"とんでもないです"の意味とは?言い換え類語&例文集|ビジネス敬語ガイド
「とんでもないです」の意味とは?
「とんでもないです」とは、ビジネスシーンでは相手の言葉をやんわりと打消したい時に使う言葉です。
そのため、自分の言動やその結果を褒められた際に「めっそうもない」と謙遜する気持ちや、思いがけない出来事に遭遇して「意外だ」という驚きの気持ちを表す意味があります。
また、ある物事や状況に対して「そうではない」と強く否定する意味や、受け入れがたい状況などに対して「もってのほかだ」という非難の気持ちを示す場合もあるでしょう。
物の大きさや程度が想像を超えている意味を表すために、形容詞の頭につけて「とんでもなく大きい」といった使い方をすることもあります。
「とんでもないです」は、誤用なのか?
「とんでもない」の丁寧な敬語表現として、ビジネスシーンでよく使われている言葉に「とんでもないです」があります。
丁寧語として正しいように見えますが、厳密に言うと文法的には誤用です。「とんでもない」という言葉は、この一言で成り立っている形容詞です。形容詞に丁寧語である「です」を付け加える必要はそもそもありません。
とはいえ、近年のビジネスシーンでは、謙遜の気持ちを伝える敬語として上司や取引先に対し「とんでもないです」と使うケースは多く、認知されつつあります。ただし、使用するにしても本来は間違った表現であることはきちんと認識しておきましょう。
「とんでもございません」はNGなのか?
「とんでもないです」のさらに丁寧な敬語表現として「とんでもございません」という言葉がよく使われています。
「とんでもない」を「とんでも」と「ない」に分け、後ろの「ない」の部分を「ございません」と言い換えています。
しかし、先ほども触れたように「とんでもない」は形容詞ですから、本来は誤用です。ただし、現代のビジネスシーンでは「とんでもないです」と同じく認知されていて、とくに問題視されることはあまりありません。
【参考記事】「とんでもございません」の意味から使い方例文まで解説▽
「とんでもないです」の正しい使い方とは?
「とんでもないです」は、「とんでもない」の丁寧語という敬語として認知され始めています。
主に周囲の人から褒められたり評価されたりした時に、謙遜する気持ちを敬語として表現するという使い方が基本です。
自分がへりくだる状態になる表現ですから、社内であれば上司や先輩、社外であれば取引先や外注先など、自分よりも目上の人から評価を受けた際に返す言葉として使います。
同僚など対等な立場の人から評価された場合でも「とんでもないです」と言うことはありますが、ケースとしては多くはありません。
また、部下など目下の人から褒められた時には自分がへりくだる必要がありませんから、原則使いません。話し言葉として使うことが多く、メールでは使いません。
ビジネスシーンで使える「とんでもないです」の丁寧な例文
褒められる時に謙遜する場合の使い方
- A:こないだの君のプレゼンテーションはすばらしかったね。〇〇社長もほめていたよ。
- B:とんでもないです、チームのメンバーが協力してくれたからできたことで私一人の力ではできませんでした。
- A:納期を1日前倒ししてくれてありがとう。おかげで余裕をもって売り場がセッティングできたよ。
- B:とんでもないです、お役に立てたならうれしいです。
「とんでもない」は、褒められたり評価された際に謙遜する気持ちを表現する言葉です。例文のように、目上の人手から自分の言動やその結果について褒められた場合に、「とんでもないです」と使います。
「とんでもないです」自体は形容詞ですから、後ろに名詞である「こと」を付け加えて「とんでもないことです」と言い換えれば、形容詞として正しい使い方になっていると言えます。
また、自分の意思とは反した状況を強く否定して相手に理解を求める場合、「とんでもないです」という表現を使うことがあります。
相手が言ったことに対して否定する場合の使い方
- A:〇〇様からのクレームをすぐ報告しなかった理由は何だ?そのまま隠しておこうと思っていたのか?
- B:いえ、とんでもないです。まず発生した状況と原因をしっかり調べてから報告しようと考えたのです。
- A:納品遅れを〇〇君が故意に見逃したという話があるが?
- B:とんでもないです、彼がそんなことをするはずがありません。
例文からも分かるように、「とんでもないです」は、相手の意見や主張に対して納得できない、理解できないために否定する気持ちを表現する敬語という使い方も可能です。
特に、あまりよくない状況において自分の言動を疑われた場合には、謝罪の気持ちと同時に故意ではないこと、ビジネス上のリスクを最大限回避するために動いたことを伝えたいニュアンスも含みます。
「とんでもないです」に含まれる、相手から言われた内容を否定するニュアンスは強めです。
「とてつもない」を意味する場合の使い方
- 先週公式に発表されたT社の5か年計画の膨大な資料を見たが、これまでとは比べ物にならないとんでもないスケールだということがよく分かる。
- 3年前からR社- K社- P社および弊社が共同出資した団体が主体となってこのプロジェクトを展開してきたが、成功した暁にはとんでもなくすばらしい結果が得られるだろう。
- 開発部が取り組んでいる新製品が市場に出回り始めたら、業界のシェア率はとんでもない伸びを示すに違いない。
「とんでもないです」という言葉には、想像をはるかに超えた物事や状況に対する驚きを表す意味も含まれています。
ビジネスにおいては、計画時には予想していなかった非常に大きな成果を得たり、逆にほとんど利益が得られなかったりといった、想定外のことへの驚きを表現する場合、例文のように「とんでもない」「とんでもなく」を使います。
「とんでもないです」は、目上の人からの謝罪に対する返事として使えるのか?
「とんでもないです」という言葉は、相手から受けた褒め言葉や評価を打ち消したり、受け入れはするものの謙遜した態度である敬語としての使い方が多いです。
これまでの例文からも分かるように、使う相手は取引先の重役など社外における目上の人や、商品を購入してくれた顧客です。
お礼を言われたり評価されたりした時だけでなく、謝罪された場合にも使いますが、主には謙遜しながらも軽く相手の意見を否定する言葉として「とんでもないです」と使うことが多いでしょう。
褒められたり評価された時に、へりくだって使いますから、相手から謝罪を受けた際の返事という使い方はあまりありません。
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