"お見えになる"の意味/使い方とは?類語&丁寧な例文|ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2018.09.01
目上の人が来るという意味を持つ謙譲語、お見えになる。ビジネス上では、度々"お見えになられる"と使う人もいますが、実は誤用になります。今回は、そんな「お見えになる」の意味から正しい使い方、例文、"いらっしゃる/お越しになる"との違い、言い換えできる類語まで徹底解説!

「お見えになる」の意味とは?

お見えになるの意味とは

「お見えになる」とは、目上の人やお客様がやって来るを意味する敬語表現です。「お見えになる」は「来る」を丁寧に言い表す言葉で、それだけで敬語としての使い方になります。

気をつけたいのは目上の方が「お見えになる」シチュエーションで、「お見えになられる」のような使い方。これは二重敬語で間違った表現となるため注意しましょう。「なる」を「なられる」のように丁寧語にすると、「お見え」という尊敬語表現と重なるので二重敬語に。

「お見えになる」という使い方はそれだけで最上級の尊敬語表現なので、「なられる」のように言い換える必要はありません。大切な訪問者を迎えるシチュエーションでは「お客様がお見えになる」のような例文でいいのです。


「お見えになる」は二重敬語なのか?

お見えになるは二重敬語か?

二重敬語というのは敬語表現が重なった場合のことで、「お見えになる」は敬語表現が「お見え」だけなので二重敬語にはなりません

「お見えになる」の「なる」を「なられる」のように丁寧に言い換えると、「お見え」と敬語表現が重なります。この場合の「お見えになられる」は二重敬語になって間違いとなりますね。

「お見えになる」という言葉自体が「来る」の尊敬語なので、そのままの使い方が正解です。わざわざ使い方を言い換えて「お見えになられる」のような間違いをしないよう注意する必要があります。


「お見えになられる」は二重敬語!

先程から少し触れていますが、「お見えになられる」は二重敬語になるので間違いです。

なぜわざわざ二重敬語に言い換えるかというと、「なる」という語尾が失礼に感じるからでしょう。そのため「なる」を「なられる」と丁寧に言い換えてしまうので、二重敬語になってしまうわけです。

ビジネスシーンで間違いやすい言葉遣いですので、「お見えになる」というワンフレーズで最上級の尊敬語になるということを覚えておきましょう。


「お見えになる」の使い方/例文

お見えになるの正しい使い方
  • 今日の午後は大切なお客様がお見えになるので、部屋をきれいに掃除してください。
  • 部長がお見えになるまで、会議の開始時間をもう少し先延ばししましょう。
  • 電話によると取引先の主任がお見えになるのは、おそらく午後3時だと思います。
  • 専務がこの部署へお見えになるのは、昨年の10月以来のことでございます。
  • 当店の大切な顧客様がお見えになるまでは、気を抜かないように頑張りましょう。
  • こんな状態を放置するなんて、社長がお見えになるのをご存じないんですか。

「お見えになる」は、ビジネスシーンにおいて上司の部長や社長などがやって来るタイミングでの使い方が多いです

例文ではお客様や部長、取引先の主任などが目上の存在になっており、やって来るまでに部屋を掃除したり会議時間を先延ばしするなど配慮をしています

「お見えになる」を使った例文は、大切な方が来てくださるのだからきちんとお迎えしようというニュアンスを含んだ言い回しばかりです。

例文を見てわかるように、「お見えになる」の特徴は文章よりもビジネス会話や電話などの会話で使うことが多いことでしょう。


「お見えになる」と「お越しになる」との違いとは?

お見えになるとお越しになるの違いとは

「お越しになる」という言い方は「お見えになる」と基本的には同じ意味合いです。ビジネスシーンではどちらも使えます。

ただし「お見えになる」がやって来るという意味なのに対し、「お越しになる」の方はわざわざこちらのために来てくれるというニュアンスが強いです

「お客様がお見えになりました」は単純に来ましたの敬語表現。それが「お客様がお越しになりました」になるともっと丁寧な敬語表現になり、とても大切なお客様というニュアンスがあります。


ビジネスシーンでの「お越しになる」の正しい使い方

  • お客様がお越しになると電話がありましたので、粗相のないように気を引き締めてください。
  • 専務がお越しになるまでは、勝手に作業を中断しないで続けてください。
  • いつか奥様が拙宅へお越しになるのを期待して、お待ちしておりますね。
  • このような現場へ部長がお越しになるとは思いもよらず、失礼いたしました。

【参考記事】相手に来てほしいという時は「お越しください」を使う!


「お見えになる」と「いらっしゃる」との違いとは?

お見えになるといらっしゃるの違いとは

「いらっしゃる」は「来る」の尊敬語で、「お見えになる」と同じ意味があります。どちらも目上の人や先輩、会社の上司などに対して使う敬語表現ですが、「お見えになる」よりも「いらっしゃる」の方が敬意が弱くなる言い方です

ビジネスで使うタイミングはどちらも同じで、直属の上司よりも上のクラスの偉い人を迎える場合に「お見えになる」を、それより低いランクの人には「いらっしゃる」を使います

明確な違いはありませんが、上手に使い分ければビジネスの現場では一目置かれるでしょう。


ビジネスシーンで使える「いらっしゃる」の正しい使い方

  • 先ほど秘書の方から電話連絡がありましたので、もうすぐ社長がこちらへいらっしゃると思います。
  • お客様がいらっしゃいましたので、接客のスタッフはスタンバイしてください。
  • 部長がいらっしゃると会議の場が引き締まります。
  • その方なら開店前から店の前にいらっしゃいましたよ。

【参考記事】尊敬語「いらっしゃる」の意味とは?正しい使い方から例文まで解説


「お見えになる」と言い換えできる類語一覧

お見えになるの類語① 来られる

いらっしゃるの類語①来られるの意味とは

「来られる」は「いらっしゃる」の類語で、「お見えになる」と同じくビジネスなどで目上の人が来るシチュエーションで使います。

目上の人が来る場合に敬意を込めて使うのが「お見えになる」ですが、「来られる」は場合によって敬意を感じられない場合も。また、相手が自分より目上かどうか不明のシチュエーションでは「来られる」よりも「お見えになる」を使った方が無難です

ビジネスシーンで自分と同等の立場か多少目上の場合には、「来られる」の方がしっくりきますね。

「来られる」の使い方

  • 先方からは複数のスタッフが来られるので、その分のお茶菓子を用意しておいてください。
  • 突然来られるとビックリしますので、事前に連絡をしてくださいね。
  • 部長が我が家へ来られるとは思ってもみませんでした。

お見えになるの類語② おいでになる

お見えになるの類語②おいでになるの意味とは

「お見えになる」は「来る」という意味ですが、「おいでになる」には3つの意味が。

「お見えになる」と同じ「来る」という意味、そして「行く」という意味、3つ目は「戻る」という意味です。類語でも、このような多様性が「お見えになる」とは違っていますね。

「来る」という意味は「本日おいでになります」という例文がわかりやすいでしょう。「行く」という意味は「部長がそちらへおいでになります」のような使い方、「戻る」は「すでに会議室においでです」のような例文になります。

「おいでになる」の使い方

  • もうすぐ会長がおいでになるので、そのつもりで準備をしてください。
  • お世話になった先生がそちらの教室へおいでになりますから、もう少しお待ちくださいね。
  • 先ほど部長から電話がありまして、1時間ほどでおいでになるそうです。

お見えになるの類語③ 参る

お見えになるの類語③参るの意味とは

「参る」には自分が「行く」という意味と、「困る」という意味があります

ビジネス現場のシチュエーションとしては目上の人のところへ挨拶へ行く場合などで、「これからそちらへ参ります」のような例文。「今回の事態には本当に参ります」という例文になると、困っているという意味です。

「参る」は自分がへりくだって目上の人に敬意を表す言葉で、その点では「お見えになる」の類語で同じ敬語表現です。ただし「お見えになる」は相手がやってくるという動作になるので、その点は類語でも意味が異なるので注意しましょう。

「参る」の使い方

  • 今回の事態はこちらのミスが原因ですので、こちらから謝罪に参るとお伝えください。
  • 精神的に参るので、あまり細かいことは言わないようにお願いします。
  • 先方へ参るとは申しましたが、日時などはまだ決めておりません。

お見えになるの類語④ ご来訪くださいました

お見えになるの類語④ご来訪くださいましたの意味とは

「ご来訪くださいました」は「来てくれた」の敬語です。目上の人が来るシチュエーションで使います。例えば、初めて目上の人が来る場合に「ようやくご来訪くださいました」のような例文ですね。

「ご来訪くださいました」は目上の人が来るという意味では「お見えになる」と同じですが、わざわざ訪ねてくれるというニュアンスが強くなります。ビジネスシーンでは「お見えになる」よりも「ご来訪くださいました」の方が感謝の意味が強く出せる言葉です

「ご来訪くださいました」の使い方

  • かねてより支援してくださっているオーナーが、わざわざご来訪くださいました。
  • お忙しい中をご来訪くださいましたこと、社員一同感謝申し上げます。
  • 新規開店の日に会長がご来訪くださいましたことは、スタッフの励みになります。

【参考記事】「来訪」の使い方を例文付きで分かりやすく解説!


「お見えになる」の英語表現

「心ばかり」の英語表現
  • I look forward to seeing you(あなたがお見えになるのを待ちます)
  • he will be with us(お見えになる)
  • you are coming(お見えになる)
  • he would be there(彼がお見えになるそうです)
  • you were to come there(そちらにお見えになる)
  • guests should be here(お客様がお見えになる)

英語で「お見えになる」はyou are comingが最も使われるフレーズです。英語には日本語のような敬語がないので、シンプルに「やってくる」のような言い回しになります。

you are to comeという英語も「お見えになる」の意味に使えますね。お客様がお見えになるという例文では、should be hereという英語表現ができます。


「お見えになる」の意味や使い方をしっかりとマスターしましょう!

「お見えになる」の意味や使い方について説明してきました。ビジネスシーンでは頻繁に使う言葉なので、言い換えができる類語を覚えておくとシチュエーションごとに使い分けができますね。

類語などは同じような意味でも微妙にニュアンスが異なる場合もあるので、注意が必要です。説明の中にいくつかの例文を入れてるので参考にしてください。

【参考記事】「お伺いします」の意味とは?|ビジネスシーンで使える例文まで解説します

【参考記事】「お待ちしております」の使い方ガイド。例文から類語まで分かりやすく解説します

【参考記事】「頂く」の意味から正しい使い方までをまとめました

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