"心中お察しします"の意味/使い方。類語&丁寧な例文【ビジネス敬語ガイド】
「心中お察しします」の意味とは?
「心中お察しします」とは、相手に辛い出来事や悲しいことがあった場合にその気持ちを汲んでお悔やみや気遣うことを意味する敬語表現です。
「心中」というのは気持ちのことで、「お察し」は相手の思いを推察することを意味する敬語表現。さらに「お察し」には共感して相手に同情してお悔やみするという意味もあります。
「心中お察しします」を使うシチュエーションとしては、相手に不幸な出来事が起こった時や辛い状況にある場合です。例えば取引先の担当者が病気になった場合に、失礼のないように気遣う敬語として使用しますね。
このように相手の気持ちを気遣う意味合いがある「心中お察しします」という言葉は、きわめて日本的な言葉であるといえるでしょう。
「心中お察しします」の読み方
「心中お察しします」の「心中」は「しんちゅう」と読みます。「心中」というのは「心の中」という意味です。
「心中」を「しんじゅう」と読む場合もありますが、これは相思相愛の男女が自殺する意味となるため、「心中お察しします」を「しんじゅう」と言い換えると非常に失礼になるので注意してください。
同じ漢字を用いた「心中」でも、このような違いがあるため、くれぐれも「心中お察しします」の「心中」は「しんちゅう」と読むのが正しい使い方と覚えておきましょう。
「心中お察しします」は目上の人にも使えるの?
「心中お察しします」は、「察する」に「お」という敬語表現をつけて「お察し」としているため目上の人に使う敬語です。
ビジネスシーンでは上司や上役、取引先の相手に対してよく使われる敬語で、お悔やみの表現です。ただし、上司や上役の中には目下の人間に言われると、自分の気持ちをわかってたまるかと不快に感じる場合も。
そのため、目上の方に使える敬語表現ではありますが、失礼にならないためにも「心中お察しします」を上役や上司とのつながりが普段から密な場合に使うのが適切と言えるでしょう。
「心中お察しします」の正しい使い方
「心中お察しします」はビジネスシーンでよく使われる敬語ですが、シチュエーションとしては上役や上司のプライベートで不幸な出来事があった場合が一般的です。
例えば、上司の課長の母親が亡くなった時や、家族の一員が病気やケガをしたなどの情報が部内に伝わったときなど。
その課長とコンタクトを取るようなシチュエーションで、まず「心中お察しします」と気遣うお悔やみの言葉を言ってから、本題に入るのがと失礼のない一般的な使い方となります。
そのため、相手の不幸や苦しい心境について理解を示す際に使用するのが正しい使い方です。
「心中お察しします」を実際に使用した例文
【不幸にあった時】心中お察ししますの丁寧な例文
- ご家族様の辛い立場はいかがなものかと心中お察しします。
- 長年連れ添ってこられた奥様とのお別れ、お辛いことと心中お察しします。
- ご子息を亡くされてさぞやお力落としのことと、心中お察しします。
- 予想もしない事故に遭われてお辛かったことと、心中お察しします。
- 交通事故に巻き込まれて入院され、さぞお辛かったことと心中お察しします。
上役や上司、取引先の相手の家族に不幸があったときに、お悔やみの言葉として「心中お察しします」という敬語を使います。
身内が亡くなった場合のほかには、相手が病気になったり交通事故に巻き込まれたタイミングにも、お悔やみと気遣う思いを込めて使いますね。
相手の病気や不幸の内容を詳しく知らない場合や色々なタイミングで、挨拶の言葉として「心中お察しします」を使うことが可能です。
【相手の気持ちに共感する時】心中お察ししますの丁寧な例文
- プロジェクトが急に中止になったとのこと、心中お察しします。
- 心中お察しします。辛い状況ではありますが、ご一緒させていただきたいと思います。
- 会議での提案が通らなかったとのこと、心中お察しします。
- 心中お察しします。どの部署でもルールに従わない者はいますので協力して対処させてください。
- 何度も同じ過ちを指摘されるのは辛いことと、心中お察しします。
相手の気持ちに共感する意味を込めるときの「心中お察しします」は、ビジネスシーンでプロジェクトや仕事がうまくいかない状況でよく使います。
タイミングとしては、目上や上司が仕事で行き詰まったり会社の方針と対立した場合などに、今後も協力したいと申し出るときなどです。
また社内で上役や上司が理不尽な待遇を受けた場合など、これからも一緒にやっていく決意を表明するタイミングで失礼のないように「心中お察しします」を使うこともありますね。
「心中お察しします」と言われてた時の返事
返事の仕方① 恐れ入ります
「心中お察しします」と声をかけられたときの返事で、最も無難なのが「恐れ入ります」でしょう。
「恐縮です」という言葉とほぼ同じで、「すみません」というニュアンスや「申し訳ありません」といった意味合いを持ちます。
また「心中お察しします」の返事以外にも挨拶言葉として使うこともあり、「恐れ入りますがお願いできるでしょうか」のようにも汎用性が高いため、しっかりと使いこなしたい敬語表現の一つです。
恐れ入りますの例文
- 今回のことについて過分なお心遣いをいただきまして、まことに恐れ入ります。
- プロジェクトの進行についていろいろアドバイスをいただき、恐れ入ります。
- 恐れ入りますが、次の会議には私の代わりに出席願えないでしょうか。
【参考記事】「恐れ入りますが」の意味から正しい使い方を解説▽
返事の仕方② 痛み入ります
「痛み入ります」は相手から受けた好意や親切に対して「恐縮して感謝する」という意味があります。「心中お察しします」と声をかけられたときの返事としてふさわしい言葉です。
「痛み入ります」には胸が痛くなるほどありがたいというニュアンスが含まれ、感謝の思いを相手に伝えられます。
ビジネスシーンで目上の人に好意的な言葉をかけられたときの返事としておすすめできますね。
痛み入りますの例文
- 私のミスによって作業が遅れたにもかかわらず励ましの言葉をいただき、まことに痛み入ります。
- プライベートなことですのにお気遣いをいただき、痛み入ります。
- 私どものスタッフにまで丁寧なご配慮をいただきまして、まことに痛み入ります。
【参考記事】「痛み入ります」を使った例文を解説▽
返事の仕方③ お心遣いありがとうございます
「心遣い」というのは相手の気持ちを思いやること。「お」という丁寧語をつけて「お心遣い」となると敬語表現になり、目上の人に使う言葉になります。
「お心遣いありがとうございます」というのは、相手が自分に対して思いやってくれたことに対する感謝の意味がありますね。
相手の思いやりに対してありがとうと礼を述べる場合に使う言葉です。
ビジネスシーンでは仕事上のことなどで上司が配慮してくれたときなどに、「お心遣いありがとうございます」と使うと感謝の気持ちを伝えられます。
お心遣いありがとうございますの例文
- 右も左もわからない新人の私ですのに、いつもお心遣いありがとうございます。
- 結婚披露宴にわざわざ出席していただき恐縮です。いつもお心遣いありがとうございます。
- 今回の提案は惜しくも却下されてしまいましたが、先輩のお心遣いありがとうございます。
【参考記事】「お心遣いありがとうございます」を使った丁寧な例文とは▽
返事の仕方④ お辞儀する(無言)
「心中お察しします」と声をかけられたとき、必ずしも返事をしなくてよいケースがあります。相手の言葉に対して無言でお辞儀をするだけでよいのは、あまりにも辛すぎることや悲しすぎる場合です。
言葉に出ないほど苦しいという思いを、黙って頭を下げることで表すことが許されます。
「心中お察しします」という言葉に対し軽々と言葉を返すよりは、無言でお辞儀をする方が自分の気持ちを伝えることができるのです。
「心中お察しします」と言い換えできる類語一覧
心中お察ししますの類語① 斟酌する
「斟酌する」というのは、相手の気持ちを推し量るという意味です。この点では「心中お察しします」の類語表現になりますが、使い方は異なります。
「斟酌する」の「斟」と「酌」という言葉には分量を量って汲み取るという意味があり、「心中お察しします」よりも形式的なニュアンスが強くなりますね。
また、「斟酌する」という言葉の中には相手の気持ちを汲み取って何らかの行動を起こすという意味合いが含まれている点も、「心中お察しします」との大きな違いです。
心中お察ししますの類語② 気持ちを汲み取る
「気持ちを汲み取る」というのは文字どおり、相手の気持ちを推し量るという意味です。シチュエーションとしては、相手が口に出せないような状況にある場合に使われます。
例えばビジネスで大きな失敗をして相手がショックを受けている時、アドバイスしたり励ましたりする前に「気持ちを汲み取る」という使い方ですね。
「心中お察しします」の類語ですが、大きな違いは思いやりの深さでしょう。
「心中お察しします」が心から思いやるのに対し、「気持ちを汲み取る」というのはそこまで強く気遣う心は含まれません。
心中お察ししますの類語③ 心情を理解する
「心情を理解する」の「心情」とは、相手の思いや感情のこと。それを「理解する」のだから、相手の思いや感情をわかってあげるという共感の意味合いがあります。
その点については「心中お察しします」と同じような意味合いの類語なので言い換え可能ですが、「心情を理解する」の方は会話よりも文章で使う言葉といえます。
両者の大きな違いは、相手へのお悔やみと思いやりの深さですね。「心中お察しします」は心からのお悔やみを感じさせますが、「心情を理解する」のは客観的な見方になります。
心中お察ししますの類語④ 気持ちを慮る
「気持ちを慮る」は意味合いにおいては「心中お察しします」の類語になります。「慮る」というのは「考えを巡らせる」という意味があり、「気持ちを慮る」は相手の心情を思いやることです。
意味合いにおいてはどちらも似ているので言い換え可能ですが、「心中お察しします」は相手の悲しみや辛さを自分のこととしてお悔やみするということ。「気持ちを慮る」には相手の心情を思いやると同時に、相手の気持ちを推し量って次の行動を考えるというニュアンスがあります。
心中お察ししますの類語⑤ 拝察します
「拝察します」の「拝察」という言葉は、ある情報を元に相手の考えを推し量るという意味があります。相手の気持ちを思いやってお悔やみするという意味合いでは、「心中お察しします」の類語なので言い換えができます。
どちらもビジネスシーンでよく使われますが、使うシチュエーションが違ってきます。「拝察します」は相手の失敗や病気などの状況に理解を示しながら、何らかのお願いをする場合に使うことも。
例えば「お忙しいと拝察しますが、この案件もお願いします」のように、必ずしも相手の気持ちに同情したり共感するだけではないのです。
「お察しします」を用いたその他の類語表現
「お気持ちお察しします」の正しい使い方
「お気持ちお察しします」と「心中お察しします」はほぼ同じ意味の言い回しです。類語として、どちらを使っても間違いではありません。
違いとしては「お気持ちお察しします」がプライベートで使われるのに対し、「心中お察しします」はビジネスシーンで多く使われる点でしょうか。
ビジネスで「お気持ちお察しします」を使う場合は、比較的身近な上司や目上の人が適しています。
「心中お察しします」はもう少し形式張った言い方になるので、自分から距離のある上司や取引先などに使うのが一般的です。
「ご心労お察しします」の正しい使い方
「ご心労お察しします」の「心労」というのは、文字どおり「心の疲れ」のことです。
心配事や辛いことのために相手の心が疲れ切っているのを思いやって、「ご心労お察しします」という言い方をします。
意味合いとしては「心中お察しします」とほぼ同じ言い回しです。強いて違いを上げるのであれば、ニュアンスが微妙に異なります。
「ご心労お察しします」は相手が精神的に追い込まれている状況を把握している場合に使うのに対し、「心中お察しします」は相手が追い込まれている状況ではなくても使うのが相違点です。
「胸中お察しします」の正しい使い方
「胸中お察しします」と「心中お察しします」はほぼ同じ意味の言い回しになります。どちらも相手の苦境や辛い気持ちを思いやってかける言葉。また目上や上司に使う敬語である点も同じです。
ビジネスシーンではどちらを使っても大丈夫ですが、「心中お察しします」はどのような相手に対しても使えるのに対し、「胸中お察しします」は男性に対して使うのが一般的ですね。
「胸中」という言葉には「心中」とは違うかたいニュアンスが含まれるので、男性に限って使った方が安心です。
「ご心痛お察しします」の正しい使い方
「ご心痛お察しします」とは、相手の悲しみに共感して同情する思いが込められています。「心痛」というのは「心の痛み」で、よほど辛い目にあったことの表現です。
「心中お察しします」の「心中」よりも「心痛」の方がより辛さ、悲しみが強くなりますね。思いやるという意味合いでは似ていますが、悲しみを共感する深さが違います。
どちらもビジネスシーンで使われますが、「ご心痛お察しします」は葬祭時に使うのが一般的です。
「心中お察しします」の英語表現
- I sympathize with you(心中お察しします)
- I realy understand how you feel(お気持ちをお察しします)
- My thoughts are wiht you(胸中お察しします)
- I know what you are going through(あなたの状況をお察しします)
- I know how you feel(お気持ちはわかります)
- I guess your great pain(心痛お察しします)
英語で「心中お察しします」を日常的に使うのなら、「 know how you feel」という英語が一番適しています。
相手がそれほど悲しんでいない時に使うのにおすすめ。相手が心を痛めて悲しんでいるときには、「I sympathize with you」という英語表現を使います。
もっと具体的な言い方には、「I guess your great pain」の方がふさわしいでしょう。
「心中お察しします」は、相手のことを考えて使う。
日本語には敬語表現があって相手によって使い分けることが大切です。英語の場合はご紹介したフレーズを使えば、どのような状況でも通用します。「sympathize」という単語を覚えておくと便利でしょう。
「心中お察しします」は言葉だけでなく、心から相手の悲しみを気遣うことが大事ですよ。
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