"ご厚意"の意味/使い方。"ご好意"との違い&例文付き|ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2019.02.18
相手の心遣いや気配りを丁寧に表現した敬語、ご厚意。今回は、「ご厚意の意味とは?」という基礎知識から、ご好意との違い、正しい使い方&例文まで徹底解説。ご厚意と言い換えできる敬語表現もピックアップしていますので、ビジネスメールを勉強中の方はチェックしておいて!

「ご厚意」の意味とは?

ご厚誼の類語④ご厚意の意味とは

「ご厚意」とは「厚意」に丁寧語の「ご」をつけた敬語表現です。

「厚意」とは、「やさしく思いやりのある心」や「厚情」のことをいい、他人が自分に対して表明した心持ちのことを意味した言葉になります

話し手自らの感情を吐露したり、気持ちを表す言葉ではなく、他人の行為に関して言及した言葉です。

「御厚意」という語もありますが、やや古語よりの古い用法で、昔の文献に載っていたり、年配の方が使用することが多く、現代ではかなりかしこまった場で使用されることがあります

一般的なビジネス用語としては、「ご厚意」を使うのが望ましいでしょう。


「ご厚意」と「ご好意」との違いとは?

ご厚意と似たご好意の意味

「ご厚意」の類語に「ご好意」があります。「ご好意」とは「ある人のためになりたいという気持ち」や「親切な気持ち」の意味を表す敬語です。

そのほかに「ある人に親しみや好ましさを個人的に感じる気持ち」の意味を持ち、愛情の婉曲的な語でもあります。

ご厚意とご好意との違いは、「ご厚意」は親切心や思いやりの心、相手に対する気遣いといったものから発露した他人の行為のことであり、「ご好意」は相手に対する親しみや愛情から起こす行為という点です。

「ご厚意」は他人から施されるものですが、「ご好意」は自分や他人がする行為のため、「私の厚意が無にされた」とは言いません。


「ご厚意」の正しい使い方とは?

ご厚意の使い方は2種類ある

「ご厚意」は、大きく【感謝を伝える時/断る時】の2つの場合で用いられます

基本的な使い方としては、主に感謝を相手へ述べる時に使用されますが、断る際のクッション言葉としても優秀な役割を担います

ビジネスシーンでも多くの場面で使える敬語ですので、例文を確認しながら使い方を確認していきましょう。


【感謝する時に使う場合】「ご厚意」の使い方・例文とは?

ご足労いただきありがとうございますの類語② ご来訪いただきありがとうございます

「ご厚意」とは、相手の親切心や思いやり、気遣いによる行為の敬語で、それに対して感謝やお礼をするのは自然な流れといえます

「ありがとうございます。」以外に、感謝やお礼を述べる言葉として使える便利な語です。

「ご厚意」はなんらかの行為を伴いますが、金銭や財物提供への感謝を婉曲的に表現するために使われることがあります。以下に使い方の例文を載せましたので参考にしてください。


【感謝で使う場合】「ご厚意」の例文

  • 丁寧なお見舞いをいただき恐縮です。皆様のご厚意に甘えさせていただき、当面は治療に専念させていただく所存です。
  • 過日はひとかたならぬご厚意に預かりまして、感謝申し上げます。
  • お客様のM様のご厚意により、本日新築完成見学会を開催させていただきました。
  • 過分なご厚意をいただき、まことに痛み入ります。
  • ○○様からのご厚意に感謝申し上げます。
  • 皆様のご厚意によって、新しい金堂が建立できました。ありがとうございました。

「ご厚意」は他人からの親切な行為を受けたときや、既にそのような行為を受けた後、長期にわたり厚意を受けているときに、こちらからの感謝の気持ちを伝えるときに使えます

「ご厚意」を使用することで、単なる感謝ではなく、厚意を施した相手への敬意や、受けた恩に対しての深い感謝の気持ちを伝えられる最適な語といえるでしょう。

【「例文」に使われている敬語一覧】
「痛み入ります」の意味/使い方|上司など目上に使える例文までご紹介します!

「感謝申し上げます」は目上に失礼?正しい使い方から例文まで解説


【断る時に使う場合】「ご厚意」の使い方・例文とは?

深謝を謝罪・謝る時に使う場合

ビジネス上、相手の申し出や気遣いから出た行為を、事情により断わらなくてはならないこともあります。その場合は相手に失礼のないようやんわり断るようにしましょう。

厚意を断る場合の枕詞として、「せっかく」という語があります。「せっかく」は相手の申し出や厚意による行為を認めつつ、それを受けられないことを残念に思う気持ちをあわせて伝えられるので、相手対して礼を失することなく丁重に断るのに適した語です。


【謝罪で使う場合】「ご厚意」の例文

  • せっかくのご厚意ですが、諸事情によりお断りさせていただきたく存じます。お気持ちのみ、ありがたく頂戴いたします。
  • せっかくのご厚意にお応えできず、誠に申し訳ございませんでした。
  • せっかくのご厚意ですが、私にはとてももったいないので、どなたかにお譲りします。
  • 厚意を裏切るようで心苦しいのですが、この件につきましてはご辞退申し上げたく存じます。
  • せっかくのご厚意にもかかわらず、自社のリソース不足によりお引き受けが難しい状況です。
  • せっかくのご厚意ですが、次回からはお気持ちだけで結構です。お気遣いありがとうございます。

厚意をお断りする場合、相手が厚意による行動を申し出た時や、行動に移そうとした場合に、文例のような断りを入れるのが普通です

厚意を受ける前であっても、相手との関係上断るのが難しい場合は、最後の文例のようにいったん受け止めて角を立てずに、それ以上の気遣いは不要の旨をやんわり伝えましょう。

ただ断るよりも、「ご厚意」を使って相手の気持ちをいったん受け止めれば、相手の気分も和らぐはずです。

【「例文」で使われている敬語一覧】 ・謝る時によく使われる「申し訳ございません」は間違いなの?

「存じます」の意味とは?正しい使い方から類語まで解説


▷次のページ:「ご厚意」の言い換えで使える類語とは?

よく一緒に読まれる記事

関連する記事