"拝見いたしました"は上司に失礼?二重敬語ってNGなの?|ビジネス敬語ガイド
ビジネスメールでそのまま使える「拝見いたしました」の丁寧な例文
- A:先日の報告書について意見を聞きたいのだが。
- B:その報告書なら拝見いたしましたが、とてもよくできていると思いました。
- A:今回の催しは色々なアイデアを盛り込んだので、高い評価を得られるでしょうね。
- B:昨日ですが時間を見て催しを拝見いたしました。思った以上に好評だったようです。
- A:息子の成績が最近はかんばしくないのですが、どのように対応すればいいでしょうか。
- B:お子様の成績を拝見いたしましたが、それほど心配される必要はないかと思います。
- A:我が社の新しいテレビCMが各方面で話題になっていますね。
- B:そのCMなら拝見いたしましたが、実に斬新なセンスで話題になるのも当然かと考えます。
目上の人や上司などに質問されたり、自分の感想を述べるシチュエーションで「拝見いたしました」というフレーズをよく使います。
このようなシチュエーションで使う「拝見いたしました」は「確かに見ました」という確認のニュアンスです。目上の人や上司にそのことを伝える役割もありますね。
目上の人や上司からの質問に答えるだけでなく、自ら報告するシチュエーションでの使い方もできます。「拝見いたしましたが、とても素晴らしかったです」といった例文のようにです。
相手に見てもらう場合は、「拝見」は使わない。
見てもらう時に使える敬語① ご覧ください
「拝見いたしました」という敬語は自分が見るという行動を起こしますが、相手に見てもらいたいときには「ご覧ください」を使います。
「ご」という丁寧語がつくので敬語表現になり、目上の人や上司、立場的に上になる組織や取引先などに対しての使用可能です。
タイミング的には、ぜひ見てもらいたい資料やイベントなどがある場合、それを紹介しつつ「見てもらえたら嬉しい」というニュアンスを込めて使います。メールや文書でも使いますが、日常会話でよく重宝される汎用性の高い言葉です。
見てもらう時に使える敬語② ご確認ください
「ご確認ください」も「拝見いたしました」とは違う意味合いがあります。「拝見いたしました」は自分が行動を起こすのに対し、「ご確認ください」は相手に行動をお願いする言い方なので言い換えは不可能です。
意味合いとしては「見てチェックしてください」というニュアンスがあり、ビジネスシーンでもよく使用されます。少しフランクな表現ではありますが、一応目上の人や上司にも使える言葉です。
主に、文書や書類をチェックして欲しい時に使用します。
【参考記事】「ご確認ください」の意味とは?|ビジネスシーンで使える例文まで解説します▽
見てもらう時に使える敬語③ ご一読ください
「ご一読ください」と「拝見いたしました」は行動するのが相手と自分という大きな違いがあります。
「拝見いたしました」は自分が見るという行為になりますが、「ご一読ください」は相手が見る行動をお願いする言い方。「ご」という丁寧語がつくので「ご一読」は尊敬語です。
ビジネスシーンでは上司や取引先の担当者などによく使いますね。文章でも使えないことはありませんが、どちらかというと会話言葉です。
使うタイミングは、上司に読んでもらいたい文書などを直接持参して、差し出しながら「ご一読ください」とお願いしたりします。
見てもらう時に使える敬語④ ご査収ください
「拝見いたしました」は自分が見て確認する場合に使いますが、「ご査収ください」は自分から相手に受け取ってくださいとお願いする敬語です。確認するのは自分ではなく相手になります。
「査収」というのは「調べておさめる」という意味があり、「ご」という丁寧語がつくので尊敬語表現ですね。自分より地位が上の人、目上の人に使います。
「ご査収ください」はビジネスシーンでよく使用されるフレーズで、相手に渡す文書なり報告書などを持参して手渡しするシチュエーションが一般的。
ただ渡すのではなく、ちゃんと調べて受け取ってくださいというニュアンスを含みます。
【参考記事】「ご査収ください」の意味から正しい使い方までをまとめました▽
見てもらう時に使える敬語⑤ ご参照ください
「ご参照ください」は「ご」という丁寧語と「ください」という尊敬語表現がつくので、目上の人や上司などに使う敬語です。
「拝見いたしました」は自分が見るのに対し、「ご参照ください」は相手が見るのを前提にしています。「参照」という言葉には「見て照らし合わせる」という意味があり、単に見てもらうだけでなく「確認」や「チェック」の要素が含まれます。
「ご参照ください」を使う場合は、実際に見て照らし合わせる文書なりパンフレットなり、目に見えるものが必要です。
使うタイミングとしては、目に見えるものを持参して、上司などに「これを見て確認してください」という意味を込めて差し出します。
見てもらう時に使える敬語⑥ お目通しください
「お目通しください」はビジネスの現場などでよく使われる敬語です。「お」や「ください」という丁寧語がつくので、自分より目上の人や上司などに対して使用できます。
「拝見いたしました」が自分が見るという動作主体なのに対し、「お目通しください」は相手が見るという動作が主体なので同様の意味での言い換えはできません。
ビジネスシーンでは仕事上の文書やメール、企画書などを見てくださいと上司にお願いするシチュエーションで使います。
「お目通し」にはただ見るだけでなく「ひととおり見る」や「通覧する」というニュアンスが含まれるので、書類などを受け取った相手は確認する意味ですべてを読む必要がありますね。