【心理】同調行動とは?周りを真似する人の“メリット&デメリット”
そもそも「同調行動(ハーディング現象)」とは?
同調行動とは、周囲の意見や行動に合わせて同じような言動をすることを指す心理学用語。行動経済学では、『ハーディング現象』とも呼ばれます。
たとえ自分の意見や考え、好みが違っていたとしても、周りに合わせてしまう心理現象で、意識的に行うことも無意識のうちにやってしまうこともあります。
私たちの普段の生活や恋愛にもよく見られる人間の本能的な行動であり、多くの日本人に当てはまる現象といわれていますよ。
【具体例】身近なところに現れる同調行動の例とは?
同調行動(ハーディング現象)は、身近なところにも数多く見られます。
具体例として、
- 「みんな着ているから」「流行に乗り遅れてると思われたくないから」と、流行の洋服を購入してしまう
- 行列ができている飲食店を見つけると、食べてもいないのに「美味しいに違いない」と思って行列に並ぶ
- SNSで「いいね」がたくさんついていると、思わず自分も「いいね」を押す
- ネットショッピングでレビューや高評価がついたアイテムを選ぶ
- 観光地で道がわからなくなっても、とりあえず人の流れに身を任せてしまう
など、私たちも知らず知らずのうちに、ついやってしまっている行動がたくさんありますよ。
同調行動(ハーディング現象)をする人の5つの心理とは?
同調行動がどういうものなのかわかったら、次はどうして同調してしまうのかが気になりますよね。
同調行動をしてしまう心理を知れば、日常生活における自分や周りの言動に対しても納得しやすいもの。
そこでここから、同調行動をする人の心理を解説していきます。
なぜ同調行動をしてしまうのか。心の中を理解していきましょう。
心理1. 嫌われて孤立したくない
同調行動の別名であるハーディング現象は、「群れ」を語源としています。
基本的に人間は群れの中で生きていく動物。学校や職場などで集団から外れてしまうことに対し、本能的に恐怖を抱いているんです。
なので、「周りと違うと、嫌われたり孤立したりしてしまう」と感じ、周囲に合わせた行動をします。
同じ意思を持っていることを表明することで嫌われないようにしたいという心理ですよ。
心理2. とにかく安全な道を選びたい
動物は本能で危険を回避するといわれますが、それは人間にも当てはまります。
「周りの人と同じような行動をしていれば安心」というのは、ある意味人間にとっての危険回避能力。
自分で選択して切り開いていくよりも、多くの人が歩いている道を進む方が安心しますよね。また、周りに合わせることで、何かあった時の対処も早くなると思っているんです。
自分の身を守ろうとする本能が働き、できるだけ安全な道を選びたいという心理に繋がります。
心理3. 周囲に溶け込みたい、悪目立ちしたくない
人間は群れで生活する生き物なので、異質な存在は排除するという集団心理が働きます。いじめとか仲間外れが起きるのもこの類。
なので、浮いた存在にならないよう、周りに同調することで仲間として受け入れられようとするんです。
逆にいえば、何か悪いことを企んでいる時は、同調行動をすることでバレにくくなります。
心理4. 相手の懐に入りたい
異質な存在は敬遠されますが、同類と認められれば心を許しやすくなります。
営業やマーケティングの世界では、相手を安心させるために同調行動を意識的に利用します。
具体例として、相手の行動を真似することや同じペースで話すこと。こうすることで相手の警戒心が弱くなり、心を許しやすくなるのです。
あえて同調行動をすることで信頼を勝ち取り、相手の懐に入り込みたいという考えです。
心理5. 相手から好意を持ってもらいたい
自分が好きな人とは、誰だって両想いになりたいですよね。しかし、いきなり距離を縮めると相手は警戒してしまいます。
なので、自分は危険な存在ではないことを示すため、同調行動をとって距離を縮めようとするんです。
好きな異性と同じ行動をとることで安心感を抱かせ、好意を持つきっかけにさせようとしています。
【要注意】同調行動をしてしまうことで起こる3つのデメリット
これまでの内容で同調行動をする人の心理が理解でき、多くの人が「自分にも当てはまるかも…!」と思ったのではないでしょうか。
しかし、同調行動にはメリットもデメリットも存在します。
ここからはまず、同調行動のデメリットについて解説。
同調行動を繰り返すと起こり得るデメリットを把握して、注意していきましょう。
デメリット1. 自分の間違いに気がつけない
周りに合わせることで安心感を得られる同調行動。多数派が正しいと無意識に思ってしまうため、自分が間違っているとは微塵も考えなくなってしまいます。
多数派になることでその時は安心しますが、もしその多数意見が間違っていた場合、なかなかその間違いに気づけません。
何も考えずに行動を起こすので、間違ったことに加担してしまう恐れも…。
デメリット2. 個性がなくなるから、自分らしい生き方ができない
大勢に合わせることが正しいと思ってしまうと、意識的にも無意識的にも同調行動をとってしまいます。
そうすることで自分らしさが消え、個性がなくなってしまうことも。
自分らしい生き方ができないので、毎日の生活にどこか虚しさを覚え、「私がしたいことは何だろう…?」と自分がわからない状態になってしまう恐れがあります。
デメリット3. 自分で考える力が養えない
同調行動ばかりしていると、それが自分の中で当たり前に…。
周囲の意見に合わせることが癖になって、自分の思いや意見を考えようとしなくなることも。
周りに流されるのが日常化してしまうと、考える力を養えないので、いざ自分が先頭に立った時にどう進めばいいのかわからなくなり、リーダーシップを発揮できませんよ。
いいこともある!同調行動をすることで得られる5つのメリット
同調行動におけるデメリットを解説しましたが、不安になる内容が結構多かったですよね。
しかし、同調行動にはデメリットだけでなくメリットもたくさんあります。
ここからは、同調行動をすることで得られるメリットや、その理由を解説。
職場でも恋愛でも活かされる、同調行動のメリットを把握しておきましょう。
メリット1. 人付き合いが円滑になる
同調行動をすることで、同じ意思を持っていることをアピールできます。
人は自分と同じ意思を持つ人に親しみを覚えるため、心理的な距離が近づいて人間関係がスムーズになることも。
また、好きなことにだけ賛同するのではなく嫌いなことも一致すれば、さらに仲間意識が強くなります。
結果的に信頼関係が生まれ、困った時に助けてくれたり相談に乗ってくれたりと、円滑な関係を築きやすくなりますよ。
メリット2. 「周囲と同じ」と感じることで精神的に安定する
同調行動を好む人は、周りと同じであることで安心感を得やすいです。特に、日本人はその傾向が強いといわれています。
周囲に合わせることで「異質ではない」「うまく溶け込めている」と感じ、「嫌われることはないだろう」と安心できるでしょう。
例えば、会社や学校の規則やルールを守って、周りと行動や価値観を共有することで、「自分は間違ってないんだ」と安心感を得て精神的に落ち着けます。
メリット3. いつでも効率的な選択ができる
周りに合わせる同調行動を逆手に取れば、悩んだときやわからない時に役立ちます。
例えば、お店選びに悩んだらみんなが美味しいといっているお店を選んだり、道に迷ったら多くの人が向かっている方向についていったり。
悩んだときに周囲に合わせれば、ある程度正解に近い選択ができるのです。
自分でいちいち考えたり調べたりするのを省略しながらも、失敗が少なくて済む点はメリットといえるでしょう。
メリット4. 仕事で活用できる
同調行動は相手に合わせる行動なので、組織に属している人や多くの人と接する機会が多い人なら、同調行動は大きな武器にもなります。
社内では当たり障りなく過ごすことができ、営業などでは相手の信頼感を得やすくなるでしょう。
職場でスムーズな人間関係を築けたり、顧客との距離が縮まったりすることで、結果的に仕事の成果に繋がりやすくなるんです。
メリット5. 恋愛で活用できる
同調行動は相手の考えや価値観、趣味嗜好に賛同すること。
例えば、好きな異性に対して話を合わせたり、デートで同じ飲み物を注文したりすれば、相手が親近感を覚えやすくなります。
同調行動をとって味方であることをアピールすることで、「この人とは何か気が合う」「仲良くなりたい」と思わせられるでしょう。
好きな異性との距離感を縮めて、信頼感を得られれば、早い段階で片思いの恋愛を成就させることができますよ。
【参考記事】はこちら▽
時と場合によって、同調行動(ハーディング現象)を活かしてみて!
周りの言動に合わせて自分も同じような言動をしてしまう同調行動。誰だって「嫌われたくない…」と思い、多少なりとも同調行動をとった経験があるのではないでしょうか。
職場や恋愛において同調行動をとれば安心しやすく、スムーズな人間関係を築きやすい一面があります。
しかし、過度な同調行動は自分らしさや個性が出ず、ただのイエスマンとして捉えられる恐れも。
今回の記事を参考に、同調行動の特性をしっかり理解して、バランス良く賢く毎日の生活に活かしていきましょう。
【参考記事】はこちら▽
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