"申し訳ございません"は間違い?意味&言い換えの類語|ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2019.09.10
多くのビジネスマンが使う謝罪の敬語、申し訳ございません。「敬語として間違いなのでは?」という指摘もある言葉ですが、実際のところ使っても良い謙譲語なのか。今回は、「申し訳ございません」の意味から言い換えできる類語まで詳しく解説。正しい使い方をマスターしましょう。

「申し訳ございません」の意味とは?

お詫び申し上げますの類語②申し訳ございませんの意味とは

ビジネスではよく使用される、謝罪における敬語「申し訳ございません」。納期に遅れてしまいそうなときや、何かミスをしたときにこの敬語を使用した人も多いでしょう。

「申し訳ございません」には、自分の行動についての弁解である「申し訳」に対して、「ありません」を丁寧語にした「ございません」をくっつけたもの。つまり申し訳ないということを非常に丁寧にした言い方になり、敬語の丁寧さの度合いが高い敬語として使われます。

取引先の相手もしくはお客様、さらには上司などにも、何か悪いことをしたときは「申し訳ございません」ということが多いですよ。


「申し訳ございません」は間違い敬語なのか?

ご留意くださいの類語とは

「申し訳ございません」が正しい敬語なのか、ふと疑問に思う人もいるのではないでしょうか。中には、『「申し訳ない」を1つの形容詞ととらえたときに、「ない」の部分を「ある」もしくは「ございません」に変えられないのでは?』と思う人もいるはず。ですが「申し訳」を名詞としてとらえたとき、「申し訳」は「言い訳」という意味をもっています。

つまり、「申し訳ございません」もしくは「申し訳ありません」は正しい敬語表現ということ。捉え方にもよりますが、今日のビジネスにおいては「すみません」に変わる敬語として多くの人に使われているので、敬語として使用しても全く問題ありません。


「申し訳ございません」と「申し訳ありません」の違いとは?

申し訳ございません、申し訳ありませんは正しいの?

「申し訳ございません」に言い換えできる敬語として挙げられるのが「申し訳ありません」でしょう。この違いについて、よくわからないという人も多いのではないでしょうか。この2つの言葉の違いとして挙げられるのが「丁寧さ」

どちらもビジネスシーンで使える敬語ではありますが、「申し訳ございません」の「ございません」は「ありません」をさらに丁寧語に言い換えた言葉。取引先もしくはお客様など、より丁寧に伝えたいときは「申し訳ございません」と伝えるのがおすすめです。


【ビジネス敬語の使い方】「申し訳ございません」の例文一覧

申し訳ございませんの使い方
  • 度重なる失礼、申し訳ございませんでした。
  • この度はご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。
  • お返事が遅れてしまい、大変申し訳ございません。
  • 申し訳ございませんが、再度確認いただいてもよろしいでしょうか。
  • 申し訳ございませんが、お名前とご住所をお伺いしてもよろしいでしょうか。
  • 誤解を与えたようで、申し訳ございませんでした。
  • 申し訳ございませんが、もう少々お待ちいただくことは可能でしょうか。

「申し訳ございませんでした」は、何か失礼があったことを事後報告として謝罪するときに用いられます。一方、「大変申し訳ございません」は、今まさに失礼を与えたときや謝罪をしたいときに使いましょう

「申し訳ございませんが、」については、これから待ってもらったり確認したりなど、相手に迷惑をかけることをあらかじめ伝える手段として使うことをおすすめします。ちなみにより丁寧に伝えたいときは、「申し訳ございません」の前に「大変」などを付け加えるのもおすすめです。

【参考記事】「申し訳ございませんでした」の正しい使い方を解説


「申し訳ございません」と言い換えできる類語とは?

忖度の間違った例文

「申し訳ございません」の使い方や意味について解説してきましたが、取引先や上司に何度も「申し訳ございません」と使うのは、どこか恥ずかしいと思う人も多いですよね。そこでここからは、「申し訳ございません」と言い換えできる類語

  • お詫び申し上げます
  • 深謝申し上げます
  • 失礼いたしました
  • 恐れ入ります
  • 陳謝いたします

5つご紹介します。どの敬語表現も、ビジネスシーンで使える言葉ですので、この機会に使えるシーンと例文を確認してみてください。


申し訳ございませんの類語①「お詫び申し上げます」との違いとは?

すみませんの丁寧な敬語②お詫び申し上げますの意味とは

「申し訳ございません」以外の「ごめんなさい」の言い換えの言葉として挙げられる「お詫び申し上げます」。どちらも「すみません」という謝る意味を持つ敬語として、ビジネスシーンでよく使用されます。

どちらもメールや対面で使用されますが、「お詫び申し上げます」は書面においてもよく使用されます。ちなみに書面で使用する場合、その前に発生した経緯やお詫びしなければならないことを簡潔に記載する必要があるので、注意しておく必要があります。


「お詫び申し上げます」の例文

  • こちらの不手際でみなさまに大変ご迷惑おかけしましたこと、心より深くお詫び申し上げます。
  • 多大なるご迷惑をおかけしたこと、重ねてお詫び申し上げます。
  • この度は、御社に弊社の◯◯が、大変ご迷惑をおかけしたことを謹んでお詫び申し上げます。

どの例文も謝罪するときに使われる言葉ですが、「こちらの不手際でみなさまに大変ご迷惑おかけしましたこと、心より深くお詫び申し上げます。」は、「心より深く」を使用していることで、より深い謝罪表現になっています。

また再度謝るときは「多大なるご迷惑をおかけしたこと、重ねてお詫び申し上げます。」、企業の不祥事では「この度は大変ご迷惑をおかけしたこと、謹んでお詫び申し上げます。」などが使われます。

【「例文」で使われている敬語】
「弊社」と「当社」の使い分け|話し言葉で使うのはどっち?


申し訳ございませんの類語②「深謝申し上げます」との違いとは?

類語①深謝申し上げますの意味とは

「深謝」という言葉に、あまり馴染みを感じない人も多いのではないでしょうか。「深謝」はその名の通り深い感謝の気持ちを表した言葉で、ビジネスシーンではより深い感謝を示すために「深謝申し上げます」と使われることが多いです。

何か誤ったことをした場合においても、過失を許してもらったときに使用できる言葉でもあります。


「深謝申し上げます」の例文

  • これもひとえに〇〇様のご尽力のおかげと深謝申し上げます。
  • 平素は格別のご愛顧を賜り深謝申し上げます。
  • ひとかたならぬご厚情を賜りまして、深謝申し上げます。
  • みなさまの日頃のご好意に深謝いたします。

上記のどの例文においても、基本的には「感謝」を示す言葉として使用されるものがほとんど。

その際は、「ひとえに」を合わせて、より丁寧な印象に仕上げると深謝との丁寧さのバランスを保てますよ。

謝罪に使うのも間違いではありませんが、基本的に感謝を表す際に使うのがベターだと言えます。

ちなみに、「平素は格別のご愛顧を賜り深謝申し上げます。」に関しては、お手紙などでもよく使われる慣用句でもありますよ。

【「例文」で使われている敬語】
「ご厚情」の正しい使い方|目上の人に使える丁寧な例文までご紹介します

「ご尽力」の正しい使い方|目上に使える例文から類語まで解説!


申し訳ございませんの類語③「失礼いたしました」との違いとは?

すみませんの丁寧な敬語③失礼いたしましたの意味とは

こちらも類語として、よくビジネスの場で使用される「失礼いたしました」。「申し訳ございません」とあわせてお詫びの意味を表していますが、少々意味合いが異なるので注意が必要です。

「失礼いたしました」は英語でいう"excuse"と同じような意味で、少々軽めの謝罪という印象を持ちます。しっかりお詫びしたいのであれば「申し訳ございません」が適切です。


「失礼いたしました」の例文

  • 先ほどは誤った住所を送付してしまい、大変失礼いたしました。
  • お約束の件、急用で席を外してしまい大変失礼いたしました。
  • 先日は挨拶もままならず、大変失礼いたしました。
  • 重ね重ね失礼いたしました。

誤った住所を送付したときや、挨拶ができなかったときなどに「失礼いたしました」と活用してみましょう。基本的には、礼儀に欠けるような言動もしくは勘違いにより失礼な言動になったときに使われます

ちなみに「重ね重ね失礼いたしました」は、そうした礼儀に欠ける言動が立て続けに起こったときに使用されることが多いです。


申し訳ございませんの類語④「恐れ入ります」との違いとは?

類語④恐れ入りますの意味とは

「恐れ入ります」も類語としてよく使われます。「恐れ入ります」には、目上の人などに対して「ごめんなさい」という気持ちと「非常にありがたい」という気持ちが含まれています。

「申し訳ございません」は相手に迷惑がかかったときなどに使われますが、「恐れ入ります」は自分は悪くないけど相手に配慮したいときに使われます


「恐れ入ります」の例文

  • 恐れ入りますが、お名前をご記入いただいてもよろしいでしょうか。
  • 恐れ入りますが、折り返しお電話をいただいてもよろしいでしょうか。
  • 恐れ入りますが、こちらにサインをいただいてもよろしいでしょうか。

基本的には、何かをお願いする前に「恐れ入りますが」という言葉を使用することをおすすめします。

頼み事の前に一言足すだけで柔らかい表現が可能になり、相手に不快感を抱かせたり誤解を与える可能性が少なくなります。


申し訳ございませんの類語⑤「陳謝いたします」との違いとは?

類語⑤陳謝いたしますの意味とは

こちらも、「申し訳ございません」以外の言い換えの言葉として使用される「陳謝いたします」。ビジネスでも度々目にする人も多い敬語です。

「陳謝する」という言葉には、理由もしくは経緯を説明したのちに「すみません」と謝罪するという意味が含まれています。つまり「陳謝いたします」と言いたいときは、それ以前に具体的な事由を添えるようにしましょう。


「陳謝いたします」の例文

  • この度は多大なるご迷惑をお掛けしたことを、陳謝いたします。
  • 今回の件を厳粛に受け止め、陳謝いたします。
  • 個人情報の流出に関する経緯を述べ、お客様に陳謝いたします。
  • 事故の対策を進める方針を述べるとともに、陳謝いたします。

「個人情報の流出」「何か不祥事を起こした」など、何か迷惑をかけたときや事情説明が必要なときに「すみません」の代わりに「陳謝いたします」という言葉が使われます。この言葉を使用するときは、しっかりとした経緯や事情も一緒に説明するようにしましょう。


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