"お目通し"の意味/読み方とは?使い方&類語も解説!|ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2018.09.01
"資料やデータ全体に目を通す"という意味を持つ言葉、お目通し。ビジネスメールなどでもよく見受けられる敬語ですが、使い方が分からない人も多いでしょう。今回は、お目通しの意味/読み方から、使い方、そのまま使える例文、言い換えできる類語まで分かりやすくまとめました。

「お目通し」の意味/読み方とは?

お目通しの意味とは

「お目通し」とは、初めから終わりまで一通り目を通すことを意味する敬語表現です。読み方は「おめとおし」となります。言葉の通り、全体的にざっと見るという意味を表し、熟読して欲しい場合には使用しません。

「目通し」という言葉に丁寧語の「お」が付いた「お目通し」は、上司など自分にとって目上の人に用いる敬語表現となります

そんな「お目通し」が使用されるシチュエーションとしては、上司や目上の人に実物を一通り確認してもらいたい時、書類全体に目を通してもらいたい時、などがあります。

対面とメールどちらでも使用できるため、「お目通し」はビジネスシーンにおいてよく用いられる表現です。


ビジネスシーンでの「お目通し」の正しい使い方

お目通しの正しい使い方

丁寧語である「お目通し」という言葉は、「いただく」「ください」「お願いします」などの言葉とセットで使用します

「一通りざっと見る」「全体をさらっと確認する」という意味を持つ「お目通し」は、やや堅い響きを持つ言葉であるため、どちらかというと対面での会話よりもビジネス文書や報告書などの書面で使用されることの方が多いです

また、上司や目上の人、取引先の相手に対して、メールや書面を送付する際によく使用される言葉となります。

様々なビジネスシーンで重宝するため、丁寧な敬語表現である「お目通し」の正しい使い方はしっかり覚えておきましょう。


ビジネスメールでも使える「お目通し」を使った例文

使い方① お目通しください

お目通しの使い方①お目通しください

「お目通しください」に含まれる「ください」は、「くださる」の命令形です。そのため、「お目通しください」というフレーズは、「お目通し」を使用した敬語表現の中でも、やや軽めな印象を与えます

社内で懇意にしている直属の上司や目上の人に対しては、「お目通しください」とそのまま使用しても失礼には当たりません

しかし、社外の人や取引先の相手など敬意を払うべき人に使用する際は、「お目通しくださいますようお願い申し上げます」「お目通しくださいますでしょうか」などと、さらに丁寧な敬語表現を使用した方が無難でしょう


「お目通しください」の例文

  • こちらが先月の報告書になります。お時間がある時にお目通しください。
  • メールに資料を添付しております。お手すきの際に、お目通しくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
  • 早速、お目通しくださりありがとうございます。
  • お暇な時で結構ですので、お目通しくださいますようお願いいたします。

「お目通しください」というフレーズは、報告書や企画書などを作成して一通り確認をしてもらいたい時や、資料全体にひとまず目を通してもらいたい時に多く使用されます。

ご紹介した例文にもあるように、「報告書を一通り確認してください」「資料全体に目を通してください」という文章を丁寧に言い換えた敬語表現となります。

「お目通し」の後に「ください」と続くことで、相手に何かを請い求めるニュアンスが強く伝わります。

【「例文」で使われている敬語】
「お手すきの際に」の正しい使い方って?使う上でのマナーを確認しよう!

「結構です」の使い方を例文付きで分かりやすく解説します


使い方② お目通しいただく

お目通しの使い方②お目通しいただく

「お目通しいただく」に含まれる「いただく」は、自分がしようとする動作について相手に許しを願う謙譲表現です。

よって、「お目通しいただく」というフレーズは、上司や目上の人、取引先の相手に使用できる敬語表現となります。

何かを一通り見ることをお願いしたい時、確認してもらいたい時に使用される「お目通しいただく」の後に続く言葉には、「お願い申し上げます」「幸いです」などが挙げられます。

「お目通し」を使用したフレーズの中でも、「お目通しいただく」は敬意を感じさせる綺麗な敬語なので、使い方を覚えておくと様々な場面で役立ちます。


「お目通しいただく」の例文

  • お手すきの際に、お目通しいただきたくお願い申し上げます。
  • 報告書を作成いたしました。お時間のある時で構いませんので、お目通しいただければ幸いです。
  • お忙しいところ恐れ入りますが、今週中にお目通しいただくことはできますでしょうか。
  • 英訳と例文を資料に記載しておりますので、お暇な時にお目通しいただけると助かります。

「お目通しいただく」というフレーズは丁寧な敬語表現です。上司や目上の人に報告書や資料などの書類に一通り目を通してもらいたい場合や、取引先の相手にメールで資料を添付する場合に多く使用されます

「お目通しいただく」の後に続く言葉として「お願い申し上げます」を使用すると、きちんと敬意が伝わる美しい敬語表現となります。

少し優しい印象を含ませたい場合は、やや柔らかめな表現の「幸いです」を使用するといいでしょう。

【「例文」で使われる敬語】
「お願い申し上げます」は目上の人に使える?言い換えできる類語もご紹介!

「幸いです」の使い方を例文付きで分かりやすく解説!

「恐れ入りますが」の意味から正しい使い方までをまとめました


使い方③ お目通し願います

お目通しの使い方③お目通し願います

「お目通し願います」に含まれる「願います」は、「願う」の丁寧語です。丁寧語を簡単に説明すると「ですます調」の表現のこと。よって、「尊敬語」や「謙譲語」に比べると、やや軽めの敬語表現となります。

「お目通し願います」というフレーズは正しい敬語表現ではありますが、受け取る人によっては失礼と感じる恐れも。

そのため、目上の人や上司、取引先の相手に使用する時は、「お目通しをお願いいたします」「お目通しいただきたく存じます」など、さらに丁寧な言い換えるといいでしょう。


「お目通し願います」の例文

  • お時間のある時で構いませんので、先日の会議の報告書にお目通し願います。
  • 次の会議で提案予定の企画書を作成しましたので、お目通し願います。
  • 資料をお渡ししますので、お手すきの際にお目通し願います。
  • 使い方が記載された資料をメールに添付しておりますので、お暇な時にお目通し願います。

「お目通し願います」は丁寧語を用いた敬語表現です。例文でご紹介しているように、報告書や企画書を一通り見ることをお願いしたい場合や、資料の全体的な内容のチェックをお願いしたい場合に使用される言葉です。

しかし、ややカジュアルな印象を与えるフレーズでもあるので、ある程度親しい間柄やフランクな関係の相手に使用するといいでしょう。

「お目通し願います」は上司や目上の人、取引先の相手にそのまま使用しても誤りではありませんが、「失礼」という誤解を避けるため、さらに丁寧な敬語表現を選ぶと安心です。


「お目通し」は、内容をきちんと読んで欲しい時に使わない。

「お目通し」は内容をきちんと読んで欲しい時に使わない

そもそも「お目通し」という言葉は、書面などの対象物に対して全体的にさらっと一通り目を通すという意味を持ちます。

「目を通す」とは、最初から最後まで見ること、読むことを表すので、しっかり確認してもらいたい時や熟読してもらいたい時、重要事項の報告時には使用できないフレーズとなります

したがって、「目を通す」とは、「全体を大まかに確認する」というニュアンスになることを頭に入れておきましょう。

よって、書面などの対象物に対してきっちり確認してもらいたい時は「お目通し」を使わずに、「ご査収ください」「ご確認ください」などのフレーズを用いるのが一般的です

【きっちり確認してもらいたい時のフレーズ】
「ご査収ください」の使い方を例文付きで分かりやすく解説!

「ご確認ください」の意味から正しい使い方までをまとめました


「お目通し」と言い換えできる類語一覧

お目通しの類語① ご査収

お目通しの類語①ご査収の意味とは

「お目通し」の類語に「ご査収」という言葉があります。「ご査収」とは、「よく調べて受け取る」という意味を表し、書類の受け渡しが多いビジネスシーンでは頻繁に使用される言葉でもあります。

「全体的にさらっと目を通す」という意味の「お目通し」に対して、「ご査収」は、「内容をよく確認する」「よく読んで理解する」という意味を持ちます

書面などの対象物に対して、最初から最後までしっかり見ることや確実に確認することをお願いしたい場合には「お目通し」ではなく「ご査収」を使うのが適切です。


「ご査収」の使い方

  • メールにお見積書を添付いたしますので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。
  • 新人研修に使用するビジネスマナーの冊子が出来上がりましたので、ご査収の程よろしくお願いいたします。
  • 領収書と請求書を同封しております。ご査収の程よろしくお願い致します。

【参考記事】「ご査収」の使い方|言い換えできる類語から例文まで解説します


お目通しの類語② ご確認

お目通しの類語②ご確認の意味とは

「お目通し」の類語に「ご確認」という言葉もあります。「ご確認」とは、「確認」に「ご」が付いた丁寧語であり、ビジネスメールや書面でよく用いられる、汎用性の高い敬語です。

相手に何かを確認してもらいたい場合や、内容をチェックしてもらいたい場合に「ご確認」を使用します。

全体的にざっと一通り見ることを表す「お目通し」に対して、「ご確認」はその言葉の通り、きちんと確認することやチェックすることを表します。

書面などの対象物に対して、さらっと目を通すだけでいいのか、しっかり中身を確認するのか、場合によって使い分けるといいでしょう

「ご確認」の使い方

  • 新商品の資料を送付致しますので、お時間のある時にご確認いただけると幸いです。
  • お暇な時で構いませんので、ご確認いただけますでしょうか。
  • 詳細をメールにてお送りしております。お手すきの際にご確認の程よろしくお願い申し上げます。

お目通しの類語③ ご高覧

お目通しの類語③ご高覧の意味とは

「ご高覧」も「お目通し」の類語となる言葉です。「ご高覧」の読み方は「ごこうらん」。目上の人や取引先の相手などに見てもらうことを敬う言い回しです。

格式高い硬めの表現となるため、日常の会話で使用されることは少なく、フォーマルな場面や文書で使用されることが殆どです

例えば、取引先へ自社の新商品のカタログを送る際や展示会で試作品を公開する際などは、さらっと一通り全体に目を通す意味を持つ「お目通し」は使用せず、「ご高覧」という言葉を使用するのが適切です。


「ご高覧」の使い方

  • 新商品のカタログが完成致しましたので、ご高覧いただければ幸いです。
  • 新型ビジネス機器の展示会は先ほど終了致しました。ご高覧くださいました皆様に心より感謝申し上げます。
  • 関係書類を送付致しますので、ご高覧くださいますようお願い申し上げます。

【参考記事】「ご高覧」の使い方ガイド。例文から類語まで分かりやすく解説します


お目通しの類語④ ご一読

お目通しの類語④ご一読の意味とは

「お目通し」とほぼ同じような意味を持つ類語に、「ご一読」という言葉があります。「ご一読」は、「一通り読むこと」「ざっと読むこと」を意味します。

ほぼ似たような意味を持つこの2つの言葉ですが、「お目通し」には「全体をさらっと一通り見る・ざっと目を通す」、「ご一読」には「とりあえず全部を一通り読む・全部に目を通す」という意味が含まれ、微妙にニュアンスが異なります。

読む深さで言うと、「ご一読」の方がやや強めの表現。よって、全体をざっと読んでも構わないけれど、ある程度はしっかり読んでもらいたいという場合は「お目通し」より「ご一読」を使用するといいでしょう。

「ご一読」の使い方

  • 来月から導入予定の新システムの使い方を添付しております。お暇な時で構いませんので、ご一読くださいますようお願い申し上げます。
  • 新人研修用にビジネスシーンで使える例文をまとめた資料を作成致しました。お時間のある時にご一読いただけますでしょうか。
  • 先週行われたイベントの最終報告書です。お手すきの際にご一読いただけますでしょうか。

お目通しの類語⑤ ご覧

お目通しの類語⑤ご覧の意味とは

「お目通し」の類語に「ご覧」という言葉もあります。「ご覧」は「見る」の尊敬語に当たります。ビジネスシーンで使用する際は、「ご覧いただく」「ご覧くださり」「ご覧になる」などと表現するのが一般的です。

「ご覧」は、相手に対して何かを見てもらいたい時に使用するフレーズであり、「見る」という意味合いを強く持つ言葉です。

全体的にさらっと確認する、最初から最後まで目を通す意味を持つ「お目通し」とは、少し異なるニュアンスとなります。

「ご覧」の使い方

  • 先日お送りしました提案書は、ご覧いただけましたでしょうか。
  • それでは会議を始めさせていただきます。まずは、先ほど配布しました資料をご覧ください。
  • 企画書をメールに添付しております。一度ご覧いただければ幸いです。

お目通しの類語⑥ ご参照

お目通しの類語⑥ご参照の意味とは

「ご参照」も「お目通し」の類語となる言葉です。「参照」に「ご」が付いた丁寧語であり、「照らし合わせて見ること」を意味します。

ビジネスシーンでは、「マニュアルをご参照ください」「詳細は資料をご参照ください」など、ある内容や対象物をさらによく理解するために添付される資料のことを指します。

「見る」という大きな区分では「お目通し」と同じではありますが、「一通りさらっと見る・全体に目を通す」という意味を持つ「お目通し」とは、区別して使用する必要があります。

「ご参照」の使い方

  • 機器の起動方法や使い方につきましては、マニュアルをご参照ください。
  • 内容の詳細につきましては、添付ファイルをご参照ください。
  • その件についての関係資料を添付しておりますので、ご参照いただければと存じます。

【参考記事】「ご参照ください」の使い方を解説します


「お目通し」と「お目通り」の違いとは?

「お目通し」と「お目通り」の違い

「お目通し」と似た意味を持つ類語に「お目通り」という敬語が存在します。最後の一文字が「し」か「り」で言葉の持つ意味が異なるので注意が必要です。

「お目通し」が「書面などを全体的に一通りさらっと確認する、最初から最後まで見る」という意味を持つのに対し、「お目通り」は「自分より立場が上の相手に会うこと・敬意を表する相手に会うこと」を意味します

「ようやく社長と会えた」「ついに専務と話す機会がもてた」という際には、「お目通りがかなう」と表現します

「お目通し」「お目通り」どちらも目上の人に対して使用する言葉ですが、書面などを一通り見て欲しい場合には「お目通し」を、目上の人に会う・敬意を表する相手に会う場合には「お目通し」を使うことを覚えておきましょう。


「お目通し」の英語表現

「心ばかり」の英語表現
  • look through(お目通し)
  • read through (一読する)
  • check and accept(ご査収)
  • Please confirm.(ご確認ください)
  • for information on suggesting changes.(~をご覧ください)
  • Please refer to it.(ご参照ください)

「目を通す」の一般的な英語表現は「look through」。資料に一通り目を通してもらいたい場合や、最初から最後までざっと見ることをお願いしたい場合には、「Please look through this material.」と表現します。

「ご確認ください」の意味を持つ「Please confirm.」もビジネスシーンでよく使用される表現。覚えておいて間違いない鉄板フレーズと言えるでしょう。


「お目通し」の正しい使い方をマスターしましょう!

「お目通し」の正しい使い方や例文、類語、英語表現についてお伝えしました。「全体的にさらっと目を通す」「最初から最後まで一通り見る」という意味を持つ「お目通し」。

「目を通していただけますか?」という表現でも誤りではありませんが、「お目通しいただけますか?」の方が敬語として美しく敬意が感じられる表現となります。ぜひ正しい敬語を使用して信頼されるビジネスパーソンを目指しましょう。

【参考記事】「ご入用」の使い方|言い換えできる類語から例文まで解説します

【参考記事】「不徳の致すところ」の使い方を例文付きで分かりやすく解説!

【参考記事】「ご厚誼」の意味とは?|ビジネスシーンで使える例文まで解説します

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