「妊娠しても、無事に産まれるとは限らない」僕は彼女に妊娠を告げられた|第2話
「妊娠した。」
彼女の突然の電話報告から、一週間が経った水曜日。少しずつ「自分が父親になる」という自覚が持ててきた頃。その日は、彼女が改めて産婦人科に足を運ぶ日でした。
僕はこのとき初めて知りましたが、そもそも妊娠とは、妊娠前の最終月経(生理)から『◯週目』というカウントがスタートします。先週の時点で、彼女は『妊娠4週目』と診断されていました(最後の月経が4週間前でした)。一週間後の今日は『妊娠5週目』。
一般的に、妊娠5週目になると子宮内に胎嚢(たいのう)と呼ばれる赤ちゃんの入った小さな袋がエコー写真で確認できます。不安と期待が入り混じりながらも、僕らは胸を弾ませて診察日を迎えました。
しかし、いざ診察を終えて戻ってきた彼女の表情は、とても穏やかなものとは言えませんでした。
その理由は、妊娠5週目にも関わらず、エコー写真で胎嚢が確認できなかったため。医師いわく、考えられる理由は全部で3つでした。
1つ目は「流産の予兆ではないか?」とのこと。流産とは妊娠22週よりも前の段階で妊娠が終わることをいい、タイミングとしては妊娠初期が最も高いらしく、初期流産や早期流産とも呼ばれます。
2つ目は、子宮外妊娠の可能性。子宮外妊娠とは子宮内膜に着床する予定の受精卵が、子宮内膜外で着床してしまうこと。この場合、妊娠続行はおろか、手術が必要となるため、心理的・身体的・経済的、そのすべてにおいて負担がかかると告げられました。
そして3つ目が、もともと彼女が生理不順だったため、妊娠周期のカウントを間違えていたパターンです。実際に妊娠してから5週間も経っていないので、エコーに写らなかった可能性です。
どれにせよ数日経てば理由がはっきり究明できるらしく、また1週間後に来院することになりました。
その話を聞いた僕は希望的憶測も含めて、3つ目のパターン以外考えませんでした。むしろ、考えられなかったし、考えたくなかったという言い方が正解でしょう。
「子供ができた」そんな幸せな気持ちも束の間、恐怖や不安を抱えたまま、僕たちは一週間後の診察を待つことになりました。
<続く>
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