"伺います"の意味/使い方。言い換え類語&メール例文【ビジネス敬語ガイド】
「伺います」の読み方や意味とは?
「伺います」とは「うかが-います」と読み、「聞く」「尋ねる」「訪問する」を意味する謙譲語「伺う」に丁寧語の「ます」をつけた言葉です。
「伺う」の元々の意味は「気づかれないよう相手を見聞きする」ことで、「相手のいるところに自分が行く」という動作を伴います。
そこから「相手の元へ訪問する」の意味となり、相手の様子を見聞きすることから「聞く」、さらに進んで相手から何かを「聞き出す/尋ねる」意味が生じました。
ビジネスでよく使われるほか、就活の面接等でも使える基本的な敬語表現なのでしっかりと意味や使い方を押さえておきましょう。
ビジネスシーンにおける「伺います」の正しい使い方とは?
「伺います」は、口語のほかビジネスメールなどの文書でも使える基本的なビジネス用語です。
「伺います」は謙譲語のため、顧客や取引先などの社外の人や会社の上司など、目上であったり礼を持って遇すべき相手に対して使います。「伺います」は「聞く」「尋ねる」「訪問する」と複数の意味を含んでいるため、
「相手が話すことを聞く意思を伝えたいとき」「相手に何かを質問するとき」「相手先への訪問の約束をするとき」と、主に以上の3つの使い方がメインとなります。
一番よく使われるシチュエーションとしては、上司などに仕事について尋ねるときや、面接などのアポイントを取るときが考えられます。
【訪問する】「伺います」を使ったメール例文
- 今取りかかっている仕事が終わり次第、すぐに伺います。
- 当日は担当の○○と私の2名で御社に伺います。
- よろしければこちらから伺いますので、ご都合のよい日時の候補をいくつかお知らせください。
- 御社へは○時に伺いますのでよろしくお願いします。
- 展示会へお誘いいただき、ありがとうございます。ぜひ伺います。
- 急いでそちらに伺いますので、今しばらくお待ちください。
「伺います」は例文のメール文のように、相手のもと(話題になっている場所)へ「行きます」と端的に伝える際に使うことが多いです。
面接の訪問の約束を取りつけるときや、相手に訪問の意思を伝えたり、訪問者の内訳等の事務連絡などに使います。
ビジネスメールでは「行きます」とせずに、「伺います」とするのが常識です。また、「伺う」が使えるのは「相手がいる場所へ行くとき」に限定されることにも注意してください。
【聞く】「伺います」を使ったメール例文
- 恐れ入りますが、私ではわかりかねる点がありますので担当の者が伺います。
- 同伴のお母様はすでにお帰りになったとお客様より伺いました。
- お客様から伺いましたので、こちらでお待ちいただいておりました。
- 状況について伺いまして、すぐに対応を検討いたします。
- 先日は大変勉強になるお話を伺いました。
- ○○様より列車の運行状況について伺いましたが、本日の○○行は運休とのことです。
「相手の話を聞く」ことを、例文のように「伺います」とすれば、丁寧な印象を与えられるため、ビジネスで使うのに最適の語といえます。
「伺います」は、相手の用件を聞くときや、相手の話を聞いたことを報告するときなどに使うことが多いです。
なお、「伺います」は現在進行形では使わないので、話を聞いている最中は「伺っています」「お聞きしています」とします。
「伺います」と「お伺いします」の違いとは?
「お伺いします」は、「訪問」「尋ねること/問うこと」「聞くこと」を意味する謙譲語の「伺う」に、謙譲語の「お~する」をつけた二重敬語になります。
一般的な動詞であれば「お~する」とつけて謙譲語表現にできますが、「伺う」はもともと謙譲語としての機能を持つ動詞なので、「お伺いします」とするのは本来は誤用です。
ただ、一般的に「謙譲語+です/ます」より「お~する」の語のほうが敬語として認識されやすいため、「お伺いします」のほうが好ましいとする傾向があるのは否めません。
「お伺いします」を使った丁寧な例文
- それではお約束通り、〇時に担当者2名が御社にお伺いします。
- お話はすでにお伺いしましたので、お客様はご帰宅されました。
- 先日の○○の件につき、いくつかお伺いします。
- ちょっとお伺いしますが、30階へ行くエレベーターはどちらになりますか。
「お伺いします」は例文でもわかる通り、「伺います」と同様の使い方ができます。
「伺います」は端的に事務的に伝えるのに有用ですが、「お伺いします」は丁寧に印象づけたいときに使うとよいでしょう。「伺います」と違い、誰にでも敬語と認識されるため、口語で「お伺いします」とするとあたりが柔らかくなります。
したがって、面接など、口頭で相手に何かを尋ねたいときは「お伺いします」とするのがベターです。
「伺います」と「参ります」との違い
「参ります」は、「行く」を意味する謙譲語の「参る」に丁寧語の「ます」をつけた言葉になります。「伺う」と違って「参ります」には「相手がいる場所へ出向く」という含意がないため、どんな場所へも使えるのが「参ります」です。
主に会話体で「参ります」を使うと、自分が特定の場所に「行く」ほかに「来る」意味の丁寧語表現になることもあります。
人ではなく、バスや車などが「参ります」と使うこともできますが、この場合も丁寧語表現です。
「参ります」を使った丁寧な例文
- 担当のものがすぐに参りますので、もうしばらくお待ちください。
- これから車が参ります。目的地には〇時に到着の予定です。
- 展示会で製品を発表するため、明日東京に参ります。
- 箱根に参りましたのはとても久しぶりで、めったに見ない降雪にひどく驚きました。
「参ります」は例文のように、話題にしている場所へ移動する前や移動した後に使い、移動中は「向かっています」とするのが適当です。
「参ります」は謙譲語なので、話し手自らの行為だけでなく、社内の同僚や上司などの関係者の行動に対しても「参ります」が使えます。
また、車や列車などの乗り物などにも「参ります」を使うと丁寧な印象を与えられますよ。
「伺います」の二重敬語には注意する
二重敬語①「お伺いいたします」
「お伺いいたします」は、謙譲語の「伺う」に謙譲語の「いたす」をつけた二重敬語です。
「お伺いします」は二重敬語ですが、「伺う」を謙譲語と認識できず、丁寧語の「です/ます」がついた一般的な表現との印象を持つ人もいるため、さらに「お伺いいたします」と誤用する人が出てきたのでしょう。
「お伺いいたします」では違和感を感じる人が少なからずいます。
二重敬語②「お伺いさせていただきます」
「お伺いさせていただきます」は、謙譲語の「伺う」にさらに謙譲語の「いただく」をつけた二重敬語です。「させていただく」は近年広まった表現ですが、くどく感じる人も少なからずいます。
ビジネスでは「伺う」は基本的な敬語表現なので、「お伺いさせていただきます」とすると、社会人経験がある人ほど違和感を覚える表現と言えるでしょう。
二重敬語③「伺わせていただきます」
「伺わせていただきます」は「お伺いさせていただきます」と同様に、謙譲語の「伺い」に謙譲語の「いただく」をつけた二重敬語です。
「伺う」は「窺う」と同じ語源を持ち、「知られずに他人の様子をこっそりうかがう」意味になります。そのため、「人の様子をうかがう」を「させていただく」のは本来秘匿すべきことを公けにすることなので、何重にもおかしさを感じる表現です。
「伺います」と言い換えられる類語一覧
伺いますの類語① 承る
「承る」は、上の地位にある人からの命令を「受け賜る」から来た言葉で、「受ける」を意味する謙譲語です。それから転じて、目上の人の話を「聞く」という意味も持つようになりました。
「伺います」も「相手のもとに行く」意味から転じて、「聞く」という意味を持つようになっています。「伺います」は全般的に「聞く」意味で用いられますが、「承る」の含意は相手の依頼や望みなどを「聞く」ことです。
ただし、「承る」には「伝え聞く」の意味もあり、例文のように「伺う」と完全に言い換え可能な使い方もあります。
「承る」の使い方
- 当センターでは、24時間365日、お客様からのご依頼を承っております。
- お客様のご意見をぜひ承りたく存じます。
- 昨年退職された○○さんは、趣味を活かして修理ボランティアとしてご活躍されていると承っています。
【参考記事】「承る」の意味から使い方まで徹底解説▽
伺いますの類語② 拝聴する
「拝聴する」とは「聞く」を意味する謙譲語です。「伺います」のような複雑な背景を持つ語源を持たず、「聞く」を意味する漢字の「聴」に敬意を表す「拝」の字を添えた漢語になります。
「伺います」のように頻繁に話し言葉で使われることは少なく、ビジネスメールや文書で使うことが多いのも特徴です。
かなり硬い表現のためカスタマー相手の業種で使われることはほぼなく、例文のように、専門家などの知見を伺うなど使われる場面が限定されるかしこまった表現になります。
「拝聴する」の使い方
- 機会がありましたら、ぜひ先生のご高説を拝聴したく存じます。
- 開催が予定の講演会にて、○○様の発表を拝聴したく思っております。
- このたびは製品開発に有用な知識の数々を○○様から拝聴でき、大変感謝申し上げる次第です。
【参考記事】「拝聴する」の意味から使い方を分かりやすくご紹介▽
伺いますの類語③ 参上する
「参上する」は、目上の人や他人のところへ「行く」ときに使われる謙譲語です。かしこまった古めかしい漢語で、日常的に使ったりビジネスで使うこともあまりない言葉といえます。
口語で使うこともまれで、メールや文書などの文語で使うことが多いです。
例文のように謹んでその場に向かう意思を伝えるために「参上する」を使うことも皆無ではありませんが、文芸作品やアニメなどで使われるほうが多いため、場をわきまえて使わないと違和感を覚えるので使い方にはくれぐれも注意しましょう。
「参上する」の使い方
- 当日は開場前に参上し、末席より先生のご高説を拝聴させていただきたく存じます。
- 本来ならば我々の方から参上してお願い申し上げるべきところでした。
- 当課の○○が参上の折りに、ご高見をお伝えいただけますと幸いです。
伺いますの類語④ お邪魔いたします
「お邪魔いたします」「お邪魔します」は、人の家に訪問することを指したり、訪問時や訪問先から帰るときの挨拶として使います。
「伺います」と同様に相手のいるところや拠点とするところを訪問する意味の言葉ですが、「伺います」のような改まった感じは薄いです。
自分と親しい間柄にある人や、相手との関係をいくらか構築している相手に対して使い、例文のように口頭で述べることもあれば、メールで相手に訪問することを伝えるために使うこともあります。
「お邪魔いたします」の使い方
- それでは、×月×日の×時にお客様のところにお邪魔いたします。
- お忙しいところ、お時間をいただきありがとうございました。お邪魔いたしました。
- お仕事中、お邪魔いたします。私は○○社の○○と申します。
伺いますの類語⑤ お聞きする
「聞く」の謙譲語表現の「お聞きする」は「伺います」と同じように使うことが可能です。目上の人や社外の人など、礼儀を持って接すべき相手に、例文のようになった口語もしくはメールなどの文書で使います。
「聞く」は一般的な語なので、聞く内容や場面に特に制限はありません。
就活中の学生さんや社会に出て間もない新社会人の方で敬語が難しいと感じる方は、「お聞きする」のように比較的簡単な謙譲語のかたち「お~する」を覚えておくとよいでしょう。
「お聞きする」の使い方
- 先日の○○様のお話をお聞きしまして、大変感銘を受けました。
- ○○様におかれましてはますますご健在のこととお聞きし、何よりでございます。
- お客様のお話を詳しくお聞きすると、隠れたニーズが発見できることがあります。
「伺います」の英語表現
- I will go ~([いついつ]に行きます/伺います)
- I'll call on you ~([いついつ]に伺います[立ち寄る])
- ask ~(~について伺います)
- inquire ~(~について伺います)
- hear ~(~を聞く/伺う)
- be told ~(~について聞き及ぶ/伺う)
「伺います」は「行きます」「尋ねる」「聞く/聞き及ぶ」の3つの意味がありますが、これにぴったりあてはまる英単語はないので意味別に単語を使い分けましょう。
「伺います」でいう「行く」は「go」「call on」、「尋ねる」は「ask」「inquire(enquire)」、「聞く/聞き及ぶ」は「hear」「be told」です。
例文の「call on」や「inquire(enquire)」はビジネスメールでも使える言葉になります。
ビジネスパーソンなら「伺います」の使い方には注意する。
「伺います」はビジネスでよく使われる基本的な言葉です。就活や転職の面接の際に、口頭のほかメールなどでも使えます。社会に出る際は「行きます」「聞きます」とせずに「伺います」とするようにしましょう。
例文をいくつかあげて説明しましたので、「伺います」の使い方の参考にしてみてください。敬語が難しいと感じる方は、「お~する」の謙譲語表現を覚えておくと役立つでしょう。
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