"させていただきます"の意味/使い方。言い換え&例文|ビジネス敬語ガイド
「させていただきます」の意味とは?
「させていただきます」とは、自分が行うことをへりくだって述べる「させてもらう」の謙譲表現です。
ただし、非常に丁寧な表現に聞こえる「させていただきます」ですが、使い方によっては間違った印象を与えてしまう恐れも。
文化庁が出している「敬語の指針」によると、「させていただきます」の基本的な正しい使い方に関して、自分が行うことを相手、もしくは第三者側の許可を受けて行う場合、また、行うことによって恩恵を受けているという事実がある場合に適切に用いられていると記されています。
したがって、使う際は十分に注意しましょう!
「させていただきます」の使い方/例文
「させていただきます」は、許可が必要なときや何か依頼された役割を述べるときなどに使用するのが一般的です。
使い方が少しむずかしいため、例文を参考に使えるタイミングをしっかりと見極めてくださいね!
許可が必要な時の「させていただきます」の例文
- その件に関しては、わたくしからきちんと説明させていただきます。
- 許可いただいたミーティングルームを本日利用させていただきます。
- たいへん申し訳ないのですが、体調が優れないため早退させていただけないでしょうか。
- では明日ご指定の時間に訪問させていただきます。
許可が必要な「させていただきます」のビジネスシーンでの使い方は、こちら側が、許可が必要と思われるアクションの前に、「させていただきます」と述べる用法です。
質問しているわけではなく、承認の言葉を待つこともないですが、この表現によって、相手の許しに基づいてこちら側のアクションが行えるという構図をつくり、相手に敬意を払っていることを示せます。
依頼された役割を述べる時の「させていただきます」の例文
- ご依頼いただいた司会進行役、精一杯務めさせていただきます。
- お誘いいただきました展示会に喜んでご一緒させていただきます。
- ご質問に関して、一両日中に担当者からご連絡させていただきます。
- 近日中に、ご注文の商品を送らせていただきます。
依頼された役割を担うときに使う「させていただきます」も同様の意味を持ち、相手に敬意を示して、その役割を果たせることを喜んで行いたいという意図を伝えられますよ。
メールでも、相手の前で言う使い方のときも、謙譲のニュアンスを多く含む敬語表現ですから、よい印象を持ってもらえます。
【「例文」で使われている敬語】
・「ご依頼」の意味/使い方。メール&文書で使える例文集|ビジネス敬語ガイド
・「ご連絡させていただきます」は正しい敬語なの?例文まで解説します
「させていただきます」を使う上での注意点
注意点① 「させて頂く」と漢字表記をするのは間違い
「させていただく」は、ひらがなの「いただく」と、漢字の「頂く」では意味合いが異なります。ひらがなの「いただく」は、「いただく」の前にある動詞を補助する補助動詞となります。
一方で、漢字の「頂く」は、「食べる、または飲む」「もらう」などの謙譲語としての意味合いを持ちます。
したがって、「させていただく」の正しい表記としては、漢字表記「頂く」ではなく、ひらがな表記の「いただく」を用いるようにしましょう。話し言葉では、漢字かどうかは気にしませんが、メールに記して送る際には、漢字で書かないように気を付けます。
NG例とOK例
- ×:お申し出の通り、わたくしが替わりに運転させて頂きます。
- ◯:お申し出の通り、わたくしが替わりに運転させていただきます。
- ×:後日改めてお電話させて頂きます。
- ◯:後日改めてお電話させていただきます。
注意点② 二重敬語にしない
丁寧に話すことを意識するあまり、過剰な丁寧表現をしてしまうかもしれません。例えば、「尊敬語と尊敬語」また「謙譲語と謙譲語」を併せた表現があります。
「見る」の謙譲語である「拝見」と「する」の謙譲語の「させていただきます」を合わせた「拝見させていただきます」は、「二重敬語」となってしまい相手にくどい印象を与えてしまうので注意が必要な表現と言えるでしょう。
NG例とOK例
- ×:取引先の社長がつい先ほどお越しになられました。
- ◯:取引先の社長がつい先ほどお越しになりました。
- ×:色違いの商品もございますが、ご覧になられますか。
- ◯:色違いの商品もございますが、ご覧になりますか。
注意点③ ビジネス上の役職を述べる時は使わない
ビジネスシーンにおいて、自分の役職を述べることも多いかもしれませんが、その際にも丁寧に話そうとしてつい二重敬語にしてしまう方が数多く見受けられます。
そもそも、社内の役職は相手側の許可は必要としていないため、「課長を務めさせていただいております〇〇です」という表現は適切な表現ではありません。ただし、臨時的に就いている役割に関しては「させていただいている」の表現は使えます。
NG例とOK例
- ×:本部長を務めさせていただいております宮本です。
- ◯:本部長を務めております宮本です。
- ×:前任の佐々木に代わり、御社を担当させていただくことになりました中川です
- ◯:前任の佐々木に代わり、御社を担当することになりました中川です。
注意点④ 使いすぎない(症候群にならないよう気をつける)
「させていただきます」という表現は、一見すると丁寧な響きゆえに、知らず知らずのうちに意味なく多用してしまいがちです。「させていただきます症候群」と呼ばれるほど、つい多用してしまう方も多いのでくれぐれも注意しましょう。
また、「させていただきます」を頻繁に用いると、文章も全体的に間延びするので、使うとしても1回など意識して、スッキリとした文章、話し言葉を心がけましょう。
NG例とOK例
- ×:このチームは本日をもって解散させていただきます。
- ◯:このチームは本日をもって解散いたします。
- ×:書類の間違いを訂正させていただきましたのでご確認ください。
- ◯:書類の間違いを訂正いたしましたのでご確認ください。
注意点⑤ 不適切な「サ入り表現」は避ける
「させてもらう」と表現するときに、余計な「さ」が入ってしまうことがあります。例えば、「休まさせていただきます」は、正しくは、「休ませていただきます」と言うべきです。
「さ」を入れない動詞単語の見分け方は、「ない」の形に活用したときに、「ない」の前の母音が「あ行」になるものには「さ」を入れないと覚えておきましょう。
NG例とOK例
- ×:全力で問題の解決に取り組まさせていただきます。
- ◯:全力で問題の解決に取り組ませていただきます。
- ×:期日内に振り込みさせていただきます。
- ◯:期日内に振り込ませていただきます。
注意点⑥ 許可が入らない動作には使わない
「させていただきます」とは、許可されて「する」の謙譲語でしたが、行うことに許可が必要でない場合にも「させていただきます」という使い方をすることがあるかもしれません。
「確認させていただきます」というフレーズはビジネスシーンでは頻繁に使う機会があるかもしれませんが、「確認」することは相手側の許可は必要ない場合がほとんどのため、この場合は「確認いたします」と述べる方がスマートな印象を残せます。
NG例とOK例
- ×:弊社の開発した新製品をただいまより発表させていただきます。
- ◯:弊社の開発した新製品をただいまより発表いたします。
- ×:後ほどかならず担当者からご連絡させていただきます。
- ◯:後ほどかならず担当者から連絡いたします。
注意点⑦ 相手に迷惑をかける場合は使わない
「させていただきます」の間違った使い方のひとつに「早退させていただきます」という表現があります。
許可が必要なので「させていただきます」を使うことはできますが、これでは聞く相手の方にぶっきらぼうな印象を与えてしまうことになってしまいます。
相手に迷惑をかけてしまう場合には「させていただきます」ではなく「させていただけませんか」などと言い換えることにより、ビジネスの付き合いも円滑にすすめることができるでしょう。
NG例とOK例
- ×:辞退させていただきます
- ◯:辞退させていただけませんか。
- ×:家族に不幸があったので急ではありますが休ませていただきます。
- ◯:家族に不幸があったので急ではありますが休ませていただけませんか。
「させていただく」は「いたします」に言い換えできる。
今まで頻繁に使ってきた「させていただきます」の意味と正しい使い方がわかってきたものの、それを他の言葉に置き換えるのは難しいのではないかと心配される方もおられるかもしれません。
たいていの「させていただきます」は「いたします」に言い換えることにより、相手側に対する丁寧な敬語表現を変えることなく言いあらわせます。また、ビジネスシーンでのスムーズなコミュニケーションにも「いたします」は「させていただきます」の言い換えとして十分使える用法といえるでしょう。
もちろん、許可が必要な場合は、いままでの「させていただきます」の正しい用法で使用することができます。
「させていただく」から「いたします」に直せる例
- A:わたしたちはこのたび入籍させていただくことになりました。
- B:わたしたちはこのたび入籍いたしました。
- A:その類のお話はご遠慮させていただきます。
- B:その類のお話はご遠慮いたします。
- A:わが社の商品を販売させていただきます。
- B:わが社の商品を販売いたします。
- A:この案件に関しましては弊社に持ち帰り検討させていただきます。
- B:この案件に関しましては弊社に持ち帰り検討いたします。
- A:この悪天候のためやむなく下山させていただきます。
- B:この悪天候のためやむなく下山いたします。
- A:新しい担当者をご紹介させていただきます。
- B:新しい担当者をご紹介いたします。
- A:来週中に納品させていただきます。
- B:来週中に納品いたします。
「いたします」を適宜含めることによって、「させてもらう症候群」的な文面のメールから脱出し、洗練された美しい文章にできます。
敬語の意味を保ったまま、より多彩な表現をすることによって、よりよい印象を残せます。「させてもらう」の多用は、へつらいすぎのイメージを与えかねません。バランスよく言い換え表現を用いることによって、メールや会話をより魅力あふれるものにできます。
「させていただきます」の英語表現
- Allow me to introduce myself.(自己紹介をさせていただきます。)
- I will ask you some questions.(いくつか質問をさせていただきます。)
- I am delighted to participate in the party.(喜んでパーティーに参加させていただきます。)
- Allow me to attend the meeting.(会議に出席させていただきます。)
- I will be the person in charge from today.(本日より担当者を務めさせていただきます。)
- I will answer your question.(ご質問に回答させていただきます。)
英語で「させていただきます」を表現するには、主に「Allow me to」という表現と、「I will」という表現があります。
英語でも許可を求める直接的な表現で、丁寧にへりくだったニュアンスの「させていただきます」の意味をあらわします。
また、未来形の英語にすることによっても、相手の許可の基に行なおうと思っているという意味を伝えることができます。
二重敬語には注意して、「させていただきます」を上手に使いましょう!
相手との会話を丁寧にしたいがあまり、用法を間違いやすい「させていただきます」の使い方を、正しくマスターしましょう。
間違った用法の使い方をして、それに気がつかないまま多用するならば「わかっていない人」とみなされてしまうので要注意です。
言い換えできる表現を使いながら、正しく敬語や謙譲語を用いつつ、ビジネスシーンにおいて日本語でも英語でも上手に会話を行っていきましょう。
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