"ご教示"の意味/使い方とは?類語&目上に使える例文|ビジネス敬語ガイド
「ご教示」の意味や読み方とは?
「ご教示」とは「ご-きょうじ」と読み、「知識や方法などを教え示すこと」を意味する言葉です。
ビジネスでは自分が知らないことや携わった経験のないものに関して、担当者や前任者、経験者に教えを請う場面も出てくることでしょう。ちょっとした業務の進め方などを知る必要があるときに、「ご教示」を使って相手に教えてくれるよう頼みます。
「ご教示」で聞ける内容は、ある程度決まりきった手順や制度、慣行、相手の予定など、すぐに開示可能な複雑ではない事柄の照会です。「ご教示」はベテランから新人、役職者から一般職まで誰しもが使えて、使う相手も問いません。
ビジネスにおける「ご教示」の正しい使い方
ビジネスでは主に、総務や経理担当、上司に各種書類の申請方法を照会したり、仕事で使う機器やソフトの操作手順を尋ねたり、スケジュール調整のため上司や顧客の予定を教えてもらう際に使用されます。
「ご教示」は主にメールで文語として用います。ビジネスメールでちょっとした情報や方法を聞きたいときは、「教えてください」ではなく「ご教示」を使いましょう。
「ご教示」は対面じゃ使わない、対面で使うときは?
「ご教示」はメールでしか基本使われませんが、急ぎの場合は電話で尋ねたり、相手が近くにいるなら直接行って聞くこともできます。ビジネスの場面では「教えてください」ではなく、謙譲語の「いただく」を使って「教えていただけますか?」ときちんとした言葉づかいにしましょう。
手順など少々込み入った内容であれば、相手の都合も考えて、尋ねる前に「今お話してもよろしいですか?」などと相手を気づかう配慮も必要になります。
ビジネスシーンで使える「ご教示」の丁寧な例文
使い方① ご教示ください
- 何かの折りにお伺いにあがるかもしれませんが、その際はよろしくご教示くださいますようお願いいたします。
- 手続きのため、所属をご教示くださいますようお願いいたします。
- 先日は会場までの道をご教示くださいまして、ありがとうございました。
- 電話番号をご教示くださいましてありがとうございます。後日ご連絡差し上げます。
- 割当られた予算についてご教示ください。
- ほかにご要望がございましたらご教示くださいませ。
「ご教示ください」の「くださる」は、「何かを厚意でしてくれる」意味の尊敬語です。何かを教えてもらいたいと頼むときや、何かを教えてもらった後に礼を述べる際に例文のように「ご教示ください」を使います。
「くださる」は相手の行為を指すため、相手が行動するよう頼むことになり、類語の敬語の「いただく」よりも相手に対する敬意がやや低いです。
「ご教示ください(ますよう/ませ)」は依頼時に、「ご教示くださいまして」は事後にメールしたときに使い、後者では謝意とともに伝えるのがマナーです。
【参考記事】「ご教示ください」の意味や正しい使い方とは?▽
使い方② ご教示いただき
- 本日の会場変更の件、至急ご教示いただきたく存じます。
- 締切日をご教示いただきたくお願い申し上げます。
- 現在の在庫状況について、ご教示いただけますか?
- システム操作につき、ご教示いただき大変助かりました。ありがとうございました。
- 先日は詳細についてご教示いただき、大変ありがとうございました。
- 商品の仕様についてご教示いただきありがとうございました。当社でも導入を検討いたします。
「ご教示いただき」の「いただく」は、「(自分が)何かをもらう」意味の謙譲語。
何かを教えてもらいたいとお願いするときや、何かを教えてもらった後にお礼をいう際に「ご教示いただく」とします。敬語の「いただき」は自分の行為を指すため、相手の行為を要求する敬語の「ください」よりも丁寧ないい方です。
「ご教示いただきたく」「ご教示いただけますか?」は依頼時に、「ご教示いただき」は事後にメールするときに使い、後者では感謝の言葉を添えるのが適切な使い方ですよ。
使い方③ ご教示のほど
- ご教示のほど、何卒よろしくお願いいたします。
- 申請書の記入に漏れがありましたので、未記入の項目につき何卒ご教示のほどお願いいたします。
- 現在の進捗状況をご教示のほど、よろしくお願いします。
- 直接ご説明に伺いますので、ご都合のよい日時をご教示のほどお願いいたします。
- お恥ずかしい話ですが、この分野に疎いため、初歩的な点をまずはご教示のほどお願いします。
- 詳しい情報をご教示のほどよろしくお願いいたします。
「ご教示のほど」の「~のほど」は助詞の「を」の代わりに使われて、断定を避け表現をやわらげるために使います。
何かを依頼する際に「~をお願いします」とすると、強い言い切りに受け取られることがあるため、「~のほど」で当たりをやわらげる効果を期待して使う人もいるようです。
また、謙譲表現の敬語の「お願いいたします」を添えることもよくあります。「~のほど」は単なる婉曲的な表現で、あえて使う必要性はありません。もし気になるなら、依頼の動詞の前に「どうか」「どうぞ」をつければ十分丁寧な表現になります。
使い方④ ご教示願います
- 営業企画の会議を開催しますので、各自の都合のよい日時をいくつかご教示願います。
- 先日の報告について、2、3確認したい点がありますのでご教示願います。
- 出張の経費申請書の記入方法をご教示願います。
- 社内システムの新規アカウント作成方法につき、ご教示願います。
- 社内の備品を点検するため、現在の課内にある在庫数をご教示願います。
- この件につき、ご存じの方がいらっしゃれば、ぜひご教示願います。
「ご教示願います」も何らかの事柄を教えてもらいたいときに使う表現ですが、このほかの表現と違って言い切り型で非常に簡潔な言い回しです。
そのため、社内メールの事務連絡に使われたり、目上の人が目下の者に尋ねる際に使ったり、広く知見を募る際に使われることが多い表現になります。
丁寧さよりビジネスとしての効率性を重視しており、敬意を示す表現を省略してそっけない感じを受けるため、対外的に使う場合は避けたほうがよいでしょう。
使い方⑤ ご教示賜る
- ご教示賜りたく、お願い申し上げる次第です。
- 恐縮ではございますが、ご教示賜りたく、お願い申し上げます。
- 弊社はこの分野は専門外のため、専門家の○○様のご意見をご披露、ご教示賜りますよう、お願い申し上げます。
- お忙しいとは存じますが、何卒ご教示賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
- ご教示賜れれば、幸いでございます。
- 近々開催予定の講演会にて、先生の知見をご教示賜れれば、幸甚の至りに存じます。
もともと「賜る」は天皇など非常に地位の高い人物から何かをもらう際に使われた敬語で、「ご教示賜る」はかしこまった言い回しとなります。
礼を尽くさなくてはならない相手や、その分野の専門家から教えを請うときなど、こちらに多大な恩恵が得られる場合に「ご教示賜る」の敬語を使うべきで、多用は避けたほうがいいでしょう。話し言葉として使われないこともありませんが、非常に改まった席でもない限りは使用しないほうが無難です。
【参考記事】「賜る」の意味とは?|ビジネスシーンで使える例文まで解説します▽
「ご教示」と「ご教授」との違いとは?
「ご教示」、「ご教授」どっちも何らかの教えを請う意味になりますが、「ご教示」と違うのは教えてもらう内容です。
「ご教示」ではちょっとした情報や知識、方法など、誰でもすぐに聞いて理解できることを聞く際に使います。
「ご教授」は一定期間の習得や習熟が必要な学問や技術について、もしくはそれらの知見を使った解説を聞く際に使うことが多いです。「ご教授」も通常書き言葉としてメール等で使われるため、話し言葉では「ご指導ください」を用います。
「ご教授」の丁寧な例文
- 各種の文献をあたりましたが、事例が見当たりません。先生のご意見を何卒ご教授くださいませ。
- この分野については疎いため、ぜひともご教授いただきけないでしょうか。
- 長年にわたりご教授いただき、誠に感謝の念に堪えません。
- 秋の展覧会に向けて鋭意制作中ですが、今後も引き続きご教授くださいますよう、よろしくお願いいたします。
【参考記事】「ご教授」を使った例文を詳しく解説▽
「ご教示」と言い換えできる類語一覧
ご教示の類語① ご指導ご鞭撻
「ご指導ご鞭撻」とは「教え導いて、強く励ます」意味合いを持つ古めかしい言葉です。目上や自社の顧客などに対して引き続き引き立ててもらえるようお願いする際の決まり文句として使われます。
「ご教示」は「教えを請う」意味で使いますが、「ご指導ご鞭撻」が持つのはもっと広い意味です。周囲の人から様々な協力を得て成長したいとの意思を伝えるために使います。
メール文としてもやや読みにくく、もともとの意味も現代の感覚にそぐわないので、「ご指導ください」としてもよいでしょう。
「ご指導ご鞭撻」の使い方
- 今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
- ひとえに周囲の皆様からのご指導ご鞭撻の賜物と、心から感謝申し上げます。
- これからも尽力してまいりますので、皆様からのご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
ご教示の類語② ご指摘
「指摘」とは、「全体のなかから、何らかの視点をもとに具体的に何かを取り上げて示すこと」の意味です。
「ご指摘」には、「ご教示」のようにこちらにプラスになる意味のほか、マイナスとなる意味も持っています。指摘を受ける内容がこちらに何らかの知見をもたらすものであれば「ご教示」とほぼ同義ですが、苦情や要望になる場合もあるのです。
こちらから「ご指摘」を使う場合は、不及や誤りがないか確認してもらう使い方が多く、プラスの知見を求めることはあまりありません。
「ご指摘」の使い方
- ~の件についての資料を作成しましたが、万一誤りがございましたらご指摘ください。
- お気づきの点、至らない点などございましたら、ご遠慮なくご指摘ください。
- 有意義なご指摘をいくつも賜り、深く感謝申し上げます。
【「例文」で使われる敬語】
・「感謝申し上げます」の使い方ガイド。例文から類語まで分かりやすく解説します
ご教示の類語③ ご指南
「ご指南」とは「武術や芸事などを教え、指導すること」です。すぐに聞いてわかる内容を教えてもらえる「ご教示」より、長年の習熟やある程度の熟練が必要な知識を教えてもらう「ご教授」に近い意味を持っています。
仕事は一朝一夕にはできないノウハウや経験則もあり、長い歴史を持つ伝統芸能のような高度な技能を教えてもらうのになぞらえた使い方も可能です。また純粋なビジネス用語というよりは日常語に近い語になります。
「ご指南」の使い方
- 先輩が部長から受け継いだという営業のコツについてご指南いただけないでしょうか。
- 今度伺った際にでも、お得意のゴルフのスコアアップの秘訣についてご指南ください。
- 先日は目利きのしかたについてご指南いただき、大変ありがとうございました。
ご教示の類語④ ご指示
「指示」は「指し示す」ほか、「指図すること」「命令」という意味があります。
顧客の依頼や会社の業務命令を受けて仕事をしているとき、想定外のイレギュラーが生じたり、自分の裁量や権限を越えた判断が必要な場合、「ご指示」を使って依頼主や上司に判断を仰がなくてはなりません。
「ご指示」で受ける内容は、たいていは「ご教示」のようなすぐに聞いてわかる内容になるでしょう。しかし、むやみに使って信頼を失わないよう、依頼の内容や自己の裁量の範囲をしっかり把握した使い方が必要とされます。
「ご指示」の使い方
- 御社からの依頼書にはカラーの指定がございません。青と赤どちらかがよいかご指示ください。
- 悪天候により調査の続行は困難です。後日の追加調査の必要の有無をご指示願います。
- こちらでは判断しかねる事項がありますので、ご指示をお願いします。
ご教示の類語⑤ ご示唆
「示唆」とは「それとなく示すこと」「断片的なヒントを示す」「遠まわしな表現」を意味し、何かをしっかり教えることではありません。
「示唆」で教えられる内容は「ご教示」のように誰でも聞いてすぐにわかる情報ではなく、知識や理解レベルによっては理解できない場合もあることでしょう。
したがって、何かをしっかりと教わりたい場合は「ご示唆ください」ではなく、「ご教示ください」や「ご教授ください」を用いるのが正しい表現といえます。
「ご示唆」の使い方
- ご示唆により、さらなる気づきが得られました。
- ○○に関する○○様のご示唆がヒントになり、この改良につながりました。
- コーチングを受けるなかでスキルアップのヒントをご示唆いただき、大変参考になりました。
ご教示の類語⑥ ご教導
「教導」とは「学問的理念や宗教思想にもとづいて、教え導くこと」をいいます。
道徳や倫理といった基準で何らかの教えをもたらす意味合いが強く、人格形成の途中にある子どもや若者に対して使うことが多いでしょう。とはいえ、分別をわきまえた大人同士が取引を行うのがビジネスです。
最低限の社会性や常識を備えているのが前提とされるので、「ご教導」をビジネスシーンで用いることはほぼありません。宗教を信仰する人々になぞらえて、志を同じくする人同士でこの語を使うことがあるかもしれませんが、その場合は非常に稀ばケースです。
「ご教導」の使い方
- 信者を教導する
- 牧師は悩める人々を教導する立場にあります。
- 日頃は格別のご教導を賜り、厚く御礼申し上げます。
「ご教示」の英語表現
- teaching(教示)
- instruction(教示)
- teach somebody how to do(誰々に~のやり方を教示する)
- instruct somebody in something(誰々に~を教示する)
- Could you tell me how to do it?(方法についてご教示いただけますか?)
- Thank you for your instruction.(ご教示ありがとうございます。)
英語で「ご教示」の意味合いを持つ語は「teach/teaching」や「instruct/instruction」です。
後者はビジネスメールでも使えるかしこまった語になります。「instruct」の使い方は例文にあげた通りですが、「instruct sb in ~」となることに注意しましょう。口語では「could」などとともに使えば「tell」も使えます。
「ご教示」は類語が多いため、きちんと使い分けましょう!
「ご教示」はメールなどで相手に何かを教えてもらいたいときに使います。
社内外で使える敬語表現や社内向けの事務的な表現など、「ご教示」の使い方や類語を例文をあげて紹介しているので参考にしてください。
簡単な情報を得たいときに使う「ご教示」のほか、専門家の知見などの教えを請う場面で使う「ご教示」の違いにも留意しましょう。
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