死別を乗り越え2度目の結婚 ~地獄の始まり~/バツ2男性に聞く、離婚のリアル(第2話)
27歳で二度の離婚を経験した兵頭さん。彼はそこから何を学び、何を感じたのか。『男の離婚人生』に迫る新連載「27歳、バツ2。」第2話。
前回のインタビューでは、20歳のときに結婚した奥さんと死別し、姑さんに1億円の保険金を騙し取られてしまった過去を語っていただきました。
2話目の今回は、二度目の結婚について伺います。
2回目の結婚、数年間は考える余裕すらなかった。
──連載2本目の今回は、2度目の離婚についてお話を伺わせてください。
奥さんと死別したのに、お前また結婚するんか!って話ですよね(笑)
──それは、正直そうですね(笑)奥さんとの死別、という辛い経験をどう乗り越えたのかお聞きしたいです。
もちろん2回目の結婚はすぐには考えられませんでした。しかも他にも結婚できない理由があって。借金があったんですよ。
実は当時プロ野球選手を目指していて、会社の野球部に入っていました。でも肘を怪我しちゃって、プロにいくのを諦めなきゃいけなくなったんですよね。ポジションはピッチャーで、ちょうどプロ野球4球団、メジャー1球団からオファーをもらっていました。21歳のときです。
野球人として会社に所属していたので、その野球ができないとなると会社も辞めないといけない状況になってしまいました。
──21歳だと、離婚された直後のお話ですか?
そうですね。で、親に野球と会社を辞めるという報告の電話をしたら「おい。お前がプロに行くと思ってたけん、契約金で返せばいいと思って、2,000万円の借金を作ってしもうた」と、その2000万を僕が返せと言われました。
「なんで俺が返さないけんの?お前が地道に返せよ」と言い返したら、「返せんよ」と言うので、「なんで返せんの?」と聞いたら、「考えてみ!朝から晩までずーっとパチンコ打っちょったら、腰ヘルニアになって動けんなって、ろくに小便も行けんのよ!」と電話越しで怒られました。
なに?この話?と思いながら、まだ嫁のお墓の借金も終わってないんやけど、もうどうしようもなか、って。まあ僕に野球を教えてくれたのは親父やったんで返さないけんなと思ったんですけど。2回目の結婚とか考えられませんでしたね。
それから数年後。出会いは「ウィルコム」
──お父さんもなかなか破天荒ですね(笑)金額的にも結婚を考える余裕はない。
そんなこんなで2人目の奥さんと出会ったのは、25歳くらい。親の借金がわかってから4年くらい経ったタイミングですね。やっと借金も落ち着いてきて、地元の愛媛に戻っていたときでした。
──出会いはどのような?
これ、変な話なんですけど(笑)ある日お世話になっていた社長さんから、僕のウィルコムに電話がきて、「どうしました〜?」と聞くと、いきなり「お前○○って女の子と知っとるか〜?」と。
中学校の同級生だったので、そう答えると、「仲良いんか〜?」と聞かれるわけです。で、「いや、僕たぶん話したことないすわ。」と言うと、「今こっちのウィルコムでつながっとんよ。ちょっと話してみ。」と意味わからんこと言われて、僕と電話中のウィルコムと彼女と電話中のウィルコムをくっつけられまして。電話の耳と耳、口と口同士をくっつけているので当然なにも聞こえなくて(笑)向こうもこっちも「もしもし〜」とか「あれ〜」「はい!?」みたいなやり取りが続きました。
数分後に社長が「話せたか〜?」と入ってきたので、「話せてないわ!」と心のなかで叫びながら、とりあえずは電話を切りました。したら、向こうからFacebookメッセンジャーで連絡がきて、「久しぶり」「実は話したことないよね(笑)」「せっかくだし、ご飯でも行こうか」といった流れになりました。この女性が、将来僕の2人目の嫁になる人です。
──仕事柄、数々の出会い話を聞いてきましたが、その出会いは全く初耳です(笑)でも学生時代にあまり関わりのなかった人と、大人になって仲良くなるパターンは結構ありますよね。
ありますあります。彼女は中学の同級生と言えど、2年生の途中くらいに転校してきた子だったんです。可愛い子で、えげつない可愛い子が転校してたぞ!とそのクラスの周りに野次馬がぶわーってなって、話題になったのでよく覚えていました。
僕は野球少年で全然興味なかったんですけど、友人たちに連れられて一度だけ見に行ったことがあって、パッと見て「おぉ〜!浜崎あゆみに似てるね」と話した記憶があります。とにかく見た目が可愛い子でした。
人は、自分と同じ境遇の人に恋をする
──そんな学校のマドンナ的存在の彼女と、どのように発展していったのですか?
Facebookメッセして、一度ご飯に行って、それから毎日会う生活になりました。ありがたいことに向こうからグイグイ連絡をくれて、僕も別に嫌じゃなかったんで「いいよ、いいよ。」と。ほぼ初対面のように会ってから、2週間後にはお付き合いしてました。
トントン拍子で付き合った感じですけど、毎日会っていたので14回会った後にカップルになった感じです。そう考えると、付き合うまで逆に長いくらいだとは思います(笑)
彼女はとにかく、すっっげー良いやつやなという印象で、こんな可愛いのにこんな良いやつおるんやなと驚きました。2回目のデートのときは「仕事が早く終わったから」と、職場までわざわざ家の鍵を取りに来てくれて、僕の家でカレーを作ってくれました。
「展開はや!なんなんこれ?」とは思いましたけど、いざ仕事終わって家に帰った後に食べたカレーがとんでもなく美味しくて(笑)見たことない葉っぱとか入ってたり、すごい凝ってたんですよね。俗に言う家庭的なところを最初から見せつけられました。もしかしたら、それも策略だったのかもしれないですけど(笑)
──可愛くて家庭的、今のところ非の打ち所がありません。
しかも、僕と同じバツイチでした。
これ、バツがついた人あるあるなんですけど、バツがついてる人って、バツがついてない人に対して積極的になれないんですよ。例えば好きな人がいて、自分はバツが付いてて、向こうはついてない場合、んじゃ結婚式しようとなると、こっちは2回目、向こうは1回目。この差を申し訳なく感じてしまう。だから、バツが付いてない子に自分からアプローチすることはまずありません。
彼女とも付き合うかもってなったときに最初にそこは確認して、「俺はバツが付いてるから、これから先いっぱい思うことあるよ。」と伝えました。したら、向こうもバツイチだって言うので、そこはすごい共感があって。たぶん、そこでお互いの心の壁が一気になくなりましたね。さらに、話を聞くとかなりの苦労をしていて、そんな複雑な過去を持っているのも自分と似ていて距離がグッと縮まりました。
──話せる範囲で、彼女のバツに関する複雑な事情をお聞きしてもよろしいでしょうか?
2人目の嫁は、1回目の結婚で子供を2人産んでいました。そして相手の旦那さんには3人の連れ子がいて、その3人の子供たちは一番上の子と下2人でお母さんが違うんです。なんで、5人の子供がいて、3人のお母さんがいる感じだったみたいで(笑)
しかも離婚のときに、自分の子供2人は彼女が引き取ると主張したんですけど、当時無職だったのもあり、「責任能力がない」との理由で裁判で負けてしまったみたいで。子供の親権を取られてしまいました。
それで、たまに子供の写真を見ては泣いてたりしてたんです。そんな姿を見ていて、「あー、こいつとなら共感し合えるとこが多いかな」とすごく心を開きましたね。
──そんな強い共感が、「もう二度と結婚はしない」と思っていた兵頭さんを二度目の結婚に踏み切らせたんですね。
ただ、結婚をするとしても1人目の嫁に対して失礼がない相手にしなきゃ怒られる気がして、「まずは、同棲しよう」と提案しました。週に一回会うとか、毎日晩飯だけ食べてバイバイだと猫かぶれるので、一年くらいは同棲してみようと思っていました。
そして実際に春夏秋冬を一緒に過ごしてみると、浮気はもちろんなく、美味しい料理を作ってくれて、家事も洗濯も全部やってくれて、悪いところが一個も見つからなかったんですよ。「一度結婚しているし、家のことはできて当たり前だろうな」と勝手に思ってはいましたが、それでも怪しいくらい完璧な女性でした。
考えていた一年が過ぎて何の問題も起きなかったので、1人目の嫁の墓参りに行き、「2回目の結婚をするよ!」と報告をして、いざ結婚に踏切りました。
2回目の結婚を決意した男の、満を持したプロポーズ
──2回目は、どのようなプロポーズを?
プロポーズですか?(笑)。えっと・・2回目の時は・・。あの、これは人様に初めて言います(笑)
──えっ、そんな恥ずかしがるほどのプロポーズをされたんですか?(笑)
いえ、あの、2回目ですいません。ゼクシィを使い回ししました(笑)思い浮かばなくて。うわ、これすげー恥ずかしいですね(笑)2回目だから慣れたもんで、手の震えはありませんでした(笑)
今回は「結婚しよう」ではなく「ゼクシィしようぜ!」と言って、机にゼクシィを叩きつけて告白しました。「どうゆうこと?」と嫁に言われましたけど、「だからゼクシィしようぜ!他に何があるん!?結婚しようってことや」と伝えました。ちょっとネタみたいになってますけど、これちゃんと実話ですからね(笑)
──読者のみなさんも信じてくれるとは思います(笑)プロポーズの回答はもちろん「Yes」?
そうですね(笑)断られることはないと思っていましたけど、やっぱり嬉しかったです。一度目の経験があったにもかかわらず、まさか5年後に二度目の結婚をするとは思っていませんでした。そう考えると、当時の僕は、彼女のことがよっぽど好きやったんですね。中学校の同級生だから共通の友達も多く、彼女の友達を僕は知っていて、僕の友達を彼女は知っていたので、そう言った意味でもすごく楽でした。
──2回目の結婚で、バツイチならではの不都合や何か障害になったことはありましたか?
一番は結婚式ですね。友達に2回もご祝儀を払ってもらうのは躊躇いがありました。「なんで兵頭のために6万円も払わないかんねん」と思われる気がして、誘いづらかったです。まあ結局は誘いましたけど(笑)
あとはお互いにバツがついていたので、結婚のハードルは低かったです。彼女にバツがついていなかったら、かなり申し訳なさがあったと思います。
でも、お互いに子供がいなかったのは幸いでした。もし向こうに子供がいたら、僕は大丈夫ですけど、うちの親は絶対に納得してない。結婚は2人だけの問題ではないので、好き同士だからってできるわけではないんですよね。親の反対を押し切る筋合いはないし、「誰のおかげでここまで育ってんねん」と言われたら、黙るしかない。
中学の同級生で、お互いバツイチで、子供を連れてなくて、といくつもの偶然が重なって、初婚のようにスムーズに結婚できました。向こうの親も「こんな娘でいいの?」といった感じだったので、バツイチならではの障害はほとんどなかったです。
「幸せな結婚生活」にはならなかった。
──結婚生活はどのように過ごされましたか?
それが、結婚生活は、楽しい思い出が全くありません(笑)なぜかって、結婚2ヶ月目にして奥さんの1回目の浮気が発覚してしまったので(笑)
今思えば、一度離婚したということは死別でない限り必ずどちらかに非があったのに、当時の僕は彼女を完璧だと思ってしまっていた。親権も元旦那さんに取られてしまっているし、そこにはちゃんと理由があり、僕の前で見せていない彼女の本性が必ずどこかにあったと、冷静に考えれば分かるはずなのに。恋は盲目ですね(笑)
──結婚して2ヶ月後ですか!?(笑)詳しい内容、3話目の「浮気妻エピソード」でお聞かせください。
はい、もう、すっっっごい浮気されてました(笑)インタビュー前に整理してきたので、赤裸々に綺麗にお話します(笑)
モデル
兵頭哲典(Hyoudou Tetsunori)
公式Instagram【tetsunori.88】、公式Twitter【@tetsunori1988】
【全6回】集中連載「27歳、バツ2。」次回もお楽しみに!
大切な人にシェアしよう。Enjoy Men’s Life!