仕事を辞めるタイミングの図り方。退職に最適な時期から手順まで解説

長谷川大輔 2018.02.20
お世話になった職場だからこそ、後腐れなくスパッと辞めたいと思う方が多いです。ここでは、会社を辞める時の手続きやベストタイミングなど、社会人らしくスマートに退職する方法をご紹介しています。転職を視野に入れている方もぜひ参考にしてください。

問題なく円満退社を望んでいる方にタイミングの見極め方をお教えします

仕事を辞める理由

会社を辞める時にタイミングを間違えてしまうと、周りからあまり良い顔をされなかったり、上司から引き留めにあってしまうことがあります。今まで一生懸命働いた会社だからこそ、社会人らしくけじめを持って退職したいもの。会社を辞めても大切な同僚や上司と作った縁が切れないようにするには、職場の人や会社そのものに迷惑の掛からないタイミングを見極めるのが重要です。ここでは、会社を辞める時の手順や就業規則に沿った、円満退社ができるタイミングの見極め方をご紹介します。


そもそも、会社を辞めるときの手続きの手順

会社を辞める時には、会社の規則に従って退職の手続きを進めなければいけません。退職の手続きを的確に、かつベストなタイミングで行えば、周りにも迷惑を掛けず気持ちよく職場を去ることができます。退職を申し出る時期や方法、会社に提出するものや返さなくてはいけないものなど、具体的な退職の手続きについて見てみましょう。


基本は会社の就業規則に従って進める

会社を辞める時の手続きには、退職の申し出期間や退職届の提出、健康保険証や社員証、会社から貸与されている備品などの返却、個人で使ったデータの削除、社内外で仕事に関わった方々への挨拶回りなどがあります。「遅くても1ヶ月前には上司に退職の申し出をする」など、一般的な退職の手続きに関するセオリーはありますが、基本的には会社の就業規則に従って進めるのがベストです。就業規則には、退職届を含めた諸届の書き方やフォームが用意されている場合も多いため、退職を決めた時にはまず就業規則に目を通しておけばその後の手続きもスムーズに進められます。


それ以外の場合の退職までの流れ

もしも会社の就業規定に退職の手続きに関する項目がなかった場合には、会社の総務部や人事部へ退職に関する手続きについて確認をしておきましょう。ここでのポイントは、「直属の上司に伝わらないように」確認をすることです。退職の意志を直属の上司以外に先に伝えたことが分かってしまうと、上司との間に溝ができてしまい、退職してからだけでなく退職前の期間も気まずい雰囲気で過ごさなければいけない可能性もあります。総務部や人事部の方も、退職に関する手続きの問い合わせには慣れていますので、「上司に最初に退職の意志を伝えたい」という希望も一緒に沿えて、退職に関する手続きを確認しましょう。


遅くても1〜2ヶ月前には退職の意志を直属の上司に伝える

会社の就業規定には「〇週間以内の退職願は受諾できない」などの退職の申し出に関する規則があったとしても、「〇週間以内に退職を申し出ればよい」という訳ではありません。あくまで会社側が退職の受諾をする最低ラインが書いてあるだけなので、それ以上前に退職の申し出をしておく必要があります。退職する従業員がいれば、新しい人材の採用や引き継ぎ業務、取引先など社外への通知など会社側としてやらなければいけないことがたくさんあります。一般的には、退職希望の時期から遅くとも1~2ヶ月前には退職の意志を直属の上司には伝えるようにしましょう。


退職日の設定と退職願を提出する

直属の上司へ直接退職の申し出をした後は、具体的な退職日の設定と退職願の提出をします。退職日の設定は転職先を決めた後の退職か、退職してから転職活動を始めるかによって異なりますが、会社の繁忙期や新年度などは避けましょう。繁忙期は人員不足になるので企業としても働ける人材を確保しておきたい気持ちがありますし、新年度は新卒社員の教育や人事異動での引継ぎを通常業務と一緒に行わなければいけないので、企業全体が忙しい時期です。設定した退職日のタイミングを間違うと、会社に迷惑が掛かり上司からの引き留めに合う可能性もあるので避けましょう。


引き継ぎや挨拶回りを済ます

設定した退職日で退職願を提出し、受理されれば具体的な退職への手続きに進みます。まずは同じ部署内の同僚や同期など、近いポジションで働いている社内の人へ退職することを知らせます。親しい間柄なら直接話したほうが良いですし、人数が多いなら部署単位でまとめてメールで知らせても問題ありません。次に、取引先や顧客など、社外への挨拶回りを済ませます。必ず親しい社内の人に退職のお知らせをしてから、社外への挨拶回りをするようにしましょう。この順序を間違えてしまうと、社外から退職のうわさが流れてくるなどで社内の人が退職を知ることになるので、その後の関係にひびが入ってしまうことも。挨拶回りと同時に、しっかり仕事に引き継ぎも行います。


辞めるタイミングとして適切な時期例

退職日を設定して上司に伝えた際に、良い顔をされなかったり引き留めに合ってしまったりしたら、辞めるタイミングを間違っている可能性が高いです。よって、退職日がずれて転職計画に支障が出てしまうことも。次に、辞めるタイミングとして適切な時期の例を紹介しますので、退職日の設定に迷っている方もぜひ参考にしてみてください。


① 一般的な退職時期(12月末、3月末)に合わせて辞める

年末である12月末、および年度末である3月末は人事異動や定年退職者も多く出る時期です。よって、12月末や3月末のタイミングに自分の退職時期を合わせると、企業としても欠員補充のための採用活動や引き継ぎ業務を一緒に行えるので、比較的周りに迷惑をかけることなく、スムーズに退職できます。また、忘年会など企業間でのイベントも多く、社外の人にも退職を伝えやすいメリットも。ただし、企業の業種や展開している事業によっては、12月末や3月末は繁忙期に当たる場合があります。その際には12月末や3月末を避けて、ほかのタイミングを退職時期に選ぶようにしましょう。


仕事の区切りも良いので、退職に選ばれやすい

12月末と3月末は、人事異動が起こりやすいだけでなく仕事の区切りも良い時期のため、退職のタイミングとして多く選ばれています。12月末は確定申告のための年末調整も行われるので、年をまたいだ上での退職よりも税制や保険、年金などの手続きもしやすいメリットもあります。3月末は年度末で、新年度である4月に新入社員が多く入るので人員不足になりにくい、かつ退職者が出ても4月には職場の雰囲気がリニューアルできる、などの面でも退職時期として好まれています。


② 賞与の査定時期や確定日が過ぎてから辞める

「退職前に賞与を受け取りたい」と考える方は少なくありません。ところが、退職の意志を賞与の査定時期や確定日の前に伝えてしまったり、退職届を提出してしまったりすると、賞与の査定に影響が出て、貰える額が減ってしまう可能性があります。今までの自分の頑張りを無駄にしないためにも、賞与の査定時期や確定日が過ぎてからの時期を退職時期に設定する人も多くなっています。また、賞与の出る時期は夏のお盆休暇前や冬の年末休暇前が多いため、退職しやすい長期休暇前の時期であるのも、退職の時期として多くの人に選ばれるポイントです。


賞与に関する規則は必ず確認しておくこと

賞与に関する規則は企業によって異なります。賞与を満額もらった上での退職を望むなら、必ず賞与に関する規則を事前に確認しておきましょう。「賞与の査定時期や確定日が過ぎてから退職願いを出したら、賞与がもらえなかった」ということが起きる可能性があります。また、賞与と一緒に確認しておきたいのが有給休暇についての規則です。有給休暇が残っているのなら、長期休暇前に加味して退職時期が設定できないか、また退職に伴う取得制限の有無も確認しておけば、有給休暇も無駄にならずに済みます。


③ 転職に有利な時期を加味して辞める

転職活動を行う時期は、「転職先を決めてから辞めたい」または「有給を消化しつつしばらくゆっくりしたいので退職してから転職活動を行いたい」など、人それぞれです。ところが、企業の求人が多くなったり、採用活動が活発になったりする転職に有利な時期が存在します。逆に求人数が少なかったり、企業の採用が鈍る転職に不利な時期に転職活動を行うと、なかなか転職先が決まらないことも。これを踏まえて、転職に有利な時期を加味して退職の時期を決めれば、より有利に転職活動を進められます。転職活動に有利な時期は、自分の希望する業界や職種によって異なりますので、その時期を見極めなければいけません。


転職活動を始めてから退職まで最短でも3〜4ヶ月かかる

転職先を決めてから退職する場合は、最短でも3~4ヶ月かかります。希望する求人探しや履歴書などの応募書類作成と送付、面接と、ひとつの企業に応募するだけでも多くの手順を踏み、採用が決まります。さらに、普段の仕事をしながら転職活動をしなければいけないので、限られた時間の中で転職活動のスケジュールを組まなければいけません。さらに、転職先がすぐに決まっても引き継ぎや挨拶回りなど、退職に関する手続きで1~2ヶ月を有します。


④ 会社の繁忙期を避けた時期に辞める

辞めるタイミングとして適切な時期をご紹介してきましたが、大前提なのが「会社の繁忙期を避けること」です。一般的な退職としてベストな時期を選んだとしても、会社の繁忙期だと高確率で退職日として受理されません。それでも、無理やり会社の繁忙期に退職すると、忙しい業務の中で引継ぎを行ったり、社外へお知らせしたりなど、周りの人への負担も大きくなってしまいます。社会人としてスマートに退職する上で、必ず「会社の繁忙期を避けた時期を退職時期にする」ことを念頭に置くのと同時に、改めて企業の繁忙期がいつなのかを確認しておきましょう。


円満退社を目指すなら繁忙期は割けたほうが無難

会社の繁忙期に退職してしまうと、お世話になった上司や一緒に働いた同僚にも迷惑をかけてしまいます。よって、今まで築いてきた信頼関係が崩れてしまい、退職までの引継ぎなどの業務を悪い雰囲気の中で行ったり、態度がよそよそしくなったりしてしまいます。さらに、同じ業種や職種での転職の場合は、転職先では元職場が取引先になるなどビジネス上での繋がりは続く場合もあり、転職先に悪いうわさが流れてしまう危険性もあります。


仕事を辞めるきっかけ・タイミングはどんなときか

退職をした人には、それぞれに必ず理由があります。次に、どのようなきっかけやタイミングが仕事を辞める決め手となったのかを見ていきましょう。今退職をすべきか迷っている方も、そもそも自分が何のきっかけやタイミングで仕事を辞めようと思ったのかを改めて確認すれば、退職をするべきか・しないべきかも判断できます。


① 任された仕事をやり遂げた

「営業成績がトップになった」「大きな取引を成立させた」など、任された仕事をやり遂げた時に退職を決意する人も少なくありません。自分の力量をもっと上のレベルで試してみたい、よりキャリアアップを目指したいなど前向きな理由での退職です。逆に、大きな仕事を成し遂げるまでのプロセスが困難で、達成後に燃え尽き症候群のようになってしまい、「ほかの職種に転職したい」と希望する場合もあります。いずれにせよ、自分の成功体験から退職や転職を決意する人は多いです。


② 職場環境に疑問を感じた時

残業代が支払われない、休日出勤は当たり前など、いわゆるブラック企業と呼ばれる劣悪な環境で働いている場合は退職を希望する人が多いです。また、同僚や上司からいじめやハラスメントなどの不当な扱いを受けていて、精神的にも辛い思いをした場合も退職のきっかけとして挙がります。辛い思いをしたまま我慢して働き続けても、自分のためにはなりません。勇気を出して退職し、新しい環境で自分らしく働くために退職を選びましょう。


③ 新卒入社してから3年以上働いている

大学在学中に就職活動をし、新卒で入社した会社に3年以上働いていると、「このままで良いのか」と疑問に感じる人も多く、それが退職のきっかけになることがあります。元々やりたい仕事があったが諦めた、またはほかに挑戦したいことができたなどの理由で、会社に残るかどうか迷うのも入社から3年前後が多くなっています。転職するならできるだけ年齢も若い方が有利のため、思い切って退職して次のステップへ進むパターンです。


④ 待遇に不満がある

残業代が出ない、頑張って営業ノルマ達成や売り上げを上げても査定に加えられないなど、自分が受けている待遇に不満がある時も退職を決意するひとつのきっかけです。また、自分と同じ職種の人や同年代の人の方が年収が高いことが分かった時も、より正当な評価が受けられる職場を求めて退職を決意する人もいます。いずれも、より高い評価や収入が得られる自信や力量が身についたタイミングで、具体的な転職・退職への活動に移る人が多いです。


⑤ 希望しない部署に異動した

多くの部署がある大企業に勤めている時には、従業員のスキルアップや部署内の風通しを良くするために大規模な人事異動が行われることも珍しくありません。今まで情熱ややりがいを持って働いていた部署から、人事異動によって希望しない部署に配属になった途端に、仕事に対してやりがいを失ってしまい、退職を決意するきっかけになります。また、異動先の部署の雰囲気が合わない、新しい人間関係になかなか慣れないなども退職を考えるきっかけになることがあります。


⑥ 仕事に楽しみを感じなくなった

同じ職場で働き続けるための大切な要素が、「仕事が楽しいか」です。やりがいや情熱があったり、仕事を通じて多くの人との出会いや経験が詰めたりなど、仕事が楽しいと感じる要素は人それぞれです。ところが、仕事が楽しいと感じなくなると、働き続けることが苦痛になってしまうことも。新しく配属された上司と気が合わない、新しい取引先から無理な対応を求められている、など、色々なきっかけで仕事に楽しみを得られなくなるのも、退職のタイミングとして挙げられます。


退職をするときは次の就職先を決めてからがおすすめ

色々なきっかけやタイミングで退職を決意したら、具体的な転職活動に移ります。転職活動のタイミングには在職中と退職後がありますが、退職してから次の就職先を探すのではなく、退職前に次の就職先を決めておくのがおすすめ。次に、退職してから就職先探しをするとどのようなデメリットがあるのかを見ていきましょう。


理由① 無収入の期間が発生する

退職をしてから転職活動を行うと、転職先が決まるまでは当然無収入になります。失業保険を受給しながら転職活動を行う方法もありますが、リストラや企業の倒産などで失業したのではなく、色々な理由で自ら退職した場合は「自己都合退職」扱いになり、実際に失業保険を受給するまでに3ヶ月間の待機期間を要します。また、失業保険を受給するのにも離職票の発行やハローワークでの手続きが必要ですので、最低でも3ヶ月以上の無収入期間ができてしまい、生活が苦しくなることも。


理由② 保険料などを自己負担しなければならない

退職すると、加入していた企業の社会保険や厚生年金を脱退し、国民健康保険と国民年金に加入しなければいけません。さらに、今まで給料から天引きされていた保険料や年金は自分で支払い手続きをする手間もかかります。さらに結婚して配偶者がいる時など、扶養に入っている家族がいる場合は退職と共に社会保険や厚生年金の3号認定外になるので、今まで企業が負担していた家族分の保険料や年金も全て自己負担しなければいけません。


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