"謹んで"の意味/使い方とは?例文&"慎んで"との違い|ビジネス敬語ガイド
「謹んで」の意味や読み方とは?
「謹んで」とは「つつしんで」と読み、「謹む」とは「うやうやしくかしこまるさま」を意味する敬語です。主に「謹んで~申し上げます」のように使われ、「うやうやしくかしこまって~する」を意味する敬語表現として使用されます。
ビジネスシーンでも頻繁に使用され、「謹んでご報告いたします」なら、目上の人に対して敬意を払いながら、こちらは謙虚な姿勢で何かを報告することを伝えられます。
反対に、「謹んでお受けいたします」と表現すると、ビジネス上で上司など目上の人から重要な依頼を受ける意味を表現できます。
ビジネスシーンにおける「謹んで」の正しい使い方
「謹んで」はビジネスシーンだけでなく、日常生活の中でも登場する敬語表現です。
例えば、結婚式やお祝いなどのスピーチのあいさつでは「謹んでお祝い申し上げます」の例文があります。個人や企業が多人数に対して、何かを報告や告知をする時「謹んでご報告いたします」を例文として使うのが一般的。
不幸があった時のあいさつでは「謹んでお悔やみ申し上げます」、謝罪をする時は「謹んでお詫び申し上げます」など、挨拶文の切り出しに重宝されます。
他にも、目上の人からの依頼を受ける時や、何かを拝命された時の例文としては、「謹んでお受けいたします」という敬語の使い方をします。
丁寧な印象になる「謹んで」を使った例文一覧
謹んでの使い方① お悔やみシーンの例文
- ○○様のご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。
- 故人のご功績を偲び、謹んで哀悼の意を表します。
- 突然のお知らせに驚いております。謹んでお悔やみ申し上げます。
- ご逝去を悼み、社員一同謹んでご冥福をお祈りいたします 。
- 些少ながらご香料を同封いたしました。ご霊前にお供えくだされば幸いです。まずは略儀ながら、書面にて謹んでご追悼申しあげます。
お悔やみのシーンで使用する「謹んで」も謙虚な姿勢で相手に敬意を払う意味がありますが、後に続く言葉によって対象が異なります。
「謹んでお悔やみ申し上げます」は、亡くなった方の親族に対して使える丁寧なお悔やみの敬語表現です。
「謹んでご冥福をお祈りいたします」は、亡くなった本人が死後の世界でも幸せに過ごせるように祈る敬語ですので、謹んでの対象は故人になります。
「謹んで哀悼の意を表します」は葬儀場などで敬語のお言葉としてかけるのではなく、弔辞の中で使用する弔電文語体です。いずれも類語ですが、使うシーンが異なるため言い換えはできません。
相手をしっかり労るためにも、失礼のないようお悔やみの敬語表現はしっかり覚えておきましょう。
謹んでの使い方② ビジネス報告の例文
- ご招待いただきありがとうございます、謹んで参加させていただきます。
- ○○部への異動の件、謹んでお受けいたします。
- 弊社の製品リコールにつきまして、ご迷惑をおかけした方々に謹んでお詫び申し上げます。
- この度は創立50周年おめでとうございます。謹んでお祝い申し上げます。
- ご多忙のところ大変恐縮ですが、ぜひお越しいただきますよう謹んでお願い申し上げます。
ビジネスからプライベートまで、結婚式や式典などの招待を受けた時に「謹んで参加させていただきます」と返信します。
「謹んでお受けいたします」はビジネス上で重大な依頼や重要なポストへの昇進を受けた時の使い方です。
お詫びのフレーズの中でも「謹んで」を使用すると、より丁寧で改まった表現になります。「謹んでお祝い申し上げます」は、式典や結婚式でスピーチを頼まれたときのあいさつとしても使用します。
結婚式の招待状など、目上の人に対してぜひ来て欲しいことを依頼するときなども「謹んでお願いいたします」が使われます。
謹んでの使い方③ 年賀状の例文
- 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
- 謹んで新年のご祝辞を申し上げます。
- 謹んで新年のお喜びを申し上げます。
- 謹んで新年のお祝いを申し上げます。
- 新年おめでとうございます。謹んでお慶び申し上げます。
年賀状や、新年のあいさつ文書やあいさつメールでも「謹んで」を含む類語フレーズが多く使われ、言い換え可能です。
新年のあいさつの文頭に書くフレーズを「賀詞」と呼びますが、「謹んで新年の~を申し上げます」のフレーズは、目上の人に対しても使用できます。
その他の類語に「謹賀新年」などもあります。逆に、「寿」や「春」、「賀春」「迎春」などの1~2文字の類語の賀詞は、目上の人に対して使うと敬意が足りないと判断され、言い換えができません。
ビジネスシーンのみならず目上の方には失礼となりますので使用するのは避けましょう。
「謹んで」と「慎んで」の違いとは?
「謹んで」の同音異義語に「慎んで」があります。いずれも「つつしんで」と読みますが、「慎んで」は元々相手に対して失礼とならないように行動や振る舞いを制限する意味の動詞「慎む」です。
「謹んで」は相手に敬意を払うために謙虚にふるまう、「慎んで」は相手の失礼とならないために行動を律することのため、いずれも相手を考えた上で行うという点が共通していますが、類語ではないため言い換えはできません。
「謹んで」は対象となる相手ありきの使い方をしますが、「慎んで」は対象となる相手がいる場合でも、いない場合でも使用できます。したがって、何か目的のために自分の行動を律する時にも「慎んで」を使用します。
「慎んで」を使った丁寧な例文一覧
- 誰の耳にいつ入るか分かりません。公の場では軽はずみな言動は慎んでください。
- 廊下で走ったり、騒いだりするのはほかの生徒の迷惑となりますので慎んでください。
- 自分の健康のために、飲酒と喫煙は慎んでおります。
「謹んで」の英語表現
- I extend my sincere condolences to you.(謹んでお悔やみ申し上げます)
- I wish you a happy New Year.(謹んで新年のお慶びを申し上げます)
- I accept the offer gratefully.(謹んでお受けいたします)
- I humbly beg your pardon.(謹んでお詫び申し上げます)
- I wish to state respectfully that..~(謹んで~申し上げます)
- I respectfully~(謹んで~する)
英語でも、「謹んでお悔やみ申し上げます」「慎んで新年のお慶びを申し上げます」のように、例文のようなお悔やみの気持ちや年賀状の賀詞としての使い方をするフレーズがあります。
ビジネス上で広く「謹んで~する」を英語で表現する時は、うやうやしく、丁重に、という意味の英語"respectfully"が日本語の「謹んで」に当たります。
「謹んで」の意味や正しい使い方をマスターしましょう!
「謹んで」の意味や正しい使い方、言い換え表現、英語や同音異義語の「慎んで」との比較や例文をご紹介しました。
こちらの謙虚な姿勢を見せて、相手を敬う気持ちを込めた「謹んで」は、日本人らしい素敵な敬語表現です。
ビジネスシーンで目上の人に対して何かを行うときに使用する言葉としてだけでなく、お詫びやお悔やみ、年賀状のあいさつまで、相手を思いやるシーンで多く登場する表現ですので、正しい使い方とシーンをぜひマスターしましょう。
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