"ご足労いただきありがとうございました"の使い方とは。ビジネス敬語ガイド
「ご足労いただきありがとうございました」の意味とは?
「ご足労いただきありがとうございました」とは、わざわざ出向いてくれたことへの感謝を意味する敬語表現です。「足労」というのはわざわざ出向くこと、足を運ぶことを指します。
頭に「ご」をつけることで敬語表現になっており、自分より目上の人にも使用できる言い回しです。ビジネスシーンでは取引先などに対して主に使用します。「いただき」は何かをしてもらうの謙譲語で、「ありがとうざいました」はお礼の言葉。
これらを合体させたのが「ご足労いただきありがとうございました」です。ビジネスのシチュエーションとしては遠方から来てもらう場合など、「遠路はるばるご足労いただきありがとうございました」のような例文になります。
「ご足労いただきありがとうございました」は目上の方に使える敬語か?
「ご足労いただきありがとうございました」は接頭語の「ご」がついているため、敬語表現となります。また「いただく」という自分をへりくだった謙譲語も使っているため、目上の方に問題なく使用できる敬語表現です。
「ご足労」というのは、目上の人やビジネスシーンでの上司、取引先などに来てもらうこと。場面としては仕事関係で緊急に上司に来てもらう必要ができた時など、「お忙しい中、ご足労いただきありがとうございました」のような例文となります。
例えば、こちらが頼まなくても、上司や目上の人が心配して様子を見に来てくれるケースも。そのようなときも「部長がいらっしゃるとは思いもしませんでした。ご足労いただきありがとうございました」といった形で使用できますよ。
【参考記事】「ご足労」の使い方ガイド。例文から類語まで分かりやすく解説します▽
「ご足労いただきありがとうございました」の丁寧な例文
来てくれた取引先/上司に使える例文一覧
- お暑い中をわざわざ会議に参加してくれるとは、ご足労いただきありがとうございました。
- 決算時期でお忙しいところ、このような遠くまでご足労いただきありがとうございました。
- スタッフだけではどうしても解決がつかずお願いした次第です。ご足労いただきありがとうございました。
- 打ち合わせにご足労いただきありがとうございました。おかげで助かりました。
- おみ足の具合がよくないと聞いておりましたが、わざわざ打ち合わせにご足労いただきありがとうございました。
「ご足労いただきありがとうございました」は、相手にわざわざこちらへ出向いてもらったことに対して、感謝の意味を込めた言葉です。
したがって、「ご足労いただきありがとうございました」は積極的に使用して、感謝の思いをしっかりと相手へ伝えましょう。
来てくれた後にメールで使える丁寧な例文
- 先日は雨の中を当社の会議にご足労いただきありがとうございました。
- 昨日はご足労いただきありがとうございました。会議も無事終えることができました。
- 会議へご足労いただきありがとうございました。とりあえずメールでお礼を申し上げます。
- メールにて失礼とは思いますが、お礼を述べさせていただきます。我が社の会議にご足労いただきありがとうございました。
- 本日はご足労いただきありがとうございました。おかげさまで会議も平穏に終えることができました。
「ご足労いただきありがとうございました」は過去系の敬語表現になるので、すでに来てもらったことへの感謝を表す言葉です。
本来なら相手方へ伺ってお礼を述べるところですが、ビジネスシーンでは時間を取れないことがあります。
そのようなときはとりあえず「昨日はお暑い中、ご足労いただきありがとうございました」という例文のようにメールをしておくと、相手に気持ちを伝えられますね。メールで謝意を表すなら、なるべく早く送ることが大事です。
【「例文」で使われている敬語】
・「おかげさまで」の意味/使い方。目上に使える例文付き|ビジネス敬語ガイド
「ご足労いただきありがとうございました」と言い換えできる類語一覧
類語① お越しいただきありがとうございました
「お越しいただきありがとうざいました」は「ご足労いただきありがとうございました」と同じく、「相手にきていただくことへの感謝」の意味なので、類語になります。
「お越し」は「来る」の、「いただく」は「してもらう」の敬語的な謙譲語なので、目上の人やビジネス上の取引先などに「お越しいただきありがとうざいました」という使い方をします。
「ご足労いただきありがとうございました」の方がより畏まった敬語になり、「お越しいただきありがとうざいました」は上司との関係が近い場合に使う敬語表現ですね。
「お越しいただきありがとうございました」の使い方
- 本日はお忙しい中、お越しいただきありがとうざいました。
- お寒い中をお越しいただきありがとうざいました。社員一同心待ちにしておりました。
- 帰国したばかりでお疲れのところ、お越しいただきありがとうざいました。
【参考記事】「お越しいただき」の正しい使い方を徹底解説▽
類語② ご来訪いただきありがとうございました
「ご来訪いただきありがとうございました」も「ご足労いただきありがとうございました」の類語になりますが、ビジネスシーンで多く使われる言葉です。会話やメール、文書などで来ていただいたお礼を伝えます。
「ご来訪」は「来る」という意味の「来訪」に丁寧語の「ご」をつけた敬語表現なので、目上の人やビジネス上の上司や取引先関係者などに対して使う言葉になりますね。
類語でも「ご足労いただきありがとうございました」との違いは、「ご足労」が特定の場所に足を運んでもらったというニュアンスなのに対し、「ご来訪」は来てもらったこと事態を感謝するニュアンスとなります。
「ご来訪いただきありがとうございました」の使い方
- 本日はお忙しい中をご来訪いただきありがとうございました。感謝申し上げます。
- いつもお世話になっております。昨日はご来訪いただきありがとうございました。
- 期間限定にもかかわらず、弊社のイベントにご来訪いただきありがとうございました。
【参考記事】「来訪」の使い方|言い換えできる類語から例文まで解説します▽
類語③ ご出席いただきありがとうございました
「ご足労いただきありがとうございました」と「ご出席いただきありがとうございました」は、どちらも来てもらったことへ感謝する敬語表現で、類語になります。
「ご」という丁寧語や「いただき」という謙譲語を使っているので、目上の人やビジネス上の上司に使う点では同じですね。違う点は「ご足労いただきありがとうございました」が極めて丁寧な敬語表現で、特別に大切な上司などが対象。
「ご出席いただきありがとうございました」はもう少し砕けたニュアンスが強くなり、身近な上司などが対象になります。
「ご出席いただきありがとうございました」の使い方
- お忙しい中、本校の卒業式にご出席いただきありがとうございました。
- 個人的な集まりにもかかわらず、ご出席いただきありがとうございました。
- 父の代わりご出席いただきありがとうございました。父も喜んでおります。
類語④ 足をお運びいただきありがとうございました
「足をお運びいただきありがとうざいました」は来てもらったことへの感謝を込めた敬語表現で、同じ意味を持つ「ご足労いただきありがとうございました」の類語です。
「お運び」のように「お」という謙譲語をつけた言葉なので、目上の人やビジネス上の上司や取引先などに対して使用します。この点も「ご足労いただきありがとうございました」と同じ使い方。
意味合いもほとんど同じですが、「足をお運びいただきありがとうございました」の方がわざわざ出向いてくれた努力のニュアンスが強まります。「ご足労いただきありがとうございました」の方が一般化された表現になっていますね。
「足をお運びいただきありがとうございました」の使い方
- 大変な状況にもかかわらず、わざわざ足をお運びいただきありがとうざいました。
- 大雨で道路がぬかっているのに、足をお運びいただきありがとうざいました。
- お忙しい中、当店の催しに足をお運びいただきありがとうざいました。
相手に「ご足労」をお願いする場合は何て言えばいいの?
1. ご足労おかけしますが、
「ご足労いただきありがとうございました」から派生した言葉に「ご足労おかけします」があります。これは主に会話で使われる言葉で、意味合いはほぼ同じです。「ご足労おかけしますが」はこれからお願いするシチュエーションですね。
「時間も遅いのにご足労おかけします」という例文のように、これから来てくださいねというお願いする状況で使います。来てもらうことへお願いするシチュエーションだけでなく、来てもらった事実に対する挨拶語としても使いますよ。
「本日はご足労おかけします」の例文では、すでに来てもらった相手に挨拶をする使い方です。
「ご足労おかけしますが」の使い方
- ご足労おかけしますが、お昼までに来ていただけると大変に助かります。
- 父のことではご足労おかけしますが、先生だけが頼りなのでよろしくお願いいたします。
- 先輩にはいつもご足労おかけしますが、今回もまた来ていただけると嬉しいです。
2. ご足労願います
「ご足労いただきありがとうございました」を簡単に言い表すと「ご足労願います」となります。もう少し丁寧な敬語表現にすると「ご足労お願いいたします」のようになります。
「ご足労願います」も敬語表現なので目上の人やビジネス上の上司につかってもかまいません。「ご足労願います」は比較的近しい関係の上司や先輩に使い、特別な上司には使わない方が無難です。
ビジネスシーンでは社内で使う言葉なので、取引先や外部の人間に対して使うのは要注意。使うのに迷った場合は「ご足労おかけしますが」や「ご足労いただきまして」に言い換えた方が安心ですね。
「ご足労願います」の使い方
- チケット販売の締切時間が迫っておりますので、午後3時までにご足労願います。
- 明日の午前中にご足労願いますが、都合の方はよろしいでしょうか。
- ご提案の件につきましては本日の父母会へご足労願いますので、よろしくお願いいたします。
3. お越しくださいますよう
「お越しくださいますよう」には、こちらへ来ていただきたいとお願いする意味が含まれます。大切な催しにぜひ来てもらいたい場面では、電話やメールで「お越しくださいますようお願い申し上げます」といった例文のような使い方に。
「お越しくださいますよう」は「お」という丁寧語の接頭語と「ください」という敬語表現がつくので、目上の人や商売上の顧客などに使います。どうぞ来てくださいという気持ちを込めているので、好印象を与える使い方です。
「お越しくださいますよう」の使い方
- 今回の展覧会は10回目になりますので、ぜひお越しくださいますようお願いいたします。
- メールにてお越しくださいますようお願いしてありますが、当日のご予定は大丈夫でしょうか。
- 開店祝いにはぜひともお越しくださいますよう、伏してお願い申し上げます。
【参考記事】「お越しください」の意味や正しい使い方とは▽
4. お手数おかけしますが
「お手数おかけしますが」は「ご足労おかけしますが」と同じ意味があります。同じような使い方で「ご足労いただきありがとうございました」は、「お手数おかけしまして申し訳ありませんでした」のような言い回しになりますね。
「お手数」と「ご足労」は同じニュアンスですが、「お手数おかけしますが」の方が具体的に面倒なことをお願いするという感じが強まります。
実際にこちらへ来て作業を手伝ってくださいのように、やることを特定するケースでよく使う言葉です。
「お手数おかけしますが」の使い方
- お手数おかけしますが、今日中に書類の整理をしなくてはなりませんのでよろしくお願いいたします。
- お忙しいところお手数おかけしますが、壁のシールを剥がしたいのでお願いできますか。
- 雨が降る中お手数おかけしますが、注文の品物を持ってきてください。
【参考記事】「お手数おかけしますが」は目上の人に使える?言い換えできる類語もご紹介!▽
「ご足労いただきありがとうございました」の英語表現
- Thank you for coming today(今日はご足労いただきありがとうございます)
- I appreciate your visiting(ご来訪感謝いたします)
- Thank you for visiting(来ていただきありがとう)
- Thank you for taking time to visit us(お忙しいのに来ていただきありがとう)
- Thank you for coming all the way(遠路はるばるありがとうございます)
- I am grateful for you to come(わざわざ来てくれてとても感謝します)
英語で「ご足労いただきありがとうございました」のニュアンスを表現するには、「Thank you for coming」が最も伝わりやすいフレーズです。
英語の場合は冒頭に「Thank you」をつければ感謝の意味になります。
「coming」という英語の代わりに「visiting」という訪問を意味する英語も使えますね。
「all the way」という英語のフレーズは、遠路はるばるという意味があるので覚えておくと便利に使えます。
「ご足労いただきありがとうございました」をしっかり使いこなしましょう!
「ご足労いただきありがとうございました」の意味や使い方について説明しました。
「ご足労」はビジネスシーンでよく使う言葉なので、尊敬表現として「ご足労いただきありがとうございました」というフレーズを覚えておくと、上司や取引先に好印象を与えます。
類語も含めてご紹介した例文を参考にすると、ビジネスで役立ちます。
英語ではThank you for comingのフレーズでほとんど間に合いますよ。
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