"吹聴"の意味/使い方とは?例文&言い換えできる類語|ビジネス敬語ガイド
「吹聴」の意味とは?
「吹聴」とは「吹聴する」の使い方で自慢話や噂話を周りに言いふらすという意味があります。
周りに言って周る内容は自身の自慢や他人の噂話に対して使うため、悪い内容に対しての使い方をします。ビジネス上で使う場合にも、例文として「課長の左遷を吹聴する」など、悪い内容を言いふらすことに対しての使い方をします。
なお、「吹聴」は「ふいちょう」と読み、「すいちょう」の読み方は間違いです。元々、風の便りや噂という意味の「風潮(ふうちょう)」が転じて「吹聴」になり、「ふいちょう」の読み方となった説も。「すいちょう」の読み方をしないように気を付けましょう。
「吹聴」の語源や由来とは?
「吹聴」の「吹」とは事実と反することを言ったり、大げさに言ったりといった意味があります。
本来の価値以上の値段をつけることを値段を「吹っかける」、嘘をつくことをほらを「吹く」などのように使用されます。「聴」とは自分で意識して物事に耳を傾ける、という意味があり、「吹聴する」で悪い内容の事項を周囲に言って周る、という意味になります。
前述の通り、「吹聴」の「吹く」は「吸う」と誤認しやすく「すいちょう」と間違った読み方をされることも少なくありません。「吹聴」は噂話や風の便りなどの意味での使い方をする「風潮」が語源の説があるため、「風潮(ふうちょう)」から「吹聴(ふいちょう)」と覚えておけば、すいちょうと間違った読み方もしなくなります。
「吹聴」の正しい使い方とは?
「吹聴する」は、噂話や嘘を言いふらすことのため、敬語表現ではありません。ビジネスシーンで当然目上の人に対しての使い方はできませんので注意しましょう。
ビジネスシーンを含め、日常でもあまり使うことのない言葉ですが、例文として「敬語も使えない新人だ、と吹聴する」のように、能動態としての使い方と「敬語も使えない新人だと吹聴された」と受動態としての使い方があります。
能動態では「敬語も使えない新人だ」という事実を言いふらす、しゃべる、触れ周るなどの意味があります。
受動態では「敬語も使えない新人だ」ということを言いふらされた、という意味のほか、「実は敬語も使えないことが分かった」という事実を暴露する、告白する、といった「隠し事を公にする」という使い方もします。
「吹聴」を使った丁寧な例文
- 噂好きの同僚が「今度の新人はビジネスマンとして期待できない」と吹聴して回る。
- 直属の上司が横領している事実を、苦心ながら上層部へ吹聴する。
- ビジネス上での失敗を吹聴される。
- 新人が敬語や丁寧語の使い方を間違っている、と陰口として会社の女性たちが吹聴している。
- 近所に住む奥様が不倫している、と噂好きのママ友が丁寧な言葉遣いの陰で吹聴して回る。
- 丁寧な対応をしたつもりが、態度が悪いとして吹聴されてしまった。
「吹聴」は、「吹聴する・される」の形でビジネスシーンや日常生活まで、他人の失敗や噂話を言いふらすシーンで使用されます。
吹聴を使って言いふらす内容は悪評など悪い内容や噂話など真実とは分からない内容のため、良い内容に対しての使い方はしません。
よって、例文として「新人の敬語の使い方が間違っていることを吹聴する」は正しいですが、「新人は敬語を正しく使えて言葉遣いが丁寧であると吹聴する」は間違いです。
「吹聴」と言い換えできる類語一覧
吹聴の類語① 告白
「告白」とは、隠し事や胸の内をありのままに打ち明ける、という意味があります。
「告げる」と打ち明けるという意味の「白」が語源です。「吹聴」も隠し事を告白する、という意味での使い方もしますが、吹聴の場合は悪い事を打ち明ける場合の使い方をします。
一方で、告白は告白する内容が悪い内容の場合は吹聴へ言い換えができますが、事柄よりは自分の隠していた思慮や想いを打ち明ける、という意味があるため、「相手に自分の気持ちを告白する」で「相手に好意を寄せていることを告げる」という使い方をします。
吹聴の類語② 吐露
「吐露(とろ)」とは心に思っていることを包み隠さず話すことを指します。
吐露は「吐き出す」+露は包み隠していない、ありのままの状態から成り立つ言葉です。吹聴が噂話や悪いことを言いふらすという使い方に対し、吐露は「真実を吐露する」のように、今まで隠していたことをたんたんと話す場合の使い方をします。
また、ほかの類語告白と比較すると、告白は肯定的な内容にも使用しますが、吐露は例文として「辛い経験を吐露する」など、今まで隠していた辛い経験や気持ちを話す時にも使用します。「辛い経験を告白する」への言い換えも可能です。
吹聴の類語③ 喧伝
「喧伝(けんでん)」とは、やかましい、と言う意味の「喧」に伝える、から成り立つ言葉で「やかましくはやしたてる」「さかんに言いふらす」の意味があります。
吹聴が噂話や陰口を言いふらす時は、影でひっそり伝えることもあります。対して喧伝は騒ぎ立てたり、はやしたてたりしながら言いふらす状態を指します。
また、吹聴する対象が人ひとりに対して、喧伝ははやしたてて言いふらすため、喧伝する対象が世間や会社など大きいのも特徴です。よって、例文として「噂を吹聴される」とは言いますが、「噂を喧伝される」とは言わず「喧伝された事件」のように使います。
吹聴の類語④ 暴露
「暴露(ばくろ)」は明るみにする、という意味の暴く(あばく)+ありのままという意味の露、が語源で「隠されていたことを明るみにすること」という意味があります。
吹聴やほかの類語のように言いふらすのではなく、隠し事を明るみにする行為そのものを指します。また、暴露される対象となるのは、隠ぺいされていたものや秘密、悪事などです。
「A社の業務改ざんが元社員によって暴露された」「ある女性が有名芸能人からのセクハラ行為を暴露した」のように使用します。また、ウィルスや化学物質などに晒される状態も「暴露(または曝露)」と言います。
吹聴の類語⑤ 流布
「流布(るふ)」とは、流れる、さすらう意味の「流」に一面に広げる、広まる意味の「布」から成り立つ言葉です。
「広く行きわたること」「世間にある事項が広まること」の意味があります。流布される内容は、噂や風説、迷信など真偽が疑われるものを指すことが多く、例文として「○○がガンに効くという迷信が流布している」のように使用します。
また、証券取引において投資家の判断を惑わすことを目的とした噂や嘘を広めることを「風説の流布」と呼び、正当な取引が阻害される行為として証券取引法で禁止されています。
吹聴の類語⑥ 風聴
「風潮(ふうちょう)」とは、風に流れて変化する潮の様子が語源で、「世の中の移り変わり」や「時代の傾向」を指す言葉です。
吹聴が「すいちょう」ではなく「ふいちょう」の読み方なのは、風潮が語源である説もあります。吹聴は言いふらす様を表しますが、風潮は世の中の動向や移り変わり、トレンドを指します。
「申し訳ありません、は敬語の文法的に間違いだが、時代の風潮として正しいとされる傾向にある」「A社のビジネスは風潮に逆らっている」などの使い方をします。
「吹聴」の英語表現
- Do not retail gossip.(噂話を吹聴するのはやめよう)
- He spoke a lot of himself about him promotion.(彼は自分の昇進を言いまわっている)
- She confessed him with love.(彼女は彼に愛の告白をした)
- The superstition was spread around the world.(迷信が流布している)
- The employee's courageous behavior revealed the evil deed.(従業員の勇気ある行動によって、悪事が暴露された)
- She always chases the modern trend.(彼女は常に世の風潮を追いかけている)
英語の「吹聴する」は、ビジネスシーンを含め吹聴する対象によって動詞が変わる特徴があります。
噂ならretail 自分自身の名声などを言いふらすならspeak a lot of oneselfなどです。また類語も告白ならconfess、世の中に広まる(=流布)ならbe spread ~、暴露ならrevealeとそれぞれに動詞が存在します。単純に吹聴する、言いふらすならtalkやtell、putへの言い換えもできます。
「吹聴」の意味から類語までしっかりと理解しよう!
吹聴の正しい意味や使い方、語源や類語、言い換え、英語表現についてご紹介しました。ビジネスシーンを含め「吹聴する」のはあまり良い行動ではありません。
吹聴を使う正しいシーンをほかの敬語や丁寧語と同じく押さえておきましょう。また、シーンに応じて吹聴だけでなく適切な類語を使えるようにすれば、ビジネスマンとしてもスマートな対応ができます。
【参考記事】「ありがとうございます」の正しい使い方って知ってる?▽
【参考記事】「ご教示」の意味から分かりやすい例文まで解説▽
【参考記事】「伺う」って目上の人に使えるの?正しい使い方を勉強しよう▽
大切な人にシェアしよう。Enjoy Men’s Life!