「婚姻届は『紙切れ1枚』だけど・・・」僕は彼女に妊娠を告げられた|第20話

小嶋 2017.11.28
もしも彼女が妊娠したら、男にはこんな現実が待っている。父親になる男のリアルに描く体験記「僕は彼女に妊娠を告げられた」第20話。

両家の顔合わせから一週間、彼女が妊娠15週目を迎えた水曜日。

いよいよ、彼女と入籍する日が訪れました。

「今日で独身も終わるのか〜、なんか全然ピンとこないわ(笑)」

結婚の実感があまり湧かない僕は、朝からそんな言葉を彼女へ投げかけます。

「確かに(笑)てか、今日って戸籍謄本とハンコと身分証あれば大丈夫よな?」

身支度をしながら、彼女が今日の必要品を確認します。

「その3つさえあれば平気!あとは、署名してもらった婚姻届書き込めばOKだと思う。」

基本的に、記入漏れのない婚姻届さえ提出すれば、籍を入れること自体は可能だそう。

ただし彼女のように本籍地でない役所で届け出する場合は、戸籍謄本が必要とのこと。

また、婚姻届には20歳以上の証人ふたりの署名と捺印が必要なため、僕達は僕の両親に記入してもらうことにしました。

「それじゃ、そろそろ行きますか!」

父が仕事で役所に訪れた際、婚姻届を貰ってきておいてくれるとの話だったので、身支度を済ませると、ひとまず書類の置いてある僕の実家へ向かうことに。

電車を乗り継ぐこと小一時間、実家へと到着。

リビングへ上がると、そこには両親の署名と捺印が記入された婚姻届が置いてありました。

「二人ともめっちゃ丁寧に書いてくれてる!しかも実印押してるし(笑)とりあえず、俺らも書こっか」

同封されていた記入例を参考にしつつ、僕たちも婚姻届を記入していきます。

「婚姻届って、結構味気ないんやな(笑)」

あまりにも淡白な書類内容に、拍子抜けした様子の彼女。

書き込む内容は、お互いの氏名や生年月日、本籍地、親の名前と続柄のみでした。

僕自身も

「噂には聞いていたけど、結婚って本当に紙切れ1枚で決まるんだな」

と思ったものです。

無事に婚姻届を記入し終えると、実家から15分程の距離に位置する役所へ。

インフォメーションで要件を伝えると、戸籍住民課の窓口へと案内してもらいました。

「本日はおめでとうございます!婚姻届をお預かりします。」

平日で空いていたこともあり、すぐに対応していただけました。

係の方に提出して、記入漏れがないか?などを一通りチェックしてもらうと、

「問題なさそうですね。こちらの婚姻届、たしかに受理しておきます!」

腰を下ろして1分も経たぬうちに、婚姻届の提出が完了しました。

「えっ!?もう終わりですか?」

あまりの呆気ない婚姻届の提出に、僕が拍子抜けしていると、

「はい!あとはこちらで手続きはしておくので大丈夫ですよ。あっ、一応写真撮っておきましょうか?」

事務員さんの提言で、婚姻届を二人で持って記念撮影をしてもらうことになりました。

通りかかる人たちに祝福の言葉をかけてもらいながら役所内で撮影した写真は、とても照れくさかったですが、今となっては一生の記念です。

無事に婚姻届を提出し、晴れて“夫婦”となった僕たち。

「ぶっちゃけ、婚姻届を出す前と全然変わんないけど、一応もう結婚したことになってんだよね?(笑)」

あまりに一瞬の出来事で、夫婦になった実感を持てずにいると、

「せやで!私の免許証とか銀行口座の名義もこれから“小嶋”に変えへんと(笑)」

彼女が照れくさそうに話します。

そんな姿を見て、少しだけ結婚した実感が持てた気になれました。

本当に紙切れ1枚で夫婦になってしまった僕たち。

とはいえ、その決意はそんなに軽いものじゃない。

しかも僕は、あと数ヶ月で子供が誕生し、父親になる立場になります。

「せめて、残りの時間くらいは二人で有意義な時間を過ごそう!」

恋人から妻になり、お腹も少しずつ膨れ始めている彼女の姿を眺めながら、僕はそんなことを心の中で思うのでした。

<続く>


僕は彼女に妊娠を告げられた

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