"厚かましい"の意味とは?類語との違い&丁寧な例文集【ビジネス敬語ガイド】
「厚かましい」の意味とは?
「厚かましい」とは、遠慮がない、図々しい、態度や行動などの慎みがないといった意味を有している敬語表現です。
「厚い」と「かましい」という言葉で成り立っており、「厚い」には、相手についての関わりがはなはだしいという意味、そして「かましい」には「~の傾向がある」といったような意味があります。
このように、ビジネスの場に限らず言葉の意味の通りあまりポジティブな意味で使われることはありません。どちらかというと、相手に対して迷惑をかけていることを知っているにも関わらず、何かを依頼したり、お願いしたりする際に使われる表現とも言えるでしょう。
ビジネスシーンで使える「厚かましい」の正しい使い方
「厚かましい」という言葉が使われるシーンとしては、2つのパターンが考えられます。自分の行動に対して述べる場合と、相手の行動に対して述べる場合です。
ビジネスシーンにおいては、相手に迷惑がかかることを承知のうえで、行動を起こす際に「厚かましい」という言葉が用いられます。一般的な敬語表現であり、上司などの目上の人に対して使用しても失礼な使い方ではありません。
しかし、相手に対して「厚かましい」と使う場合は、不快にさせる言葉ですので、目上の人に対しての使い方としては好ましくないでしょう。
ビジネスメールで応用が効く「厚かましい」を使用した例文
- 厚かましいお願いで大変恐縮ですが、来週お話をする時間を撮れないでしょうか。
- 厚かましいお願いとは存じますが、会議室をお借りしてもよろしいでしょうか。
- 厚かましいお願いではございますが、帰社後ご連絡いただけないでしょうか。
- 厚かましいお願いですが、お時間を頂戴してもよろしいでしょうか。
- 大変厚かましいお願いですが、納期を延長させていただいていただきたくご連絡差し上げました。
- 厚かましいお願いですが、砂糖とミルクをいただけませんでしょうか。
- 呼んでもないパーティーに現れるなんて、◯◯さんは厚かましい人だ。
- あれほど厚かましい人を私は見たことがない。
敬語表現として利用する場合、例文に多くあるように自分自身に対して使うのが一般的です。
遠慮がない、身勝手なことを承知のうえで、相手に対してお願いする際に使われるものであり、相手に不快な思いをさせないために使うクッション言葉としての敬語の使い方となります。
また、例文の中には相手に対して使う表現もあります。相手に対して使う場合は、相手の行動が図々しい、遠慮がないといった使い方となりますので、自分自身が不快に思った人に対して使われます。
そのため、敬語表現で使われることはなく、上司や目上の取引先などに対して使うことはありません。
【「例文」で使われている敬語】
・「大変恐縮ですが」の意味とは?使い方から言い換えできる類語までまとめました
「厚かましい」と言い換えできる類語一覧
厚かましいの類語① おこがましい
「おこがましい」というのは、自分の意見やお願いをする際に使われる敬語表現です。
遠慮がないことを表す「厚かましい」に対し、「おこがましい」は「自分の立場を理解しない」、「貴方にとって差し出がましい」などの意味を持ちます。
「おこがましい」という表現は、「厚かましい」の類語表現ではあるものの、ビジネスシーンにおいてはどちらかというと、上司や目上の人に対して使う言葉であり、謙譲表現に位置づけられています。
また、「厚かましい」では、相手に対して使う表現もありましたが、「おこがましい」については、自分に対して述べる使い方をします。
「おこがましい」の使い方
- 私が意見するのもおこがましいですが、彼の行動は間違っていないかと思います。
- 自分自身で言うのはおこがましいですが、これまでにない奇抜なアイディアとなっております。
- おこがましいお願いをしてすみませんが、手を貸していただけませんでしょうか。
厚かましいの類語② 僭越
「僭越」は自分の身分を越えてという意味を持つため、「厚かましい」の類語表現と言えます。ビジネスシーンにおいては、失礼を承知のうえで意見する場合やお願いする場合の使い方として利用されます。
また、敬語表現の中でも、会話の中で謙虚さを表現したい場合にも使われることが多いでしょう。
「厚かましい」の場合は、あまりメールや手紙などで使われることは少ないのですが、「僭越」はメールであいさつや返事をする場合の敬語表現として使われるため、シーンに応じて使い分けましょう!
「僭越」の使い方
- 僭越ながら、先ほどの説明に対して、2、3点質問がございます。
- この度は素晴らしい贈り物をありがとうございます。僭越ながらメールにてお礼申し上げます。
- パーティーへのご招待ありがとうございます。まことに僭越ではございますが、すでに予定が入っているため、お断りさせていただきたく存じます。
【参考記事】「僭越ながら」の意味や使い方を徹底ガイド▽
厚かましいの類語③ 不躾
「不躾」という言葉は、「不作法」、「礼儀がない」といった意味を持つ言葉です。「厚かましい」との類語表現としては、上司や目上の人に対して何かしらのお願いをする際などに使われることが多いです。
また、「厚かましい人」という表現と同様に、「不躾な人」というような、相手に対して使用されることも多いでしょう。
ただし、敬語表現としては不適切ですので、上司や目上の取引先などのビジネスの場では使われないのが一般的とされています。
「不躾なお願い」や「不躾な質問」などは、目上の人に対して使いすぎないよう注意しておきましょう。
「不躾」の使い方
- 不躾な質問ではございますが、御社は創業何周年のお祝いをしているのでしょうか。
- 不躾なお願いではございますが、社長にお取次ぎいただけないでしょうか。
- 女性に対して年齢を聞くなんて、彼はなんて不躾な人なんだろうか。
厚かましいの類語④ 図々しい
「図々しい」とは、意味としても使い方としても「厚かましい」と同じように使える敬語表現です。自分自身が図々しいことをしているのを承知のうえでお願いするときなどに使うことが多いでしょう。
また、「厚かましい人」というような、相手に対して「図々しい人」という表現で使われることも少なくありません。
ただし、この場合も「厚かましい」と同様に、相手に対して不快にさせる意味合いがありますので、目上の人などに使うのは適切ではないでしょう。
「図々しい」の使い方
- 図々しいお願いではあるのですが、メールで頂いた御社の見積りに対してもう少し値引を検討いただけないでしょうか。
- 図々しいとは存じますが、再度納期を延長していただけないでしょうか。
- 見返りを要求するとは、図々しい人もいるものだ。
厚かましいの類語⑤ 馴れ馴れしい
「馴れ馴れしい」は、「厚かましい」の類語であり、基本的には相手に対して使う言葉です。ただし、「厚かましい」のように敬語表現で使われることはありません。
「厚かましい人」というように、「馴れ馴れしい人」というような形容するための言葉であり、どちらかというとビジネスで使われることは少ないでしょう。
もし、ビジネスシーンでの使用を想定するのであれば、3つ目の例文のような相手に対して謝罪する際などに、自分に対して形容して使うことはあります。
「馴れ馴れしい」の使い方
- 取引先は、初対面から馴れ馴れしい態度で話しかけてきた。
- メールでの丁寧さとは正反対の馴れ馴れしい態度だった。
- 先日は馴れ馴れしい発言をしてしまい、御社社長に不快な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした。
厚かましいの類語⑥ 失礼
失礼というのは、相手や自分に対して不快な状態にさせることを言います。「厚かましい」と類語的に使用することも可能です。
「失礼かと存じます」、「失礼を承知のうえで」というような表現をすることで、相手に不快な思いをさせてしまうけれども言いたいことがある、お願いしたいことがあるといった敬語表現として使うことができるでしょう。
ビジネスシーンでも使いやすい言葉です。また、相手を形容する言葉としても使えますが、不快にさせてしまう言葉なのでビジネスシーンではあまり失礼を使われることはありません。
「失礼」の使い方
- 失礼を承知のうえで申し上げますが、御社の営業方針では将来の懸念がございます。
- 失礼かと存じますが、植込みがゴミだらけですので対処したほうがいいかと思います。
- 謝罪をメールで行うなんて、あの担当者は失礼極まりない。
厚かましいの類語⑦ 失敬
「失敬」という言葉は、「厚かましい」の類語というよりも、どちらかというと「失礼」の類語の一つとして使用されることが多いです。よく使われる意味としては、相手に対して失礼なふるまいをすることや、無礼が挙げられます。
また、先に席を立ったり、その場を去る際にも用いられます。ただし、目上の人に対して使われる事は基本的にありません。メールでも使用されることはないため、口語で使う表現であることも覚えておきましょう!
「失敬」の使い方
- 弊社取締役が、御社担当が失敬な態度をとったとお怒りになっています。
- 先日は、失敬な態度と発言をしてしまい申し訳ございませんでした。
- 盛り上がっている所非常に申し訳ございませんが、一足先に失敬させていただきます。
厚かましいの類語⑧ 差し出がましい
「差し出がましい」は、出しゃばった真似をしたり、おせっかいをかけたりするという意味で使用されます。「厚かましい」の類語表現として、相手に対して失礼に思っているけれども何か伝えたい場合に使われることが多いでしょう。
ビジネスシーンにおいても、目上の人に対してお願いや意見、そしてアドバイスをする際に活用できるでしょう。
ただし、「厚かましい」のような、相手を形容するといった表現の使い方はほとんどありません。
「差し出がましい」の使い方
- 差し出がましいお願いですが、電話をお借りしてもよろしいでしょうか。
- 差し出がましいのですが、ご回答いただけないでしょうか。
- 差し出がましいとは存じますが、ご提案のお見積もりを提出させていただきます。
「厚かましい」の英語表現
- imprudent(厚かましい)
- cheeky(厚かましい)
- pushy(強引)
- I’m afraid I’m asking too much(厚かましいお願いで申し訳ございません)
- I hope it’s not too forward(厚かましいと思われそうですが、)
- If I may be so bold(厚かましいのですが)
英語表現としては、単語でも存在しますが、この場合は相手を形容する英語であるため、ビジネスの場ではあまり好んで使われません。
敬語的な意味合いの英語表現では、I’m afraid I’m asking too much(厚かましいお願いで申し訳ございません)などのように、相手に対して申し訳ない思いをもってお願いする表現がビジネス英語では、適切であると言えるでしょう。
「厚かましい」は類語も多いため、きちんと使い方を覚えましょう!
「厚かましい」は、遠慮がない、図々しいといった意味合いの言葉です。
相手に対して不快な思いをさせる言葉ですが、自分に対して使うことでビジネスにおける敬語表現で使用することができるでしょう。
「厚かましい」には、類語表現も非常に多いので、ビジネスシーンにあわせて、例文を参考にして使ってみてはいかがでしょうか。
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