"ご覧いただく"は二重敬語?言い換えできる類語&例文|ビジネス敬語ガイド

"ご覧いただく"は二重敬語?言い換えできる類語&例文|ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2019.09.10
見てもらうの謙譲語表現、ご覧いただく。尊敬語だと思われがちな敬語ですが、目上の人が行動する場合には使えません。今回は、ご覧いただくの意味から、正しい使い方、丁寧な例文、ご覧くださりとの違い、言い換えできる類語まで解説。ビジネス敬語の質を上げていきましょう。

「ご覧いただく」と「ご覧くださり」の違いとは?

「ご覧いただく」と「ご覧くださり」の違いとは?

「いただく」は「もらう」の謙譲語であり「くださり」は「くれる」の尊敬語です。行為としては同じ場面を示せるため「ご覧いただく」も「ご覧くださり」も同じ場面で用いることが可能です。

しかし、異なるのが行為を見る視点。「くださり」は相手側からの視点であり「いただく」は自分の立場からの視点です。「(相手が」くれたから、(自分が)もらう」ことになります

そのため「本をご覧くださりありがとうございます」など、相手の視点からみた行為を自分の立場に置き換えて使うことはできません。


「ご覧くださり」を使った丁寧な例文

  • 公演は以上です。最後までご覧くださりありがとうございました。
  • 先日は、御社の展示会をご覧くださりありがとうございました。商品につきまして詳しくお話できれば幸いです。
  • スライドショーをご覧くださりありがとうございました。これより、説明に入らせていただきます。
  • 資料をご覧くださりありがとうございます。不明な点はございましたでしょうか?

「ご覧くださり」は「ありがとうございます」や「お礼申し上げます」等の感謝の言葉と合わせて使用するケースが多いです

「見てくれてありがとうございます」という意味になり、相手がしてくれた行為に対して感謝を述べられます。

ビジネスシーンでは、資料に目を通してもらったときやスライドショーなどを見終わったときに用います。


「ご覧いただく」と言い換えできる類語一覧

ご覧いただくの類語① 見られる

ご覧いただくの類語①見られるの意味とは

「見られる」は「見る」に助動詞の「られる」を付けた尊敬語です。自分よりも立場が上の人の行為を丁寧に表現できます。

「ご覧いただく」の類語ではありますが、「ご覧いただく」のように「見てもらう」行為を指すことはできず、ただ単に「見る」ことだけを示すのが違いです

使い方としては「○○部長は、新製品を見られましたか?」「新しい組織図を見られましたか?」など、ビジネスシーンでは目上の人がした見るという行為を丁寧に表現したいときに使えます。


ご覧いただくの類語② ご高覧いただく

ご覧いただくの類語②ご高覧いただくの意味とは

「ご高覧」は「ごこうらん」と読みます。他人の人がする「見る」という厚意敬う敬語表現で「ご高覧いただく」は「見てもらう」という意味になります。とても丁寧な謙譲表現ではありますが、間違いや二重敬語ではありません。

「ご覧いただく」と同じような意味で使うことが可能な言葉と言えます。ビジネスシーンでは「資料を添付いたしましたので、ご高覧いただく存じます」などの使い方をします。大切な書類や資料を見てもらいたいときに便利な表現です。

また、かしこまった印象を与えるため、話し言葉よりもメールや手紙などの書き言葉として使うことが多いです


ご覧いただくの類語③ ご参照いただく

ご覧いただくの類語③ご参照いただくの意味とは

「参照」とは、資料やデータなどと照らし合わせながら、目に見える情報を確認することです。そのため「ご参照いただく」は「資料などと照らし合わせながら確認してもらう」という意味になります。

「ご覧いただく」の類語ですが「ご覧いただく」のように「見る」だけでなく、データや資料をもとにチェックして欲しいときに用います

使い方としては「見積書を添付いたしましたので、ご参照いただきますようよろしくお願いいたします」などのように、ビジネスシーンでしっかりと確認して欲しい書類を渡すときに使います。


ご覧いただくの類語④ ご一読いただく

ご覧いただくの類語④ご一読いただくの意味とは

「ご一読」は「一度目を通す」という意味があり「ご一読いただく」は「目を通してもらう」という意味になります。二重敬語や間違いではなく、正しい敬語として用いられています。

ビジネスシーンでは主に、目上の人に資料や書類を渡すときに使うことが多いです。「ご覧いただく」の類語ですが、「ご覧いただく」のように単に見るというニュアンスよりもしっかりと確認してもらう印象を与えられます。

例文としては「会議までに資料をご一読いただく存じます」など、目を通してもらうことを促したいときに用います。

また、話し言葉としてよりも、メールや文書などの書き言葉として使用するのも大きな特徴です


ご覧いただくの類語⑤ ご査収いただく

ご覧いただくの類語⑤ご査収いただくの意味とは

「ご査収」は「ごさしゅう」と読みます。「よく調べてから受け取る」という意味があり、請求書や納品書など確認して欲しい書類を渡すときに用います。

「ご覧いただく」の類語ですが、「ご覧いただく」のように「見る」という行為を示すのではなく、チェックして欲しいという行為を促すところが異なります

主に「請求書を送付いたしましたので、ご査収いただきますようお願い申し上げます」などのような使い方が多いです。

ビジネスシーンでは話し言葉として使うことは少なく、重要な書類やメールに添える書き言葉として使います。


ご覧いただくの類語⑥ ご確認いただく

ご覧いただくの類語⑥ご確認いただくの意味とは

「確認」には合っているかどうか確かめるという意味があります。「ご確認いただく」は「合っているかどうか確かめてもらう」という意味になります。「ご覧いただく」の類語ですが、確かめる行為を促すところが異なります

使い方としては「明日の会議の資料をご確認いただけますと幸いです。」など、確かめてほしい書類や資料を上司や取引先の人など目上の人に渡すときに用います。

使用する際は、「幸いです」や「お願いいたします」など依頼の言葉とともに使うことが多いです。また、ビジネスシーンでは話し言葉としても使う機会が多い敬語のもポイントと言えるでしょう。

【参考記事】「ご確認ください」の正しい使い方とは


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