「メンター」の意味とは?6つの役割&メンター制度のメリットを解説
“メンター”ってどんなことをするの?
メンターやメンター制度というワードを聞く機会は増えてきましたよね。会社からメンターになれと命じられて、困ってしまった経験がある人もいるでしょう。
ここでは、メンターの意味からメリットデメリット、求められる能力までを解説します。こちらを参考にして、より素晴らしいメンターになっていきましょう。
メンターとは?メンターの意味を分かりやすく解説!
メンターとは、仕事や人生において、後輩や部下に対して色々なアドバイスや助言をする役割の指導者のことを意味します。
会社としてメンター制度を導入している場合は、入社して3年目から5年目くらいの社員のことを指す場合も。
単に業務上の指導をするだけでなく、精神的なサポートをする役割があるというのが特徴です。
「メンター」に対して「メンティー」とは?
そういった指導や教育を行う立場である「メンター」に対し、それを受ける側の人を「メンティー」と呼びます。
メンター制度をとっている企業の場合に関して言えば、新卒入社社員や、まだ入って間もない若手社員がメンティーになることが多いでしょう。
メンターが一方的に指導するということではなく、メンティーから支援を求めることもあります。
「メンター」と「コーチ」は何が違うの?
コーチは、業務上の問題点やプロジェクトなどの、より現場に即した実務的な支援をしたりサポートします。
それに対して、メンターはもっと大きな概念としての仕事や、人生全般に関してアドバイスする役割を持っています。
コーチは短期間で具体的なことを、メンターは中長期間でより抽象的で幅広い視点を持っているというのが違いです。
メンターに資格はいるの?
それぞれの業界で、民間が資格を発行していることもありますが、基本的にはメンターは誰でもなれるものです。
よって、指導するだけのバックボーンとなる経験や技術などを持っていれば、資格は特に必要ありません。
そのため、自分でメンターを探してアドバイスをお願いする場合は、その人が信頼できるかどうかの判断が必要です。
メンターって何するの?メンターが担う6つの役割
メンターとはどんな存在であるかは分かったけれど、具体的に何をするか気になる人も多いでしょう。
ここでは、メンターが実際に担っている役割の中で、代表的なものを6つご紹介しますので、メンターに対する理解度を深めてください。
役割1. メンティーの目的や目標を明確に設定する
何となく頑張りたい気持ちがあっても、一人では具体的なビジョンが見えにくいもの。
そんな時、メンターがメンティーの潜在的な欲求を上手く見抜き、本当に目指すべき目標や、達成するべき目的を明確にします。
メンターが上から決めつけてそれを強制するのではなく、対話する中で探していくというのが大きな役割です。
役割2. ゴールに対しての行動設計をサポートする
メンティーの漠然とした目的や目標を明確にしたところで、それに対してのプロセスを検討します。
まずは大きなゴールを掲げさせて、それを細分化して、少しずつ達成できる目標を設けるというのが一般的なやり方。
どのように行動していくか、ということもメンティーの自主性を引き出しながら、サポートする役割があります。
役割3. 価値観を養い、ライフスタイルの向上を測る
仕事に関するアドバイスももちろん行いますが、幅広い視点を持っているのがメンターの役割の特徴。
教養や価値観といった、人生全般に関わるような魅力を伸ばしていき、ライフスタイルの向上を図ります。
それらを高めることで、より仕事に対するモチベーションや、スキルを伸ばしていくことが目的になってる場合もあるでしょう。
役割4. 悩みや問題が発生した時に助言をする
仕事上のクレームや人間関係の悪化など、メンティーにとって大きな困難や悩みの改善を図るのも、メンターの重要な役割です。
悩みや問題が発生した時に、表面的な慰めをするのではなく、根本的な解決ができるような助言をします。
メンティーの自発的な悩み相談を待ってから、アドバイスすることが多いのが、コーチや上司との違いです。
役割5. モチベーションや、行動進捗を管理する
営業成績やコスト削減といった単純な数値の結果だけでなく、過程に対してもメンターが管理することがあります。
行動進捗がどう消化されているか、メンティーのモチベーションはキープできているかということもケアしていることが多いです。
プロセス目標がうまく機能していなかったり、元気がなかったりすると、アドバイスや指導が入るでしょう。
役割6. コミュニティ独自のノウハウや文化を共有する
誰かに指導したり、アドバイスすると、その人の能力を向上させることもよくあります。
指導してもらったメンティーは、その文化やノウハウを受け継いで、次の後輩や新入社員へさらに受け継ぐことになるでしょう。
そうしてコミュニティをどんどん増やしていき、多くの人と知識を共有するのも、メンターの役割の一つといえます。
会社がメンター制度を導入するメリットやデメリットとは?
離職率の低下や、新しく入った社員を効率よく教育するため、メンター制度を採用する会社も増えてきました。
ここでは、そんなメンター制度を導入することによる、メリットとデメリットについて、詳しく解説します。
メンター制度のメリット
近年、メンター制度を採用する企業が増えてきた通り、メンター制度には魅力的なポイントが多く存在するものです。
ここでは、そんなメンター制度をとっている会社に発生する、代表的なメリットを4つご紹介します。
メリット1. チーム全体を活性化できる
メンターはメンティーに対し、教育や指導することで、少なからず自身も成長するもの。
そして、メンティーはメンターによる教育のおかげで、いち早く戦力として活動できるようになるでしょう。
チーム全体の役割意識がはっきりとし、それぞれがやるべきことが明確になるため、チーム全体が活性化する効果が期待できます。
メリット2. 組織内のコミュニケーションが増える
メンターがメンティーの仕事ぶりケアをすることで、新入社員は会話しやすくなる傾向があります。
また、メンターもメンティーの扱い方について、その上司や先輩に相談するということも少なからずあるでしょう。
結果的に、組織内全体のコミュニケーション量が増えて、風通しがよくなるということもよくあるケースです。
メリット3. メンティーの成長に繋がる
新しく入社してきたり、チームに所属したばかりの社員は少なからず不安を抱えているもの。
メンターを設定されていない場合は、誰かに質問することを遠慮してしまうこともあるでしょう。
メンターがいることで、メンティーが気兼ねなく相談や疑問点を解消できるため、結果的に成長のスピードが速くなることが期待できます。
メリット4. メンティーの仕事への満足度が向上する
不安や不満は抱えすぎてしまうと、働くことに対するモチベーションが下がることも。
メンターへの相談でそういったストレスがたまりすぎる前に吐き出せるため、やる気を維持しやすい効果が見込めます。
モヤモヤを抱えて辞めるといったことが少なくなり、仕事の定着率がアップする傾向にあることはメリットの一つです。
メンター制度のデメリット
仕事の効率や人の成長に関わる素晴らしいメリットがある一方で、どうしても発生してしまうデメリットもあります。
ここでは、メンター制度をとることで起こりうるデメリットの中で、よくある代表的なものを3つご紹介します。
デメリット1. メンターに不可がかかる
メンティーは、新入社員などの職歴の浅い人であることが多いです。
そのため、仕事とは何かということや、業務のかなり基本的なことから指導しなければならない場合がほとんど。
メンターはそれ以外の仕事を掛け持ちながら対応するため、負荷がかかって業務効率が悪くなってしまう可能性があることは、デメリットの一つ。
デメリット2. メンティーとの相性が悪いとお互いのストレスになる
アドバイスする立場と色々と指導してもらう立場という明確な違いがありますが、やはり人同士の付き合いです。
メンターとメンティーがお互いに努力をしても、どうも相性が悪く、人間関係がうまく構築できないケースもあります。
メンターは比較的長い期間メンティーを指導するため、お互いにとって大きなストレスになるデメリットが考えられるでしょう。
デメリット3. メンターの能力によって成果にばらつきが生まれる
メンターになるために、基本的に資格はいらない場合が多いです。
そのため、ある程度の役職や職歴さえあれば、良くも悪くも誰でもなれてしまう立場といえます。
仕事が出来る能力と、うまく指導する能力はリンクしていないケースも多く、個人差によって成果がばらついてしまうということは、メンター制度のデメリットの一つです。
自分自身がメンターになることによる5つのメリット
メンターになるということは、メンティーに指導するという負担が一つ増えるというだけのことではありません。
メンター自身も、たくさんの魅力的なメリットを得られます。ここでは、自分自身がメンターになることによる5つのメリットをご紹介します。
メリット1. メンター自身の成長につながる
他人に何かを教えるということは、そのことをかなり深く理解していないとできないことです。
そのためメンティーに何かを指導する際に準備することで、そのことについてさらにしっかりと学ぶことができるでしょう。
教えている瞬間も、仕事に対する理解度が深まっていくので、より多くの知識が吸収できるメリットがあります。
メリット2. 仕事においてより一層、責任感が増す
メンティーに対しては、仕事を始め、人生全体のことをアドバイスする機会もあります。
そのため、中途半端な仕事をしていると、メンティーに対して示しがつきませんし、アドバイスできないはずです。
普段の仕事に対しても、「さらにしっかり取り組まないといけない」と自然に考えるようになり、責任感が増してくるでしょう。
メリット3. 客観的に問題点を発見する力が身に付く
メンティーに何かを教える時に、場合によっては今いる立場からもっと上の視点が必要になるケースもくるでしょう。
そうやってメンティーの質問や相談に対応しているうちに、今までよりも客観的に物事を見る視点が付いてくることはよくあります。
より多くのことに気が付くようになったり、トラブルを未然に防ぐような考え方ができることを実感するでしょう。
メリット4. 仕事にやりがいを感じる
メンティーがつくことで、普段の仕事量が減ることはあまりないです。
そのため、単純な労働量はアップするかもしれませんが、人に何かを教えることはとてもいい刺激になるでしょう。
経験してこなかった業務をこなし、うまくメンティーが成長してくれたりすると、大きなやりがいを感じることが出来るというメリットがあります。
メリット5. 自身のキャリアに繋がり、自信になる
誰かを一人育てるということは、簡単そうに見えて、実はとても難しいことです。
苦労しながらでもメンティーが一人前になっていくことは、そのままメンターの自信の向上にもつながるでしょう。
うまく後進を育成、指導する能力はこれから先もさらに必要とされるものなので、自身のキャリアにもいい影響を及ぼします。
メンターの適正は?メンターに求められる5つの能力
ある意味誰でもなることができるメンターですが、具体的にどんな能力を持っている人がメンターに向いているのか気になりますよね。
ここでは、メンターとして後輩を指導する際に、必要とされている能力を5つご紹介します。
能力1. 問題を発見し、解決に導くことができる思考力
新入社員や、全くの未経験者が仕事をしていると、ある程度経験を積んだ人には思いも寄らないミスを起こしてしまうことがあります。
問題が大きくなりすぎると、いくらメンターが介入しても解決できないことになりかねないので、問題を未然に発見する能力は必須です。
またそんな問題を、解決できるようなヒントをそれとなく教えてあげることも必要。
能力2. 実務によって得られた、成功体験
ある仕事に対して完璧に理解しており、さらに自信があることでないと、後輩に教える際に強く言えないものです。
そのため、実際に自分が手と足を動かして経験し、その仕事を成功に導いたことがあるという自負は必要。
そんな成功体験がないと、メンティーに相談されたときに答えにつまってしまうことになるでしょう。
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能力3. 温かい人柄で、高いコミュニケーション能力
いくら仕事が出来て、業務を高いレベルでこなせる人でも、取っつきにくいタイプはメンターとしてよくありません。
メンティーとなる新入社員や若手社員は、新たな環境で不安を感じながら仕事をすることがしばらく続くはず。
そんな時にメンターから、緊張をほぐしてあげるようなコミュニケーション能力は必須の能力です。
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能力4. 人を成長させたいと思う情熱
メンティーにも能力の差異はあるもので、なかなか指導しても期待通り動いてくれないこともあるはず。
そんな時でも、諦めたり突き放したりするようなことなく、メンティーを成長させたいという情熱を持ち続けられる人は最適でしょう。
黙々と仕事をする一匹狼タイプよりも、人が好きで世話焼きタイプの方が適正があるといえます。
能力5. 業界を問わない、幅広い知識
メンティーの仕事だけでなく、時には人生全体を考えたキャリアについて、的確なアドバイスをしなければならないこともあります。
そんな時、偏りのない、幅広い豊富な知識が必要になってきます。
その業界だけや、その会社だけで通用する知識だけでなく、様々な視野を持って情報収集する能力は必須といえるでしょう。
メンターになる人が心掛けておきたい7つの事
会社からメンターになることを命じられて、不安に思っている人もいるでしょう。
指導する立場は確かに苦労も多いですが、得るものも多いです。
ここでは、メンターになる人が心がけておきたい7つのことをご紹介します。
心得1. メンティーに一方的な命令をしない
メンターは指導する立場ではあるものの、コーチや上司といった存在とは違います。
そのため、基本的にはメンティーの自主性を促すような指導や、助けを求められてからアドバイスするという対処法が必要です。
一方的な命令をすると、メンティーの成長に繋がらず、快適に仕事できなくなる可能性もあるため、気を付けましょう。
心得2. メンティーの話をしっかり聞き入れる
目標や目的などに関して、メンター側が決めるのではなく、メンティーの本心を引き出すことが大切。
そのためには、少し話して決めつけるということはせずに、じっくりと対話していくことが必要になるでしょう。
最初は怖がられたり、遠慮されているケースもよくあるので、気を使わせすぎないように心がけておきましょう。
心得3. お互いの時間を無駄にしないようにする
うちとけて仲良くなってくると、ついつい仕事中に話し込んだり、関係のない話題に盛り上がったりしてしまうもの。
しかし、そうなってしまうとお互いの時間を無駄にして、業務に支障が出てしまう可能性があります。
仲良くなるのはいいことですが、それが行き過ぎて甘えあってしまうような関係にならないように注意しましょう。
心得4. 人が変わるには、時間がかかる事を知っておく
特に新入社員に指導する場合、びっくりするようなミスをメンティーが起こしてしまうこともあるはず。
数回注意したのに、なかなか改善が見られないことがあっても、イライラしたり、怒鳴ったりすることはよくありません。
人が変わるには、時間がかかるものだと思って、じっくりと付き合っていくことが必要になるでしょう。
心得5. メンターは、自身の行動に落ち度がないように気をつける
メンティーはメンターの仕事への取組みだけでなく、周りとのコミュニケーションや立ち振る舞いなど、幅広く観察しています。
そのため、メンターはあらゆる面でメンティーのお手本でなければいけません。
行動が伴っていないと、メンターとしての威厳が保てなくなるため、どんな行動も落ち度がないように気を付けましょう。
心得6. 無闇に怒るのではなく、「なんでそう思ったの?」などの質問を投げかける
一方的な命令は、メンティーの一時的な行動しか改善することができません。
そのため、ミスをした時などに,むやみに怒鳴るのではなく、「なぜそうなったか」という質問を投げかけるようにするといいでしょう。
メンティー自身が原因に気付くことで、根本的な解決方法を理解させることになり、成長に繋がります。
心得7. メンティーの秘密は厳守する
メンティーは、誰にも言いたくないような悩みを持っていることがあります。メンターとして接する以上、そんなメンティーの秘密を少なからず知る機会も増えることでしょう。
信頼してくれているからこそ相談されていることを忘れないようにし、裏切らないためにも具体的な内容などの情報管理は徹底しておくべきです。
メンターになる人はどんな人?会社でメンターになる人の実例4つ
実際、会社のどの役職や立場の人がメンターになるのか、気になりますよね。その会社によって様々ですが、よくあるケースはかたまっているもの。
ここでは、メンターになりやすい立場の人を4パターンご紹介します。考えられる懸念点も一緒に紹介しますので、メンター選びには気をつけながら設定していきましょう。
実例1. メンティーの直属の上司
メンティーが所属する部署の、ある程度経験をもった人がメンターを務めるのが一般的なパターンです。肩書きや役職としては、課長、係長、主任といったところになります。
経験豊富なため、色々なアドバイスや指導が的確であることが多いですが、やや年齢がメンティーと離れてしまいがち。そのため、メンティーが本音を出しにくいというケースもあります。
実例2. 他の部署の管理職の人
あえてメンティーと違う部署で、仕事とは直接関わりが薄いような人がメンターになることもあります。
直属の上司ではない先輩にすることにより、仕事の悩みを話しやすくなることはメリットの一つ。
しかし、普段違う仕事をしているため、なかなか深いコミュニケーションはとれず、信頼関係が築きにくい可能性があります。
実例3. 高い実績を出している若手社員
同じチーム内の、比較的若い社員がメンターになるというのもよくあるケースの一つ。大体メンティーとの年齢差は5歳ほどになるので、相談もしやすく信頼関係も築きやすいでしょう。
しかし、まだバリバリ働いて実績を出している社員がメンターになるため、メンター側の負担が大きく両立が難しくなる危険性もあります。
実例4. 社外の研修機関や専門家
研修機関やメンター専門家へと委託し、外部から対応するということも増えてきています。
メンターとしてのノウハウや経験もあって、人間関係でトラブルになることは少ないメリットがある一方、やはり社外の人間であることは変わりありません。
アドバイスや指導が一般的で汎用性のあるものになりやすく、実情に完全にマッチしないというデメリットも考えれます。
メンターに選ばれたら、自分を成長させられるチャンスだと思って!
メンターの意味や特徴、それぞれのメリットデメリットについて紹介しました。これからメンターになる人も、メンティーになる人も、多少の不安は抱えているでしょう。
しかし、メンター制度は上手く利用すれば色々なメリットがある、優れたシステムです。ぜひ導入して、社内の雰囲気をさらによくしてみてはいかがでしょうか。
【参考記事】はこちら▽
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