"お越しください"の意味/使い方。類語&丁寧な例文集【ビジネス敬語ガイド】

長谷川大輔 2024.05.09
取引先や上司に来てもらう時に使える敬語、お越しください。尊敬語の1つとして知られますが、やや失礼だと言うビジネスパーソンも少なくありません。今回は、お越しくださいの意味から使い方、目上に使える丁寧な例文、言い換えできる類語まで徹底解説します。

「お越しください」の意味とは?

お越しくださいの意味とは

「お越しください」とは、「来てください」を意味する敬語表現です。「行く、来る」の尊敬語は「お越し」と、「する」の命令を尊敬語にした「ください」から成り立っています。

お越しくださいは、二重敬語ではないかと思ってしまう人もいますが、二重敬語は1語に同じ種類の敬語が重なっていることを指します。お越しくださいの場合は、2つの語を組み合わせている表現のため、二重敬語には当たらず正しい敬語です。

丁寧な表現で、ビジネスシーンや日常生活でもよく耳にするフレーズですね。相手に来てほしいと依頼したいときに、丁寧に伝えられます。


「お越しください」を使い方|目上に使える丁寧な例文とは

お越しくださいの正しい使い方や例文
  • 大変恐縮ですが、イベント当日は混雑が予想されるため、会場までは電車でお越しください。
  • 明日は、〇時までにお越しください。
  • それでは、〇月△日に面接試験を行いますので、当日は×時までに会場へお越しください。
  • 近隣へご来訪の際には、弊社までぜひお越しください。
  • いつもご利用いただきありがとうございます。ぜひまたお越しください。

ビジネスシーンでは、面接や説明会、会合などの呼びかけをする言葉として、日時とともに「お越しください」と一言添える使い方が多いでしょう

特に就活生や新卒生と関わる業務を行っている場合は、面接の案内などで使用頻度も高くなります。日常生活でも、相手を家に招く言い方として4つ目の例文のような表現をすることもあります。

また、飲食店などのサービス業では、5つ目の例文のように、顧客に敬意を表して、お礼とともに「またお越しください」と言う場面も見られます。

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「お越しください」は、目上の人に使える表現なのか。

お越しくださいは目上の人に使える

「お越しください」は、尊敬語を使った正しい敬語表現になっているため、目上の人などに使っても問題ありません

目上の人と言っても、顧客や取引先など、社外の人に対して使われることが多いです。普段から話をする機会が多い直属の上司に「明日の会議は〇時までにお越しください」と言うと、やや仰々しい表現に感じられたり、他人行儀な印象になったりするので、使わない方が無難です。

社内であっても、直属の上司でない人や、特に敬意を払いたい立場の人などには、お越しくださいを使ってもあまり違和感はないでしょう。自分との関係性によって使い方を判断してくださいね。


「お越しください」をより丁寧に表現したいなら...。

お越しくださいよりも丁寧表現① お越しくださいませ

お越しくださいよりも丁寧表現①お越しくださいませ

「お越しください」をより丁寧に表現する場合は、類語の「お越しくださいませ」が使用可能です。最後に「ます」の命令形「ませ」を付けた表現で、「来てくださいね」を丁寧にしたフレーズとされています。

定員の接客用語としても使われているため、耳にする機会も多いでしょう。命令・依頼のフレーズではありますが、敬語表現としてのニュアンスが強くなるため、特に目上に使って失礼だとは認識されていません。


「お越しくださいませ」の使い方

  • 本日は誠にありがとうございました。ぜひまたお越しくださいませ。
  • 〇月△日にイベントを開催いたします。ぜひお誘いあわせの上、お越しくださいませ。
  • 明日〇時より特別セールを実施いたしますので、ぜひお越しくださいませ。
  • 明日はどうぞお気をつけて、お越しくださいませ。

「お越しくださいませ」は、ビジネスシーンだと接客の場面で使用されることが多いです

店を利用してくれた顧客に対して、お礼の言葉とともに伝えたり、イベントの案内をするときに例文のように「ぜひお越しください」と「ぜひ」を前に付けて、来てほしい気持ちを伝えたりします。

家に目上の人を招く場合は、最後の例文のように「お気をつけて~」と一言添える使い方をすると良いでしょう


お越しくださいよりも丁寧表現② お越しくださいまして、

お越しくださいよりも丁寧表現②お越しくださいまして

「お越しくださいまして、」は、「来てくれて、」という意味の類語です。単体で使うことはなく、「来てくれて、ありがとう」などのように後ろに感謝の気持ちなどを続けて表現されます。

尊敬語を使った表現で目上の人や上司にも使用可能です。ビジネスシーンでは、口頭のほかメールなどの文頭でもよく使われるので、覚えておくと便利でしょう。


「お越しくださいまして、」の使い方

  • 本日はお忙しい中、イベントへお越しくださいまして、ありがとうございます。
  • 本日は、遠路はるばるお越しくださいまして、誠にありがとうございます。
  • 天候が悪い中、お越しくださいまして、感謝申し上げます。
  • 先日は、わざわざ弊社までお越しくださいまして、大変感謝しております。

「お越しくださいまして、」は、感謝の気持ちを表す場面で使うのが基本です

「ありがとうございます、感謝申し上げます」など、感謝を示すフレーズと組み合わせて使ってみましょう。ビジネスメールでお礼を伝える際にも、例文のように「先日は~」と言い表すことが可能です。

目上の人にも使えるので、来てくれたことに対して丁寧に感謝を伝えたいときには、積極的に活用してください。

【「例文」で使われている敬語】
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お越しくださいよりも丁寧表現③ お越しくださいますよう、

3.お越しくださいますようの意味とは

「お越しくださいますよう、」は「来てくれるよう(お願いします)」を意味する類語表現です。「お越しください」よりも丁寧な言い方なので、目上の人や上司にも使いやすいでしょう。

「どうしても来てほしい」と、相手に依頼・お願いをする場面で使われるのが通常です。文書やメールで案内を送るときにもふさわしい表現なので、例文も参考にして活用してみてくださいね。


「お越しくださいますよう、」の使い方

  • 次回は、〇〇についての説明をしますので、△時までにお越しくださいますようお願いいたします。
  • 明日の〇時よりタイムセールを実施いたします。ぜひお越しくださいますよう、スタッフ一同心よりお待ちしております。
  • 〇月△日に小宴を催したく、ぜひお越しくださいますよう、お招き申し上げます。
  • 〇月△日に新装開店セールを行います。ぜひお越しくださいますよう、ご案内申し上げます。

「お越しくださいますよう、」は、セミナーや説明会、セールなどのイベントごとについて案内をするビジネスシーンで多く使われます

連続して開催するイベントでは、1回目のイベントの終わりに次回の日時などを案内して、「ぜひお越しくださいますよう、~」と来てもらうようにお願いすることもあるでしょう。

イベントのお知らせで、顧客にメールやDMなどを送る際にも、誘い文句として例文のように一言添えられます。


「お越しくださり」と「お越しいただき」との違いとは?

お礼の言い方① お越しいただき/お越しくださり

「お越しいただき」は「来てもらって」とう意味の敬語表現です

「お越しくださり」と同じように、相手が自分のところへ来る場面で使用されます。「お越しいただき」は、「私があなたに来てもらって」という謙譲表現なのに対して、「お越しくださり」は「あなたが私のところに来てくれて」という尊敬語なのが異なる点です。

厳密には、自分が相手にお願いしてきてもらうような場面では「お越しいただき」を、相手から積極的に来てくれるようなときには「お越しくださり」と使い分けるのが望ましいでしょう。主語が自分なのか相手なのかという違いだと覚えておいてくださいね。

【参考記事】「お越しいただき」の使い方を丁寧な例文と共に解説


「お越しください」と言い換えできる類語一覧

お越しくださいと言い換えできる類語一覧

「お越しください」と何度も使ってしまうと、どこか定型文に頼っている印象を受けるでしょう。

取引先に「何度も同じ言葉を使ってるな...。」と思われないためにも、言い換えできる類語をあらかじめ確認しておきましょう。

  • お待ちしております
  • おいでください
  • ご足労おかけします
  • ご来訪ください
  • お立ち寄りください

お越しくださいの類語1. お待ちしております

お越しくださいの類語①お待ちしておりますの意味とは

「お待ちしております」は、「待っているので来てください」という気持ちを伝える類語です

「お待ちしておりますので、ぜひお越しください」と、「お越しください」と並べて使用されることもよくあります。謙譲語を使った丁寧な表現なので、メールも含めて一般的に使われていますが、目上の人や上司には最適な表現だとは言えません

目上の人であれば、お待ちしておりますをさらに丁寧にした「お待ち申し上げております」などの方がふさわしいでしょう。次の例文を参考にして使ってみてください。

「お待ちしております」の使い方

  • 本日は誠にありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。
  • 〇月△日に特別セールを開催いたします。皆様のお越しを、心よりお待ちしております。
  • 〇月△日のご都合はいかがでしょうか。お返事をお待ちしております。

【参考記事】「いらしてください」の正しい使い方を解説します


お越しくださいの類語2. おいでください

お越しくださいの類語③おいでくださいの意味とは

「おいでください」も「来てください」という意味の類語です

「来る」の尊敬語「おいで」と、丁寧な依頼を表す「ください」から成り立っていて、目上の人に来てくださいと依頼したいときに使われます。「お越しください」と同じように使用できるため、言い換え表現の一つとして覚えておきたいですね。

ビジネス、プライベートともに、口頭やメールで使われるので、イベントをするときや相手を何かに誘いたいときにはぜひ使ってみてください。次に例文をチェックしましょう。

「おいでください」の使い方

  • 〇月△日×時より弊社主催のパーティーを開催いたしますので、ぜひおいでください。
  • 面接試験の当日は、〇時までに会場までおいでください。
  • ご来場の際は、〇〇にある受付までおいでください。

お越しくださいの類語3. ご足労おかけします

「ご足労おかけします」の意味とは?

「ご足労おかけします」は、「わざわざ来てもらってありがとうございます、すみません」という気持ちを表す類語です

「足労」とは「行く、歩く」の丁寧語で、本来は自分が行くべきところを相手が来るといった場面で使うことで、相手に対して感謝や労いを示せます。ビジネスシーンでも目上の人や上司に使用可能です

上司には、自分がやるべき仕事を手伝ってもらうときなどに使えますが、社外の第三者が同席している場面では上司に対して使用できないので使い方に注意してください。次に例文で、具体的な使い方を見ていきましょう。

「ご足労おかけします」の使い方

  • ご足労おかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
  • 今日はご足労おかけして、申し訳ありませんでした。
  • 先日はご足労をおかけしました。

【参考記事】「ご足労おかけしますが」の使い方を例文付きで解説します


お越しくださいの類語4. ご来訪ください

お越しくださいの類語⑤ご来訪くださいの意味とは

「ご来訪ください」も、「来てください」という意味で使える類語です

「来訪」とは、人が訪ねてくることで、丁寧の「ご」を付けると、取引先や顧客が来てくださるという意味合いになります。** **。

ビジネスシーンは、メールや電話で、目上の人や取引先に来てほしいと依頼するときなどに使われるのが一般的です。

次の例文のように、「お手数をおかけして申し訳ございませんが、~」などの言葉と合わせると、より丁寧に言い表せます。

「ご来訪ください」の使い方

  • 大変恐縮ですが、ご来訪くださいますようお願いします。
  • 〇月△日にイベントを開催いたしますので、皆さまぜひご来訪ください。
  • 〇月△日に新製品の展示会を開催する運びとなりましたので、ぜひご来訪ください。

お越しくださいの類語5. お立ち寄りください

お越しくださいの類語⑥お立ち寄りくださいの意味とは

「お立ち寄りください」は「立ち寄ってほしい」という意味です

「立ち寄る」には、「近くに行く、ついでに訪れる」といった意味があり、「お越しください」のように、相手に来てほしいという気持ちを伝えられます。

ただし、目上や上司に使うと、やや強い口調だと思われたり、上から目線だと感じられたりする場合もあるため、注意が必要です。目上には「お立ち寄りくださいませ」や「お立ち寄りいただければと存じます」などと言い換えると良いでしょう。

「お立ち寄りください」の使い方

  • 近くまでお越しの際には、ぜひ私のオフィスまでお立ち寄りください。
  • 〇〇の近くに弊社がありますので、ぜひお立ち寄りください。
  • こちらの方面にお出かけの際には、ぜひ弊社にもお立ち寄りください。

「お越しください」の英語表現

ご連絡差し上げるの英語表現
  • Please come to our large conference room at 9 am tomorrow.(明日、午後9時に弊社の大会議室までお越しください)
  • Please use public transport to travel to the venue for the party.(パーティー会場までは、公共交通機関でお越しください)
  • Please come to the reception desk. (受付までお越しください)
  • Please take the elevator to the 5th floor.(エレベーターで5階までお越しください)
  • Please bring your friends with you to the venue.(どうぞお友だちを誘い合って会場までお越しください。)
  • Please drop in and see me when you come over here.(近くまでお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。)

英語で「~ください」と依頼するときには、例文のようにPleaseを使うのが一般的です。

「お越しください」ならPlease come、「お立ち寄りください」ならPlease drop in といった英語表現が使いやすくて便利でしょう。口頭やメールなどの文頭で案内をするときに使える英語なので、例文の単語を入れ替えながら、積極的に使ってみてくださいね。


「お越しください」の正しい使い方をマスターしよう!

ビジネスでもよく使われる敬語表現なので、正しい使い方ができるようにしておきたいものですね。

英語で案内や依頼をする場面でも使えるので、例文をぜひ参考にしてください。相手に依頼をするための言い方なので、失礼な印象を与えないよう、丁寧な表現を心がけましょう。

【参考記事】「差し支えなければ」の正しい使い方とは?

【参考記事】「送らせていただきます」を使った丁寧な例文とは?

【参考記事】「賜る」の意味/使い方を徹底解説

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