"気兼ねなく"の意味/使い方。類語&使える例文付き|ビジネス敬語ガイド
「気兼ねなく」の意味とは?
「気兼ね」とは、相手の思いや考えや目的などを考えたうえで、気を使って遠慮してしまう様子を指します。
「気兼ね」の漢字からも、相手の思いなどの「気」を、よく考慮することによって「兼ねる」または重ねることといった意味をくみ取れるでしょう。
「気兼ねなく」という表現を使うと、まず第一に、気兼ねをしないでほしいというこちら側の思いや意図を考慮して気を使ってくれていることに感謝の意を伝えられます。
遠慮せずにこちらに対して行動してほしいとか、本当の想いを伝えてほしいという心理を敬語の表現で伝えられます。
「気兼ねなく」の使い方・タイミングとは
「気兼ねなく」は、いろんなシチュエーションでの使い方があります。
特にビジネスなどで、クライアントの心のうちを知りたいけどなかなか率直な意見を述べてもらいないときや、どうしようと思っているのかや何を望んでいるのかなどの意見を知りたいときなどで使われます。
一方で、社内で上司に対して使うことは、使いにくい表現かもしれません。「気兼ねなく」行動してもらったあとに、こちら側がそれに報いることができる立場である必要があります。
そうでなければ、気兼ねなくしてもらっても相手にとってそんなに利益にならないでしょう。
「気兼ねなく」を使った例文
- いつでも対応することができますから、どうぞ気兼ねなくご連絡ください。
- ご希望に沿った物件を探しますから、気兼ねなく理想と思う条件を言ってください。
- 数多くのラインナップを取り揃えておりますから、スタッフに気兼ねなくお探しの商品についてお尋ねください。
- 平日でも10時までお店を開けていますから、仕事の後などの時間でも、どうぞ気兼ねなくお越しください。
- お好みに合わせてトッピングを変更できますから、気兼ねなくお申しつけください。
- 親子の間で気兼ねなくコミュニケーションが取れるようにしたい。
お店や営業の担当者が、来店者やクライアントに対してというシチュエーションの使い方が多いです。
どんなタイミングで連絡したらいいか迷っているかもしれないけど、まずはぜひ連絡をしてきてほしいときにはこの表現によって、連絡をしやすくなることでしょう。
クライアントの要望をより的確に聞きたいけどあまり具体的に述べてくれないというときにも、この表現でより率直な意見を述べてもらえるようになります。
来店できなかった理由が、こちらを気遣っているためということにならないように、この表現を使って来てほしいという意味の思いを伝えられます。
「気兼ねなく」の言い換えできる類語一覧
「気兼ねなく」に限らず、敬語は何度も使ってしまうとどこかしつこい印象になってしまいます。そんな時は、類語に言い換えることで文章全体のバランスを整えて、綺麗な印象に。
「気兼ねなく」の言い換えに使える類語は以下の5つ。
- 遠慮なく
- 心おきなく
- お気軽に
- 忌憚なく
- お気遣いなく
どの表現もタイミング次第で使えるため、この機会にぜひ使い方をチェックしておいて。
気兼ねなくの類語① 遠慮なく
「遠慮なく」という類語も、「気兼ねなく」と同じようなシチュエーションで使われます。
ビジネスのシーンでも敬語の意味を込めて同様に使われるため、同義語としても扱えるでしょう。
遠慮している様子が相手の態度や言葉から明らかに分かるという場合、気兼ねしてほしくないというよりもっと率直に遠慮しないでほしいという気持ちを敬語で伝えられます。
日常会話の中でもビジネスでも、状況に応じて使いやすい方を用いれるでしょう。
「遠慮なく」の使い方
- ご意見がございましたら、どうぞご遠慮なくスタッフまでお申し出ください。
- おかわりのご用意もありますから、どうぞご遠慮なくお召し上がりください。
- 弊社側としても、遠慮なく希望をお伝えさせていただきました。
気兼ねなくの類語② 心おきなく
他の類語の「心おきなく」は、もともと「心置きなく」という意味があり、心配することによって、心や思いをこちら側に近づけるのではなく心を遠くに置いてしまうことがないようにすすめる表現です。「気兼ねなく」と同じ意味で使えます。
メールなどの文脈によっては、「心おきなく」が合わないという場合もありますから、常に「気兼ねなく」と置き換えるというわけではありません。
ビジネスのシーンで使うというよりも、親密な間柄のなかでの礼儀のある表現をしたいときにより適切なフレーズとなるほうが多いかもしれません。
「心おきなく」の使い方
- おかげさまで心おきなく料理を満喫することができ、ほんとうにありがとうございました。
- こんなに心おきなく話すことができる友がいて、とても幸せに感じます。
- 宿題が終わったので心おきなく遊びに出かけれる。
【「例文」で使われている敬語】
・「おかげさまで」を使った丁寧な例文とは?敬語の使い方を分かりやすく解説!
気兼ねなくの類語③ お気軽に
また別の類語として、「お気軽に」という表現があります。使い方としては、他の類語と比べてよりライトな使われ方をする表現です。
親密感を前面に出して堅苦しくない表現をしたいときに、この言葉のニュアンスはとても重宝することでしょう。
メールや手紙などに書くときも使えますが、実際に言葉で伝えるときのほうが、「気兼ねなく」と言うよりも、よりリラックスして打ち解けた雰囲気を伝えられます。
年長の上司やクライアントとのやり取りなど、きちんとした敬語の表現でまとめたいときには、少しカジュアルすぎるイメージがあるかもしれませんので、注意が必要です。
「お気軽に」の使い方
- ご不明な点がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
- アンケートの所要時間は3分程度ですから、どうぞお気軽にご参加ください。
- お友だちやご家族をお誘い合わせのうえ、お気軽にご来店くだされは幸いです。
気兼ねなくの類語④ 忌憚なく
「忌憚なく」という類語もメールや手紙などで使える敬語表現です。
「忌む」や避けるという漢字と「憚る(はばかる)」という漢字の組み合わせですから、「気兼ね」と同じように、遠慮してしまうことを意味します。
気にしないでほしいという思いを少しかしこまった言い方で表現したいときにぴったりといえるでしょう。
親密感を出したいときなどにつかう類語の表現とは違って、率直な意見を述べるように求めたいときに使います。
自分が上司など目上に対して率直な意見を述べたい時にも無理なく使える言葉です。
「忌憚なく」の使い方
- 担当する案件の当事者として、業務改善のために忌憚なく意見を述べるようにしてください。
- 忌憚なくご意見をお聞かせいただければと思います。
- 今回のプロジェクトの責任者として、忌憚なく意見を述べさせていただきました。
【「例文」で使われている敬語】
・「忌憚なく」の意味とは?正しい使い方から類語まで解説します
気兼ねなくの類語⑤ お気遣いなく
プレゼントをもらったりして、すでに気気遣いを示してもらったときに、感謝の意を込めて手紙などで気にしないでと伝えるために、この表現を用います。
「気兼ねなく」は、相手のこれからの行動に対して述べますが、「お気遣いなく」は主に、すでに気を遣っている状態をもう少しフランクな関係柄にしたいときに用いることが多いでしょう。
単体で用いるというシチュエーションもありますが、この場合は目上のかたに対しては使うべきではありません。
「お気遣いなく」の使い方
- プレゼントをありがとうございました。どうぞお気遣いなさいませんようお願い申し上げます。
- 少し遅れてしまいます。お気遣いなさらずに、先に入店してくださいませ。
- お返しはいらないので、どうぞお気遣いなく。
【「例文」で使われている敬語】
・「お気遣い」を使った丁寧な例文とは?正しい使い方から類語まで解説します
・「お気遣いなく」は目上には使えない?使い方を例文付きで解説!
「気兼ねなく」の英語表現
- Please feel free to reach me.(気兼ねなく私に連絡してください。)
- Please don't hesitate to ask me, if there is anything that you aren't satisfied with.(ご不満な点がございましたらお気兼ねなくご連絡ください。)
- Please feel free to contact us if you have any requests.(ご要望などがございましたらお気兼ねなくお申し付けください。)
- Please let me know if you need anything.(気兼ねなく言ってください)
- Just tell me what you want.(遠慮なく言ってください)
- You can be honest with me.(遠慮なく言ってください)
英語でも関係性によって選択する単語を選ばなければなりません。
気にしないでという意図をカジュアルに伝えるなら、「Just」や、「Be honest」などと、直接的に表現した方が親密性も伝わるのかもしれませんね。
メールや手紙などでのビジネス英語では、「Please fell free」という定型的な表現が一般的です。
「気兼ねなく」を使えば、ビジネス相手との関係を深められる。
気にしないでほしいという気持ちを伝えて相手に遠慮なくしてもらうために、使い分ける必要があることがわかりましたでしょう。
敬語で表現するときでも使えるものもありますし、カジュアルな意味を持つものもあります。英語でも表現のバリエーションを使いこなせるようにしましょう。
ビジネスシーンでは、メールや手紙などで、気にしないでと伝えなければいけないシチュエーションがたくさんありますから、上手に表現していきましょう。
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