2017年7月28日

「女性社会の、非情な現実」僕は彼女に妊娠を告げられた|第8話

もしも彼女が妊娠したら、男にはこんな現実が待っている。父親になる男のリアルに描く体験記「僕は彼女に妊娠を告げられた」第8話。

彼女に妊娠を告げられた


職場への妊娠報告を無事に済ませて、ホッとひと息ついた妊娠8週目のある朝。


「ごめん、急やけど今日会社の親睦会をやることになったらしいわ」


朝食をとる僕に、身支度をしながら申し訳なさそうに話しかけてくる彼女。


「了解!じゃあ先帰っとくね。あと、晩ご飯も適当に済ませておくよ」


会話は普段通りだけど、彼女がどこか思い詰めた様子。


元気もないので、心配になり、


「どうした?」


と声をかけると、神妙な面持ちのまま悩みを打ち明けてくれました。



「実は、前回の診察でお医者さんから今の仕事は辞めた方がいいって言われてて。今日の親睦会の席で上司に相談してみようかなと思う。言うの遅くなってごめんな。」


アパレルの販売業をしている彼女は、長時間立ちっぱなしで接客や雑務をこなします。


重い荷物を運ぶことも多く、産婦人科の先生からは


「母体への負担や流産の恐れを考慮して、なるべく早い段階で今の仕事は辞めた方がいい」


そう告げられていたんだとか。


経済面のこともあり、思わず言葉を詰まらせてしまいましたが、すぐに冷静になり、


「とりあえず、今日の親睦会で上司や職場の人に体調を考慮してもらったり、産休をもらえたりするか聞いてみなよ」


とアドバイスをしてみました。


僕自身、職場にしっかりと妊娠報告をすることで、みんなの協力を得られたし、周囲の祝福の言葉に勇気をいただきました。


彼女にも「理解してくれる人がいる」という安心感や頼もしさを感じてほしかったのです。


その想いが伝わったのか、


「せやな。親睦会の時に話してみるわ!」


と、どこか吹っ切れた様子。


持ち前の明るさを取り戻し、足早に仕事へ向かい始めました。



ざわついた朝から、何事もなく一日が終わり、


入浴後にソファーでゆったりしていると、


親睦会から帰宅中の彼女から一通のLINEが届きました。


「あかんかった」


唐突なLINEで、何を意味しているのか、そのときは明確に分かりませんでしが、「いい報告ではない」それだけは理解できました。



しばらくして、何やら疲れ切った様子で帰ってきた彼女。


LINEの真意を聞いてみると


「職場に妊娠を報告できなかった。というより言えなかった。」


と悲しげな顔で答えてくれました。


彼女の職場はほとんどが女性スタッフ。


そしてアパレル業ならではの特色か、「結婚や出産で家庭に入るよりも、まだまだ自分にお金を使いたい!」といった価値観を持つ女性が多いんだとか。


そのため、結婚や出産という言葉を口にすると、


「おめでとう!」


と、祝福されるのではなく


「ふ〜ん、もう家庭に逃げ込む感じね」


と、あまりいい顔はされない風潮が漂っているんだそう。


良く言えば、それだけ日々の仕事に誇りや自信を持って取り組んでいる証拠。


彼女自身もそこら辺は理解していたので、辞めるにしても一番親しい上司にだけ妊娠を報告してうまいこと切り抜けるつもりのようでした。



しかし、親睦会の席でその上司に結婚や出産について問いかけてみると


「結婚とか出産?!無理無理〜!まだありえないでしょ〜!」


と一蹴されたらしく、さらには結婚や出産に対する心のない愚痴を延々と聞かされたんだとか。


慕っていた上司とはいえ、その言い方にさすがの彼女も呆れたらしく、


「もう職場の人達には妊娠報告せえへん!」


そんなセリフを口にして、完全に職場に対して心を閉ざしてしまいました。


「お腹が膨らんできてバレる前に、うまいこと言って退職するわ。お金とか厳しい状況なのに本当に迷惑かけてごめんなさい。」


いつもなら「もうちょい頑張ってみようぜ」と前向きに声をかける僕も、


この時ばかりは、彼女の判断を静かに受け入れました。


お金が厳しい。仕事はまだ頑張りたい。そして何よりも赤ちゃんは大切。


そのことは彼女が誰よりもわかっているはず。


無理のない範囲で仕事は続けたい。


でも、そんな言い分を彼女の職場は許さない。


「今まで一生懸命頑張ってきたのに・・・」


不条理な状況に、彼女自身が一番歯がゆさと悔しさを感じていたでしょう。


彼女の辛い気持ちを察した僕は、


「大丈夫だよ。退職して安静にしよう。」


と彼女に伝えました。



比較できるものではないけれど、僕のように妊娠を祝福してくれる職場もあれば、彼女のようにそれを良しとしない職場もある。


特に女性社会の厳しさは、彼女の様子からビシバシと伝わってきました。


形としては、妊娠によって、彼女は職を失ってしまった。


当事者としての責任を再認識した僕は、落ち込む彼女を励ましながら、


「この人を必ず幸せにする。」


そう、心に誓っていました。


<続く>


僕は彼女に妊娠を告げられた

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