デッドリフトで腰を痛める原因|腰痛にならない正しい筋トレ方法とは?

織田琢也 2022.11.02
全身の筋トレに役立つデッドリフトは、効果的な一方で間違ったやり方で行うと腰を痛めやすいトレーニングでもあります。そこで本記事では、デッドリフトで腰を痛める原因をご紹介して、対策を提案していきます。よく読んで正しいやり方をしっかりと身につけましょう。

デッドリフトで腰を痛める原因|腰痛にならない対策とは?

デッドリフトで腰を痛める原因と対策

全身の筋肉を効率よく鍛えられるデッドリフトですが、中には腰を痛めてしまう人も少なくありません。

ここからは、デッドリフトでどうして腰を痛めてしまうのか、その理由と対策を解説していきます。


1. 重すぎる重量で行っている

デッドリフトに使うバーベルが重すぎる

デッドリフトはバーベルの重みで負荷を与えるため、重いほど効果が期待できます。

しかし、無理して自分の筋力に合っていない負荷で行うと、腰へ負担がかかりすぎて痛めてしまうことも。頑張りたい気持ちが逸って、腰を痛めてしまうのです。


10回持ち上げられる重量で慣らしていく

ダンベルなどで筋肉を鍛える場合、目安にしたいのが『10回持ち上げられる』重さであること。背伸びして1~2回ほどしか持ち上げられない重量で設定してしまうと、筋力で支えきれずに腰に負担がかかってしまいます。

反対に、10回以上できてしまう場合は負荷が軽すぎて、トレーニングの効率が落ちてしまうことも。そのため、10回程度の動作で疲労を感じる重さから始めて、負荷に慣れてきたら重くしていきましょう。


2. 足幅が広すぎたり狭すぎたりする

デッドリフトの足幅

デッドリフトで鍛えられる筋肉は、足の開き方によって変わります。足幅が狭いと背中に、広いと下半身に負荷をかけられるのです。

しかし、足幅を極端に広げすぎたり狭めすぎたりすると、負担が腰へ集中してしまいます。

デッドリフトで腰を痛めてしまった方は、足を閉じすぎたり、開きすぎたりしているかもしれません。一度自分の足幅を確認してみましょう。


足幅は肩幅か腰幅くらいにする

腰への負荷をやわらげるためには、目的に合わせた最適な足幅を身につけることが大切です。

背筋を鍛えるために狭めて行う場合は肩幅~腰幅程度、下半身を鍛えるために広げる場合はしっかり足を広げて行いましょう。デッドリフトは、バーベルの重さばかり意識して、足の開き方にまで注意が向かない人が多いです。

トレーニングを始める前に、足幅は正しいか確認するクセをきちんと身につけてくださいね。


2. バーを持つ位置が間違っていて姿勢が不安定

デッドリフトのバーを持つ位置

バーベルの持ち上げ方も、腰を痛めないためには重要なポイント。特に、バーを持つ位置が間違っていると姿勢が不安定になり、腰を痛めてしまう場合があります

トレーニングを始める前に、正しいバーの持ち方をきちんと理解しておきましょう。


持つ手は肩幅と同じくらいにする

バーベルの持ち方で特に間違いやすいのは、バーを持つ手の位置。腕を広げすぎると体とバーの距離が近づき、姿勢が前のめりになってしまいます

前のめりの姿勢でバーベルを持ち上げると、自然な姿勢に戻るだけでも腰に大きな負荷がかかってしまい、気づかないうちに無理をしてしまうことも。

持ち手は肩幅と同程度まで開くように抑え、手を広げすぎないように気をつけて行いましょう。


3. 体を上げるときに背中が丸まっている

デッドリフトではお尻を引く

バーベルを持ち上げるときに背中が丸まっていると、腰で重さを支えようとするため大きな負荷がかかります。

楽な体勢を取ろうと思うほど背中が曲がりやすいので、デッドリフトを行っている最中は辛くても背中を伸ばすことを意識してくださいね


お尻を突き出して背筋を伸ばして行う

背中が丸まらないようにデッドリフトを行うコツは、お尻をしっかり引くこと。お尻の位置が高いと腕とバーベルの距離が長くなり、バーベルを持ちあげるときに背中が曲がってしまいます。お尻をぐっと引いて、バーベルとの距離を縮めるよう意識しましょう

また、バーベルを持ち上げるときに、真上に上げることもポイントの一つ。弧を描くように持ち上げると、持ち上げる最中に背中が曲がってしまうため、必要のない動きを加えないように気をつけましょう。


4. 脚とバーの距離が適切ではない

デッドリフトの脚とバーの距離

バーと体の距離を適切に保つために注意したいのが、脚とバーの距離。

脚とバーの距離が遠すぎたり近すぎたりすると、持ち上げるときに自然と腰を使ってしまいます。他のポイントに気をつけていたとしても腰を痛めるリスクが高くなる、非常に重要なポイントです。


脚とバーベルは拳一個分の距離を保つ

脚とバーベルの適切な距離は、スネとバーベルが拳1個分開いている程度。この距離より近すぎても遠すぎてもいけません。腕や背中の力を発揮しにくくなり、腰でバーベルを持ち上げようとして痛めてしまうからです。

また、最初は理想の距離を保っていても、回数を重ねると少しずつ位置がズレてしまい、知らない間に距離が適切ではなくなっていることも。そのため、一回ごとに距離を確認するなど、適切な状態でトレーニングできるようにしましょう。


5. 腰の力を使って持ち上げている

デッドリフトは足裏に力を入れて持ち上げる

前述のとおり腰を痛める大きな原因は、バーベルを持ち上げるために腰の力を使ってしまっていること

本来複数の部位で重さを支えるはずが、腰の力だけで持ち上げてしまうと、トレーニングを超えた負担が腰にかかってしまうのです。


足裏の力を使って体全体で持ち上げる

腰の力をできるだけ使わないために、足の裏で地面を押すように力を入れて、バーベルを真上へ持っていきましょう。バーベルを引き寄せようとすると腰を使いたくなってしまうため、脚の力で勢いをつけることが大切です。

さらに、脚に力を入れることでバーベルが上がったときの姿勢も安定するので、体がブレたときの腰の負担も抑えられますよ。


6. 一番上まで上げたときに腰が反れている

デッドリフトでは腰を反らせないように

重いバーベルを持ち上げたときに、背中が沿ってしまう場合があります。

一見すると背筋で支えているように思えますが、実際には腰への負担が大きく適切な姿勢ではありません。勢いを付けすぎると反りやすいため、十分に気をつけましょう


肩・股関節・脚が一直線になるように

バーベルを持ち上げたときの正しい姿勢は、体が一直線になっているフォーム。肩や股関節、脚がまっすぐになるように姿勢を整えることで、体全体でバーベルの重さを支えられ、腰への負担を軽減できます。

また、持ち上げたときに姿勢がピタッと止まるように意識すると、反動をつけずにバーベルを持ち上げるクセを身につけられます。正しい姿勢を維持することもトレーニングの一つだと意識して、グッとバーベルの重さを受け止めましょう。


7. バーを持ち上げるとき先に膝を伸ばして上げている

バーを持ち上げるとき先に膝を真っ直ぐにしない

重いものを持ち上げるときに、膝を先に伸ばしてから腰を上げてしまうと、膝の力を活用できません。

結果、腰だけでバーベルを持ち上げているのと変わらず、腰痛を引き起こす原因に。特に初心者の人は、上半身だけで体を持ち上げてしまうクセがあるため、注意しておきましょう。


膝と腰を連動させてバーを持ち上げる

腰への負担を抑えるためには、膝→腰と2段階に分けず、膝と腰の動きを連動させてバーベルを持ち上げることが重要。膝で体を持ち上げるのと同時に腰を引き上げるようにして、一度でバーベルを持ち上げましょう

また、動きが2段階に分かれてしまうのは、バーベルが重すぎる可能性も。どうしても一度に持ち上げられない場合は、バーベルの重さを見直してみましょう。


8. バーを一気に持ち上げている

重いバーベルを一気に持ち上げるのは、見た目がかっこよく憧れる人も多いかもしれません。

しかし、一気にバーベルを持ち上げるときには、筋肉よりも腰の力を使ってしまいます。結果として、瞬間的に腰に大きな負荷かかり、痛めやすいのです

さらに、腰の力だけを使うとトレーニング効率も悪くなります。見た目にこだわらず、一回ずつゆっくり丁寧に行うのが効果的ですよ。


フォームを維持しながらお腹に力を入れてゆっくり上げる

バーベルを一気に持ち上げないようにするためには、まず正しいフォームになるよう姿勢を整えます。その後、腹筋に力を入れながら体全体で踏ん張り、膝や腰へ力を入れてバーベルを持ち上げましょう

動作を遅くすることで、その分バーベルを持ち上げている時間が長引くため、トレーニング効率も高くなります。持ち上げた瞬間だけでなく、その最中も鍛えられるので慌てずじっくりトレーニングするように心がけてくださいね。


腰を痛めないための正しいデッドリフトのやり方

デッドリフトのやり方


ここからは、腰を痛めないための正しいデッドリフトのやり方を、一連の動きをまとめた動画を交えて紹介します。これまでに解説した点を踏まえながらチェックしてみてください。

また、紹介する動画を見ながらデッドリフトをやってみるのもおすすめ。動画のポイントを確認しながら行うことで、正しいやり方やフォームを身につけやすく、腰をしっかり守れますよ。


─トレーニングの正しいやり方─

  1. 脚を肩幅程度に開いて、バーと脚の距離が拳1個分開くように立つ
  2. バーよりもやや前に肩が出るように腰を曲げ、バーの真上に肩甲骨が来るような姿勢になる
  3. 手を肩幅程度に広げてバーを持つ
  4. 前傾姿勢のまま膝を伸ばし、バーベルが膝の高さまで来たらお尻に力を入れて背筋を伸ばす
  5. 持ち上げたときに体が一直線の姿勢で終えるようにする
  6. お尻を後ろへ引くようにバーベルを下ろす
  7. 1回ごとに止まってから、次のトレーニングに移る

デッドリフトの目安は、10回×1セット。余裕が出てきたら重さを追加してみて、強い負荷でチャレンジしてみましょう。


デッドリフトを行う際に腰をサポートしてくれるアイテム

デッドリフトのサポートアイテム

最後に、デッドリフトを行うときに役立つサポートアイテムを紹介します。

サポートアイテムを使うと、腰への負担を抑えたりバーベルが握りやすくなったりと、トレーニングの効率を上げることも可能。気になったアイテムがあれば、積極的に使ってみてくださいね。


重要度:★☆☆|リフティングベルト

リフティングベルト

デッドリフトで腰への負担が不安な人におすすめなのが『リフティングベルト』。腰に巻くことで腹圧を高め、腰の負担を減らしてくれるサポーターのようなアイテムです

トレーニングに慣れてない人でも腰を痛めにくくなるので、デッドリフトの効果をしっかり実感できますよ。

また、リフティングベルトで腹圧を高めることで体幹が安定し、いつもよりも大きな力でトレーニングに挑めるというメリットも。デッドリフトを行う際大きな助けになる、おすすめアイテムです。

【参考記事】トレーニングベルトのおすすめはこちら


重要度:★★☆|リストストラップ

リストストラップ

『リストストラップ』は、手首とバーベルをつないでバーベルを持ちやすくするアイテム。握力をストラップがサポートしてくれるので、腰に負担をかけずにしっかりバーベルを支えられ、腰痛予防にも繋がります

また、リストストラップによって握力への不安がなくなるため、腰や他の部位へ意識を集中できるという意外なメリットも。余分な心配を減らせる分トレーニングに集中でき、安全なやり方で効率よく鍛えられますよ。


重要度:★★★|トレーニンググローブ

トレーニンググローブ

負荷をかけるために重いバーベルを持ち上げるデッドリフトは、バーベルを落とすと大ケガに繋がる可能性も。また、バーを握っているうちにマメができてしまい、握力に影響を及ぼすこともあります。

そこでおすすめなのが、『トレーニンググローブ』。トレーニンググローブは厚めに作られていて滑り止めも付いているので、バーベルを安全に持ちやすく、手のケガの予防にもなります。

【参考記事】トレーニンググローブのおすすめはこちら


腰を痛めない正しいデッドリフトのやり方を身に付けよう

腰を痛めない正しいデッドリフトのやり方

腰を痛めず効果的にデッドリフトを行うには、フォームややり方を意識することが重要です。しかし、自分では改善点が分からず、結局間違えたままデッドリフトを続けてしまうことも。

今回紹介したポイントや動画、アイテムなどを活用して、腰を痛めない正しいデッドリフトのやり方を身につけましょう。自分のトレーニング動作をひとつひとつ丁寧に見直してみると、改善点がはっきりしますよ。

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