"ひとえに"の意味/使い方。感謝&謝罪の例文も解説|ビジネス敬語ガイド

感謝や謝罪、お詫びなどで使える敬語、ひとえに。間違って「一重に」を使ってしまうなど、使い方を知らない人も多いはず。今回は、偏に(ひとえに)の意味から使い方、感謝と謝罪に分けた例文を解説。言い換えできる類語までご紹介しますので、正しい敬語をマスターしていきましょう。

「ひとえに」の意味とは?

ひとえにの意味

「ひとえに」とは、ビジネスの場や冠婚葬祭の場など、礼儀を重んじるかしこまった場面で使う副詞です。

そのものだけが単独に存在し、他のものと重ならないことを意味する「一重」という言葉に、格助詞である「に」が付属してできた言葉になります。

日常生活で使用する機会は少なく、ビジネスの場でも使用頻度は低いと言えるでしょう。

「ひとえに」には、「それだけが原因」「その行為だけ」「それだけしかない」といった複数の意味があります。

さまざまなことが重なってその結果になったのではなく、あるひとつの原因が結果につながったというニュアンスを含んでいます。

顧客や取引先、上司などの目上の相手に対して使う敬語の一種で、「偏に」と書き、読み方は「ひとえに」です。

漢字で表記されると読み方が分からないかもしれませんが、漢字と読み方の両方をしっかり覚えておきたいものです。


「一重に」という漢字表現は間違い。

ひとえにの正しい漢字

「ひとえに」のもともとの成り立ちは、重なりがなく唯一のものであることを差す「一重」に格助詞「に」が付いてできた言葉です。

「ひとえに」の意味は、ある物事に偏っていたことが原因でその結果が出ているという意図を含んでいるため、単独であることを示す「一重」という漢字は使わず「偏に」と書きます。

読み方は同じ「ひとえに」ですが、「一重に」とは表記しないので注意しましょう

ただし、ビジネスの現場で「偏に」と表記する使い方はほとんどせず、文書などには「ひとえに」と平仮名で表記します。


「ひとえに」の使い方とは?

ひとえにの使い方

「ひとえに」が使われる実際のビジネスシチュエーションはいくつかパターンがあります。

まず、例文の1つとして挙げると、

「今回の企画が無事に成功いたしましたのはひとえに〇〇株式会社の△△部長様の心強いご支援のおかげでございます。」

といったように、敬語として取引先や上司など目上の相手に対する感謝の気持ちを丁寧に表現する際に使います。

会話の中で話し言葉として使うのではなく、書き言葉として文書やメールの中で使うのが一般的です。

また、「この度の失態はひとえに私の不徳の致すところです」といったように、相手に謝罪する際に使う敬語でもあります。


【感謝】「ひとえに」を使った例文

できかねますよりも肯定文が良い。

  • ここまで弊社が成長することができましたのは、ひとえにお客様の熱心なサポートのおかげでございます。
  • このイベントが成功しましたのも、ひとえに皆様のお力添えによるものだと感謝いたします。
  • 今回の大会で優勝できましたのは、ひとえに取引先の皆様からいただいたすばらしいご支援の賜物だと考えております。
  • この度、弊社創立以来となる最大のプロジェクトを無事完了させることができましたのも、ひとえに皆様の大きなお力添えがあったからこそと心より感謝しております。誠にありがとうございます。

ビジネスの場において、「ひとえに」という言葉は、主には顧客や取引先等に対する感謝の気持ちを伝えるシチュエーションで使われる敬語の一種です。

スピーチなどで話し言葉として使うこともありますが、多くは例文のように、顧客や取引先に向けて出す礼状や上司へのメールなどの文章の中で使うのが一般的

敬語としてかなりかしこまった状況で使いますから、「ひとえに」という読み方を間違えないよう注意しましょう。

良い結果が出た場合の感謝を目上となる相手に伝えたい場合に使う言い回しとして覚えておきましょう。

【参考記事】「ひとえに」と合わせやすい"お力添え"の正しい使い方


【謝罪】「ひとえに」を使った例文

ひとえにを使った謝罪の例文

  • このような重大な状況に陥ってしまったのは、ひとえに私の不注意によるものでございます。大変申し訳ございません。
  • この度弊社の〇〇が起こした失態は、ひとえに上司である私の監督不行き届きが原因と考えております。多大なるご迷惑をおかけしてしまいましたこと、あらためて深くお詫び申し上げます。
  • 先日は窓口のご担当者様に大変ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした。ご無礼をひとえにお詫びいたします。

「ひとえに」は、主に顧客や取引先に対する感謝の気持ちを表現する敬語として使われますが、それ以外には謝罪の気持ちを表現する敬語として使う場合もあります。

ある1つのことが原因で顧客や取引先に迷惑をかけてしまったり、損害を与えてしまった場合に、自分に非があることを認めてお詫びしたいという思いをまっすぐに伝えたい時に使う言葉です。

謝罪する意味で「ひとえに」を使う場合は、例文のように文書やメールの中で使う敬語というだけでなく、実際に謝罪に出向いて相手に直接謝罪する際の敬語として使うケースも少なくないと言えるでしょう。


「ひとえに」と言い換えできる類語一覧

ひとえにの類語① おかげさまで(お陰様で)

おかげさまでの意味

「ひとえに」の類語として使われることが多いのが「お蔭様で」という言葉です。

深い感謝の気持ちを伝える意味で使う「ひとえに」と同様に、顧客や取引先などに対し自分たちを支援してくれたり協力してくれたために、ビジネス上でよい結果につながったというシチュエーションが起きた時に使います

感謝の気持ちを伝えるという意味は変わりませんが、「ひとえに」よりはややくだけた表現です。

打ち合わせや会合といった場面で話し言葉として使ったり、やりとりのメールの中で使うことも多く、使い方は「ひとえに」よりも自由です。

「おかげさまで」の例文

  • この度は△△様にお口添えいただき、おかげさまで弊社にて受注できることになりました。ありがとうございます。
  • おかげさまで開店20周年を無事迎えることができました。
  • この5年間、当社の業績はおかげさまで順調に伸びてきております。

ひとえにの類語② まったく

ひとえにの類語のまったくの意味

「ひとえに」の代わりに使う言葉の1つとして多用されるのが、「まったく」という言葉。「まったく」は「全く」と表記し、「完全であるさま」「完璧であること」といった意味があります。

ある原因によっていい結果につながった場合、その原因があってこその結果だということを強調する意味合いで使うことが多いのが特徴です。

例文にもあるように、この原因があったからすばらしい結果になったことを心から感謝している、そんな気持ちを上司などの目上の立場の人にしっかり伝えたい場合に使う言葉です。

「まったく」の例文

  • 予想以上の売上成績を達成できたのも、まったく△△様の適切なアドバイスがあったからこそです。
  • この件については、まったく〇〇社長様のおっしゃるとおりだと私も思っております。
  • 先日のお話の中で、特に冒頭の部分はまったくその通りだと感じ入った次第です。

ひとえにの類語③ もっぱら

ひとえにの類語のもっぱらの意味

顧客や取引先などに対する感謝の気持ちを表現する時は、「ひとえに」のかわりに、「もっぱら」という言葉を使うこともあります。

「もっぱら」とはあるひとつのことに打ち込む様子、一途に集中して取り組む様子を表す言葉で、気持ちを強調したい時に使われる言葉です。

感謝の気持ちを表現するために使う場合は、会話の中で使うこともあれば、メールなどの文書中に使うこともあります。

「ひとえに」よりはややくだけたニュアンスがあり、かしこまった場ではあまり使わないでしょう。

「もっぱら」の例文

  • このプロジェクトの成功は、もっぱら××様の緻密な計画と進行管理によるものだと感激しております。
  • このように成績が右肩上がりとなる結果を出すことができましたのは、もっぱら〇〇株式会社様のご尽力によるものというのが私たちの意見です。
  • 新商品の売上が予想以上に伸びておりますのも、もっぱら商品開発センターの皆様にご協力いただいたためと考えております。

【参考記事】「ご尽力」を使って感謝の意を伝えよう


ひとえにの類語④ いちずに

ひとえにの類語のいちずにの意味

契約などのビジネス上の取引において望ましい結果が得られた時、「ひとえに」の代わりに「いちずに」という言葉を使います。

「いちずに」はひたむきな様子を表す形容動詞「いちずだ」の連用形です。

結果を出すために、あるひとつのことにひたすら取り組むさまを表現するという点は「ひとえに」と共通しています。

ただし、感謝の気持ちを表現するという用途を考えると「ひとえに」よりは表現力が弱く、顧客や取引先に対して使うというよりは発言者である自分の気持ちを表現する意味合いが強いでしょう。

「いちずに」の例文

  • これだけの契約数を確保できたのは、部長様がいちずに営業活動を続けられた結果と尊敬しております。
  • 約3年かけて計画を練ってきた甲斐があります。一緒になっていちずに取り組んでくださった皆様に感謝申し上げます。
  • 私たちがいちずに新商品開発に取り組める環境をつくっていただきお礼申し上げます。

ひとえにの類語⑤ ひたすら

ひとえにの類語のひたすらの意味

相手への強い感謝の気持ちを表現する「ひとえに」の代わりに「ひたすら」という言葉が使われるケースもあります。

「ひたすら」は1つのことにわき目も振らず、集中して親権に取り組んでいる様子を示した言葉で、長期間継続した努力によっていい結果を引き出したというニュアンスを込めて感謝の気持ちを表す際には重宝します。

顧客や取引先、上司など目上の相手に対して、話し言葉としても書き言葉としても多用するため、使い方は早く覚えられるでしょう。

「ひたすら」の例文

  • △△株式会社様によるひたすらご尽力いただいた結果が、今回のプロジェクトの成功へとつながったと感謝しております。
  • 共同チームにてひたすら重ねた研究によって開発作業が計画どおり進んでおりますこと、感謝申し上げます。
  • 私どもがひたすら努力を重ねてこれたのは、ごひいきにしてくださっている皆様のご支援ゆえでございます。

「ひとえに」の英語表現

賜るの英語表現

  • merely (ひとえに)
  • earnestly(ひとえに)
  • solely(まったく)
  • humbly(ひたすら)
  • only(ひとえに)
  • wholeheartedly(もっぱら)

「ひとえに」を示す英単語はいろいろあるが、中でもよく使われているのは「earnestly」です。

相手への感謝の気持ちを分かりやすく表現できる言葉としては使いやすいでしょう。

「earnestly」にはひたすらという意味も含まれており、感謝したいあるひとつの原因を強調するニュアンスも表現しやすい言葉と言えます。


「ひとえに」を上手に使って敬語の質をレベルアップさせよう!

「ひとえに」という言葉はやや固いニュアンスのある敬語で、ビジネスの場でも会話の中で使うことはほとんどありません。

ただし、お礼状などかしこまった文書の中では感謝を示す敬語として多用されますから、上手な感謝の表現をするために読み方とあわせて覚えておきましょう。

また、会話の中でも適切なタイミングで活用できるよう、意味や使い方をしっかり覚えることをおすすめします。

【参考記事】「弊社」と「当社」の使い分けをこの機会にマスターしよう

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