"結構です"の意味/類語。"構いません"との違いとは?|ビジネス敬語ガイド
「結構です」の意味とは?
「結構です」には、2通りの意味が込められています。
1つは、「それで問題ないですよ、大丈夫です」と肯定を表す意味。
もう1つは、「いいえ大丈夫です!、必要ありません」という否定の意味になります。
相手に質問をした場合にどちらの答えなのかをシチュエーションや表情などで判断をしないといけません。
相手がどちらの意味の「結構です」と言っているのかを理解するために注意する必要がありますよ。
また、「結構です」という表現だけの場合ではぶっきらぼうに聞こえて相手を傷つけてしますこともあります。前後にクッション言葉を挟んだり、お礼の言葉を挟むなど工夫が必要な言葉です。
「結構です」の使い方
「結構です」は日常生活やビジネスシーン、メールで使われることが多く、馴染みのある表現ではないでしょうか。
使うタイミングとしては、例えば買い物しているとき「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」と聞かれた場合。
「結構ですよ(問題ありません)」という表現をすることで肯定の意味になります。
他に、「買い物袋は必要ですか?」という問いに「結構です(必要ありません)」と答えると否定を表す表現も可能。
買い物やお店を利用した場合や、打ち合わせの席などで相手から聞かれた場合に使うことが多い敬語です。
「結構です。」は目上の人に使える敬語なのか?
肯定的、否定的の両方の意味がある「結構です」という敬語ですが、目上の人に対しては失礼に当たる表現です。
目上の人には、類語の中でも「問題ございません」などの謙譲語表現を使うことがおすすめ。
「結構です」は、やや否定的に使いたい場合によく使用されがちな表現で、「結構です」のみだと、ぶっきらぼうに聞こえてしまいます。
「問題ございません」のような表現の方が丁寧に聞こえ、好印象アップに繋がりますよ。
また、使ってしまいがちな「大丈夫です」という表現。こちらは若者言葉なのでビジネスシーンやメールなど目上の人へ使うことは避けましょう。
心配な人は日頃から「問題ございません」と使うように意識してみてくださいね。
「結構です。」は自分の行動に対して使う言葉。
ビジネスシーンで間違いやすいのが「こちらで結構でしょうか?」という敬語表現。
肯定と否定を判断する「結構です」という表現ですが、あくまで自分に対して使う言葉です。
自分の行動に対してYESかNOを答えるので、相手の行動を理解するために使用するのは誤りになります。
もし、相手に何か聞きたい場合は「こちらでよろしいでしょうか?」「よろしいですか?」という敬語表現が正解です。特に目上の方に対しては使用できないので注意してくださいね。
「結構です」と「構いません」の違いとは?
「構いません」という表現を使ったことがあると思いますが、一体どんな点が違うのか。
本来、「結構です」「構いません」の違いはほとんどありませんが「構いません」の方が「結構です」と違って「こちらで問題ないでしょうか?」などの許可を求められたときの肯定の意味として使われることが多いです。
また、「構いません」は、もともと【構う=関心をもつ/相手をする】という意味が含まれています。
そのため、「構いません」ということにより相手に関心がない、というニュアンスとして伝わってしまう可能性も。
同じ尊敬語、丁寧語、謙譲語としては尊敬部分が弱いので、ビジネスシーンやメールなどかしこまった場では避けた方が良いでしょう。
「結構です」と目上の人に伝える時の敬語表現とは?
ここからは、「結構です」の使い方について具体的に解説しましょう。
ビジネスの場で使いたい「結構です」という表現ですが、一般的には目上の方に対しては、「冷たく聞こえる」、「偉そうに聞こえてしまう」ためなるべく避けた方が無難です。
では、目上の人には代わりにどんな敬語表現を使えばいいのか、メールや日常会話でも使える尊敬表現をご紹介します。
【肯定】「結構です。」と伝えたい時って?
- A:明日のミーティングが延期になりました。各所へ報告をお願いします。
- B:承知しました。連絡しておきます。
- A:例のプロジェクト無事に進行していますか?
- B:はい、問題ございません。現状△△まで進んでおります。
- A:ただいまアンケートにご協力をいただいております。お名前と職業を伺ってもよろしいでしょうか?
- B:差し支えありません。お答えいたします。
- A:忙しいところ申し訳ない!明日までに〇〇社のデータをまとめておいてくれないか?
- B:かしこまりました。明日までに準備いたします。
上記のように、何かを言われて答える場合に使用することが多いです。もし、回答を全て「結構です」にした場合、全て冷たく聞こえるでしょう。
物事を肯定していると理解する場合は「結構です」だと相手も不快な思いをする可能性があります。
基本的には先ほどご紹介した表現を、正しいタイミングで使うようにしましょう。
【参考記事一覧】
・「承知しました」は目上にも使える。"分かった"の敬語を徹底解説
・「かしこまりました」と「承知しました」の違いとは?簡単に分かりやすく解説します
【否定】「結構です。」と伝えたい時って?
- A:タクシーを呼んでほしい
B:承知いたしました。すぐ手配しますが、申し訳ございません今からですど○時間かかります。
A:明日までに資料を作り直してくれ。ここと、ここを修正してほしい。
B:かしこまりました。恐縮ですがこの部分がいまいちイメージがわかず、もう少し具体的に教えていただけないでしょうか?
A:お客様、こちらの商品サイズで試着をされますか?
B:結構です。問題ございません。
A:ただいまアンケートを行っております。差し支えなければお電話番号を教えていただけないでしょうか?
B:結構ですので、失礼します。
先ほどと違い、否定的に伝えたいときは「結構です」のみでも使いやすいです。
しかし、上記の言葉を使うことにより、感情がクッション代わりになるので相手にあまり深いな印象を与えないというメリットがあります。
ただし、相手があまりにもしつこかったり、失礼な態度の場合は「結構です」と一言でシャットアウトすることもおすすめです。
【「例文」で使われている敬語】
・「恐縮ですが」を使ったビジネスメールの例文とは?使い方から類語まで解説!
・「申し訳ございません」は間違い敬語なの?言い換えできる類語まで徹底解説
「結構です」の類語とは?
「結構です」の類語① お気遣いなく
はじめに「お気遣いなく」という敬語について。「お気遣いなく」は相手に対して気を使わなくていい、心配をしなくていいですよという意味が込められています。
相手を思って断るという意味では「結構です」と共通している部分があります。
「お気遣いなく」は目上の方にも使用できますが、使う場合は「どうかお気遣いなく」「お気遣いなさらぬよう」といった、謙譲語・丁寧語の表現にしましょう。
「お気遣いなく」という表現だけではやや失礼に当たるので注意が必要です。
「お気遣いなく」の例文
- お気遣いいただきありがとうございます。
- どうぞお気遣いなさらないよう お願い申し上げます。
- 私にお気遣いなくどうぞ、お先にお召し上がりください。
【「例文」で使われている敬語】
・「お気遣い」の正しい使い方|目上の人に使える例文まで徹底解説
・「お気遣いなく」の正しい使い方|目上の人に使える例文から言い換えできる類語までご紹介します
・「お願い申し上げます」は目上の人に使える?使い方から例文まで解説
「結構です」の類語② 大丈夫です
「大丈夫です」という表現を目上の方にも使える!と理解する方もいるかもしれませんが、この表現はNGで失礼に当たります。
目上の方に使う場合はなるべく他の表現を使うように心がけましょう。
また、「大丈夫です」は「結構です」と同様に、モノゴトを否定・肯定したい場合に使いやすい言葉です。
そのため「これ必要ですか?」「ここへ行きますか?」などといった質問に対してYES・NOが言えます。家族や友人など親しい間柄などで使うことをおすすめします。
「大丈夫です」の例文
- 「今度のミーティングこの日程でよいですか?」「大丈夫です」
- 「お弁当にお箸はご利用されますか?」「大丈夫です。ありがとうございます」
- 「明日到着で荷物が届きます。よろしいでしょうか?」「大丈夫です。よろしくお願いします」
「結構です」の類語③ 問題ありません
「問題ありません」は目上の方に使える丁寧語です。
ただし使う場合はそのままでもよいですが、さらにかしこまった表現にするには「問題ございません」の方が丁寧になります。
「結構です」と同様に質問に対しての返答で使えますが、「問題ありません」の場合は肯定やモノゴトが順調で進んでいるときに使う場合が多いです。
例えば会議を始めたいときに「よろしいでしょうか?」と聞くケースなど、ビジネスシーンやメールなどでも使える敬語となります。
「問題ありません」の例文
- 「会議の準備はしっかりできていますか?」「はい、問題ありません」
- 「ここまでご理解いただけましたでしょうか?」「問題ありません」
- 「お客様、本日は喫煙ルームが満席でして、禁煙ルームでもよろしいでしょうか?」「問題ありません」
「結構です」の類語④ 遠慮します
「遠慮します」という言葉自体は使用できますが、目上の方に使用する場合はもうひと工夫が必要です。
目上の方に使う場合は「遠慮いたします」「遠慮させていただきます」という表現が失礼に当たりません。
ただ、「遠慮させていただきます」という表現には謙譲語・丁寧語の意味もありますが、一方的に聞こえてしまうため、対面では「遠慮させていただきたく存じます。」と使うとより丁寧な言葉になります。
もともと遠慮するという表現には、言動を控えるという意味が含まれており、「結構です」と同様に否定をするニュアンスとして使用できます。
そのため、相手から何か聞かれたときなどに使いやすい敬語です。
「遠慮します」の例文
- 「差し入れをいただいたのですが、召し上がりますか?」「遠慮します」
- 「せっかくのお話ですが、恐れ入ります、今回は遠慮させていただきたく存じます」
- 「大変残念ですが、今回の参加はご遠慮させていただきます。」
【「例文」で使われている敬語】
・「存じます」の意味から使い方まで画像付きで簡単に解説します
「結構です」の英語表現
- Right you are.(結構です)
- That's fine.(それで結構です)
- Don't go to any trouble for me.(お気遣いなく)
- We appreciate your concern.(お気遣いに感謝いたします)
- No thank you.(こう結構です)
- Thank you, but no thank you.(ありがとう、でも結構です)
最後は英語表現をご紹介しましょう。「結構です」の英語表現は、わりと日常生活で使いやすい表現が多いで、なかでも使いやすいのが「No thank you.」。しかし相手によってはかしこまった敬語表現が必要です。その場合は「We appreciate your concern.」や「Thank you, but no thank you.」のように、「ありがとう」を繰り返し使うことで丁寧語になりますよ。
「結構です」を使う時は、目上の人の機嫌を損ねない使い方を。
「結構です」はさらっと使ってしまいそうですが、肯定と否定の意味があるので使う場合はシチュエーションが重要になります。
また、目上の方に使うためには類語表現を覚えることをおすすめします。さまざまな謙譲語・丁寧語の「結構です」の表現と意味を理解することで、相手とのやりとりがスムーズに行くと思います。正しい敬語をマスターするためにぜひ参考にしてください。
【参考記事】「お力添え」の正しい使い方を例文付きで解説▽
【参考記事】「痛み入ります」は、目上の人にも使えるのか?▽
【参考記事】「不躾」の使い方には要注意。正しい使い方を解説▽
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