"失礼いたします"の意味/使い方。"失礼します"の違い【ビジネス敬語ガイド】
「失礼いたします」の意味とは?
「失礼いたします」とは、ビジネスなどで挨拶や接客、お詫びを意味する敬語表現です。「失礼する」という言葉を丁寧語にすると「失礼いたします」になります。
ビジネスで会議を途中で退席したり途中から参加するのは礼儀を欠くため、「失礼」というお詫びの意味を込めて「失礼いたします」を使うことも。接客で使うシチュエーションは、来客に対してお茶などを出すときに「失礼いたします」と挨拶をします。
挨拶であると同時にお手間をとらせたことへのお詫びの気持ちを込めた敬語で、結びに使うのが一般的です。
「失礼いたします」は、目上の人に使える敬語なの?
「失礼いたします」は敬語表現なので目上の人に使えますし、ビジネスシーンでは上司などの目上の方にも問題なく使えます。
挨拶だけでなく、お手間をとらせたお詫びとしても目上の人や上司に使えますが、ビジネス以外で使うなら「失礼します」ともっとフランクな表現もあります。この場合は比較的親しい関係の上司に使うのが一般的です。
また、お詫びを述べる場合は「失礼いたしました」を用いるのが一般的。どちらも重宝する言い回しなため、使い分けはしっかりと覚えておきましょう!
ビジネスシーンで使える「失礼いたします」の丁寧な例文一覧
メールでの「失礼いたします」の使い方
- 突然のご連絡いたします。
- 突然のメールで失礼いたします。このたび部署を代わりましたのでご連絡させていただきました。
- 初めまして。メールにて失礼いたします。
- ご不在のようでしたので、メールにて失礼いたします。
- 取り急ぎお伝えしたいことがありましたので、メール(LINE)にて失礼いたします。
ビジネスシーンでは相手方と直接会って接客したり謝罪するのがマナーですが、緊急だったり時間がなかったりするタイミングでは、メールで用件を済ます場合もあります。
そんな時「突然のメールで失礼いたします」と、謝罪の意味を込めた結びの言葉として活用できます。いつもは電話でビジネスの相談している上司などに対し、電話がつながらないタイミングでは仕方なくメールで伝えるシーンも起こり得るもの。
したがって、メールで使用する際は、「メールにて失礼いたします」などと結びや締めの言葉で活用しましょう!
電話での「失礼いたします」の使い方
- 失礼いたします。(お客側)
- 朝早くに失礼いたします。出勤前にお伝えすべきことがあるので電話させていただきました。
- 夜分遅くに失礼いたします。
- 失礼いたしますが、◯◯のアンケートにご協力いただけますでしょうか。
- 失礼いたします。私、◯◯の△△と申します。〇〇課長にお取次ぎをお願いできますでしょうか?
例文では電話で「失礼いたします」を使うタイミングを取り上げています。切る時の挨拶や急なお電話、もしくは夜遅くに電話することをお詫びするときは例文のように使用します。
社外の方や取引先相手にも使えるため、ビジネスパーソンは確実に覚えておきたいフレーズです。電話をかける時間帯が早朝だ夜遅くの場合は、最初に申し訳ありませんという意味を込めて使用します。
他にも、緊急のタイミングで、とりあえず電話連絡をしなくてはならない場合にも「失礼いたします」は重宝します。また、切る時に言う際は、基本的に“かけた方が先に言う”のが礼儀と言われています。
面接など対面での「失礼いたします」の使い方
- 失礼いたします。面接に伺いました〇〇です。よろしくお願いいたします。
- 失礼いたしますが、◯◯への行き方を教えていただけないでしょうか。
- 予定の時間に遅れてしまい、大変失礼いたしました。
- 本日は私のために面接の機会を与えてくださり、ありがとうございます。失礼いたします。
- お先に失礼いたします。
面接ではまず会場に入るときに「失礼いたします」と挨拶してから入場するのがマナーです。また面接が終わって退室するタイミングでも「失礼いたします」を使用します。
面接が終わり次第帰ってもよい場合は、申し訳ありませんが他の人より先に帰らせていただきますという意味を込めて「失礼いたします」と断ってから退室しますね。
面接時の挨拶の定例文とは別に、接客などの対面シーンでの使い方もマスターしておきたいフレーズです。
「失礼いたします」と「失礼します」の違いとは?
「失礼いたします」と「失礼します」は意味は同じですが、丁寧さが違います。「失礼いたします」は謙譲語、「失礼します」は丁寧語なため、どちらも敬語表現としては間違っていません。両者ともビジネスシーンでは上司や上役、取引先に対して結びの言葉として使います。
ただし、初対面の相手や目上の上司などは、「失礼します」では丁寧さが弱いため、「失礼いたします」とより丁寧な印象にするのが望ましいでしょう。普段あまり接することがない上司や地位が高い人には「突然のご連絡いたします」のような例文がふさわしいと言えます。
「失礼します」でも、問題ないビジネスシーンはとても多いですが、目上の方に使用するときは「失礼いたします」を使っておいた方が無難と言えるでしょう。
「失礼いたします」と言い換えできる類語一覧
失礼いたしますの類語① お手数おかけします
「手数」というのはあることを成すために必要な労力のことで、「お手数おかけします」は自分のためにお手間をとらせてしまい申し訳ありませんというニュアンスです。「失礼いたします」の類語ですが、使い方に注意が必要です。
「失礼いたします」が自分の行いであるのに対し、「お手数おかけします」は自分以外の第三者の行いに対して使います。
「失礼いたします」は申し訳ありませんという意味合いが強いですが、「お手数おかけします」はお手間をとらせて申し訳ない気持ちと同時に感謝の気持ちも含まれていますね。
「お手数おかけします」の使い方
- 新しい事業ではお手数おかけしますが、よろしくお願いいたします。
- 息子の受験勉強についてお手数おかけしますが、ご指導のほどよろしくお願いいたします。
- お忙しいとは思いますが、先日メールでお願いした件についてお手数おかけします。
失礼いたしますの類語② お詫び申し上げます
「お詫び申し上げます」は「お詫びをする」の敬語表現で、自分より目上の人に対して謝罪する場合の使い方です。一般的に使われる「ごめんなさい」と同じですが、丁寧さと相手を敬う気持ちが違いますね。
「失礼いたします」の類語ですが、「お詫び申し上げます」は何らかの失態やミス、相手に迷惑をかけてしまったことを謝罪する場合の言葉です。「失礼いたします」が挨拶の言葉として使われるのとは意味合いが異なります。
「お詫び申し上げます」の使い方
- このたびは弊社のスタッフがミスに気づきませんで、お詫び申し上げます。
- お客様にご迷惑をおかけしてしまったこと、心よりお詫び申し上げます。
- みなさんに余計なご心配をおかけしましたことを、お詫び申し上げます。
失礼いたしますの類語③ お疲れ様です
「失礼いたします」も「お疲れ様です」もビジネスシーンでよく使われる挨拶言葉で、特に深い思いや気持ちがなくても使用します。
「お疲れ様です」の使い方は相手の努力をねぎらったり、仕事場から先に帰る人への挨拶です。もっと気楽に「お疲れ様」や「お疲れ」なども使いますね。
「失礼いたします」の類語なので敬語表現になり、目上の人へ使っても差し支えありません。ただし社外の目上の人や取引先に使うと失礼になります。
「お疲れ様です」の使い方
- 昨夜から一睡もしないで細かい作業をしていただき、本当にお疲れ様です。
- 息子のために受験会場まで付き添っていただき、お疲れ様です。
- 明日でも間に合うのに今日中にやっていただき、まことにお疲れ様です。
失礼いたしますの類語④ ご苦労様です
「ご苦労様です」は「失礼いたします」の類語ですが、意味と使い方が微妙に違います。「ご苦労様です」は「お疲れ様です」と同じように相手の労力をねぎらうニュアンスです。
「失礼いたします」は挨拶言葉として一般的な使い方ですが、その点では「ご苦労様です」も同じです。
ただし、「ご苦労様」は目上の人が目下の人に使う表現なため、くれぐれも目上の方には使用しないようにしましょう。
「ご苦労様です」の使い方
- 遠いところを我が家までわざわざ来ていただきまして、本当にご苦労様です。
- いくら医者の義務とはいえ往診にきていただけるなんて、こんな雨の夜にご苦労様です。
- マンションのロビーを毎朝きれいに掃除していただき、いつもご苦労様です。
【参考記事】「ご苦労さまです」の意味から正しい使い方までをまとめました▽
失礼いたしますの類語⑤ 誠にありがとうございます
「誠にありがとうございます」は「失礼いたします」の類語で、目上の人や上司への使い方では同じです。どちらも丁寧な尊敬語表現になります。
両者の違いは意味です。「誠にありがとうございます」の「誠に」は「ほんとうに」や「とても」という意味で、「ありがとうございます」はお手間をとらせたことへの感謝の気持ちですね。
「誠にありがとうございます」はとても感謝していますという意味になり、「失礼します」とは意味もニュアンスも違ってきます。
「誠にありがとうございます」の使い方
- 私のためにここまでやっていただけるとは、誠にありがとうございます。
- いつも当店を贔屓にしていただきまして従業員一同頭が下がる思いです。誠にありがとうございます。
- 親の言うことを聞かない息子に厳しく指導していただき、誠にありがとうございます。
【参考記事】「ありがとうございます」の言い換えできる類語とは?▽
「失礼いたします」の英語表現
- Excuse me(失礼します)
- I am sorry to interrupt(お取り込みのところ失礼いたします)
- Perdon me(失礼いたします)
- I am afraid I must say good-bye(そろそろ失礼します)
- I apologize for my rudeness(失礼をお詫びいたします)
- I'd better get going now(この辺で失礼いたします)
英語では日本語の「失礼いたします」にあたるニュアンスは出せません。最も近い英語でよく使われるのが「Excuse me」と「Pardon me」でしょう。
「失礼いたします」よりも「ごめんなさい」のニュアンスに近くなります。英語で丁寧にお詫びを言うのなら「I apologize for」というフレーズが便利ですね。
「お先に失礼します」は「I'd better get going now」を覚えておくといいでしょう。
「失礼いたします」の意味や使い方をしっかりマスターしましょう!
「失礼いたします」という敬語表現について、意味や使い方のタイミングなどを説明しました。
ビジネスシーンでよく使うのでなじみ深い言葉ですが、挨拶語としても使える意味深い言葉でもあります。類語も含めて使うポイントを押さえておくと役立ちます。
日本語に比べると英語はシンプルですが、「Excuse me」と「Pardon me」の2つの英語を覚えておけば「失礼いたします」と同じように使えますよ。
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