"ありがとうございます"の意味&言い換えできる類語。ビジネス敬語ガイド
「ありがとうございます」の意味や語源とは?
「ありがとうございます」とは、相手に対する感謝・お礼の気持ちを伝えるときに使う言葉です。「ありがたい(有り難い)」という形容詞と「ある」の丁寧語である「ございます」から形成されています。
形容詞「 ありがたい」はもともと「有り難し」という言葉で、「なかなかない、珍しい」という意味を持ち、人として生を受けて生きていることへの感謝を説く仏教用語として用いられていました。
そこから嬉しい心遣いなどを受けた時、感謝する言葉として幅広く使われるようになったのが「ありがとうございます」の語源です。ビジネスシーンでは気遣いを受けたり、何かを教えてもらったりした際、感謝を伝えるために必ず言い添えたい言葉と言えます。
また、「ありがとうございます」には、言葉を足して感謝の気持ちの強さを表す表現や、状況や相手に応じたさまざまな言い回しがあるので、しっかりと使い方をマスターしましょう!
「ありがとうございます」は敬語なのか?
日頃から口にしている「ありがとうございます」が敬語と聞くと、少し戸惑いを感じるかもしれません。確かに「ありがとう」という言葉自体は敬語ではありません。
しかし、「ございます」という「ある」の補助動詞の丁寧語を加えることで丁寧な表現となり、ビジネス、接客の場で目上の人や上司にも使える敬語になっています。
「ありがとうございます」と「ありがとうございました」の違いとは?
文法的に「ありがとうございます」が現在形、「ありがとうございました」が過去形の表現です。
基本的な使い方としては、お礼を言うべき行為を受けた直後には「ありがとうございます」、過去の行為には「ありがとうございました」を使いますが、来店したお客様への接客の場合など、どちらを使っても違和感がないため、使い分けが曖昧な場合もあります。
また、過去の行為に「ありがとうございました」ではなく「ありがとうございます」を敢えて使い感謝の意を強く伝える使い方もあります。
どちらを活用しても大きな問題はありませんが、多用しすぎると不自然になりかねないので、節度を保ちながら上手に使い分けましょう。
「ありがとうございます」の前につける定番のフレーズとは?
「どうも」ありがとうございますの使い方とは?
「どうもありがとうございます」は「どうも」という強調の言葉を加えて感謝の気持ちを強調した表現です。
使い方としては主に会話で感謝の気持ちを伝えるときに言う言葉ですが、かなりカジュアルな表現であり失礼な印象与えてしまうので、取引先、目上の人や上司、接客にはふさわしくない表現です。ビジネスの場面では使用を控えるようにしましょう。
ただ単に「どうも」と言うだけでも挨拶として使われていますが、敬語ではなく、目上の人や上司、取引先の人、接客のときに使うと失礼になるので注意してください。
「毎度」ありがとうございますの使い方とは?
「毎度」は同じことのくり返しを表す言葉です。名詞、または副詞として使われます。同じことのくり返しを表す言葉の中でも「毎度」はかなりくだけた雰囲気を持つ言葉です。
商店の店頭などでよく聞かれる「毎度!」、「毎度あり!」はいずれも「毎度ありがとうございます」を省略した表現です。
使い方としては親しみを込めた声がけなどに使う表現であり、目上の人や上司、取引先の人への改まった雰囲気の接客にはふさわしくない表現です。
したがって、丁寧さが求められるビジネスの場では、使用を控えたほうが良い言い回しと言えます。
「いつも」ありがとうございますの使い方とは?
「いつもありがとうございます」は日頃の継続的なご縁に感謝を表す、それほど重くない感謝を表す言葉です。主に接客や取引先へのあいさつで使われる表現です。
使い方としては目上の人に使うのは差し支えありませんが、ビジネスの場で身内である上司などには使いません。来店したお客様への声がけやメールでの軽いあいさつにふさわしい言い回しです。
「誠に」ありがとうございますの使い方とは?
「誠にありがとうございます」は、「ありがとう」を使う表現の中でも最上級の感謝を表す敬語といえます。使い方としてはかなり深く感謝していることを伝える場合の表現です。
「まことに」は副詞で「本当に」「じつに」の意味です。「真に」「実に」とも書きますが、「誠に」が一般的です。ひらがなだとカジュアルな印象になるので、「誠に」としたほうがよいでしょう。
かしこまった表現なため、目上の人や接客には問題なく使用できる言い回しです。
「ありがとうございます」の言い換えできる類語を丁寧さ別に解説
【丁寧さ★☆☆】比較的フランクな「ありがとうございます」の類語
比較的フランクな表現は、会話の中で重くならない感謝を表す表現として使われることがよくあります。
相手によってはふさわしくない失礼な表現になる恐れもあるため、きちんと意味や使い方を理解しておいてください。
類語① 助かります
「助かります」は「ます」という丁寧語が付いた敬語ではありますが、目上の人や上司に使うのはふさわしくない言い回しです。
そもそも「助かる」は「ご苦労さま」などと同様に相手を労う言葉なので、目上の人に使うべきではない言葉ではありません。
実際にビジネスシーンで使われている使い方を見ても、丁寧な「依頼」をするときに同じ作業などで関わる取引先などの同程度から少し上程度の相手、目下の人に対して使う場合がほとんどです。
類語② 幸いです
「幸いです」は「幸い」と助動詞の「です」で成り立っている言葉です。「幸い」は好ましい、嬉しい気持ちをのことです。
ビジネスシーンでの使い方としては、「助かります」を使うと失礼な目上の人などへの依頼をする場合がメインになります。
失礼にならないように「お手数おかけしますが」「恐縮ですが」といった言葉も言い添えるのを忘れずに。主にメールなど文章で使う表現です。
【参考記事】「幸いです」の使い方を例文付きで分かりやすく解説!▽
類語③ 嬉しいです
「嬉しい」は自分の気持ちを表す形容詞です。
また、「です」は「だ」の丁寧語ですが、本来名詞や代名詞の後にのみに付く言葉なので、「嬉しいです」はじめ「形容詞+です」という表現は文法的に問題のある俗語的な表現で、目上の人に使える敬語ではありません。同僚や目下の人に対してのみ使える表現です。
正しい敬語表現として「嬉しく存じます」なども考えられますが、感謝の気持ちに焦点を当てて、「ありがたく存じます」「幸甚に存じます」などの表現な言い換えるのがおすすめです。
【丁寧さ★★☆】上司に使える「ありがとうございます」の類語
ここからは、上司にも使える「ありがとうございます」の言い換えともなる類語をご紹介します。
上司や目上の人だからと状況に合わない丁寧すぎる表現を使うと、慇懃無礼なニュアンスになりかねません。意味をしっかりと踏まえて適切に使うようにしてください。
類語① 深謝申し上げます
「深謝申し上げます」は、「心の底から深く感謝する」という意味の言葉で、強い感謝を表します。
スピーチなど改まった席での話やメール、文書などでよく使われます。目上の人、上司などに強い感謝を伝えるときに使うにもふさわしい言葉です。
「深謝申し上げます」には「深く謝罪する」の意味で用いることあり、謝罪の言葉としても使用されます。
【参考記事】「深謝」の正しい使い方を徹底解説▽
類語② 感謝申し上げます
「感謝申し上げます」は「感謝します」の謙譲なので目上の人や取引先、接客でも使える表現です。
会話でも使いやすいかしこまりすぎない敬語ですが、頭に「心より」などを付け加えるなど、使い方によって感謝の度合いを強めることもできます。
「~していただき」と付け加えれば何に対する感謝なのかも明確にできます。
【参考記事】「感謝も申し上げます」の使い方を例文付きで解説▽
類語③ 幸甚に思います
「幸甚(こうじん)」とは「甚だ(とても)幸せ」という意味です。相手のおかげでたいへん幸せに感じていることに対して感謝を伝える表現です。
丁寧語「幸いです」をもう少し丁寧に言い換える場合に使う表現です。「幸甚に存じます」よりは丁寧さが控えめになります。
「助かります」と同じように、何かを依頼するときに、「~してもらえると幸せです、ありがたいです」の意味での使い方もあります。
【参考記事】「幸甚」の正しい使い方を分かりやすく解説▽
類語④ 恐れ入ります
「恐れ入ります」は日常会話でもクッション言葉としても使われる言葉です。書き言葉としては「恐縮です」を使ったほうが改まったまった表現になります。
「恐れ入りますが」と会話で切り出すときはなにか依頼をするときの「申し訳ない」という「恐縮」の意味になり、「恐れ入りました」と言えば相手に対する「感心」の意味にもなる、幅広く使える敬語です。
【参考記事】「恐れ入りますが」の正しい使い方を解説▽
【丁寧さ★★★】かなり丁寧な「ありがとうございます」の類語
これからご紹介する「ありがとうございます」の類語は、丁寧度が最も高くなる感謝を伝える言い回しです。普段の会話ではあまり使われない、主に書き言葉として使われるかしこまった言い回しとして覚えておいてください。
また、かなり丁寧な言い回しばかりなので、軽はずみに使用せず、ここぞという場面で使用しましょう。
類語① お礼の申し上げようもございません
「お礼の申し上げようもございません」は、言葉では表せないほど感謝していることを伝える、最上級の感謝を伝えるときの表現です。
したがって、頻繁に使うのはおかしいので、めったにないようなことに対してのみ使いましょう。また、文章全体もかしこまった丁寧な文体でなければこの表現が浮いてしまうので、注意が必要です。
類語② 恐縮至極に存じます
恐縮は感謝や申し訳なさで身もすくむほどだ、という意味で、至極(しごく)がこれ以上ないという意味で、これ以上ないほどの感謝やお詫びの気持ち表す敬語です。
ただし、大したことでもないのに使うと大げさすぎると、失笑されかねませんのでご注意を。身に余るような恩恵を受けたり、無理なお願いをきいてもらった時など、正しい状況を見極めて使用しましょう。
類語③ 幸甚に存じます
これまでにご紹介した自分が幸せを感じることを伝える「幸いです」の類語の中でも、もっとも丁寧な敬語が「幸甚に存じます」です。
「思う」の謙譲語「存じる」に丁寧語「ます」が加わっているため、目上の人、上司や取引先に出すメールや文書に一番ふさわしい表現と言えるでしょう。
実際、文章では「幸甚」という固めの言葉にもあっている「存じます」を付けたこの表現が定型パターンになっています。
【参考記事】「幸甚に存じます」の意味や正しい使い方とは?▽
類語④ 足を向けて寝られない
ご恩を受けたり、お世話になった相手には寝るときも敬意を払って足を向けられないという、具体性があり温かみも感じられる、この上ない感謝を示す表現です。
かしこまったあいさつや、堅苦しいことが嫌いな相手には喜ばれる表現ですが、かなりかしこまったシーンや文章にはふさわしくないので、普段は他の表現を使ったほうが良いでしょう。
類語⑤ 厚く御礼申し上げます
この表現での「御礼」は「おんれい」と読みます。取引先に送るビジネス文書やメールなどで冒頭のあいさつ文で頻繁に使われるのが、「平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます」という定型文。
相手に対してしっかりと感謝の気持ちを伝えられるため、ぜひとも覚えておきたい丁寧な言い回しです。
「ありがとうございます」の英語表現
- Thank you very much for contacting us regarding our current products . (弊社製品に関してお問い合わせいただきまして、誠にありがとうございます。)
- Thank you for calling. (お電話ありがとうございます。)
- I really appreciate your help in resolving the problem. (問題の解決にご協力いただき、深く感謝申し上げます。)
- I appreciate your help. (お力添えいただき、ありがとうございました。)
- I shall be grateful all my life. (このご恩は一生忘れません。)
- I am indebted to you for this. (本当に感謝しています。)
「Thank you for」の後に感謝の内容を続ける表現は、さまざまな感謝・お礼を伝える場合に応用がきく表現として覚えておきたいものです。
「誠に」「どうも」など強めるためには「very mucu」を加えます。
また、「I appreciate your〜」を使うとより丁寧な表現になるので、ビジネスシーンにおすすめです。文章では「I am thankful to~」もよく使われます。
「ありがとうございます」の韓国語表現
- 감사합니다 / カムサハムニダ (感謝します。)
- 감사드립니다 / カムサトゥリムニダ (感謝致します。)
- 고맙습니다 / コマッスムニダ (ありがとうございます。)
- 감사해요 / カムサヘヨ (感謝しますす。)
- 정말 감사합니다 / チョンマル カムサハムニダ(本当に感謝します。)
- 진짜 고마워 / チンチャ コマウォ(どうもありがとう。)
감사합니다 / カムサハムニダ (感謝します。)は聞いたことがある人も多い表現ではないでしょうか。
目上の人や上司、接客の場でも幅広く使える代表的かつ最も丁寧な感謝を表す韓国語です。「감사=感謝」、「합니다=します」という意味を表しています。
정말(チョンマル)が「とても」の意味を表す言葉なので、状況に合わせて付け加えましょう。
「ありがとうございます」の中国語表現
- 谢谢(ありがとう。)
- 非常 感谢(大変感謝します。)
- 万分 感谢(お礼の言葉もありません。)
- 感谢 不尽(感謝にたえません。)
- 表示 衷心 的 感谢(心からの感謝の意を表します。)
- 谢谢 你 的 关心(お気使いありがとうございます。)
中国語ではお礼の言葉「ありがとう」は、「感謝する」を意味する「谢(xiè)」という言葉で表します。
谢の前に「太(とても)」をつけると、より強い感謝の気持ちを表現することが出来ます。
最も強い感謝を表すのは「太谢谢你了」です。使われている文字でもある程度意味がわかる中国語。また、よく知られている「谢谢」以外もぜひ使ってみてください。
日頃から重宝する「ありがとうございます」は、正しい使い方をマスターしましょう!
日々の生活でもビジネスシーンでも、「ありがとう」は感謝を伝える言葉として非常に重宝します。また、会話だけでなく、メールでも活用できるため、是非とも使い方はマスターしておきたいところ。
状況や相手との関係性を考慮して、言い回しを変えられるとよりベストです。
しっかりと意味や使い方を覚えて、正しい言葉遣いを心がけましょう!
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