"お越しいただき"の意味/使い方。類語&メール例文集|ビジネス敬語ガイド
「お越しいただき」の意味とは?
「お越しいただき」とは、相手が自分の元に来てもらったことに対する感謝の意を丁寧な敬語で表現した言葉です。
ビジネスシーンにおいては、よく使われる表現であり、仕事で取引先や顧客が来社した際にも使われることが多いです。また、転職活動や就職活動で来社した採用希望者に対してもよく用いられます。
「お~いただく」という表現は、「~してもらう」という意味の謙譲語です。より尊敬度の高い尊敬語として、「お~くださる」という表現もありますが、「お~くださる」と違い「お~いただく」のほうが比較的どのような相手にも使いやすい敬語といえるでしょう。
「お越しいただき」は、目上の人に使えるのか。
「お越しいただき」という言葉は、敬語表現になります。そのため、お互いの立場を考えて使用する必要があるでしょう。
目上の上司や取引先に対する言葉として、「お越しいただき」という表現を使うのは間違った使い方ではありません。一方で、同僚や仲間などの対等な立場の人を相手に「お越しいただき」を使うのは、間違った使い方となります。
また、目上の上司や取引先だけではなく、顧客やその他の社外の人に対する表現としても使用できます。
「お越しいただき」「お越しくださる」との違いとは?
「お越しいただき」という敬語と似たような表現で、「お越しくださる」という表現があります。実は、この表現も正しい表現ではありますが、若干意味合いが異なります。
「お越しくださる」という表現は、お客さんが来たことに対して尊敬語を使った表現となります。一方で、「お越しいただき」という表現は、わざわざ自分のために来てくれたことに対して謙譲語としての使い方をします。
どちらも一見すると同じですが、敬語表現がかかる部分が違いますのでご注意ください。
「お越しいただき」の使い方・タイミングとは
【お越しいただきの使い方】メールの場合
「お越しいただき」という表現は、ビジネスメールでも頻繁に利用されます。
ただし、使用されるタイミングは限られており、原則としてはお礼の気持ちを込めたメールなどの際に、「お越しいただきありがとうございました。」というケースで使用されます。
言葉の意味合いは、口頭で使う場合と同じですので、目上の上司や取引先に対して使用してもかまいません。
【お越しいただきの使い方】実際に会った時(対面の時)
実際に会った時に使用する際、多くの場合は、最初の挨拶のタイミングで使われることが多いです。
たとえば、「お世話になっております。本日はお越しいただきありがとうございます。○○部課長の△△と申します。」というような表現で使用されます。
また、最初の挨拶で使うタイミングを逃した場合は、相手と別れる際にお礼の意味を込めて使用されることもあるでしょう。対面で使用する場合でも、目上の上司や取引先に使用できる表現です。
「お越しいただき、」を使った例文
相手へ来社のお願いをする場合や、来社の感謝を伝える場合で使われる「お越しいただき」ですが、一般的には4つの例文で使われます。
- お越しいただき、ありがとうございます
- お越しいただければ幸いです
- お越しいただけますでしょうか
- お越しいただきたく存じます
どの例文も非常に覚えておくべき大切な言い回しになるため、この機会に必ず覚えておきましょう。
「お越しいただき、ありがとうございます。」の例文
- 本日は暑い中、お越しいただき、ありがとうございます。
- 弊社主催のセミナーを開始させていただきます。本日はお足元の悪い中、お越しいただき、ありがとうございます。
- 急なご相談のメールにもかかわらず、お越しいただき、ありがとうございます。
- 本日は遠路はるばるお越しいただき、ありがとうございます。それでは面接を始めたいと思います。
「お越しいただき、ありがとうございます。」は、例文のようにビジネスシーンでは必ずといっていいほど使われる表現であり、目上の人や取引先などがわざわざ自分のところまで出向いてくれた時の感謝を込めた敬語として使われます。
使用するタイミングとしては、原則として最初の挨拶の際に添えられることが多いです。ただし、場合によっては締めの挨拶や別れ際に使われることもあるでしょう。
「お越しいただければ幸いです。」の例文
- 来月当社ビルでセミナーを開催する予定です。お暑い中ではございますが、お越しいただければ幸いです。
- お客様につきましては、遠路はるばるとはなりますが、お越しいただければ幸いです。
- ご応募ありがとうございます。是非とも面接をさせていただきたいので、当社本社ビルまでお越しいただければ幸いです。
- 取締役社長の収入パーティーを開催予定です。お越しいただければ幸いです。
「お越しいただければ幸いです。」という表現は、相手に対してお伺いを立てるときに使用されることが多いです。
対面の場でも使われることが多いですが、近年ではビジネス文書やビジネスメールで使用されやすいでしょう。
特に、例文のようなセミナーの開催通知や、面接を実施する際のメッセージで使われます。目上の人や社外の人に対して一般的に使用できる表現といえるでしょう。
【「例文」に使われている敬語一覧】
・「御社」と「当社」の違いとは?使い分け方を詳しく解説します
・「幸いです」は目上に使わないほうがいい?正しい使い方を要チェック!
「お越しいただけますでしょうか。」の例文
- 一次面接の結果社長が直接お会いしたいとの事です。是非ともお越しいただけますでしょうか。
- 打ち上げすることを検討しております。遠路はるばるお疲れかと思いますが、お越しいただけますでしょうか。
- 暑い中申し訳ございませんが、正装でお越しいただけますでしょうか。
- 社員としてではなく、株主としてお越しいただけますでしょうか。
「お越しいただければ幸いです。」という表現に比べて、相手に対して依頼事項がある場合に使われることが多い表現です。
できれば来てほしいというお伺いの表現よりも、例文のように来てもらうことは確定している時に使われやすいでしょう。
丁寧な表現ではありますが、どちらかというと目上の人にはあまり使いにくい表現となっています。
「お越しいただきたく存じます。」の例文
- 来週壮行会を開催します。暑い中遠路はるばるお手数をおかけしますが、お越しいただきたく存じます。
- まだまだ暑い中、お手間をとらせますが、お越しいただきたく存じます。
- 遠路はるばる申し訳ございませんが、お越しいただきたく存じます。
- 取締役として意見をいただきたいため、来週本社までお越しいただきたく存じます。
「お越しいただきたく存じます。」は、相手に対してお伺いを取る際に使われる表現の中でも、特に丁寧に言い表している言葉です。
目上の人に対して使うことが多く、手間をかけさせてしまうが来てほしいという時に使われます。
普段あまり使うことがないという方が多い表現ですが、自分よりはるか上の相手に対して使うとスマートにみられやすいです。
【「例文」に使われている敬語一覧】
・「申し訳ございません」は目上にも使える!使い方/意味を徹底解説
・「存じます」を使った上司にも使える例文とは?意味から使い方まで解説
「お越しいただきますようお願い申し上げます。」は間違い!
「お越しいただきますようお願い申し上げます。」という表現を見かけたことがあるという方は多いことでしょう。
しかし、この表現方法は誤りです。ここまでご紹介してきたとおり、「お越しいただき」という表現は、自分の行為に対しての謙譲語表現となるため、相手に対してお願いするのは失礼に当たります。
そのため、もしこのような場合に使用するのであれば、「お越しいただき」とは違い相手に対して使う「お越しくださる」という表現を使った「お越しくださいますようお願い申し上げます。」等を使うようにしましょう。
「お越しいただき」の言い換えできる類語一覧
相手へ来てもらうという敬語表現は、「お越しいただき」だけではありません。
ここからは、「お越しいただき」と言い換えできる類語表現を詳しく解説。
- 足をお運びいただく、
- ご足労いただく、
- ご来社いただく、
- お呼び立てして、
- お手数をおかけして、
各類語の使い方を詳しく説明していきますので、ぜひこの機会に違いなどを把握しておいてください。
類語①「足をお運びいただく」の使い方
「足をお運びいただく」は、「お越しいただき」と、ほぼ同じ意味合いの言葉として使用されることが多いです。
どちらに対しても、わざわざ自分のところに来てもらったことの感謝の言葉を謙譲語として表現しています。
ただし、普段使われる言葉としては、「お越しいただき」と使われることが多いので、「足をお運びいただく」のほうが、より丁寧な場面で使用されることが多いでしょう。目上の人に対して使用することも問題ありません。
類語②「ご足労いただく」の使い方
「ご足労いただく」につきましても、「お越しいただき」とほとんど同じ意味合いの類語となっています。
しかし、「ご足労いただく」という表現は、「お越しいただき」に比べて、相手に対して、より大きなねぎらいの気持ちを込めたい場合に使うことが多いです。
「わざわざお越しいただき」といった意味合いの表現を一言で表しているのが、「ご足労いただく」という表現になります。無理を言ってきてもらった時などに使用するとよいでしょう。
【参考記事】「ご足労」の意味/使い方を詳しく解説します▽
類語③「ご来社いただく」の使い方
「ご来社いただく」という表現は、「自分の会社に来てもらう」というように限定的な場面で使用される表現です。
「お越しいただき」の場合は、場所が限定されていないので、どこであっても使用することができます。例えば、セミナー会場を借りてセミナーを開催した場合は、「ご来社」は使うことができず「ご来場いただき」などの表現に変更する必要があります。
取引先や顧客に対して使われることが多く、あまり目上の人に対して使用されることは少ないです。
類語④「お呼び立てして」の使い方
「お呼び立てして」という表現は、「お越しいただき」に比べると、こちらから強くお願いしてきてもらったという意味合いが強い表現となります。
お越しいただきの場合、相手側が来社するといわれた場合でも使うことができます。しかし、「お呼び立てして」になると、自分が相手に用があるため、相手に来てほしいという時に使われるのです。
そのため、あまり目上の人や取引先で使用されるケースは少なく、自分が顧客側である場合や対等な取引先の場合に使用されることが多いでしょう。
類語⑤「お手数をおかけして」の使い方
「お手数をおかけして、」は、「お越しいただき」の類語の中では比較的遠い意味合いの表現となります。何かをお願いする場合に使われることが多く、さまざまな場面で使用できます。
誰に対してでも使いやすい表現であり、目上の上司や取引先に依頼をする場合はもちろんのこと、顧客や社外の人に対しても使える敬語表現です。
ただし、「お越しいただき」とは、意味が異なります。使用する場合には、使い方には気を付けるようにしましょう。
【「お手数」の参考記事一覧】
・「お手数おかけします」の正しい使い方を例文付きで分かりやすく解説します
・「お手数おかけしますが」はどう使う?意味から例文まで徹底解説
「お越しいただき」の英語表現
- Thank you for coming.(お越しいただきありがとうございます。)
- I am very glad that you came.(お越しいただきありがとうございます。)
- Thank you everyone for visiting(お越しいただきありがとうございます。)
- Thank you for your attendance today.(お越しいただきありがとうございます。)
- Is it possible for you to come over to(お越しいただくことは可能でしょうか)
- Please make an appointment to come in(お越しいただく日時をお決めください)
前半4つの英語例文は、来てもらったことに対するお礼の表現として使われます。その中でも最初の2つはメール文章で利用されることが多いです。後半2つは対面での使用におすすめでしょう。
そして残りの2つ英語例文は、来てもらうことをお伺いする場合や、来てもらう日を決める場合に、メールや電話で使うことが多いです。
「お越しいただき」を使えば、打ち合わせは最初から最後まで円滑に進む。
「お越しいただき」という表現は、相手が自分のところを訪れてくれたことに対して、へりくだった表現の敬語として使われます。主体は自分にありますので、使い方によっては失礼になるので気を付けるようにしましょう。ご紹介した例文や類語、そして英語表現を参考にして、「お越しいただき」という表現をスマートに使いこなしましょう。
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