"いらしてください"の意味/使い方。類語&例文付き|ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2018.08.29
「来てください」という意味を持つ敬語、いらしてください。二重敬語としても言われる言葉ですが、現在では使っても問題のない敬語表現になります。今回は、いらしてくださいの意味から使い方、例文、言い換えできる類語まで徹底解説。ビジネス敬語のレベルを上げていきましょう。

「いらしてください」の意味とは?

いらしてくださいの意味

「いらしてください」とは、来てくださいという意味を持つ敬語になります。入らせる、お入りになるという語が変化したものであり、声を掛けられた側が伺う(行く、来る)時に使われます。

「お越しください」や「来てください」、「おいでください」の類語であり、マスターしたいビジネス敬語の一つです。また、参加して欲しい時などにも使えるので、何かイベントに目上の人を呼ぶ時などにも重宝するフレーズ。

相手が目上、上司や取引先の場合に、へりくだる表現と丁寧な言い方で来て欲しいということを伝える時に、ぜひ使ってみてください。


「いらしてください」は目上の人にも使える敬語表現なのか?

いらしてくださいの使える相手

「いらしてください」は、目上の人にも安心して使える敬語表現です。相手が来る、来て欲しいという場面で、丁寧に「来ていただくことをお願いする」ために使えます。

具体的には、先方から御社に伺うというアポイントメントがあった際に、当日電話があった際やメールで「お気をつけていらしてください」などのような表現で使うと、相手への敬意を示しつつ、来ていただくことをへりくだる表現になります。

これからいらっしゃることへのお礼、感謝の意味も伝えることができる、ビジネス敬語ですよ。例文を確認し、しっかりと使い方をマスターしましょう。


「いらしてください」の使い方・例文

いらしてくださいの使い方
  • 「◯◯様、お電話ありがとうございます。本日はあいにくの雨ですので、くれぐれもお気をつけていらしてください。」
  • 明日のお打ち合わせの件、ご連絡誠にありがとうございます。午前3時に◯◯ビル階のカフェにいらしてください。もし、場所が分からないようでしたら、部下がお迎えに上がります。
  • いつもお世話になっております。明日の歓迎パーティーの件ですが、準備等がございますので、当日は10時過ぎにいらしていただきますよう、よろしくお願いいたします。
  • お忘れ物をお預かりしていますので、お時間のある時に弊社受付までいらしてください。
  • ぜひ、明日のイベントにいらしてください。
  • またこのような機会がありました際には、今度はご家族でぜひいらしてくださいね。

電話での表現は、相手への気遣いをする意味合いで使います。また、事前に決まっているイベント等への招待の意味合いで用いる時には、「お越しください」のニュアンスも含まれます

指定する場所に忘れ物を受け取りに来て欲しい場合などは、「出向いて欲しい」という意味も含みますので、取りに来てくださいなどとぶっきらぼうにならないよう、へりくだる表現として使うと良いでしょう。

招待、次回の機会があった際に別の人を連れて来て欲しい時の表現もしっかりと覚えておきたいですが、その場合は比較的フランクな”〜ね”と語尾につけることも、関係性によっては可能なので、親しみを込めた言葉遣いも覚えましょう。

【「例文」で使われている敬語】
「よろしくお願いいたします」の使い方を例文付きで分かりやすく解説!

「弊社」と「当社」の使い分けとは?どんなシーンで弊社というのか?


「いらしてください」と「いらっしゃってください」の違いとは?

いらっしゃってくださいの意味

「いらしてください」と「いらっしゃってください」には大きな違いはなく、「いらしてください」は「いらっしゃってください」を短縮した敬語になります

「いらっしゃってください」は、実は二重敬語で、来るの尊敬語「いらっしゃる」とくれるの尊敬語「ください」が合わさった言葉になります現代では、使っても問題のない敬語とされていますが、いらっしゃってくださいはどこかくどい印象を与えるため、多用するのはやめたほうが良いでしょう

ビジネスの場では、相手に失礼のない表現が求められるので、適宜、「いらしてください」の類語表現なども活用しつつ、上手に振る舞い、敬語をマスターしましょう。

【「敬語」の参考記事一覧】
尊敬語「いらっしゃる」の正しい使い方|目上の人に使える例文まで徹底解説


「いらしてください」と言い換えできる類語

ご高配を使った例文

「いらしてください」は、受け取り方次第では、「その場にいてください」と取られてしまうこともあります。

そのため、言い換えできる類語を覚えておけば、幅広いシチュエーションで円滑なビジネス会話を行えますよ。

  • お待ちしております
  • お越しください
  • お立ち寄りください
  • ご足労ください
  • ご来訪ください

各類語の使い方、例文をこの機会にしっかりとチェックしていきましょう


いらしてくださいの類語① お待ちしております

いらしてくださいの類語①お待ちしております

「いらしてください」の類語、「お待ちしております」は、目上の人にも使える敬語表現です

相手側から、「本日、◯時に伺うので、よろしくお願いします。」とアポがあった場合などに、「来て欲しい、来ていただきたい」という歓迎の意味合いを込めて、使えるという点は共通しています。

「お待ちしております」は、これから伺うとアポをしてくれた相手が来ることを準備して待っているニュアンスがあり、特に直近での来訪客に対して使うことができるだけでなく、「いつでもお待ちしておりますので…」と相手を快く迎える気持ちを示すのにも使えます。

「お待ちしております」の例文

  • 「本日、◯時に営業資料をもって伺います。よろしくお願いいたします。」「ご連絡、ありがとうございます。それでは◯時にお待ちしております。」
  • 「お引越しなさるんですね。とても残念ではありますが、いつでも、◯◯様のご来店をお待ちしておりますので、どうか新天地でも益々のご活躍をお祈り申し上げます。」
  • 〇〇様、来週火曜日のご訪問時、全スタッフ総出でお待ちしております!

いらしてくださいの類語② お越しください

いらっしゃるの類語①お越しください

「いらしてください」の類語表現、「お越しください」は目上の人に使えます

取引先の人があなたの会社に伺う日を決める際、決めた後などにも使え、自社に来てもらうことをへりくだる敬語表現です。

意味としては「いらしてください」も「お越しください」も同じようなニュアンスですが、「どうぞお越しください」などの形で使う方が丁寧でしょう。わざわざいらっしゃる相手に対しての敬意と、来るのを歓迎して待っているという意味を持っています。

「お越しください」の例文

  • お手数おかけしますが、当日は17時までにお越しくださいませ。
  • 当日は交通機関の混雑が予想されますので、少し余裕を持ってお越しくださいますよう、お願いいたします。
  • 明日の会食、よろしければ皆様でお越しいただきますよう、よろしくお願いいたします。

【「例文」で使われている敬語】
「お手数おかけしますが」の意味/使い方を徹底解説!

「お越しいただき」の上手な使い方。メールで使える例文まで詳しく解説します


いらしてくださいの類語③ お立ち寄りください

いらしてくださいの類語③お立ち寄りください

「いらしてください」の類語に「お立ち寄りください」があります。ビジネスの場でも使える表現で、目上にも失礼がありません

相手があなたの場所(会社等)に伺うという意味合いは同じですが、どちらかというと短い間の滞在、少し顔を見せる程度の意味もあるので、使い分けをしていきましょう。

もしくは、近場に来た時に立ち寄って欲しい、顔を出して欲しいというニュアンスでも使う事ができます。上司よりも、取引先に使うことが多い表現なので、例文をしっかりと覚えましょう

「お立ち寄りください」の例文

  • ◯◯様、お言付けがございますので、1階、インフォメーションカウンターまでお立ち寄りくださいませ。
  • 東京にお越しの際には、ぜひとも弊社までお立ち寄りください。近隣や社内をご案内致します。
  • 工場見学の際には、ぜひ◯◯にもお立ち寄りください。弊社のスタッフが細かく案内させていただきます。

いらしてくださいの類語④ ご足労ください

いらしてくださいの類語⑤ご足労ください

「いらしてください」の類語表現には、ビジネス上で「ご足労ください」を使うときもありますが、目上に使うのはやや失礼です。相手から伺うと申し出ている場合であっても、あまり使わない方が良いでしょう。

お手数をおかけしますが…などを添えれば、丁寧な表現になりますし、へりくだっている印象も与えられます。せっかくいらっしゃる方に対して、失礼のない敬語を使うのがベスト

使い方を間違えると、ビジネス上、失礼に当たるので気をつけましょう。場合によっては上司の教育がなってないと指導されてしまうこともあるので、普段お世話になっている上司に恥をかかせないためにも、社会人として敬語をマスターしてください。

「ご足労ください」の例文

  • お手数をおかけしますが、ご足労くださいますよう、よろしくお願いいたします。
  • 本日は、お足元が悪い中、ご足労いただきまして、誠にありがとうございます。
  • お打ち合わせの件、大変申し訳ございませんが、弊社までご足労くださいますよう、お願い致します。

【「例文」で使われている敬語】
「ご足労」の正しい使い方をフレーズ別に例文を解説します!

「申し訳ございません」は間違いなの?間違いと理由を徹底解説


いらしてくださいの類語⑤ ご来訪ください

いらしてくださいの類語⑤ご来訪ください

「いらしてください」の類語で、「ご来訪ください」という表現がありますが、こちらは目上の人にも使えます

いらしてくださいよりも、形式ばった表現で、メールなどにも使えるため、ビジネスのメールフレーズとして覚えてしまいましょう。

上司など社内の人よりも、社外の取引先などに使うことが多く、いらっしゃる方に対してへりくだった表現となります。

「ご来訪ください」の例文

  • 本日はご来訪くださいまして、誠にありがとうございました。
  • お手数をおかけいたしますが、弊社までご来訪くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
  • 昨日は皆様でご来訪くださいまして、弊社スタッフ一同喜んでおります。今後も楽しいイベントを開催しますので、またお会いできる日を楽しみにしております。

【「例文」で使われている敬語】
「来訪」の意味から使い方までより詳しく丁寧に解説します


「いらしてください」の英語表現

賜るの英語表現
  • Please come again.(ぜひまたお越しくださいね。)
  • I wish you would come.(来て頂けると嬉しいです。)
  • Please come again whenever.(またいつでも、来てくださいね。)
  • Please pay a visit.(遊びに来てくださいね。)
  • We look forward to serving you.(ご来社をお待ちしています。)
  • We are looking worward to you visiting my company.(ご来社をお待ちしています。)

いらしてくださいの英語表現としては、例文に挙げたように複数ありますが、一番覚えて欲しいのは、「Please come again.」です。

わざわざあなたの会社に伺う約束をして、来てくれた人に対して、また会いたい、来て欲しいという意思を伝えることができます。

また、少しフランクな英語表現ですが、「Please pay a visit.」なども覚えておくと、良いでしょう。


「いらしてください」は上手に丁寧に使おう!

もしあなたが別の会社に伺うと仮定して考えてみると、失礼がなく、TPOにあった表現を使うことが出来るでしょう。

少し使い方に迷ったらへりくだる表現”お手数をお掛けしますが…”などを付け足して、これからいらっしゃる方に失礼のない表現を目指しましょう。

【参考記事】「ご厚情」の使い方を例文付きで詳しく解説します

【参考記事】「おかげさまで」を上手に使って丁寧な言い換えに

【参考記事】「差し上げる」の意味とは?正しい使い方を徹底解説

よく一緒に読まれる記事

関連する記事