「両家の顔合わせは、母親同士が仲良くなれば成功する」僕は彼女に妊娠を告げられた|第18話

小嶋 2017.11.06
もしも彼女が妊娠したら、男にはこんな現実が待っている。父親になる男のリアルに描く体験記「僕は彼女に妊娠を告げられた」第18話。

彼女の母との対面から一夜明けて、急遽決まった両家顔合わせの日。


久しぶりに実家で朝を迎えた僕は、緊張でいつもより早く目が覚めてしまいました。


テレビを見たり、スマホいじったり、募る緊張をどうにか紛らわせながら、彼女とお義母さんの到着を待ちます。


待ち合わせ時間になり、最寄り駅へ迎えに行くと、そこには彼女と義母の姿がありました。


「おはよう!今日もよろしくね。てか、ワンピースないからブラウスで来ちゃったけど、服装とか大丈夫かな?(笑)」


出会って早々、服装について問いかけてくる義母。


「おはようございます。形式張った顔合わせじゃないですし、全然問題ないですよ!僕の両親もラフな服装だと思うんで(笑)」


本来であれば、顔合わせの服装とは、男性がブラックスーツ、女性はワンピースやスーツを着用するのが一般的だと言います。


とはいえ、今回は急な決定だったので、


「なら助かるわ(笑)身だしなみも大事やけど、まずは仲良くなる事が先決よな。これから親戚になる訳やしさ」


身だしなみやマナー云々よりも親睦を深める事に専念しようと、義母は半ば強引に開き直ってくれました。


「そうですね!母は問題ないと思うんですけど、父がちょっとカタブツなんで・・・。もし気を悪くするような事を言ったとしても、そこはスルーして下さい(笑)」


万が一のことを考えて、厳格な父親に関しては、あらかじめ保険をかけておきました。


その後も、雑談を交わしながら歩くこと数分、実家へと到着しました。


玄関を開けると、両親が揃って僕たち三人を出迎えてくれます。



「はじめまして、小嶋の母です。本日はわざわざご足労頂きありがとうございます」


「はじめまして、小嶋の父です。どうぞ、上がってください」


軽い挨拶を済ませ、彼女とお義母さんをリビングへ招き入れると、昼食までしばし談笑することに。


最初は当たり障りない世間話が続きましたが、お互いの家族について語り始めると、話の流れが加速します。


僕も彼女と同じく、三兄弟の末っ子生まれ。その事を義母が耳にすると、


「小嶋くんも末っ子なんですね!正味、一番下の子が結婚してくれるって、親としては安心しませんか?もちろん、心配とか寂しい部分も多いと思うんですけど(笑)」


末っ子ならではの結婚に関する質問を僕の両親へ投げかけました。


「わかりますよ、その気持ち!ましてやうちは、遅くに出来た子なんでね。あんな小さかった子がパパになるって言うんだから、笑っちゃいますよね(笑)」


父はただ頷くだけでしたが、母は興奮した様子で共感します。



「ちなみに、小嶋くんはちっちゃい時、どんなお子さんだったんですか?(笑)」


そんな母に対し彼女が質問すると、


「写真見せた方が早いんじゃないか?」


父親が助言すると、母は押し入れから随分と年季の入ったアルバムを取り出しました。


「あんたもお父さんになるんだから!子供の写真くらい、きちんと残してあげなさいよ(笑)」


そんな事を口にしながら、母親はテーブルの上にアルバムを広げます。


「小嶋くんの写真、ずいぶんと写真残されてますね!うちなんか、長男は面白がっていっぱい撮ったけど、下の子は全然撮ってあげれてないですよ(笑)」


写真を眺めながら、彼女のお母さんが笑顔でぶっちゃけます。


「うちもお兄ちゃんに比べたら、全然撮ってあげれてないですよ。やっぱり、年いってからの子育てって体力的にキツいですよね(笑)」


共感した僕の母も、思わず本音を漏らします。


子育てついて語り合っているうちに、母親同士はすっかり意気投合していました。


「ちなみに、ハンディカムもあると便利やで!必要なら、お母さんが買ったるからな(笑)」


幼少期の会話が一段落し、改めて、子供の成長記録を残す重要性を説く彼女のお母さん。


その後も、母親二人を中心にざっくばらんに全体の話が進みました。



「うちらも子供の写真残してあげような(笑)」


心配だった親同士の対面も事なきを得て、安堵した彼女が呟きます。


「そうだね!子供の思い出にもなるし、残してあげようか!」


以前よりも子供の事を具体的に考えられるようになった僕達は、そんな会話を交わしながら、リラックスした気持ちで食事会の会場へ移動し始めました。


<続く>


僕は彼女に妊娠を告げられた

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