としては、「審査の結果お断りする可能性もありますのでご了承ください」などのように、たくさんの相手に対して同じことを伝えたい場合に使われています。

【参考記事】「ご了承ください」を目上の人に使うなら、柔らかく表現しよう


上司など目上に使える「ご了承いただき」の丁寧な例文一覧

ご了承いただきの使い方・例文

目上の人に使える「ご了承いただく」ですが、語尾を変化させることで様々なシーンで使える敬語になります。

主な変化は、以下の5つ。

  • ご了承いただき、
  • ご了承いただきたく、
  • ご了承いただけますでしょうか。
  • ご了承いただければ、
  • ご了承いただきますよう、

使うタイミングなどに応じて、変化をつけていきましょう


ご了承いただくの使い方① 「ご了承いただき、」

ご了承いただき、の意味と使い方

「ご了承いただき、」は後ろに感謝の言葉を付けて使うことが多い敬語表現です。

「ご了承いただき、」をかみ砕いて表現すると、「こちらの申し出に対して納得してご承知くださり」の意味にになります。

相手がこちらの都合や依頼に対して納得してくれたことに対して何かを述べる場合に使われるため、基本的には「ありがとうございます」や「感謝します」などの感謝の言葉とあわせて使うことで成り立ちますよ。


「ご了承いただき、」の例文

  • (メールの文頭などで)当方の依頼にご了承いただき、誠にありがとうございます。
  • この度は会場変更にご了承いただき、本当にありがとうございました。感謝申し上げます。
  • この度はご多忙のところ日程延期にご了承いただき、心よりお礼申し上げます。
  • お急ぎのところ納期の変更にご了承いただき、心より感謝申し上げます。

「ご了承いただき、」の使い方は、例文のように後ろに感謝の言葉が続くことが多いのでそう難しい言い回しではありません。

一つ目の例文の「ご了承いただき、誠にありがとうございます」を基本として覚えておけば、状況や相手によって少しずつ言い回しを変化させるだけでスムーズに使える敬語表現です。

ビジネスで相手に折れてもらうことや何かを承諾してもらうシーンは少なからず出てきます。そのようなシーンを円滑に進めるためにも覚えておくといいでしょう。

【「例文」で使われている敬語】
「感謝申し上げます」の正しい使い方|上司など目上の人には使えるの?


ご了承いただくの使い方② 「ご了承いただきたく、」

ご了承いただきたく、の意味と使い方

「ご了承いただきたく、」は、後ろにお願いする言葉が続くことが多い敬語表現です。

「ご了承いただき」に希望を表す助動詞「たい」の連用形である「たく」が付いていることで、「事情をくんで納得・承知をしてもらいたい」という内容を尊敬語表現で表しています。

後ろに続くお願いする言葉と合わせることで、納得・承知をしてもらいたいというこちらの願望を尊敬語で表しながらお願いもできる表現です。ビジネスメールなどでよく使われる例文を見ていきましょう。


「ご了承いただきたく、」の例文

  • 〇〇の件につきましてご了承いただきたく、お願いいたします。
  • 恐れ入りますが、xxの件をご了承いただきたく、よろしくお願い申し上げます。
  • 〇〇の件につきましては大変ご不便をおかけしまして申し訳ございませんが、何ぞ後ご了承いただきたく、心よりお願い申し上げる次第でございます。
  • △△部長に〇〇社よりご依頼の件につきましてご了承いただきたく存じます。

上3つの例文のような「ご了承いただきたく、」の使い方で基本となるのは、「ご了承いただきたく、お願いいたします」という言い回しです。

相手に「了承」してもらうことを尊敬語で表現しつつ、「お願いする」ことは謙譲語で表しているので、相手を立てながらへりくだった言い回しになっています。

目上の人や上司に対しても使える表現で、何とか相手に了承してもらいたいときに使える表現です。最後の「ご了承いただきたく存じます」という言い回しは、強い願望を表しています。

敬語ではあるものの少し強めの言い回しなので、社内での使用など使う相手が限られている言い回しといえるでしょう。

【「例文」で使われている敬語】
「ご依頼」を使った丁寧なメール例文集。目上に送れる正しい文例とは?


ご了承いただくの使い方③ 「ご了承いただけますでしょうか。」

ご了承いただけますでしょうか。の意味と使い方

「ご了承いただけますでしょうか。」は相手が了承してくれるかどうかのお伺いを立てるときに使える強めの言い回しです。

「ご了承いただく」の仮定形である「ご了承いただけ」に丁寧語の「ます」、「だろうか」の丁寧語である「でしょうか」が組み合わさっています。

ビジネスでは口頭での表現だけでなく、メールでも使われる言い回しです。

「ご了承いただけ」は命令形も同じ形なので、言い方や前後の言い回しによっては、強制するような表現になってしまう場合もあります。そのため、使い方には気を付けた方がいいでしょう。


「ご了承いただけますでしょうか。」の例文

  • 〇〇社よりご依頼の件につきましてご了承いただけますでしょうか。
  • (会議などで)参加者の皆様、議題の件につきましてはご了承いただけますでしょうか。
  • 来月の年次有給休暇取得の件につきましてご了承いただけますでしょうか。
  • 審査の結果ご期待に沿うことができない場合もございますが、ご了承いただけますでしょうか。

例文のような「ご了承いただけますでしょうか。」の使い方は、いずれも了承できないことを前提としていないようなシーンで使われています。

表現上は「了承してもらえますか」という意味であっても、「〇〇ですがいいですよね?」というような少し強めの意味が含まれる場合も多いです。

会議などで全体に呼びかけるようなシーンでも使われることが多く、会議の進行をする機会がある人は覚えておくといいでしょう。また、強めに促す意味が含まれている場合もあるので、社外の目上の人などに対して使うときには注意が必要な使い方です。


ご了承いただくの使い方④ 「ご了承いただければ、」

ご了承いただければ、の意味と使い方

「ご了承いただければ、」は後ろに「嬉しいです」や「助かります」という内容の、こちらのプラスの気持ちを表す意味の言葉が続くことが多い言い回しです。

「ご了承いただく」の仮定形に仮定の順接を表す「ば」が付くことで、「もし了承してくれたら」という意味になります。また、後ろに「存じます」などを付けて表すこともあります。

何らかの予告をする場合に使われることが多く、告知の張り紙などで多く使われる言い回しといえるでしょう。


「ご了承いただければ、」の例文

  • ご了承いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
  • 大変ご迷惑をおかけいたしますが、どうかご了承いただければ幸いです。
  • 〇〇の件について何かとわかりづらい点もあろうかと存じますが、どうかご了承いただければ幸いに存じます。
  • 上記日程におきまして一部施設の利用が制限されますが、あらかじめご了承いただければと存じます。

上記の例文のように、「ご了承いただければ、」は相手に了承してもらうことをお願いしたいときのやわらかい言い回しとしての使い方が多いです。

後ろに「幸いです」を付けることで、もし了承してくれたら嬉しい、助かるなどの意味を表現できます。また、後ろに「と存じます」と続けることで、施設や設備などの利用期間が制限される場合の告知文章などで使われることも

「ご承知おきください」の類語で、「あらかじめ知っておいてください」という意味を表現したいときに使われることが多いです。

【「例文」で使われている敬語】
「幸いに存じます」を使ったビジネスメールの例文集。目上に使える文例とは?


ご了承いただくの使い方⑤ 「ご了承いただきますよう、」

ご了承いただきますよう、の意味と使い方

「ご了承いただきますよう」とは、後に「お願いします」などのお願いする言葉と合わせて使われることが多い敬語表現

「ご了承いただき」「ます」に、意思を表す助詞である「よう」が付いています。つまり、了承してもらいたいという強い気持ちを表す言い回しです。

「お願いします」などを組み合わせることで、「ぜひ了承してもらいたいのでお願いします」という強い気持ちを含めた言い回しになっています。

「ご了承いただけましたら」より強い表現なので、了承してもらうことを強くお願いしたいような場合に使うといいでしょう。


「ご了承いただきますよう、」の例文

  • 何かとお手数をおかけしますが、どうかご了承いただきますようお願い申し上げます。
  • 年末年始はお休みとさせていただきます。何卒ご了承いただきますようお願いいたします。
  • 施設の故障によりお客様には大変ご不便をおかけしますが何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。
  • これらに関しては一切の責任を負いかねますのでご了承いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

「ご了承いただきますよう、」は、形式的にはお客様や取引先に対して了承してもらうようお願いする、という言い回しになっています

ただし実際は、相手に了承できないといわれても逃げ道がないような場合も多いです。

了承してもらうしか方法がないような場合に、表面上は了承をお願いするという言い回しにして相手を立てるという、日本的な敬語表現です。

同じような状況で「ご了承ください」というよりはやわらかい表現で、ビジネスをスムーズに進めるのに役立つ言い回しといえるでしょう


▷次のページ:「ご了承いただき」と言い換えできる類語一覧

よく一緒に読まれる記事

関連する記事