“重松清さん”のおすすめ作品ランキングTOP12|映画化された代表作とは

愛梨 2022.10.05
日本を代表する有名作家”重松清さん”のおすすめ作品を知りたい方へ。本記事では重松清さんのプロフィールや魅力、おすすめ作品ランキングを解説!さらには小学生や中学生向けの人気小説もお教えします。ぜひ参考にしてお気に入りの一冊を見つけてくださいね。

有名作家「重松清」ってどんな人?経歴をご紹介。

重松清さんのおすすめ作品

数多くの素晴らしい魅力的な作品を世に送り出し続ける重松清さんは、1963年に岡山県は津山市にて生まれました。

中学高校と多感な思春期を山口県で過ごし、18歳の時に上京、早稲田大学教育学部国語国文学科を卒業しています。

出版社での勤務経験を経てフリーライターとして独立。「青い鳥」や「とんび」などの小説だけでなく、ドラマや映画のノベライズやゲームソフトのサブシナリオなど、様々なジャンルの執筆を数多く手がけています。

また、坪田譲治文学賞や山本周五郎賞、直木賞など多数の受賞歴があり、作品がドラマ化されるなど、まさに日本を代表する作家の一人なのです。


重松清さんの作風は?著書の特徴をお教えします。

子供向けから大人向けまで数多くの作品がありますが、重松清さんの作風は、どの小説でも登場人物の心理描写がとても丁寧なのが大きな特徴。

どんな人でも心の奥に抱えている他人には言えない悩みや葛藤、迷いなど繊細な感情の動きを一つずつ読者が感情移入しやすい言葉で綴っているため、物語にも入りやすく最後まで読みやすい傾向にあります。

また、心理描写が丁寧であるからこそ、同じ作品でも時を経て読み返してみると、新たな発見があり何度でも楽しめるのです。


重松清さんのおすすめ作品ランキングTOP12

ここからは、重松清さんの数ある作品の中でも、特におすすめの作品一覧をランキング形式でご紹介。

ネタバレはしない簡単なあらすじも合わせてご紹介しちゃいます。

「興味はあるけど、作品数が多すぎてどれから読んでいいのか分からない。」

「大体のあらすじも先に知っておきたい。」

という方は、ぜひ参考にして読書本を選んでみてくださいね。


【おすすめ第12位】疾走

疾走 上 (角川文庫)

おすすめランキング第12位は、2003年発行の「疾走」。

干拓地の集落「沖」と干拓以前からの集落「浜」に分かれている西日本のとある町を舞台にした物語。

その町の「浜」で暮らす、寡黙な父と気弱な母、優秀な兄シュウイチ、そして、陸上に励む弟であるシュウジという4人家族。

そんな中、「沖」をリゾート開発する計画が持ち上がります。

開発計画を巡り町がざわつく中、優秀だった兄が犯した犯罪をきっかけに、多感な年頃のシュウジが背負ってしまった苛烈な運命とその軌跡を力強く、そして、繊細な描写で描いている読み応え充分の一冊です。

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おすすめポイント

「沖」と「浜」で分断され差別意識が町民にあるなかで、リゾート開発という町全体を巻き込む一大計画が進む小さな町。

ごく普通の家庭がたった一つのほころびから崩壊し、全てを背負う運命になってしまったシュウジ。

子供と大人の狭間で揺れ動く、多感な年頃のシュウジだからこそ思い悩み、葛藤しあがく姿が赤裸々に綴られています。

家族や友人関係、将来の事など、悩みがつきない年頃の方は、共感できる部分が多いはずですよ。


【おすすめ第11位】木曜日の子ども

木曜日の子ども

おすすめランキング第11位は、2019年発行の「木曜日の子ども」。7年前に旭ヶ丘の中学校で起きたクラスメイト9人の無差別毒殺事件。

その地に、14歳の連れ子がいる妻との結婚を機に引っ越してきた主人公。

前の学校でひどいイジメにあっていたという連れ子は、毒殺事件の犯人と面影が似ているらしく、私はその子との距離感を計り兼ねている。

世の中では、毒殺事件の犯人が社会復帰するという噂がまことしやかに囁かれるなか、旭ヶ丘では不審な出来事が相次ぎ、やがて、再び、事件が起きる…。

展開が読みにくく、いい意味でも想像を裏切られるので、ページをめくる度にドキドキしてしまう一冊です。

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おすすめポイント

7年前の事件の犯人と面影が似ている義理の息子と、良い親子関係をなんとか築こうと試みるものの、ひしひしと迫り来る目に見えぬ恐怖や不気味さが、読み進めるごとにじわじわと大きくなる物語です。

読了感は、決して明るいとは言えず、むしろ、重く暗い。しかし、その分、最後まで目が離せず、読み応えは充分です。

じわじわと迫り来る心理的恐怖を存分に味わいたい方におすすめですよ。


【おすすめ第10位】十字架

十字架 (講談社文庫)

おすすめランキング第10位は、2009年発行の「十字架」。中学二年生の時に自殺した友人の遺書には、同級生の名前が4人分書かれていた。

その中で、「親友」として名前が書かれていた僕は、中学を卒業し、高校大学と進学し、就職、結婚。

息子が生まれ父親になっても、自殺した友人の影はついてまわった。

友人の死という十字架を背負ったまま過ごした20年

自殺した友人、名前の書かれた同級生、家族、取材する記者という第三者、様々な立場と思い、言葉が交差する物語です。

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おすすめポイント

いじめによる自殺という重いテーマが引き起こす物語です。

自殺した子どもの事を忘れてほしくない家族の悲しみと苦しみ、そして、成長して大人になっていく同級生達。

それぞれが抱える、いつまでも消えない迷いと思いに、繰り返される心の中での問いかけが詰まった一冊です。

丁寧な心理描写と葛藤を胸に成長する子ども達の物語が好きな方におすすめですよ。


【おすすめ第9位】ナイフ

ナイフ(新潮文庫)

おすすめランキング第9位は、1997年発行の「ナイフ」。

「ワニとハブとひょうたん池で」、「ナイフ」、「キャッチボール日和」、「エビス君」、「ビタースィート・ホーム 」と5つの短編による小説集。

どの話も社会問題の一つとして見過ごせない「いじめ」がテーマです。。

その中でも、2作目の「ナイフ」は、会社では部下に疎まれている父親が、息子が苛められている事を知っても助けてやる事が出来ない心の弱さを描いています。

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おすすめポイント

「いじめ」と一言に言っても、その種類は実に様々。

そして、「いじめるのはやめて!」「いじめられてるから助けて!」と声をなかなかあげられない子ども達。

そんな子ども達が受けているいじめや心の動きを実に丁寧に描いています。その肉薄ぶりには、読んでいて心がヒリヒリと痛くなってくるほど。いじめ問題に関心がある方におすすめですよ。


【おすすめ第8位】卒業

卒業 (新潮文庫)

おすすめランキング第8位は、2004年発行の「卒業」。

「まゆみのマーチ」、「あおげば尊し」、「卒業」、「追伸」という4つの短編による小説集です。

卒業は、学業を終える事だけではありません。ある日突然訪ねてきたのは、14年前に自殺した親友の娘。

中学生であるその娘は、物心つく前に亡くなった父親に思いを馳せながら、生と死を巡る悩みに強くとらわれていた。

親友の娘が父親の死と向き合い、自身の悩みを乗り越えていく姿を丁寧に描いています。

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おすすめポイント

様々な悩みを抱える主人公達。そして、父や母らと向き合い、ぶつかり、分かち合い、乗り越えていく。

どの短編も、次に繋がる様子が期待できる終わり方をしているので、読了後も前向きな心地よさを残してくれます。

他人には相談しにくい家族との付き合い方、向き合い方などを繊細なタッチで描写しているので、感情移入しやすいのも特徴です。

家族との関係に悩んでいる方にもおすすめですよ。


【おすすめ第7位】青い鳥

青い鳥 (新潮文庫)

おすすめランキング第7位は、2007年発行の「青い鳥」。

「ハンカチ」、「ひむりーる独唱」、「おまもり」、「青い鳥」、「静かな楽隊」、「拝啓ねずみ大王さま」、「進路は北へ」、「カッコウの卵」という8つの短編による小説集。

どの話にも、吃音症のためタ行とカ行の発音がうまく出来ない村内先生が登場します。中学校の非常勤講師である村内先生の担当は国語。

吃音症のため、授業中も言葉がつっかえてしまう先生ですが、先生には授業よりも大切な仕事がありました。

それは、友人関係や家庭環境など、それぞれの悩み一人抱える生徒達の心にそっと寄り添う事。本当に大切な事とは一体何かを教えてくれる物語です。

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おすすめポイント

口先だけのおしゃべりではなく、うまく話せない村内先生だからこそ、伝えられる「本当に大切な事」。

思い悩む多感で成長途中の子ども達にそっと寄り添ってくれる村内先生の姿は、世代を問わず心が揺さぶられる事間違い無し。

「青い鳥」は、大人だけでなく、小学生や中学生、高校生など、他の人にはなかなか話せない悩みを心のうちに抱えている子ども達にもおすすめですよ。


【おすすめ第6位】きみの友達

夜の木の下で (新潮文庫)

おすすめランキング第6位は、2005年発行の「きみの友達」。

「あいあい傘」、「ねじれの位置」、「ふらふら」、「ぐりこ」、「にゃんこの目」、「別れの曲」、「千羽鶴」、「かげふみ」、「花いちもんめ」、「きみの友達」という10本の短編による小説集。

それぞれが独立した話でありながら、少しずつ繋がりがある連作となっています。

交通事故をきっかけに周囲と壁を作るようになった恵美、入退院を繰り返していたため友達がいない由香、親友に振り回される恭子、恵美の弟と勉強や運動でトップを争うモトなど、学校を舞台に様々な友達関係を描いています。

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おすすめポイント

社会に出てしまうと、懐かしく思い出し、時には「あの頃に還りたい。」などとしみじみ呟きたくなる事もある学生時代。

しかし、小学生や中学生、高校生の頃などをよくよく思い返して見ると、楽しい事ばかりではなかったはず。

毎日、学校でいつも一緒にいる友達、挨拶ぐらいしかした事がないクラスメイト、名前も知らない隣のクラスの人などと衝突したり、理解しあったりを繰り返しながら過ごしていましたよね。

そうして築かれていく友達との関係を丁寧に描いています。学生時代を懐かしむ方だけでなく、今、学校での友達関係に悩んでいる方にもおすすめですよ。


【おすすめ第5位】とんび

とんび (角川文庫)

おすすめランキング第5位は、2008年発行の「とんび」。2003年から2004年にかけて新聞小説として連載されていました。

時は1962年、高度経済成長期まっさかりの瀬戸内海に面した広島県備後市にて、運送会社勤務のヤスと、その妻美佐子との間に待望の息子アキラが誕生します。

しかし、アキラが4歳になる年、ヤスの仕事場にて不慮の事故により美佐子を亡くしてしまう。

シングルファーザーとなったヤスが、妻を亡くした悲しみと後悔を乗り越え四苦八苦しながら、アキラを真っすぐに育てていく物語です。

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おすすめポイント

男手一つで大切な一人息子の幸せを第一に考えながら、育てていく親子の絆を描いたこの物語は、テレビドラマにもなっており、テレビドラマ関連の賞まで受賞している素晴らしい作品です。

時には周囲の助けを借り、時には反抗期の息子とぶつかり、悩みながらも息子を大切に育てていく父親の半生と、「とんびが鷹を生んだ」と言われるほど優秀な息子の成長を丁寧に描いています。

「とんび」は、家族をテーマにした物語が好きな方やシングルファーザーの方におすすめですよ。


【おすすめ第4位】ビタミンF

ビタミンF (新潮文庫)

おすすめランキング第4位は、2000年発行の「ビタミンF」。

「ゲンコツ」、「はずれくじ」、「パンドラ」、「セッちゃん」、「なぎさホテルにて」、「かさぶたまぶた」、「母帰る」という7つの短編による小説集。第124回直木賞を受賞しています。

表題の「ビタミンF」とは、家族を元気にする「読むビタミン」の意味。

クラスでいじめられている事を両親に打ち明けられない娘、思い描いていた理想通りに育たなかった息子、夫婦に訪れた危機など、ごく普通の家庭に起こる出来事と、家族模様を丁寧な描写でありながら、淡々と描いています。

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おすすめポイント

ものすごくドラマチックな展開が起きるわけでもない。ごく普通のどこにでもありそうな家族。そして、その家族それぞれが心のうちで思い悩む様を丁寧に描いています。

読み進めていくうちに、ふと「これ、自分だったら…。」なんて、思わず考えてしまうぐらい共感する物語ばかりです。

特別な事は何もない、身近な話を楽しみたい方におすすめですよ。


【おすすめ第3位】エイジ

エイジ (新潮文庫)

おすすめランキング第3位は、1999年発行の「エイジ」。1998年に新聞に連され、第12回山本周五郎賞も受賞しています。

東京近郊にあるニュータウンに住んでいる中学2年生のエイジ。エイジの住む町である日突然起こった連続通り魔事件の犯人は、なんとエイジの同級生だった。

「いつか、ぼくもキレてしまうんだろうか?」と不安に揺れながらも、家族や友達、好きな女の子への想いなどをリアルに描いています。

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おすすめポイント

思春期真っ只中の中学二年生は、心も身体も日々揺れ動く時期。

そんな時に起こった同級生の事件は、ただでさえ不安定な心を大きく揺さぶります。

背伸びしたい年頃の精一杯の背伸びを、微笑ましく感じる大人世代から、今まさに同じような葛藤を心に秘めている中学生まで、幅広い世代の方におすすめできる物語ですよ。


【おすすめ第2位】その日のまえに

その日のまえに (文春文庫)

おすすめランキング第2位は、2005年発行の「その日のまえに」。

「ひこうき雲」、「朝日のあたる家」、「潮騒」、「ヒア・カムズ・ザ・サン」、「その日の前に」、「その日」、「その日の後で」という7つの短編による小説集。

ラジオドラマ、映画、テレビドラマ、そして、朗読劇化されています。

大切な家族の死に向き合う人々を、優しく丁寧に綴っていますよ。

死にゆく妻、遺される父と子ども達。いつか来るその日を通して、日常のなかにある幸せを見つめた物語が詰まった一冊です。

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おすすめポイント

避けられる事なら出来れば避けたい、大切な人との死別。しかし、どうしても避けられない。

「そんな時、どうすればいいのだろうか?」

誰もが思い悩んでしまいますよね?

驚き、悩み、後悔し、残りの時間を焦る気持ちと共に、何でもない日常の大切さを実感できる物語です。

大切な人との時間をより深く味わいたい方におすすめですよ。


【おすすめ第1位】流星ワゴン

流星ワゴン (講談社文庫)

おすすめランキング堂々の第1位は、2002年発行の「流星ワゴン」。2002年度の本の雑誌年間ベスト1にもなっており、2015年には実写テレビドラマ化もされています。

リストラや離婚、子どもの引きこもりと、自分の人生に希望を見いだせない永田一雄。余命幾ばくもない父親を見舞いに行った時に貰える交通費の残りで日々なんとか暮らしている。

ある日の父親の見舞い帰り、目に留まった一台の車に乗っていた親子に言われるがまま車に乗り込むと、その車は一雄を一雄自身の人生の分岐点へと連れ戻してくれたのだった。

誰にでもある人生の分岐点、思わず、自分自身の分岐点に想いを馳せてしまう一冊です。

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おすすめポイント

「あの時、本当は〇〇した方が良かったんじゃないか?」

誰しもが思う過去の分岐点。その時は、それが分岐点だと気づく事は、まずありません。

妻との関係、子どもとの関係、父親との関係など、その分岐点をきっかけに変わってしまう事もあるでしょう。

自分の人生にある節目節目の分岐点で起こっていた事を知る事が出来たら、家族との接し方も変えられたかもしれない…。自分の過去につい、想いを馳せてしまう方におすすめですよ。


小学生・中学生におすすめ|10代で読んでおきたい重松清さんの作品7選

重松清さんの作品は、小学生向けや中学生向けといってもいいぐらい、若いうちに読んでおいてほしい作品がたくさんあります。

ここからは、小学生や中学生の方に読んでほしい重松清さんの作品一覧を簡単なあらすじも合わせてご紹介します。


おすすめ本1. ポニーテール

ポニーテール (新潮文庫)

小学4年生のフミは、母を亡くしている。そして、小学6年生のマキは、親の離婚で転校までしている。

そんなフミとマキは、親同士の再婚によってできた「新米兄弟」。

多感な年頃の少女二人が、一つ屋根の下で一緒に暮らし、近づいたり離れたり、喧嘩したりとお互いに手探りしながら、少しずつ「家族」になっていく物語です。

それぞれに悩みを抱えながら、ぎこちなくゆっくりとゆっくりと家族らしく関係が変わっていく姿を丁寧に、そして、暖かく描いています。

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おすすめポイント

連れ子同士の再婚。多感な年頃で、年が近い子ども達。

前のお母さんとお父さんへの想い。新しいお母さんとお父さん、そして、新しく出来た姉妹への想い。

一筋縄ではいかない登場人物それぞれの心理描写が繊細なタッチで描かれています。

家族関係で悩んでいる方なら、きっと参考になる部分があるはず。

兄弟姉妹との関わり方に悩んでいる方にもおすすめですよ。


おすすめ本2. 小学五年生

ぼくがぼくであること (つばさ文庫)

小学5年生の男の子が主人公の、17本の短編がおさめられた小説集。

友達の転校や父親の死、家族の病気、新しい出会い、女の子への淡い気持ちなど、子どもから大人へと成長途中の少年達が生き生きと、そして、丁寧に描かれています。

まだまだ子どもだけど、でも、大人びた部分もある小学5年生という多感な年頃の少年達が心と身体の変化に戸惑いながら、それぞれに悩み、成長していく姿には、世代を問わず共感できる物語です。

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おすすめポイント

「小学5年生」という表題から、小学生向けと思われがちですが、子どもだけでなく、大人もしっかり楽しめる物語ばかり。

また、小学5年生というやんちゃな年頃の男の子達がついしてしまう仕草なども丁寧に描かれているので、小学生だけでなく、同じ年頃のお子さんを持つ親御さん達も親子で一緒に楽しめますよ。

小学生だけでなく、子どもの気持ちが知りたい大人の方にもおすすめです。


おすすめ本3. くちぶえ番長

夜の木の下で (新潮文庫)

くちぶえと一輪車が上手な女の子マコトが転校してきたのは、小学4年生のツヨシのクラス。

「わたし、この学校の番長になる!」と転校早々に宣言したマコト。

幼い頃に父親を亡くしたマコトは、強くて優しくて友達思い番長となり、ツヨシはそんなマコトに感化されるように優しく強く成長していく。

マコトが次の学校に転校していくまでの1年間、ツヨシとマコトの間に育まれたほろ苦く甘酸っぱい、そして、爽やかな友情物語です。

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おすすめポイント

大人が読めば、あの頃の自分と照らし合わせて懐かしくも甘酸っぱい気持ちになれる物語です。

そして、子どもが読めば、登場人物達に自分を重ねあわせて、ぐいぐい読み進めたくなる物語。

子どもにも分かりやすい文体でありながら、大人でも読み応え充分な丁寧な描写。

「小学生が主人公だから、小学生向けの本。」と、手に取らないのはもったいないです。まさに、大人から子どもまで、幅広い世代におすすめですよ。


おすすめ本4. かあちゃん

かあちゃん (講談社文庫)

様々な人に焦点を当ててきた重松清さんが、母親に焦点を充てた初めての小説です。

第1章から第8章まで、優しい母親から強い母親まで、様々な母親像を描いています。

女手一つで息子を育てる母親、事故の遺族であると同時に加害者の家族でもある母親など、いろいろな母と子の姿を連作の短編集としてまとめています。

母親が子どもに伝えたい事、子どもが母親に伝えたかった事を丁寧に描写しており、ふと、我が身を振り返りたくなる物語です。

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おすすめポイント

中学生という親離れしたくなる年頃の子どもと、母親の関係は現実世界でも、そう簡単ではありません。

母親の愛情を、覚悟を、小学生や中学生では、やはり、まだまだ完全に理解するのは難しいもの。この小説は、子を想う母親の姿を分かりやすく、そして、とても丁寧に描いています。

母親との関係に悩む中学生や、母親の気持ちが知りたい大人の方まで、幅広い世代の方におすすめですよ。


おすすめ本5. ゼツメツ少年

ゼツメツ少年 (新潮文庫)

小説家センセイのところに、ある日届いた謎の手紙「僕たちはゼツメツしてしまいます」。

差出人は一人の少年。それぞれに辛い事情を背負った2人の少年と1人の少女は、生き延びるための旅を始めます。

小学生と中学生という思春期に入りかけている子ども達が、それぞれに居場所がないと感じ、センセイに助けを求めながら、必死に前に進もうとする物語です。

いじめや命の大切さがテーマのこの物語は、救いを求める少年少女達の行方に最後まで目が離せません。

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おすすめポイント

様々な事情で学校に通えなくなった子ども達を集めた合宿で出会った3人。

自分一人の力では、どうにもならない現実をなんとかしようと、センセイに書いた手紙。

必死にあがく子ども達の姿は、小学生や中学生もきっと共感を覚えるはず。

今、悩みを抱えている、自分の居場所を探している小学生や中学生におすすめですよ。


おすすめ本6. きよしこ

送り火 (文春文庫)

重松清さん自身の生い立ちが、主人公である少年きよしのモデルとなっている物語。

吃音があるため、うまく話せない事が多い少年きよしは、父親の転勤で引越と転校を繰り返しています。

言いたい事が上手にいえず、一人ぼっちだった少年きよしは、やがて、少しずつ周囲との関係を築き成長していく事ができるのでした。

相手に伝えたい事、聞きたい事があっても、上手に話せなくて辛い思い繰り返している少年きよしの物語は、重松清さんが幼少期に体験した辛い思い出などをまとめた私小説といっても良いでしょう。

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おすすめポイント

話したい事を上手に話せない原因となっている吃音。

そして、吃音矯正プログラムでなめらかな口調で「吃音は恥ずかしくない。」などと言われ反論を覚える少年きよし。

話したい事があるのにうまく伝えられない辛さやもどかしさは、当人でないと分からないもの。

重松清さん自身について深く知りたい方だけでなく、吃音に悩む方や、周囲に吃音の方がいる方などにもおすすめですよ。


おすすめ本7. せんせい。

せんせい。 (新潮文庫)

学校に毎日通っていた頃は、せんせいの授業をいかにサボるか、怒られないようにするか、なんて事ばかり頑張っていませんでしたか?

夢ばかり追いかけて授業そっちのけになっていたせんせいや特定の生徒を好きになれなかったせんせい、そして、せんせいに反発する生徒たち。

「あの頃、せんせいが言っていた事は、なんだかよく分からなかったけど、大人になった時、ようやく意味が分かった。」

と思える、せんせいと生徒の巡る6つの短編による小説集です。

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おすすめポイント

卒業して何年経っても、恩師は恩師

あの頃は、大人である先生が言っていた事の意味がよく分からなくても、社会に出ていろいろな経験をするようになると、少しずつ意味が分かるようになってきますよね。

教師と生徒という、学校の中だけでは終わらない関係の描写がとても丁寧で暖かく、思わず、「教師って素敵な仕事だなぁ。」とほっこりした気持ちにさせてくれます。

今、学校に通っている現役の学生さんだけでなく、先生にもおすすめの作品です。


重松清さんが好きな人におすすめの「人気作家」2選

「青い鳥」、「とんび」、「木曜日の子ども」など、市井の人々の揺れ動く感情を繊細で暖かみのある描写で描く重松清さん。

ここからは、重松清さんの作品が好きな方なら、きっと気に入りそうな人気作家さんをご紹介しちゃいます。


人気作家1. 浅田次郎さん

波瀾万丈な生い立ちだけでなく、陸上自衛隊への入隊歴もある浅田次郎さんも、日本を代表する人気作家の一人です。

第117回直木三十五賞を受賞した「鉄道員」、第1回中央公論文芸賞と第10回司馬遼太郎賞を受賞した「お腹召しませ」、毎日出版文化賞を受賞した「終わらざる夏」など、受賞歴も多く、2015年には、紫綬褒章も授与されています。

「平成の泣かせ屋」との異名を持つほど、人情味と情緒溢れる作風が特徴。重松清さんの繊細な心理描写が好きな方なら、きっと心に響く作風ですよ。


人気作家2. 恩田陸さん

生命保険会社でOL経験もある恩田陸さん。

第26回吉川英治文学新人賞と第2回本屋大賞を受賞した「夜のピクニック」、第20回山本周五郎賞を受賞した「中庭の出来事」、第156回直木三十五賞と第14回本屋大賞を受賞した「蜜蜂と遠雷」など、数多くの受賞歴があります。

「ノスタルジアの魔術師」と称される作風は、心の奥底にある郷愁を誘う丁寧な情景描写が特徴です。

重松清さんと同じように、ミステリーやホラー、冒険小説、SFなど、幅広いジャンルの作品を執筆している人気作家です。


重松清さんの本を読んで、充実した休日を過ごしてくださいね。

重松清さんの作品は、映画やドラマ化された作品も多く、書籍で読んだ事がなくても、映像で目にした事がある方も多いのではないでしょうか?

子ども達にそっと寄り添う先生を描いた「青い鳥」や男手一つで息子を育てる「とんび」、自身の生い立ちから生まれた「きよしこ」など、様々な登場人物の心に優しく寄り添う作品ばかりです。

今回ご紹介した作品一覧以外にも、様々なジャンルの作品があるので、休日の読書タイムに、ぜひ一度読んでみて下さいね。


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