"ご足労"の意味/使い方。言い換えできる類語&例文集|ビジネス敬語ガイド
【ビジネス敬語の使い方】「ご足労」の使い方って?
「ご足労」とは、ビジネスシーンなどでも頻繁に使われる言葉のひとつです。「ご足労いただきありがとうございます」などといった言葉は、ビジネスなどではよく耳にする人も多いはず。
ただ、中には、どういった意味かあまりわからず、なんとなく使っているというビジネスマンもいるのではないでしょうか。
この記事では、「ご足労」の意味と「ご足労」を使った例文、ご足労の同義語までご紹介します。これまであまり「ご足労」を使わなかった人もぜひ参考にして、正しい敬語の使い方を学んでくださいね。
「ご足労」の意味とは?
そもそも「ご足労」の意味や読み方がわからないという人もいるはず。「ご足労」の読み方は「ごそくろう」、「わざわざ来てもらうこと」を意味する言葉になります。敬語であると同時に相手への感謝の言葉としても使われ、日常的なビジネス敬語として知られています。
そもそも、「足労」とは、「足」を使って移動することに対する「労力」のこと。つまり「歩く」「走る」といった行為を示しており、その「足労」に「ご」をつけることで、「わざわざお越しいただく」といった意味に変化します。基本的には、さまざまな場面で使用できる比較的便利な言葉ではありますが、基本的には来てもらったあとに使うことをおすすめします。
「ご足労」は目上の人に使える敬語なのか?
実はこの言葉、取引先相手だけでなく自分の会社の上司など、目上の人に対しても使える言葉です。自分ひとりだけで行くような商談にわざわざ上司に同席してもらったときなどは、「ご足労お掛けして申し訳ありません」などと言うことも可能。
ちなみに「ご足労」を相手に強要するような言い方には注意しましょう。「ご足労ください」などと言うと失礼に当たるので、「いただく」もしくは「おかけする」といった言葉とセットで使うのがおすすめ。
「ご足労」を使った敬語の例文一覧
ご足労の意味、目上の人に使えるかどうか確認したところで、ここからご足労を使った敬語の例文を解説していきます。今回は、「ご足労」を使った代表的な言い回し
- ご足労いただき、〜
- ご足労おかげしますが、〜
- ご足労ですが、〜
- ご足労願います。
4つをご紹介します。取引先とのメールの中でよく使われる敬語になるため、この機会に使い方をマスターしておきましょう。
ご足労を使った例文1. 「ご足労いただき、」
「ご足労」を使用した言葉は、タイミングに応じて表現をうまく変える必要があります。ここでの「ご足労いただき、」は、相手が自分の会社もしくは指定の場所に到着したときに使いたい言葉。
つまり、すでに起こったことに対する事実として使用するのが一般的です。相手への敬いを意味する言葉で、「わざわざ来ていただいて」といった感謝を表していますよ。ちなみにそのあとには、「ありがとうございます」などのお礼の言葉が続きます。
「ご足労いただき、」を使った例文
- 弊社にご足労いただくことになり、大変恐縮です。
- お忙しい中ご足労いただき、ありがとうございます。
- 本日はお足元悪い中ご足労いただき、大変感謝しております。
- 本日は寒い中ご足労いただき、ありがとうございました。
基本的に、「ご足労いただき」は「感謝」を表す言葉として使われます。「弊社にご足労いただくことになり、大変恐縮です。」はこれから来てもらうタイミングで、それ以外は取引先など相手が来たときの挨拶として使いましょう。
また「ご足労いただき、」の前には、「弊社に」といった場所に関する単語や「寒い中」など相手をより労わる言葉を付け足すのもよし、ぜひ臨機応変に使い分けてみてください。
【参考記事】"弊社"と"当社"の違いって?簡単に分かりやすく解説▽
ご足労を使った例文2. 「ご足労おかけしますが、」
「ご足労いただき、」と似た表現として使用しているのが「ご足労おかけしますが、」。非常に似ていますが、実は異なるので注意が必要です。
基本的に「ご足労おかけしますが、」のあとにくるのは、「恐縮です」「申しわけございません」といった言葉。そもそも「おかけする」には、相手に「手間をかける」「迷惑をかける」といった意味も含まれています。使う際は、お詫びの意味も込めて使用しましょう。
「ご足労おかけしますが、」を使った例文
- ご足労おかけし恐縮です。
- ご足労おかけしますが、よろしくお願いいたします。
- ご足労おかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
「ご足労おかけし恐縮です」は、基本的にお詫びの意味が強い言葉です。相手に迷惑をかけながら来てもらったときなどに使うのが一般的です。
一方、「ご足労おかけしますが、よろしくお願いいたします。」「ご足労おかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。」などは、来てもらったときではなくこれから来てもらうタイミングで使用しましょう。
【参考記事】「よろしくお願いいたします」の言い換えできる類語とは?▽
ご足労を使った例文3. 「ご足労ですが」
そのほかに「ご足労」を使用した言葉として挙げられるのが「ご足労ですが、」です。基本的にはこれから来てもらうタイミングの際に使用するようにしましょう。この言葉の大きな特徴として挙げられるのが、「クッション言葉」としても活躍してくれること。
「クッション言葉」とは、相手が受け入れやすくするための前置きの言葉で、本題に入る前に付け加えればメールなどでは非常に有効ですよ。ビジネスをよりスムーズにしたい人はぜひ活用してみてくださいね。
ただ、敬語表現はほとんどなく、使いやすさはかける印象。目上の人に使うのは注意しましょう。
ご足労を使った例文4. 「ご足労願います」
「ご足労願います」に関しても、これから来てもらいタイミングで使用する言葉です。どうしても相手方に足を運んでもらいたいときなど、相手の都合を伺う言葉として活用できます。
「ご足労願います。」は取引先だけではなく目上の人にも使える言葉なので、上司に来てもらいたいときは「ご足労願えますでしょうか」などと聞いてみてくださいね。
「ご足労願います」を使った例文
- ご足労願えますでしょうか。
- ご足労のほど、よろしくお願いいたします。
- ご足労いただけますよう、お願い申し上げます。
上記の言葉は、どれもこれから相手に足を運んでもらうタイミングで使用します。その中でも「ご足労願えますでしょうか。」「ご足労いただけますよう、お願い申し上げます。」に関しては、相手がまだ足を運んでくれるか確定していないときに使う言葉。
一方、「ご足労のほど、よろしくお願いいたします。」については、相手が大方足を運んでくれるときに使える例文です。
「ご足労」と言い換えできる類語一覧
ご足労の使い方を解説していきましたが、足を運んでもらうたびに「ご足労」を使ってしまうのは、どこか違和感がある人も多いはず。使うタイミングに応じて類語と言い換えることで、ビジネスメールの幅は大きく広がりますよ。ここでは、
- お手数をおかけしますが、〜
- お呼び立てして、〜
- お越しいただき、〜
- ご面倒かと存じますが、〜
4つの類語について解説。各類語の例文まで解説していますので、この機会にぜひ使い方をチェックしておいください。
ご足労の類語1. 「お手数をおかけしますが」
「ご足労」の類語としてまずご紹介したいのが、「お手数をおかけしますが」。「お手数」は「労力・時間」を表しており、「おかけします」は相手が自分へ迷惑をかけているという意味。
「相手に労力もしくは時間を使わせてしまいますが」といった、相手へのお詫びもしくは感謝を意味する尊敬語です。この言葉もビジネスシーンで使うことが多く、多くの人が日々使用しています。基本的には、相手へ何かお願いするときに使うことが多いと覚えておきましょう。
「お手数をおかけしますが、」の例文
- お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
- お手数をおかけしますが、ご確認いただけると幸いです。
- お手数をおかけしますが、ご回答のほどよろしくお願いいたします。
メールなどで何か送付したとき、もしくはアンケートなどの回答をお願いしたいときは、「幸いです。」「よろしくお願いいたします。」などと組み合わせると、柔らかい印象に仕上がりますよ。
「ご足労」は足を運ぶことを意味しますが、「お手数をおかけしますが、」は相手に対してお願いをする時などにも使えるのが特徴です。
【参考記事一覧】
・「お手数おかけしますが」の正しい使い方を例文付きで解説
・「お手数ですが」は失礼なの?目上の人に使える敬語なのか要チェック!
ご足労の類語2. 「お呼び立てして、」
「お手数おかけしますが、」以外に類語として紹介したいのが、「お呼び立てして、」。基本的に取引先などを呼び出して来てもらった人に対してかける言葉で、呼び出すとき相手を敬って使います。
「お呼び立てして、」は丁寧表現がないため、目上の人に使うことを考えると、「お呼び立ていたしまして、」とするのがベストでしょう。
「わざわざ来ていただいて」といったニュアンスも持っているので、「ご足労おかけして」と同義語として扱うことも可能。「お呼び立てして、」のあとには、「申し訳ありません」「大変恐縮です」などといったお詫び言葉が続くことが多いです。
「お呼び立てして、」の例文
- お呼び立てして、すみません。
- お呼び立ていたしまして、申し訳ございません。
- 急なお呼び立てにも関わらず、集まっていただきありがとうございます。
基本的には、「ご足労おかけして、」に近い使い方をします。わざわざ呼び出したことに対してお詫びを示したいときは、「お呼び立てして、すみません。」「お呼び立てして、申し訳ございません。」などと表現可能です。
同時に感謝も示したいときは、「急なお呼び立てにも関わらず、集まっていただきありがとうございます。」といった例文を使うのもアリ。
【「例文」で使われている敬語】
・「申し訳ございません」は正しい敬語なの?言い換えできる類語まで解説します
ご足労の類語3. 「お越しいただき、」
「お越しいただき、」も「ご足労」の類義語として挙げられ、相手に来てもらったことを丁寧な表現にした言葉として使われます。ビジネスだけではなく、就職活動もしくは転職活動で活用されることも多い敬語ですよ。
ビジネスにおいても「ご足労いただき」とほとんど同義語として扱うことが可能で、あとに続く言葉としては「ありがとうございます」といった感謝の言葉が一般的。非常に汎用性の高い便利な言葉でもあり、上司など目上の人にも使用できますよ。ですが、使いすぎると変に思われてしまうこともあるので注意してくださいね。
「お越しいただき、」の例文
- 本日はお越しいただき、ありがとうございました。
- この度は、遠路お越しいただきありがとうございます。
- 本日はお忙しい中お越しいただき、大変恐縮です。
転職活動など採用活動している会社などでは、「本日はお越しいただき、ありがとうございました。」がよく使用されます。またビジネスにおけるクッション言葉として、「この度は、遠路お越しいただきありがとうございます。」と伝えるのもいいでしょう。
相手にお詫びと感謝を示したいときは、「本日はお忙しい中お越しいただき、大変恐縮です。」と伝えるのもおすすめ。
【「例文」で使われている敬語】
・「お越しいただき」を使った丁寧な例文とは?正しい使い方まで解説します
ご足労の類語4. 「ご面倒かと存じますが、」
最後にご紹介する類語として紹介したいのが、「ご面倒かとは存じますが、」。どうしてもお願いしなければならないといった場面において、なるべく相手に対して好印象を持ってもらいたいときにおすすめの尊敬語。
ここでの「存じますが」は、「思う」の敬語表現として使用されています。「ご足労ですが」と同じような使い方が可能で、いきなりお願いするのではなく「クッション言葉」として活用するのがおすすめ。この言葉があるだけで、相手の印象も大きく変わりますよ。
「ご面倒かと存じますが、」の例文
- ご面倒かと存じますが、よろしくお願いいたします。
- ご面倒かと存じますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
- ご面倒かと存じますが、弊社にご足労いただくことは可能でしょうか。
基本的にはビジネスにおいて使用されることが多いです。対面だけでなくメールなどでも活用でき、「ご面倒かと存じますが、よろしくお願いいたします。」「ご面倒かと存じますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。」などと「クッション言葉」として使用するのもいいでしょう。
【「例文」で使われている敬語】
・「存じます」の意味&使い方。言い換えできる類語まで徹底解説
「ご足労」の英語文例とは?
- I really appreciate your coming here.(来ていただいて、〜)
- Thank you for coming today.(来てくれて、〜)
- Thank you for coming all the way.(毎回来てくれて、〜)
- Thank you for coming all the way despite your busyness.(お忙しいところ来ていただいて、〜)
- Thank you for taking your time to visit us.(お時間をいただきまして、〜)
- If it's not too much of an inconvenience, please swing by our office.(問題がなければ、ぜひ訪れてください。)
英語には日本語のように、尊敬語などの数は少ないですが、ストレートに相手にさまざまなことを伝えられます。「ご足労」の裏側には「感謝」の気持ちがあり、それをストレートに表しているのが"thank you"。"thank you"はビジネスでも使える言葉で、非常に汎用性も高いですよ。
"for"のあとにさまざまな言葉をつけながら、「ご足労」を表してみましょう。
「ご足労」の使い方をマスターすると敬語の幅は広がる。
ここまで「ご足労」の意味や読み方、さらには「ご足労」を使用した例文と類語をご紹介しました。この記事を見ればわかるように、「ご足労」の使い方は非常にさまざま。
「ご足労いただき、」「ご足労おかけしますが、」など、それぞれ場面ごとにニュアンスは異なります。ぜひ使い方を参考にして、正しい言葉遣いをしてみてくださいね。ちなみに類語も例文を挙げながら紹介しているので、状況にあわせて活用してみましょう。
【参考記事】「了承」の正しい使い方を分かりやすく解説します▽
【参考記事】クッション言葉の代表「差し支えなければ」の使い方とは▽
【参考記事】接客マナーの基本と応用を解説▽
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