"ご協力"の使い方。丁寧な例文&言い換えできる類語【ビジネス敬語ガイド】
「ご協力」の意味や使い方とは?
「ご協力」とは、一つのことに対して、「ともに力を合わせて取り組んでいく」、「力を借りる」ことを意味する敬語表現です。
必ず、他者が存在しており、一人で取り組む場合には「ご協力」という言葉を使用することはありません。「協」という感じ自体に、「力を合わせる」、もしくは「一致する」というような意味があり、「力」と組み合わせることで、意味をなしています。
特にビジネスシーンにおいては、同僚だけではなく目上の上司や取引先などとの協力関係が不可欠です。一人で仕事をしていても、完結させることは難しいでしょう。
そのため、ビジネスでは相手の力を借りることを依頼する場合に、敬語表現と組み合わせて、よく使う言葉と言えます。
ビジネスえ使える「ご協力のお願い」を使った丁寧な例文
ご協力のお願いができる例文① ご協力のほど、よろしくお願いします
- 会場は終日禁煙となっております。ご協力のほど、よろしくお願いします。
- 当日中のレポート提出にご協力の程、よろしくお願いいたします。
- 御社の見積りでは多少予算オーバーしてしまいます。御社との契約締結のためにも、非常に申し訳ございませんが、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
- まだ試験中の方もいらっしゃいます。お静かに移動いただけますよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
「ご協力のほど、よろしくお願いします。」というのは、ビジネスシーンでよく使われる敬語表現の一つです。
「のほど」という表現は、限定しないように配慮している表現であり、例文のように協力を無理強いしない場合の使い方となります。
断定表現を避けることで、目上の取引先や上司などに対して、柔らかく依頼できますよ。
【「例文」で使われる敬語】
・「よろしくお願いいたします」の使い方を例文付きで分かりやすく解説!
・「御社」と「貴社」の使い分け方とは?シーン別に使える敬語を解説!
・「申し訳ございません」は間違いじゃない!使い方から類語まで分かりやすく説明します
ご協力のお願いができる例文② ご協力を賜りますよう、
- 決算開示早期化には、皆さんのお力が必要でございます。なにとぞご協力賜りますよう、よろしくお願いいたします。
- 今回、展示会をするのは初めてでございます。ご協力賜りますよう、よろしくお願いいたします。
- 携帯電話の電源をお切りください。ご協力賜りますよう、よろしくお願いいたします。
- アンケートを同封させていただきました。ご協力賜りますよう、お願い申し上げます。
「賜る」という言葉は、前文に来ている言葉に対して、より丁寧な使い方をしたい場合に使用される言葉です。
前述の「ご協力のほど」という表現でも敬語として成り立っているのですが、自分にとってかなり目上となる相手から力を借りる場合は少し物足りないことがあります。
また、会話だけではなく、文書やメールで取引先に依頼をする際にも、例文のような使い方でお願いするケースが多いです。
【「例文」で使われる敬語】
・「賜る」の意味とは?|ビジネスシーンで使える例文まで解説します
ご協力のお願いができる例文③ ご協力ください
- インフルエンザが流行しております。手洗いの徹底にご協力ください。
- 社内の光熱費が高騰しております。こまめに電気を消すなど、節電にご協力くださいませ。
- 来年入社予定の内定者が見学に来る予定です。懇親会へのご参加にご協力ください。
- ご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんが、なにとぞご協力くださいませ。
「ご協力ください」という使い方は、ビジネスシーンにおいて取引先や上司というよりも、同僚などの対等な立場の人に対して力を借りる際に使われる敬語表現といえます。
また、例文のように多数に対して、力を借りることをお願いする場合に使われる傾向があります。
やや強制する意味合いが強いので、目上の方に使うと相手によっては失礼だと受け取られてしまう恐れも。
そんな時は、「ご協力くださいませ」など丁寧な表現にすることで、取引先や上司などに対しても問題なく活用できます。
「ご協力への感謝」を伝える丁寧な例文
ご協力への感謝を伝える例文① ご協力を賜り、
- 先日は、社内研修のご協力賜り、大変感謝しております。また、ご相談させていただければと存じます。
- 待ち合わせ時間の変更など、ご協力賜り、ありがとうございました。
- 先日は会場設営などの雑務にご協力賜り、誠にありがとうございます。
- 先週から始まった社内喫煙に積極的にご協力賜り、感謝申し上げます。
使い方としては、目上の上司や取引先などに対して使われる表現であり、非常にかしこまった言い方となります。お願いするときの「賜る」と使い方は同じと考えてもよいでしょう。
ビジネスメールやビジネス文書でのお礼を書く際にも、例文のような使い方で感謝の意を表すことが多いです。
【「例文」で使われる敬語】
・「先日」の意味とは?|ビジネスシーンで使える例文まで解説します
・「感謝申し上げます」の正しい使い方|上司など目上の人に使える丁寧な例文集
ご協力への感謝を伝える例文② ご協力いただき、
- 先日は社内アンケートにご協力いただき、ありがとうございます。
- 提示していただいて見積もりの値下げ依頼に対して、快くご協力いただき、ありがとうございます。
- 企業別の採用状況アンケートにご協力いただき、ありがとうございます。つきましては、一度会ってお話することは可能でしょうか?
- 毎週月曜日の社外清掃にご協力いただき、ありがとうございます。
「会話文でも使われることが多いですが、ビジネス文書などで使用されることが多いです。敬語表現ではありますが、「賜り」と比べると軽い敬語でとなります。
そのため、取引先や上司などだけではなく、同僚などにも気軽に使える表現といえるでしょう。例文のように、相手に何かをしてもらった場合の定型文的に使われる傾向があります。
ご協力への感謝を伝える例文③ ご協力のほど、
- 連日の残業まことに感謝しております。無事納期に間に合いました、ご協力のほど、ありがとうございます。
- トイレが故障してしまい、大変ご迷惑をおかけしております。ご協力のほど、感謝しております。
- 身分証のご提示をお願いしております。ご協力のほど、ありがとうございます。
- アンケートを確認しました。早期提出にご協力のほど、誠に感謝いたします。
「ご協力のほど、」も敬語表現ではありますが、ビジネスメールやビジネス文書で感謝の表現を伝えたい場合に使われることが多いでしょう。相手に対して、何か協力した貰った場合に、お礼を言う際に最初の一文で使う傾向があります。
また、ビジネス文書だけではなく、例文の2つ目のように張り紙などで記載するケースも少なくないでしょう。
「ご協力」と言い換えできる類語一覧
ご協力の類語① ご支援
「ご支援」は、「ご協力」の類語的表現ではありますが、どちらかというと経済支援や便宜供与などに対するお願いや、それに対する感謝の意として使われる表現となります。
そのため、「ご協力」と違って、使えるシーンを見極める必要があります。したがって、意味をきちんと理解して、上手に使い分けましょう!
【参考記事】「ご支援」の使い方から例文まで解説▽
ご協力の類語② お力添え
「お力添え」というのは、相手から支援を受けて、お礼を述べる際に使うことが多い敬語表現です。また、助けてもらうことをお願いする場合でも使用されることがあるでしょう。
相手からの支援を現状語で表現した敬語であり、自分の行いに対しては使用できません。「ご協力」の類語表現であり、どちらかというと目上の人に対してお礼やお願いを述べる際に使われる傾向があるでしょう。
「ご協力賜り」と言い換えることも可能です。
【参考記事】「お力添え」の意味や使い方を例文で分かりやすく解説します▽
ご協力の類語③ ご承知おきくださいますよう
「ご承知おき」という表現は、「事前に知っておいてほしい」という意味があります。本来の意味としては、「ご協力」とは全く違っており、類語とは言えません。
ただし、「ご承知おきくださいますよう」と表現することで、相手に対してお願いする意味の敬語表現となります。
「事前に知っておいてくださいね」と促す意味なため、協力を仰ぐ表現として、「ご協力」の類語として言い換えることが可能です。
【参考記事】「ご承知おきください」の意味から正しい使い方までをまとめました▽
ご協力の類語④ ご了承くださいますよう
「ご了承」という言葉は、「納得」、「理解」をしれ貰うことを意味する敬語表現となります。
受け入れてもらうことを目的に使われることが多く、本来の意味合いから考えると、「ご協力」というよりも、「ご承知おき」の類語として使われることが多いです。
ただし、「ご承知おき」と同じように、「ご了承くださいますよう」という使い方をすることによって、「ご協力」と同じ意味である、相手に対して協力を促す敬語表現となります。
【参考記事】太字▽
ご協力の類語⑤ ご助力
「ご助力」は、相手からの支援や協力を受けることを意味する敬語表現です。「ご協力」の類語表現であり、ほとんど同じような意味合いとなっています。
しかし、多くの場合は、既に支援を受けた場合のお礼の言葉として使われることが多いです。
もし、相手に対して依頼をする意味で使う場合は、「幸いです」という表現と組み合わせて、「ご助力いただければ幸いです」という使い方をすることで、相手に対してお願いすることができるでしょう。
【参考記事】「ご助力」の意味や使い方を徹底ガイド!▽
ご協力の類語⑥ ご援助
「ご援助」とは、「ご支援」と同様に目上の相手に対し経済的支援や便宜供与のお願いをする場合、受けたことに対してお礼を述べる際に使われることが多い敬語表現です。
「ご協力」は、広い意味合いで使われることに対し、ご援助は恩恵を受けた相手に使える表現と言えます。
したがって、協力よりも遥かに助けられていたり、サポートしてもらっている場合は、ご協力ではなくご援助を使用しましょう。
ご協力の類語⑦ ご尽力
「尽力」という言葉は、何かに対して可能な限り努力をする、力を尽くすという意味の言葉です。「ご尽力」とすることで、目上の人が努力して協力してくれたことを意味する敬語表現となります。
「ご協力」の類語として使いたい場合は、相手に対して依頼をする表現は使用できません。目上の人に対して、努力するようお願いするのは失礼にあたるからです。
そのため、お礼の表現として使うのであれば、「ご協力」の類語としてご尽力を活用しましょう。
【参考記事】「ご尽力」は目上の人に使える?言い換えできる類語もご紹介▽
ご協力の類語⑧ ご理解
「ご理解」とは、相手に対してこちらの状態をわかってもらいたい場合に使う表現です。「ご承知おき」や、「ご了承」と同じような意味を持つ表現であり、本来の意味としては「ご協力」とは異なる表現となります。
そのため、そのまま使い方では、類語として使用できないため使い方に注意が必要です。類語として活用する場合は、「ご理解くださいますよう」と表現しましょう。
相手に協力する状況を飲み込んでほしいという主旨を伝えられるため、他の類語と同様に同じ意味合いで使用できますよ。
【参考記事】「ご理解」の使い方ガイド。例文から類語まで分かりやすく解説します▽
「ご協力」の英語表現
- We kindly ask for your cooperation.(ご協力よろしくお願いいたします。)
- Thank you for your cooperation.(ご協力のほど、よろしくお願いします。)
- I thank you in advance of your help.(ご協力をお願いします。)
- Thank you in advance~(ご協力をよろしくお願いします。)
- We would appreciate it if you could cooperate.(是非ともご協力をお願いいたします。)
- We kindly asked for your continued efforts.(ご協力をお願いいたします。)
英語の会話表現としてよく使われるものは、「We would appreciate it if you could cooperate.」(是非ともご協力をお願いいたします)です。
ビジネスの場において、対等な立場だけではなく、目上の人に対しても使用できます。
また、メールなどの文末に使う場合は、「Thank you for your cooperation.」(ご協力のほど、よろしくお願いします。)という表現が使われるケースが多いでしょう。
「ご協力」の意味や正しい使い方をマスターしましょう!
「ご協力」というのは、「ともに力を合わせる」、「力を借りる」という意味の敬語表現です。
相手に対して協力を依頼したり、協力してもらったことに対して感謝のお礼をしたりする際に使われることが多いでしょう。
使い方によって、つながる表現や言葉が変わりますので、例文などを参考にして、適切な表現を選ぶようにしましょう。
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