"拝聴"の意味/使い方とは?例文&言い換えできる類語|ビジネス敬語ガイド
「拝聴」とはどういう意味の言葉か?
「拝聴」とは、「謹んで耳を傾ける」という意味のある謙譲語です。
「拝」には「おがむ、敬意を表す」という意味が「聴」には「よく聞く、聞き入れる」という意味があります。この意味からもただ単に何かを聞くのではなく、相手に敬意を払い自分の立場をへり下って高い敬意を示す言葉です。
そのため「毎日ラジオを拝聴しています」などと、自分自身の動作には使えません。
また、ビジネスシーンでも部下や同僚など自分と同じ立場や自分より低い立場の人にも使用できません。基本的に敬意を払う相手に使う丁寧な敬語表現です。
ビジネスシーン「拝聴」の正しい使い方とは?
日常会話ではあまり耳にしない「拝聴」ですが、ビジネスシーンでは使う機会が多く見受けられます。
例えば、目上の人のプレゼンテーションや講義を聞くときや、祝賀会などに出席して、社長の話を聞くときなどに用いられます。
他にも、取引先の人の話を聞いたり有名な講師の講演会に参加したりする場合にも使えますよ。
自分より立場が上で敬意を払う必要がある人の話に「ありがたく耳を傾ける」という意味を込めて用いるのがポイントです。
また、話し言葉で使うことよりもメールやビジネス文書、手紙などの書き言葉として拝聴は重宝します。
拝聴の使い方|目上の人に使える丁寧な例文集
拝聴を使った敬語① 拝聴する
「拝聴する」は「敬意を払って聞く」という意味があります。「拝聴」に「する」をつけることで動作となり、目上の人や上司の話を謹んで聞くことを示します。
謙譲語にあたるため、部下や同僚の話を聞くときには使えません。また、「敬意を払って聞く」という表現からも分かるように、日常的な会話や話に対して用いる機会もほとんどありません。
「拝聴する」の使い方
- 昨日は○○教授のご高話を拝聴することができ、大変勉強になりました。
- 貴重なアドバイスを拝聴することができ、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。
- 昨日の講演会はさまざまな先生方の意見を拝聴することができ、充実した時間を過ごすことができました。
- 先月のセミナーで拝聴することができた知識が役に立ちました。ありがとうございます。
例文からも分かるように「拝聴する」は、文中で使用できます。敬意を払う相手の話や意見などを聞いたことを伝えたいときに使います。
拝聴してどのように感じたのか、感想や意見を述べたいときには「拝聴することができ~でした」という使い方もできます。
【参考記事】「拝聴する」の使い方を例文付きで解説します▽
拝聴を使った敬語② 拝聴します
「拝聴します」も「拝聴する」と同じで「相手の話を敬意を払って聞く」という意味があります。文末に「する」の丁寧語である「します」を使うことで、丁寧で柔らかい印象を与えることが可能。
そのため、「私は○○先生の講演会を拝聴します」のように文末に用いて、自分の意思や行動を伝えるときにも使えます。もちろん「拝聴します」も謙譲語なので、敬意を払う相手にしか使えません。
「拝聴します」の使い方
- 本日は14時より○○先生の講演会を拝聴します。とても楽しみにしています。
- 来週、○○教授より意見を拝聴しますので、もう少しお待ちください。申し訳ございません。
- 明日は有名なピアニストの演奏を拝聴します。とても楽しみです。
- 次回の〇〇研修会では、○○教授にお越しいただきまして、貴重なご高話を拝聴します。
「拝聴します」は、本人の行為にしか使うことができません。例文からも分かるように自分自身が誰かの話や演奏などを拝聴するシーンで使います。
また、過去の出来事には使えないためこれから拝聴する場合や、未来に拝聴する予定があることに対して用いられる表現です。
【「例文」で使われている敬語】
・「申し訳ございません」の正しい使い方|目上や先輩など目上の人に使える敬語なの?
・「お越しいただき」の意味とは?使い方を例文付きで解説します
拝聴を使った敬語③ 拝聴しています
「拝聴しています」には「敬意を払って聞いています」という意味があります。「拝聴します」とは異なり動作が継続して続いていることを示す表現です。
使い方は2パターンあり、今まさに拝聴している最中である場合と、習慣として定期的に拝聴している場合に使用します。また、「拝聴しています」も「拝聴します」と同様に、自分自身の動作にのみ使える敬語表現です。
「拝聴しています」の使い方
- 今回のみならず、毎年欠かさず○○オーケストラの演奏会を拝聴しています。
- 今まさに、△△上司と共に○○教授の講演を拝聴しています。
- 年に1度、○○代表より貴重な意見を拝聴しています。とても励みになります。
- 毎月さまざまな先生方の意見を拝聴していますので、それをまとめてレポートを書くつもりです。
「拝聴しています」の例文を見てみると、ビジネスシーンでは習慣的に拝聴していることがある場合に用います。
定期的に講演会を聞いていたり意見を貰ったりしている場合は「拝聴しています」を使うことが可能です。今まさに、講演会などを聞いている状況を示すこともできますが、現実的には使うシーンが少ないでしょう。
拝聴を使った敬語④ 拝聴しております
「拝聴しております」は「拝聴しています」をより丁寧にした敬語表現です。「しています」は丁寧語ですが「しております」は丁重語で、自分をへり下って言う敬語表現を含んでいます。
そのため、「敬意を払って聞く」という動作が継続して続いている習慣となっている行為を、丁寧に表現したいときに使用します。ビジネスシーンでは、目上の人や上司と話をするときに使うといいでしょう。
「拝聴しております」の使い方
- ○○ピアニストの演奏会は、毎年必ず拝聴しております。
- 毎年○○教授のご高話を拝聴しております。
- 今回も○○先生の意見を拝聴しておりますので、参考にさせていただきます。
- 2ヶ月に1回○○教授のセミナーを拝聴しております。
「拝聴しております」の例文を見てみると、習慣として拝聴していることや継続して拝聴していることに使っていることが分かります。
「拝聴おります」は「拝聴しています」と同様に、今日や明日のことではなく継続している事柄にしか使用できません。
「ご拝聴」は二重敬語なの?
「拝聴」という言葉は、それだけで謙譲語として成り立っています。先ほども説明したように「謹んで耳を傾ける」相手に対してしか使えない言葉だからです。
より丁寧な言い回しにしようと「ご拝聴」とするのは、二重敬語であり正しい使い方ではありません。
よく見かけられる間違いですが、二重敬語となり間違った使い方となるので要注意!ビジネスシーンでは使えません。「拝聴」はその言葉だけでも使う人を選び、充分丁寧で相手を敬う言葉であるということを覚えておくといいでしょう。
「拝聴させていただきます」って二重敬語なの?
「拝聴させていただきます」もよく見られる間違いです。
「拝聴」は「聞く」の謙譲語であり「させていただく」は「してもらう」の謙譲語です。同時に謙譲語を使っているため、二重敬語となり正しい敬語ではなくなってしまいます。
「拝聴する」をより丁寧に使おうとしているのは分かりますが、「拝聴」だけでも充分に相手への配慮や尊敬の意は伝えられますよ。
「拝聴」と言い換えできる類語一覧
拝聴の類語① 承る
「拝聴」の類語として「承る」が挙げられます。読み方は「うけたまわる」です。「承る」は「引き受ける・受け取る・聞く・聞いて伝える」という4つの意味の使い方ができる謙譲語で、前後の言葉や「承る」を使うシーンによって意味が異なります。
「拝聴」と似た意味で使えるのは「聞く」の謙譲語として用いるときです。例文のように、目上の人や尊敬する人の講演会やスピーチを聞いたときなどには「拝聴」と同じ意味で使用できます。
「承る」の使い方
- 先日のセミナーでは、教授より貴重な意見やお話を承りました。
- 昨日は○○教授よりアドバイスを承ることができ、とても光栄でした。
- 去年は○○社長より直々に意見を承ることができたので、今年も実現できるように頑張ります。
【参考記事】承るの意味とは?|ビジネスシーンで使える例文まで解説します▽
拝聴の類語② お聞きする
「お聞きする」も「拝聴」の類語です。「拝聴」よりもさまざまなシーンで使えるため、耳にする機会が多いのではないでしょうか。「お聞きする」も「聞く」の謙譲語です。自分をへり下って相手を持ち上げる言葉なので、目上の人に使用できます。
例文のように「拝聴」と同じく目上の人の話に耳を傾ける場面で使用できる言葉です。しかし、敬意の度合いは「拝聴」よりも低いため、ビジネスシーンでは上司や取引先の人にも用いるのが一般的です。
「お聞きする」の使い方
- ○○課長の貴重なご意見をお聞きすることができ、とても参考になりました。ありがとうございました。
- 本日は、起業から本日までのエピソードをお聞きすることができると伺っています。
- 昨日は、○○リーダーから直接アドバイスをお聞きすることができ、とても勉強になりました。
拝聴の類語③ 伺う
「伺う」も「聞く」の謙譲語にあたるため「拝聴」の類語です。同時に「伺う」は「問う・尋ねる・訪問する」などの謙譲語でもあります。
1つの言葉でも状況に応じて、さまざまな使い方ができます。ただし、「聞く」の謙譲語として使用されることは少なく「訪問する」の意味での使い方が一般的です。
しかし、例文のように「拝聴」と同じようなニュアンスで使うことも、もちろん可能。自分をへり下って表現できるため、ビジネスシーンでは上司や目上の人から話を聞いたときなどに用いれますよ。
「伺う」の使い方
- 昨日は○○上司から直接アドバイスを伺うことができ、とても励みになりました。
- 明日の注意点を課長から伺うことができたので、不安が解消しました。
- ○○課長の成果発表に伺うことができ、勉強になりました。
拝聴の類語④ 拝聞
「拝聞」も「拝聴」の類語です。「拝聴」と同じ「拝」という漢字が用いられており「謹んで聞く、敬意を払って聞く」といった「拝聴」にとても近い意味になります。「拝聞」だけで謙譲語となり「拝聴」と同じレベルの敬意を払うことが可能です。
しかし、「拝聴」の方が一般的で使用頻度が高いためわざわざ「拝聞」を使うことは少ないかもしれません。使い方としても「拝聴」と同じように用いることができ、教授や先生といった高い敬意を払いたい人に対して使える敬語です。
「拝聞」の使い方
- 先日は○○教授の講演会を拝聞することができて、とても勉強になりました。
- 毎年○○先生のご高話を拝聞しております。
- 貴重なアドバイスを拝聞することができました。心よりお礼申し上げます。
拝聴の類語⑤ 清聴
「清聴」は敬意を払う敬語であるという面では「拝聴」と類語ですが、使い方は全く異なります。
「拝聴」が謹んで耳を傾けるという話を聞く側が使う言葉であることに対して、「清聴」は話を聞いてもらった側が使う言葉です。言葉を使う人が対照的であると言えます。
「長々と私の話を聞いて頂き本当にありがとうございました」という意味があります。例文のように、スピーチや講演会の締めなどに本人が感謝の気持ちを込めて述べる使い方ができます。
「清聴」の使い方
- これでスピーチを終わります。長々とご清聴ありがとうございました。
- 先日は当社のプレゼンテーションをご清聴くださり、誠にありがとうございました。
- 本日は最後までスピーチをご清聴賜り誠にありがとうございした。心よりお礼申し上げます。
拝聴の類語⑥ 傾聴
「傾聴」は漢字からも読み取れるように「熱心に耳を傾けて話を聞く」という意味があります。言葉の意味としては「拝聴」に近いため、類語でもあります。
両者の大きな違いは「傾聴」が敬語ではないところにあります。相手への配慮や共感を示すことはできますが尊敬を示すことはできないため、ビジネスシーンではあまり使う機会がありません。
自分よりも下か同じ立場の相手の話を、熱心に聞いているという状況を示したいときに用います。
「傾聴」の使い方
- 私は、同期である〇〇さんにの話に傾聴していました。
- 〇〇さんの話に傾聴したことで、いいアイデアが浮かびました。ありがとうございます。
- 部下の○○さんが悩んでいたため、口を挟まず話に傾聴していました。
拝聴の類語⑦ 謹聴
「謹聴」も「拝聴」の類語として挙げられます。「謹」には「謹んで、控えめに」という意味があり、「拝聴」と同じように「謹んで耳を傾ける」という意味となります。
自分の存在を控えて相手を上に上げる謙譲語になる言葉で「拝聴」と同じように尊敬のレベルが高いため、目上の人や尊敬する人に用います。
また、「謹んで耳を傾ける」という話を聞くシーン以外にも、例文のように「静かに話を聞いてください」と注意を促す使い方もできます。
「謹聴」の使い方
- 間もなく講演会が始まります。着席して謹聴してくださいますようお願い申し上げます。
- 先日は、〇〇教授の講演会を謹聴しました。とても勉強になる内容でした。
- 〇〇先生の発表が始まると、観客は皆謹聴しました。
謙譲表現の「拝聴」は、スマートに使いこなしましょう。
今回は、「拝聴」の使い方や類語、例文などをまとめてご紹介しました。「拝聴」はそれだけで謙譲語となり、相手への尊敬を示すことができる敬語です。そのため、似たような類語が多く、シーンによって使い分けることが大切です。
正しい使い方ができるように、それぞれの言葉の意味や使い方を理解しておくといいでしょう。ぜひ、ビジネスシーンで活用してみてくださいね。
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